ネットユーザー行動分析トレンドreport【2016夏の旅行】

ネットユーザー行動分析トレンドreport【2016夏の旅行】

―今夏はお得な旅行を探すユーザーが増加―


 ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、一般ネットユーザーの行動ログとデモグラフィック(属性)情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用して、この夏に旅行予定がある消費者のネット行動を分析しました。また、昨年も同様の調査・分析を実施しており、前年度データとの傾向比較も行っています。

分析概要

 夏の旅行予定については、全国のVALUESモニターを対象として、2016年7月4日~7月12日にアンケート調査を実施、その回答者12,133人をネット行動分析の対象としました。
 前年度データについては、2015年6月25日~7月1日に、全国のVALUESモニターを対象にアンケート調査を実施、その回答者14,562人をネット行動分析の対象としました。
※ネット行動はPC上の行動ログを分析対象としています。
※サイト分類のカテゴリは、ヴァリューズが独自に定義しています。
※サイト名は正式名称と異なる場合がございます。

考察サマリ

旅行業界のサイト訪問者数ランキング(6月度) 上位の顔ぶれは昨年と変わらず。「Find Travel」「Retrip」などのキュレーションメディアが急伸。

 ヴァリューズが独自に定義する「旅行・交通」カテゴリのサイトにおいて、2016年6月度のサイト訪問者数ランキングを集計したところ、1位「楽天トラベル」、2位「じゃらんnet」、3位「日本航空(JAL)」4位「Yahoo!トラベル」5位「全日本空輸(ANA)」となり、上位5サイトの顔ぶれは2014年度から3年連続で同じとなりました。しかしながら、前年比で見ると5サイト中4サイトがユーザー数を減少させている中、「日本航空(JAL)」だけがユーザー数を伸ばしています。
 対して、6位~10位を見ると、5サイト中4サイトがユーザー数を伸ばしています。特に、「Find Travel」は前年比で約3倍、「RETRIP」は前年比で約5倍と、大きくユーザー数を伸ばしており、旅先やグルメの情報を投稿できるキュレーションメディアが躍進しています。

 また、同じく「旅行・交通」カテゴリのサイトにおいて、サイト訪問者数の対前年比でランキングしたところ、1位は訪問者数ランキングでも7位にランクインした「RETRIP」(前年比:507.3%)となりました。その他にも、「TravelBook」、「たびらい」など、上位10サイト中7サイトがメディアとなり、旅行をテーマとしたキュレーションサイトや比較サイトの全体的な伸びが見られました。

今夏の旅行予定は、国内派:31.3%、海外派6.1% 昨年とほぼ変わらず。

 2016年7月4日~7月12日に実施したアンケートで、今年の夏に旅行予定があるかどうかを尋ねると、「国内旅行派」は31.3%、「海外旅行派」は6.1%、「行先は決めていないが旅行を検討中」が7.8%となり、合わせると45%が、この夏の旅行を予定していることが分かりました。夏の旅行を予定している人の割合は昨年とほぼ同率となりました。

 旅行を予定/検討している時期を見てみると、8月に旅行を予定している人が昨年より3.1ポイント増加していました。昨年はカレンダーの日並びでシルバーウィークが長かったことから9月に旅行を予定している人が多かったのですが、今年は8月に旅行予定時期が早まっていることがわかります。

今夏に旅行を予約・検討している人のサイト閲覧傾向は?

● 国内旅行派 ─「じゃらんnet」が不動の1位。「トリップアドバイザー」が5位に躍進。
地図サイトでは「ナビタイム」が大幅に順位を上げる。

● 海外旅行派 ─「Booking.com」「ホテルズドットコム」「ジェットスター」など、
格安ホテルや格安航空券の予約サイトが上昇。

 次に、旅行を検討していない人(非検討者)との乖離(差)が大きい順にランキングを集計し、国内旅行予定者、海外旅行予定者、それぞれでよく閲覧しているサイトのランキングを作成しました。

 旅行を検討していない人に比べて国内旅行予定者(手配済+検討中)がよく閲覧するサイトの1位は「じゃらんnet」で、3年連続1位となりました。2位は「楽天トラベル」、3位「食べログ」となっています。また、昨年度15位だった「トリップアドバイザー」が5位にランクインしており、昨年度より大きく順位を上げています。
 また、6位に「Yahoo!路線情報」、11位に「Yahoo!地図」、19位に「ナビタイム」が入っており、具体的に現地での移動手段や位置情報を確認している様子が伺えます。特に「ナビタイム」は昨年度30位以下でしたが、今年は19位となっており、昨年よりも順位を大幅に上げています。

 一方、旅行を検討していない人に比べて海外旅行予定者(手配済+検討中)がよく閲覧するサイトをみてみると、1位「エイチ・アイ・エス」、2位「トリップアドバイザー」、3位「エクスペディア」などユーザーのレビューやクチコミが充実しているホテル予約サイトが上位3サイトのうち2サイトとなる結果になりました。
また、昨年度は上位30位に入っていなかった「Booking.com」「ホテルズドットコム 海外格安ホテル予約」「ジェットスタージャパン」などの、格安ホテルや格安航空券を探せるサイトが上位30位にランクインしています。

今夏の旅行予定者の検索キーワードランキング

 GoogleおよびYahoo!の検索を対象に、今年の夏に旅行を予定している人が、どのようなキーワードで検索しているか、2016年6月度の検索キーワードランキングを作成しました。

 国内旅行予定者では、5位「じゃらん」、6位「ANA」7位「楽天トラベル」、8位「JAL」などの旅行系ワードがTOP20に入りました。また、15位に「ふるさと納税」が入っており、ふるさと納税をすると旅行をプレゼントする自治体もあることから、国内旅行検討者の検索であがってきたと見られます。海外旅行予定者では、4位「ANA」、8位「HIS」、9位「JAL」、13位「じゃらん」、16位「JTB」、19位「エクスペディア」などがTOP20にランクインしています。

 一方、旅行を検討していない人(非検討者)の検索キーワードランキングをみてみると、旅行系のキーワードに該当するものはありませんでした。

「ふっこう割」検索キーワードランキング 検索者が7月に大きく増加。ご当地サイトがTOP20に多数ランクイン。

 国内旅行予定者の中で関心が高いキーワードに「ふるさと納税」がありますが、同じく政府の地方支援策である、「九州ふっこう割」が注目を集めています。
 今年4月に起こった熊本地震の影響により、九州全体で宿泊キャンセルが相次いだため、政府が九州の観光事業の早期復興のために「九州ふっこう割」の実施を決めました。最大70%旅行代金が安くなることから、ユーザーからの反響も大きいようですが、ネット上ではどのような反応が見られるか、ヴァリューズの「【eMark+】Keyword Finder」を用いて、検索動向を調査しました。
「九州ふっこう割」検索者数は、推計値で6月に4万8900人、7月は25万8000人となりました。ネット上でも多くのユーザーが「九州ふっこう割」について調べているようです。

 また、「ふっこう割」を含むキーワードを検索後にアクセスしたサイトを見てみると、1位は九州観光推進機構が運営する「九州ふっこう割お知らせサイト」、2位はお得に旅行ができる情報を提供する「Travelers Navi」、3位は「じゃらんnet」となりました。
 20位までのサイトを見ると、ふっこう割の申し込みができるサイトのほか、「Yahoo!ニュース」や「NAVERまとめ」、ブログなども見られていることから、「ふっこう割」についてユーザーが情報収集をしている様子が見受けられます。また、「VISIT熊本県」や「ながさき旅ネット」、「別府温泉 杉乃井ホテル」などの九州のご当地サイトが見られているのも特徴的です。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

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