新年に読むべき本は?2022年に出たマーケティング戦略本7選+1

新年に読むべき本は?2022年に出たマーケティング戦略本7選+1

マーケティング戦略に携わるなら、新しい技術や社会的なトレンドのキャッチも大事な要素。そのために取り組みやすいのは、最新の本を読むこと。そこで、今回は2022年に刊行されたマーケティング戦略にまつわる書籍を7冊紹介します。


マーケティング戦略の基本に戻る

マーケティング戦略とは、自社や自社製品を提供する「顧客」は誰か、顧客にどのように見てもらいたいか、そして、それに対してどのような商品・サービスを幾らの価格帯でどのような手段で提供していくかを考えたり、顧客と自社や製品の関係を構築(コミュニケーション)する部分の計画を立てることです。

マーケティング戦略の重要性やメリット、さらにはマーケティング戦略の立案方法など、再確認しておきたい基本事項は以下のリンクから確認できます。

マーケティング戦略とは?立案方法から事例まで

https://manamina.valuesccg.com/articles/1106

自社の商品・サービスを市場に普及させるには、一貫したマーケティング戦略が必要です。企業のマーケティング戦略立案に使われる3C分析・STP分析・4P分析などのフレームワークや、有名企業のマーケティング戦略事例をご紹介します。

そしてマーケティングにおける「戦略」と「戦術」の違いを明らかにするのも大切です。もしこの2つの違いがあいまいならば、以下のリンクをぜひご覧ください。

マーケティングの「戦略」と「戦術」両者の違いを詳しく解説

https://manamina.valuesccg.com/articles/1732

マーケティングにおける「戦略」と「戦術」……混同しやすいこれらのワード、それぞれの意味を正しく理解できていますか?マーケティング戦略と戦術の用語としての違いや策定段階・実行段階で注意すべき点を解説します。

特選!2022年に刊行されたばかりのマーケティング戦略本

冒頭でも紹介したように、マーケティング戦略、戦略に限らずマーケティング全般といえるかもしれませんが、こうした業務に携わっているのであれば、常に最新情報を入手し、自身のアップデートが大切です。

今回は「最新情報」という部分にスポットを当て、2022年に刊行されたマーケティング戦略本を7冊紹介します。

コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略

著名な経営学者であるフィリップ・コトラー。マーケティングに関する著作が数々ありますが、中でも「コトラーのマーケティング」シリーズは2022年までに5.0にまでバージョンアップしています。

前作「コトラーのマーケティング4.0」は2017年に発表されましたが、この本にて消費者の購買行動の段階をカスタマージャーニーとして捉えるという考え方が登場しました。そして、2022年に発表された「コトラーのマーケティング5.0」では、テクノロジーの発達により、それを利用したタッチポイント(顧客接点)でどのような価値を提供できるかを紹介しています。そして、テクノロジーが成熟した時代において「5つの構成要素」を紹介しています。

コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略

クオンタムマーケティング 「プライスレス」で世界的ブランドを育てたCMOが教える最新マーケティング論

「消費者に一番刺さるのは何か?」と表紙にあるように、消費者の心に刺さるよう、五感に印象を訴えてマスターカードを世界的なブランドに成長させた同社CMOのラジャ・ラジャマナー氏の著作です。

本書では新しい時代、テクノロジー時代のマーケティングの特徴を、AIやブロックチェーンといった技術とからめて紹介しています。そして、時代の転換期だからこそのマーケティングの使命の見直しについても語られています。本題とも言える「消費者に刺さる」という部分についても「多感覚マーケティング」として紹介しているほか、消費者を消費者として捉えるのではなく、マーケティング戦略を考える側と同じ「人間」として捉え、これまでとは異なるスタンスでのマーケティング論を展開しています。

クオンタムマーケティング 「プライスレス」で世界的ブランドを育てたCMOが教える最新マーケティング論

マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント

コンピューターやインターネット、モバイルデバイスなどを使ったデジタル技術が急速に進歩し、それが社会や業界を大きく変革させた「デジタル革命」。このデジタル革命は顧客(消費者)と「つながる」ことが一般的になり、つながる価値がない企業は消費者の中から消えてしまうと、本書では説いています。

マーケティングの思考がデジタルを前提としたものに変化する中で、マーケティングの基本ワークフレームのひとつ「4P分析」について再考。具体的には、4P分析を古いものとして否定するのではなく、時代に合わせてアップデートし、デジタル時代の新たなベーシックとして提案しています。

マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント

消費者によるイノベーション:分野外情報の有効性

消費者によるイノベーション(消費者イノベーション)とは、消費者が新しい製品やサービスを生み出すことを指します。また、企業が新しい製品やサービスを市場に提供することによって、市場を変革することを指す場合もあります。

本書では、消費者自身がイノベーションを実現する際に情報がどのような役割を果たしているのかを分析の対象とし「分野外情報」は企業と消費者の共創においてはその有効性が認められる、としています。マーケティング的な視点で注目したいのは、消費者イノベーションを起こすためには分野外情報を探索すればよい、という部分で、消費者にどのような分野外情報を提供するかが消費者イノベーションの鍵になる、と言えそうです。

消費者によるイノベーション : 分野外情報の有効性

響創する日本型マーケティング

響創する日本型マーケティング

著者のひとりである、関西学院大学・経営戦略研究科教授の佐藤善信氏を中心に「おもてなし」を始めとする日本型マーケティングの理論と実践ついて研究した書です。

日本型マーケティングの特徴を、自分自身のみならず、組織、社会までもを周囲の力を巻き込んでかえていく「しなやかさ」としており、冒頭で紹介したおもてなしを筆頭に、マーケティング戦略やマーケティング教育といった部分を「日本型マーケティング戦略」という章にて紹介しています。

青山企業に学ぶコミュニティ型マーケティング

東京・青山にある有名企業、例えば、コムデギャルソンやヨックモック、ナチュラルハウスなどが、製品企画や販売に地域性を取り入れた新しいマーケティングのフレームワークの事例を解説しています。

「青山企業」が顧客との関係をコミュニティとし、その関係構築の中で日本各地とのつながりを強化している好例としてオーガニック食品や化粧品、雑貨を扱う「ナチュラルハウス」を紹介しています。

青山企業に学ぶコミュニティ型マーケティング

ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法

マーケティング全般ではなく、Webマーケティングにフォーカスしている本書。経済用語である「ファンダメンタルズ」とマーケティングのかけ合わせを、人の感情を根底においたコミュニケーションの設計方法とし、データを駆使して利益を細かく運用する「テクニカルマーケティング」によって、著者である木下勝寿氏が資本金1万円から立ち上げた「北の達人コーポレーション」を東証プライム上場企業にまで押し上げた方法を解説しています。

ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング

2022年刊ではないものの注目を集めるマーケティング戦略本

2021年に刊行された音部大輔氏の著書「The Art of Marketing マーケティングの技法:パーセプションフロー・モデル全解説」も「日本マーケティング本 大賞2022」において大賞を受賞し、マーケティング戦略本として注目されています。

本書はP&Gなど、世界の名だたる企業でブランドマネジメント組織を指揮、構築してきた音部氏が開発した、消費者の認識変化を中心に捉えたマーケティング活動の設計図となる「パーセプションフロー・モデル」について紹介した上で、実践的な運用方法を解説。ベテランのマーケターのみならず、新人マーケターにもおすすめできる一冊です。

【ダウンロード特典付き】The Art of Marketingマーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説

まとめ

経済状況や社会情勢が変化している昨今、マーケティングについての情報を獲得するのは発行年度が新しいものを選んだほうがよいでしょう。また、これからマーケティングについて深く知りたいという場合もできるだけ発行年が新しいものを選ぶのがベターと言えます。

関連記事

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


マーケティング戦略

関連する投稿


ソサイエタルマーケティングとは ~ 世間と慈善とNPO

ソサイエタルマーケティングとは ~ 世間と慈善とNPO

マーケティングに携わるものとして、消費者生活の質の向上と社会全体の利益向上を目指すことは当たり前のことでしょう。しかし「利便性」だけを追い求めるマーケティングが暴走しては、真のソサイエタルマーケティングには辿り着けません。ソサイエタルマーケティングとは、ソーシャルマーケティングの発展形であり、社会との関わりを基本に置くマーケティングの概念です。自然的・生態的・社会的影響を考慮し、顧客のニーズに基づくこれからのマーケティングであるソサイエタルマーケティングを、「世間・慈善・NPO」などのキーワードを紐解いた上で、CSR活動と企業イメージの向上との関係性もふくめ、株式会社創造開発研究所所長を務める渡部数俊氏が解説します。


2023年、本から学ぶマーケティング戦略 〜 おすすめ書籍33選

2023年、本から学ぶマーケティング戦略 〜 おすすめ書籍33選

マーケティング戦略を深掘りしたい全ての人へ。初心者からプロのマーケター、経営者まで、ニーズにあわせたおすすめの数十冊をチョイス。消費者行動の洞察から最新のデジタルマーケティングの手法、ブランディングの秘訣まで、多様なテーマをカバーします。体系的に書かれた本から得られる知識と技術は、マーケティング戦略の策定、効果的な実行、業績向上へつながるはず。この一覧から選ぶマーケティング戦略の本が、あなたのビジネスを一段高いレベルへと導きます。


音部大輔氏に聞く!ビジネスレビューの技術 ~ 事業を持続的に成長させるPDCA設計のポイント ~|セミナーレポート

音部大輔氏に聞く!ビジネスレビューの技術 ~ 事業を持続的に成長させるPDCA設計のポイント ~|セミナーレポート

マーケティング活動の「振り返り」が正しく行えていない。そう感じる方も多いのではないでしょうか。外部組織に任せているなどの理由から、客観的な「振り返り」ができておらず、「振り返り」のクオリティコントロールをどうすべきかというお悩みも多く耳にします。本来、事業やブランドを持続的に成長させる上で重要な役割を担うビジネスレビュー。このビジネスレビューをどのように行い、どう利活用するべきか。本セミナーでは、クー・マーケティング・カンパニーの音部大輔氏を迎え、企業におけるビジネスレビューや「振り返り」の実態、重要性などについてお話を頂き、後半ではビジネスレビューの具体的なフォーマットを用意し、構成や記入法について解説しました。


企業イメージ経営 ~ デザイン思考と企業価値

企業イメージ経営 ~ デザイン思考と企業価値

「デザイン」と聞くと「アート」や「ブランド」といったものを想起する人は多いのではないでしょうか。本来「デザイン」とは「創意工夫をすること」を指し、「常に人中心に」考えられるものと解かれています。また、そのような考えのもとに派生した「デザイン思考」をビジネスに取り込んだものは「デザイン経営」と呼ばれ、今やその重要性は企業の方向性を操るほどであるのと共に、社会全体の価値創造にも影響する力を持っていると言われています。本稿では、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が、「デザイン」と企業価値向上の繋がり、企業イメージ経営の重要性について解説します。


ユーザーの「価値観」でなく「行動」ベースでのターゲット設定が重要。REAL Target Monitor™活用のコツ(連載第3弾)

ユーザーの「価値観」でなく「行動」ベースでのターゲット設定が重要。REAL Target Monitor™活用のコツ(連載第3弾)

ヴァリューズが新しくリリースした「REAL Target Monitor™」は、戦略上重要なターゲットのリアルな動きをモニタリングできる、オーダーメイド型KPIダッシュボード。ファネルの中央から上を狙う施策において、ターゲットの動きをKPIとしてモニタリングできたり、初回流入のきっかけを把握できたりするなど、まさに多くのマーケターが待ち望んでいたツールです。本記事では、REAL Target Monitor™の活用ポイントをお伝えしていきます。


最新の投稿


レンタカー予約数が前年の7倍に!EV利用意向は?注目の「中国ドライブ旅行」市場を調査

レンタカー予約数が前年の7倍に!EV利用意向は?注目の「中国ドライブ旅行」市場を調査

コロナ禍の感染防止ニーズを受け、中国のドライブ旅行市場は急成長を遂げました。そのトレンドは、コロナが落ち着きつつある現在も続いているようです。今回は、今後も市場成長が期待される中国ドライブ旅行をテーマに、車選びの重視点など、生活者の実態を調査しました。


旅行業の目覚ましい復活!中国のGW「五一假期」を調査

旅行業の目覚ましい復活!中国のGW「五一假期」を調査

2023年4月29日から5月3日にかけて、中国では「五一假期」と呼ばれる連休がありました。今年の「五一假期」では、コロナ禍が収束して初の大型連休ということもあり、旅行業の著しい復活が注目されています。 本記事では「五一假期」における中国の国内、海外旅行業について紹介していきます。


競合サイト分析に使えるツール12選(無料版も!)

競合サイト分析に使えるツール12選(無料版も!)

無料から有料まで競合サイト分析に使えるツールをまとめました。SEO対策や広告出稿の方法はさまざまですが、競合するサイトをベンチマークとして、自社サイトよりも優れている点やその要因を分析することも有効です。特にSEO対策を目的とした競合分析にあたっての考え方、競合分析に使えるツールを紹介します。


「ショート動画×EC」の先陣を切る「7sGood」。アーリーアダプターのペルソナとニーズを調査

「ショート動画×EC」の先陣を切る「7sGood」。アーリーアダプターのペルソナとニーズを調査

コロナ禍でオンラインショッピングが勢いづく中、「ショート動画×EC」というコンセプトで、あるプラットフォームが新たに注目を集めていることをご存知ですか?そのサービスが、2021年にローンチしたばかりの「7sGood」。動画による商品紹介がわかりやすく、品質の透明性が高い上に、中間マージンの削減による低価格を実現しています。今回はそんな次世代ECのアプリ利用者に注目し、どんなユーザーがいち早く7sGoodを利用しているのか調査します。


ソサイエタルマーケティングとは ~ 世間と慈善とNPO

ソサイエタルマーケティングとは ~ 世間と慈善とNPO

マーケティングに携わるものとして、消費者生活の質の向上と社会全体の利益向上を目指すことは当たり前のことでしょう。しかし「利便性」だけを追い求めるマーケティングが暴走しては、真のソサイエタルマーケティングには辿り着けません。ソサイエタルマーケティングとは、ソーシャルマーケティングの発展形であり、社会との関わりを基本に置くマーケティングの概念です。自然的・生態的・社会的影響を考慮し、顧客のニーズに基づくこれからのマーケティングであるソサイエタルマーケティングを、「世間・慈善・NPO」などのキーワードを紐解いた上で、CSR活動と企業イメージの向上との関係性もふくめ、株式会社創造開発研究所所長を務める渡部数俊氏が解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ