「マスク」に対する消費者の検索ニーズはどう変化した?コロナ禍の2020年から2022年を振り返る

「マスク」に対する消費者の検索ニーズはどう変化した?コロナ禍の2020年から2022年を振り返る

2020年はじめ、新型コロナウイルスがまん延したことで世界中でマスク需要が高まりました。感染予防として必需品となったマスクは、一時期品切れになっていたほど。その後新型コロナウイルス感染症の知識が蓄積されていき、企業努力もあってかマスクの生産体制は需要を満たすところまで整いました。 新型コロナウイルス感染症の流行開始から3年を経た2022年の今「マスク」に対する消費者ニーズはどのように変化したのでしょうか。ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」のデータから「マスク」に対する消費者ニーズの移り変わりをみていきます。 ※なお今回は冬の感染症や春秋の花粉症といった、新型コロナウイルス以外の影響を極力避けて調査しています。


【2020年7月から9月】マスクに対するユーザーの関心は「手に入ること」

2020年は新型コロナウイルス感染症が世界中へ広がりました。初期は情報が少なく、不安だけが広がり、人々の感染への警戒感が高まった時期です。ドラッグストアやスーパーマーケットでは毎朝、マスクを買い求めるお客さんが行列を作る光景がみられました。マスクの生産体制が急激な需要の高まりに追い付かないため「どうしたら手に入るのか」という悩みを消費者は抱えていましたよね。

20207-9マスク掛け合わせワード

「マスク」との掛け合わせワード
(集計期間:2020年7月〜9月、デバイス:PC&スマートフォン)

詳しくみていきましょう。2020年7月から9月にかけてのマスクの検索上位には、マスクを生産しているメーカー各社の名前が並んでいます。人々が何とかしてマスクを入手しようとマスクに関連するさまざまな検索ワードを入力したことがわかります。

検索してもマスクが手に入らないときは、手作りするしかありません。だからこそ「型紙」や「作り方」といった検索ワードが上位に上がってきたのでしょう。

【2021年7月から9月】マスクに対するユーザーの関心は「感染予防効果の高さ」

新型コロナウイルス感染症が流行して約1年が経過した2021年7月から9月にかけては、検索ワードに少し変化が見られました。

20217-9マスク掛け合わせワード

「マスク」との掛け合わせワード
(集計期間:2021年7月〜9月、デバイス:PC&スマートフォン)

不織布マスクが店頭から消えた1年前とは状況が変化し、2021年は不織布マスクを不自由なく入手できる状況になりました。不織布マスクへの関心が高まる一方、マスクの感染防止効果に対する関心が高まっています。布マスクの感染防止効果が下がるというニュースも発表されたこともあり、不織布マスクに対する関心が高まったものと思われます。

【2022年7月から9月】マスクに対するユーザーの関心は「立体」と「色」

2022年に入ると落ち着いていた新型コロナウイルス感染症の陽性者の数は徐々に減りましたが、7月になったところで、急激に陽性者の数が増加しました。2022年になっても相変わらずマスクの検索需要は高く、マスクとともに検索されるワードにはまた新たな変化が出ています。

20227-9マスク掛け合わせワード

「マスク」との掛け合わせワード
(集計期間:2022年7月〜9月、デバイス:PC&スマートフォン)

不織布マスクの定番色は白。しかし日常的に多くの人がマスクを着用する時代になったために、不織布マスクに対してさまざまな色や形が販売されるようになりました。「マスク」がファッション、あるいはマナーのひとつとして位置づけられたのです。

メイクをする女性は「マスクを着用するとメイクが落ちる」という新たな悩みも抱えています。立体マスクを着用することで顔とマスクとの接触面が減ると、それだけメイクが落ちることは減るでしょう。より顔色をよく見せる色のマスクや、フリルやレースのついたデザイン性の高いマスク、子どもが着用してくれるようにかわいいキャラクターが書かれたマスクなど、選択肢は増えました。

この時点でマスクを検索している女性ユーザーの割合は60.4%と前年よりさらに増え、6割を超えてきました。

「マスク」に関心のあるユーザーは「女性」が多く徐々に若年層の割合が高まる

「マスク」を検索したユーザーの性別分布2020-2022

「マスク」を検索したユーザーの性別分布
(集計期間:2020年7月〜9月、2021年7月〜9月、2022年7月〜9月、デバイス:PC&スマートフォン)

2020年の当初、性別分布では女性が55.2%、男性が45.8%とやや女性が多い結果でした。

しかし2020年から2022年にかけて女性の割合が徐々に増加しています。この結果からもマスクのファッション性への期待が高まっている様子がうかがえますね。

「マスク」を検索したユーザーの年代分布2020-2022

「マスク」を検索したユーザーの年代分布
(集計期間:2020年7月〜9月、2021年7月〜9月、2022年7月〜9月、デバイス:PC&スマートフォン)

年齢層は3年通して40代が最も多く、20代、30代の年齢層のユーザーは年々増加しています。2020年は親の立場である40代、50代の割合が高かったものの、意識が年々変化し「ファッションの一部」となったことで、20代、30代の若年層の関心が高まっているのではないでしょうか。

2020年から2022年にかけ、人々にとってマスクは「つければ何でもよい」から「より感染予防効果の高いものをつける」に変化し、さらに「感染予防効果が高く、かつ自分の好みを満たし、悩みを減らせるもの」へと変化したようです。

Withコロナは「コスパとファッション性」が注目!

メイクをしている方に注目されている立体マスク。そんなファッション性を求めるユーザーはさらに「価格」にも注目していることがわかります。

「マスク」「立体」の流入ページ

「マスク」と「立体」で検索したときの流入ページ
(集計期間:2022年7月〜9月、デバイス:PC&スマートフォン)

「マスク 立体」と検索した後の流入ページに注目すると、1位が100円均一ショップ大手「ダイソー」のサイトでした。3位は「ダイソー」に20枚で100円(税抜)の立体マスクが登場した、というコラム記事であったことからも、消費者のマスクに対するコスト意識が高まっていることを示しています。

毎日、状況によっては1日に数枚使う不織布マスクのコストは、家計にも大きな影響を与えるでしょう。より快適にマスクをしたい、機能の高いマスクをつけたい、一方でマスクにかかるコストは少しでも抑えたい、という消費者のジレンマが垣間見えます。

まとめ

今回は「マスク」に関するトレンドやユーザーニーズの変化について、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた2020年から現在2022年の7月~9月のデータから、分析しました。

分析の結果、以下のような特徴がみられました。

・2020年は「マスク」が不足していたことから、機能を問わず、マスクそのものを欲しがっていると思われるユーザーが多かった。

・2021年は「マスク」が充足したことから、より感染予防効果の高い不織布マスクと布マスクを比較して感染予防効果が高いのはどちらか、といった「効果」に関する関心の高さがうかがえた。

・2022年は「マスク」がファッションやマナーの一部としてとらえられつつあるようで、マスクの機能「立体」や「色」に関する新たな検索ニーズが生まれた。ユーザーはコスパよく購入したい意欲がみられる。

今回の分析を通して「マスク」に対する消費者のニーズが、徐々に変化していったことがわかりました。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

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この記事のライター

1978年長崎県生まれ。1男の母。プログラマを経て現在フリーランスのライターとして活動中。不惑の年齢にしてK-popにハマり、韓国語勉強中。食育アドバイザー、薬膳コーディネーター、野菜スペシャリスト。

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