2022年9月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2022年9月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しています。
2022年9月の前月比急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
9月は、メルマガで功を奏した一流シェフのレシピ動画サービスが1位に!
それでは、1位〜30位にランクインしたなかで、トレンドとして注目のサイトをいくつかご紹介します。
■1位:CHEF’S HAT
1位にランクインしたのは、「CHEF’S HAT」でした。
食品流通事業を展開する株式会社アイフーズが2022年2月から開始したサービスで、一流シェフのお店メニューを“完全再現”できるレシピ動画を購入・視聴することができます。イタリアン・フレンチ・和食・インド料理などジャンルも豊富で、ミシュランで星を獲得したシェフが手掛けるお店や、麻布や代官山など人気エリアにある有名店のレシピ動画が多数そろっており、会員になると1カ月に3つのレシピ購入が可能。コンセプトは「休日の特別な時間」と謳われており、「美味しいものを作るときに参考にしてほしい」という思いからスタートしたそう。コロナ禍で外食が難しい、人気店で予約が取れないなどの需要にも応えるこのサービスですが、半年以上前にリリースしたにも関わらず、今月になって急に上昇したのはなぜでしょう。
何をきっかけにサイトへ訪れているのか、その要因をDockpitで調べてみます。
「CHEF’S HAT」集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
集客構造を見てみると、一番多かったのは全体の40%を占めるメールからの流入でした。
次いでノーリファラーから39%、ディスプレイ広告から10%の流入がありました。メールでの流入の多さについて
詳しく調べてみると、9月17日から 30日間フリートライアルを実施しており、以前会員だったユーザーや、トライアル利用後、本会員にはならなかったユーザーへ向けて、トライアルサービス開始の告知メール配信を展開した模様。その結果、当該サイトへの流入に繋がった可能性が大きいと言えます。
また、ディスプレイ広告やアフィリエイト広告に加え、クーポンサイトにも広告を展開しているため、複合的な要因により9月のサイト流入が急上昇したと言えそうです。
■2位:不動産投資・マンション経営の明光トレーディング
2位にランクインしたのは、「不動産投資・マンション経営の明光トレーディング」でした。
明光トレーディングでは、東京・首都圏の不動産物件の販売・仲介など、一般的な不動産売買業や資産形成コンサルティング紹介、不動産クラウドファウンディングなどと合わせて、AI・ビッグデータを活用した資産形成・不動産投資シミュレーションサービスも提供しています。
早速、今回ランクインした要因をDockpitで調べてみましょう。
「不動産投資・マンション経営の明光トレーディング」集客構造 (Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
集客構造を見てみると、自然検索が約8割と圧倒的に多いことがわかりました。
どんなキーワードでサイトに訪れているのでしょうか。
「不動産投資・マンション経営の明光トレーディング」流入キーワード (Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
流入の多かった上位ワードは、1位「配当金生活」2位「1株 優待」3位「1株 株主優待」でした。どれも株式や投資に関連のあるキーワードとなっています。これらのキーワードをもとに流入したページはどんな情報が掲載されているのでしょうか。
「不動産投資・マンション経営の明光トレーディング」ランディングページ (Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ランディングページを調べてみると、1位から9位までランクインしている全てのページが、MONEY THEORYという、投資情報サイトへ流入していることがわかりました。
MONEY THEORYは、明光トレーディングのコーポレートサイトのディレクトリ配下にあり、不動産投資を含めた幅広い投資に関する情報を配信しています。詳しく調べてみると、このサイトはSEOやリスティング広告を担うマーケティング会社と提携運営されていることが分かりました。今回このページがランクインしたのは、SEO対策が奏功し、MONEY THEORYへの検索流入が増加することで、集客が伸びているようです。
■4位:クラフトビールの通販 | クラフトビールオンライン
4位にランクインしたのは、「クラフトビールの通販 | クラフトビールオンライン」でした。サイト上には、自社醸造のブランドと自社輸入のクラフトビールを中心に200種類以上の商品を取り揃えており、ギフトセットやビアグラス、Tシャツも販売しています。
以前マナミナでも、日本の大手メーカーのクラフトビール市場を調査しています。(2021年10月)
【関連】成長市場のクラフトビール、大手メーカーのWeb集客戦略は?キリン「スプリングバレー」が人気か
https://manamina.valuesccg.com/articles/1510マイナス基調にあるビール市場のなかで成長を続けるクラフトビール市場。近頃は大手メーカーの参入が続き、競争が激化しています。そんななかで各社はどのような戦略を取っているのか。本記事では、大手ビールメーカーのクラフトビールに加え、Amazonで人気の定番クラフトビールをピックアップ。各ブランドのWeb集客の特徴や強みを分析していきます。
近年ではどのようなユーザーがクラフトビールに興味が集まっているのか、Dockpitのキーワード分析で調べてみます。
「クラフトビール」ユーザー数推移(Dockpitキーワード分析)
(集計期間:2021年10月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
直近1年間に「クラフトビール」をキーワードに検索したユーザー数推移を調べてみると、2022年2月に一度減少を見せましたが、2022年4月以降は前年より検索されているユーザー数が多いことが分かりました。では、どんなユーザーが検索しているのでしょうか。
「クラフトビール」ユーザー属性 性別(Dockpitキーワード分析)
(集計期間:2021年10月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ユーザー属性の性別を見てみると、男性の方が51%と若干多いことが分かりました。
「クラフトビール」ユーザー属性 年代(Dockpitキーワード分析)
(集計期間:2021年10月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
続いて年代を見てみると、ボリュームゾーンは20代から50代で、40代が一番多いことが分かりました。
「クラフトビール」属性別マップ(Dockpitキーワード分析)
(集計期間:2021年10月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
Dockpitキーワード分析の属性別マップでは、「クラフトビール」というキーワードで検索するユーザーが、他にどのようなワードに興味を持ち、ワード検索をしているのかを表しています。(縦軸が年齢、横軸の左側が男性・右側が女性を示しています)
男女ともに多かったのは「東京」「京都」「新潟」など、地域を掛け合わせて検索しているユーザーでした。若年層の女性で特徴的だったのは、「飲み比べ」や「ギフト」「プレゼント」というキーワード。クラフトビールは醸造所や産地によって個性的な味があり種類も豊富なので、自分で楽しむだけでなくプレゼントとしてもニーズがあると言えそうです。男性で特徴的だったのは、「グラス」「醸造所」というキーワード。グラスにこだわるなどして、クラフトビールをよりおいしく楽しみたいというニーズがあると感じ取れます。
クラフトビールオンラインでは、樽生で飲める直営店の紹介に加え、各ブランドの醸造時の特徴や味わいをスタッフブログで紹介しています。商品の販売だけではなく、これから飲み始める方・飲み慣れている方の双方の、新しい味を知るきっかけを作っている点が印象的なサイトです。
経済産業省が事業再開を公開。待ちに待った「イベント割」も上位に!
■9位:Rチャンネル
12位にランクインした「Rチャンネル」は、楽天グループが提供する24時間365日無料で視聴できるインターネットテレビで、アニメ・映画・ニュース・スポーツ・エンタメ・趣味など、幅広いジャンルのコンテンツを配信しています。2017年から開始しているオンデマンド動画配信の Rakuten TV とは異なり、番組表に沿って動画配信するサービスで、2022年9月6日からWebブラウザ版の提供を開始しています。
どんなユーザーがこの配信サービスに興味を持ち、サイトへ訪れたのでしょうか。
ヒントとなるデータをDockpitの競合調査で調べてみます。
「Rチャンネル」ユーザー属性 年代 (Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ユーザー属性を見てみると、40代が一番多く、次いで30代50代と中年層が多いことが分かりました。
ではサイトに訪れた方は、どのページにアクセスしているのでしょうか。
「Rチャンネル」ランディングページ (Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ランディングページを見てみると、TOPページへのダイレクトな流入に加え、3位の「Rチャンネル視聴時間に応じて楽天ポイントプレゼント!」ページにも多くの流入があることが分かりました。
このページでは、楽天IDでログインして視聴すると、1時間ごとに1ポイント、1日最大24ポイントがもらえる会員向けの特典を紹介しています。このお得な特典に興味を持ち、視聴するユーザーも多いのではないでしょうか。ポイント付与という魅力と、幅広いジャンルのコンテンツを武器に、今後どんな展開をしていくのか注目です。
■22位:経済産業省 イベント割
22位にランクインしたのは「経済産業省 イベントワクワク割」でした。
4月にもサイトアクセスが急上昇し、マナミナが記事として取り上げています。
【関連】アニメクリエイター起用のWeb連動キャンペーンで自転車協会サイトが急上昇|2022年4月急上昇サイト
https://manamina.valuesccg.com/articles/18032022年4月にユーザー数を伸ばしたWebサイトは? SaaS型のWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使うと、どんな人がどんなWebサイトを見ているのか、いろいろな切り口で簡単に調べることができます。訪問ユーザー数の前月比が急上昇したWebサイトを調査しました。
4月は、イベント事業の割引制度の概要が決まったタイミングでした。その後コロナウィルス感染が再拡大しましたが、感染者が減り行動制限が緩和した9月に、詳細な割引制度の内容と開始時期が公開されました。この情報開示が、再度サイトアクセスを急上昇させた要因と考えられます。
サイトに訪れた方は、どこからこの情報を知り得たのでしょうか。Dockpitで調べてみましょう。
「経済産業省 イベントワクワク割」集客構造 (Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
集客構造みると、68%の方が自然流入しており、22%の方が外部サイトから流入していることが分かりました。
どんな外部サイトを経由して流入しているのか、詳しく調べてみます。
「経済産業省 イベントワクワク割」外部サイト (Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年7月~2022年9月 、デバイス:PC&スマートフォン)
外部サイトを見てみると、1位の総務省からの流入に次いで、3位から5位は旅行メディアから流入していることが分かりました。総務省からの発表を受け、旅行メディア各社では、イベント割の使い方や対象施設をまとめた記事を多く掲載し始めたことが要因と考えられます。
10月11日以降に開催されるイベント・施設にも割引適用されているため、引き続き当該サイトへの多くのアクセスがが予想されます。来月も閲覧上位にランクインする可能性がありそうです。
まとめ
今回のランキングは、メルマガと広告の複合施策が成功したCHEF’S HATや、ニーズを生かしたコンテンツ制作を行っているクラフトビールオンライン、会員向けポイント取得訴求によりサイトアクセスが急増したRチャンネルなど、ターゲットニーズに沿って情報発信することの重要性を、改めて感じる結果となりました。
また、度重なるコロナ禍に翻弄されながらも、ようやく事業再開となった「イベント割」が上位に上がったことから、人々の外出への関心・意欲の高さがうかがえました。今後、旅行やイベント関連のサイトはどのように動くでしょうか。次回のランキングにも注目です。
▼『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。興味のある方は下記よりぜひお問合せください。
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