2021年10月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2021年10月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
2021年10月の前月比急上昇サイトランキング
(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
こちらは、Web行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」のトレンド分析機能を用いて、Webサイト訪問ユーザー数の前月比Top30をランキング表示したもの。この中から注目のサイトを紹介することで、市場のトレンドを紐解いていきます。
▼先月の急上昇サイトはこちらよりご覧ください。
auの新ブランド「povo」サイトのユーザー数が急上昇!基本料0円の新プラン効果か|2021年9月急上昇サイト
https://manamina.valuesccg.com/articles/15372021年9月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? SaaS型のWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。今回はDockpitを使って訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトを調査しました。
エアー®サロンパス®の公式サイトや選挙の情報サイトが上位に
■5位:エアー®サロンパス®
まず取り上げるのは、急上昇5位にランクインした久光製薬のスプレー式鎮痛消炎剤「エアー®サロンパス®」の公式サイトです。
急上昇の原因をコンテンツランキングから確認しましょう。
「エアー®サロンパス®」のコンテンツランキング
(「Dockpit」競合分析より)
上位には「エアーサロンパス スポーツに、エールを。体感キャンペーン」に関するページが占めていました。こちらのキャンペーンは先着で7万人にエアー®サロンパス®ジェットαがプレゼントされるというもの。先着順で10月1日から実施されたため、サイト流入が急増したのではないでしょうか。
ではどのようにユーザーをサイトに集客したのか、集客構造から探っていきましょう。
2021年10月の「エアー®サロンパス®」の集客構造
(「Dockpit」競合分析より)
外部サイトやディスプレイ広告からの流入が目立ちます。キャンペーンをネット広告で告知することで、集客に成功したと考えられます。
■8位:エネルギーファンディング
8位は2021年7月に開始された新しいファンディングサービス「エネルギーファンディング®」の公式サイトでした。エネルギーファンディングは毎月支払う電気料金を変えずに、そのうち5%を社会活動へ支援できるという新サービスです。
社会貢献活動団体など約100社が参画しており、好きな団体を選んで手軽に継続した支援を行うことができます。また、提供プランには使用電力の100%を再生可能エネルギーによって発電された電力にする「再エネおうえんプラン」があり、SDGsにも貢献できます。
現代においてSDGsは企業にとって重要な経営課題。脱炭素化の動きが国際的に加速しており、再生エネルギーの需要も高まっています。こうした背景から、クリーンエネルギーの供給と社会貢献の両方に取り組む「エネルギーファンディング®」が注目を集めたのではないでしょうか。
■12位:JAPAN CHOICE
12位には、2021年10月31日に実施された衆議院議員総選挙に向けて開設された情報プラットフォーム「JAPAN CHOICE」がランクイン。JAPAN CHOICEでは、候補者データや各政党が打ち出した政策、世論調査、政治的出来事など投票のために必要な情報が分かりやすくまとまっており、16の質問に答えるだけで自分の意見に近い政党をマッチングできる機能「投票ナビ」もあります。
急上昇の原因を集客構造から探っていきましょう。
2021年10月の「JAPAN CHOICE」の集客構造
(「Dockpit」競合分析より)
自然検索からの流入が過半数を占めていることが分かります。さらに自然検索の検索ワードの詳細を見てみると、「政党マッチング」「投票マッチング」といったマッチングに関する検索が多いことがわかります。
2021年10月の「JAPAN CHOICE」の集客構造・自然検索キーワードランキング
(「Dockpit」画面より)
「自分がどの政党に投票するべきか分からない」「選挙に関心はあるが、今の政治がよく分からない」という人も多いのではないでしょうか。マッチング機能の投票ナビはこうした人々のニーズをうまく掴み、その結果サイト急上昇に貢献したと考えられます。
▼本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのDockpitを使用しています。詳細な機能を知りたい方はぜひ無料版を使ってみてください。
BTSのライブ配信サイトや神奈川県のキャッシュレス事業サイトも
■18位:venewlive
18位は、デジタルライブ公演の配信プラットフォーム「VenewLive」でした。韓国の人気グループBTS(防弾少年団)やSEVENTEENなどが所属する韓国の芸能事務所「HYBE」の系列の配信プラットフォームで、HYBEがオンラインコンサートを配信する際に利用されます。
急上昇の原因をコンテンツランキングから確認しましょう。
「VenewLive」のコンテンツランキング
(「Dockpit」競合分析より)
上位は「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE」に関するページが大半を占めていました。BTSは10月24日にオンラインコンサート「BTS Permission to Dance On Stage」を開催。約2年ぶりとなったスタジアムコンサートは、VenewLiveを通して世界197カ国及び地域で視聴されました。
コロナ禍では、感染症対策から無観客のオンラインコンサートが主流になっているため、こうした配信プラットフォームに利用者が集まりやすくなっているのではないでしょうか。
■19位:神奈川県キャッシュレス・消費喚起事業
19位にランクインしたのは「神奈川県キャッシュレス・消費喚起事業」の公式サイトでした。神奈川県では、キャッシュレス・消費喚起事業の一環として10月25日から「総額70億円還元キャンペーン」を実施。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により売り上げが減少している県内産業を支援するために、県内の加盟店で「かながわPay」アプリを使って買い物すると、金額の最大20%分のポイントが還元されるというものです。このキャンペーンは、ポイント還元総額が予算上限の70億円に達成次第、終了になります。
神奈川県では本事業専用のアプリとして「かながわPay」を設計し、デジタル商品券や地域通貨として活用しています。特性を活かした消費喚起のキャンペーンによって、訪問者数が急増したのではないでしょうか。
■22位:TastyTable FOOD
22位にランクインしたのは、日本初のパスタソースのサブスクリプションサービス「TastyTable FOOD」(レ / Pasta Sauce)の公式サイトでした。こちらは毎月更新される人気レストランの本格的なパスタソースをお届けする人数限定の会員制サービス。スタートから2ヵ月で会員申し込み数は1,000名を突破しています。
母体のTastyTableは「おうちをレストランに」というコンセプトのもと、厳選食材とレシピをお届けするミールキット宅配サービスです。コロナ禍の外出自粛が追い風となり、食材宅配やミールキットの市場は順調に拡大。また、withコロナの生活スタイルの変化でサブスクリプションサービスも需要を広げています。そうした中、TastyTable FOODは宅配サービスのノウハウを活かして、パスタソースのサブスクリプションサービスに成功したのではないでしょうか。
まとめ
最後に10月に急上昇したサイトと、その増加要因をまとめます。
10月は新サービスのサイト急上昇が目立ちました。8位の「エネルギーファンディング」はクリーンエネルギーの供給と社会貢献の両方に取り組んでおり、SDGsや寄付に興味ある人から注目を集めたのではないでしょうか。また、10月の衆議院議員総選挙に向けて開設された「JAPAN CHOICE」も12位にランクイン。サイト内のマッチング機能は手軽に自分の意見と最適な政党を見つけられるため、政党選びに迷う人々のニーズを掴んだ機能と言えるでしょう。
また、パスタソースのサブスクリプションサービス「TastyTable FOOD」が22位にランクインしていました。コロナ禍で宅配やミールキットの市場が拡大し、サブスクリプションサービスの需要が高まる中で、宅配サービスのノウハウを活かしてサービスに成功したと考えられます。
一方、19位の「神奈川県キャッシュレス・消費喚起事業」に見られるように、キャッシュレス関連サイトも興味を集めています。これまでPayPayなどが行ってきた大規模な還元施策を自治体として神奈川県でも実施。総額70億円を還元する消費喚起のキャンペーンによって、当サイトも急上昇したと考えられます。
急上昇サイトを定期的に観測することで、未来の消費動向の種が見つかるはずです。本記事のデータはWeb行動ログ調査ツールのDockpitを使用しています。詳細な機能を知りたい方はぜひ無料版を使ってみてください。
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