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マーケティング戦略とは、自社や自社製品を提供する「顧客」は誰か、顧客にどのように見てもらいたいか、そして、それに対してどのような商品・サービスを幾らの価格帯でどのような手段で提供していくかを考えたり、顧客と自社や製品の関係を構築(コミュニケーション)する部分の計画を立てることです。
マーケティング戦略の重要性やメリット、さらにはマーケティング戦略の立案方法など、再確認しておきたい基本事項は以下のリンクから確認できます。
自社の商品・サービスを市場に普及させるには、一貫したマーケティング戦略が必要です。企業のマーケティング戦略立案に使われる3C分析・STP分析・4P分析などのフレームワークや、有名企業のマーケティング戦略事例をご紹介します。
そしてマーケティングにおける「戦略」と「戦術」の違いを明らかにするのも大切です。もしこの2つの違いがあいまいならば、以下のリンクをぜひご覧ください。
マーケティングにおける「戦略」と「戦術」……混同しやすいこれらのワード、それぞれの意味を正しく理解できていますか?マーケティング戦略と戦術の用語としての違いや策定段階・実行段階で注意すべき点を解説します。
特選!2022年に刊行されたばかりのマーケティング戦略本
冒頭でも紹介したように、マーケティング戦略、戦略に限らずマーケティング全般といえるかもしれませんが、こうした業務に携わっているのであれば、常に最新情報を入手し、自身のアップデートが大切です。
今回は「最新情報」という部分にスポットを当て、2022年に刊行されたマーケティング戦略本を7冊紹介します。
■コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略
著名な経営学者であるフィリップ・コトラー。マーケティングに関する著作が数々ありますが、中でも「コトラーのマーケティング」シリーズは2022年までに5.0にまでバージョンアップしています。
前作「コトラーのマーケティング4.0」は2017年に発表されましたが、この本にて消費者の購買行動の段階をカスタマージャーニーとして捉えるという考え方が登場しました。そして、2022年に発表された「コトラーのマーケティング5.0」では、テクノロジーの発達により、それを利用したタッチポイント(顧客接点)でどのような価値を提供できるかを紹介しています。そして、テクノロジーが成熟した時代において「5つの構成要素」を紹介しています。
■クオンタムマーケティング 「プライスレス」で世界的ブランドを育てたCMOが教える最新マーケティング論
「消費者に一番刺さるのは何か?」と表紙にあるように、消費者の心に刺さるよう、五感に印象を訴えてマスターカードを世界的なブランドに成長させた同社CMOのラジャ・ラジャマナー氏の著作です。
本書では新しい時代、テクノロジー時代のマーケティングの特徴を、AIやブロックチェーンといった技術とからめて紹介しています。そして、時代の転換期だからこそのマーケティングの使命の見直しについても語られています。本題とも言える「消費者に刺さる」という部分についても「多感覚マーケティング」として紹介しているほか、消費者を消費者として捉えるのではなく、マーケティング戦略を考える側と同じ「人間」として捉え、これまでとは異なるスタンスでのマーケティング論を展開しています。
■マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント
コンピューターやインターネット、モバイルデバイスなどを使ったデジタル技術が急速に進歩し、それが社会や業界を大きく変革させた「デジタル革命」。このデジタル革命は顧客(消費者)と「つながる」ことが一般的になり、つながる価値がない企業は消費者の中から消えてしまうと、本書では説いています。
マーケティングの思考がデジタルを前提としたものに変化する中で、マーケティングの基本ワークフレームのひとつ「4P分析」について再考。具体的には、4P分析を古いものとして否定するのではなく、時代に合わせてアップデートし、デジタル時代の新たなベーシックとして提案しています。
■消費者によるイノベーション:分野外情報の有効性
消費者によるイノベーション(消費者イノベーション)とは、消費者が新しい製品やサービスを生み出すことを指します。また、企業が新しい製品やサービスを市場に提供することによって、市場を変革することを指す場合もあります。
本書では、消費者自身がイノベーションを実現する際に情報がどのような役割を果たしているのかを分析の対象とし「分野外情報」は企業と消費者の共創においてはその有効性が認められる、としています。マーケティング的な視点で注目したいのは、消費者イノベーションを起こすためには分野外情報を探索すればよい、という部分で、消費者にどのような分野外情報を提供するかが消費者イノベーションの鍵になる、と言えそうです。
■響創する日本型マーケティング
著者のひとりである、関西学院大学・経営戦略研究科教授の佐藤善信氏を中心に「おもてなし」を始めとする日本型マーケティングの理論と実践ついて研究した書です。
日本型マーケティングの特徴を、自分自身のみならず、組織、社会までもを周囲の力を巻き込んでかえていく「しなやかさ」としており、冒頭で紹介したおもてなしを筆頭に、マーケティング戦略やマーケティング教育といった部分を「日本型マーケティング戦略」という章にて紹介しています。
■青山企業に学ぶコミュニティ型マーケティング
東京・青山にある有名企業、例えば、コムデギャルソンやヨックモック、ナチュラルハウスなどが、製品企画や販売に地域性を取り入れた新しいマーケティングのフレームワークの事例を解説しています。
「青山企業」が顧客との関係をコミュニティとし、その関係構築の中で日本各地とのつながりを強化している好例としてオーガニック食品や化粧品、雑貨を扱う「ナチュラルハウス」を紹介しています。
■ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法
マーケティング全般ではなく、Webマーケティングにフォーカスしている本書。経済用語である「ファンダメンタルズ」とマーケティングのかけ合わせを、人の感情を根底においたコミュニケーションの設計方法とし、データを駆使して利益を細かく運用する「テクニカルマーケティング」によって、著者である木下勝寿氏が資本金1万円から立ち上げた「北の達人コーポレーション」を東証プライム上場企業にまで押し上げた方法を解説しています。
2022年刊ではないものの注目を集めるマーケティング戦略本
2021年に刊行された音部大輔氏の著書「The Art of Marketing マーケティングの技法:パーセプションフロー・モデル全解説」も「日本マーケティング本 大賞2022」において大賞を受賞し、マーケティング戦略本として注目されています。
本書はP&Gなど、世界の名だたる企業でブランドマネジメント組織を指揮、構築してきた音部氏が開発した、消費者の認識変化を中心に捉えたマーケティング活動の設計図となる「パーセプションフロー・モデル」について紹介した上で、実践的な運用方法を解説。ベテランのマーケターのみならず、新人マーケターにもおすすめできる一冊です。
まとめ
経済状況や社会情勢が変化している昨今、マーケティングについての情報を獲得するのは発行年度が新しいものを選んだほうがよいでしょう。また、これからマーケティングについて深く知りたいという場合もできるだけ発行年が新しいものを選ぶのがベターと言えます。
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