プレスリリースアワード2024とは
プレスリリースアワードは2021年より開催されていて、今年で4回目の開催になります。この1年※に日本で発表されたプレスリリースの中から、プレスリリースの可能性拡大に貢献したものが表彰されます。プレスリリースアワード2024の式典は10月28日に行われ、2,481件のなかから11件のプレスリリースが受賞しています。
※2023年8月1日~2024年7月31日までに発信されたプレスリリース
■受賞したプレスリリース
プレスリリースアワードを受けて。優れたプレスリリースとは
今回受賞したプレスリリースは商品・サービスを紹介するものから、調査結果を元に問題提起を行うものなど、内容も発信元も様々でした。
賞を受賞するような優れたプレスリリースには何か共通点はあるはず。この章では、今回受賞したプレスリリースから共通点を探し、「優れたプレスリリースとはなにか」を考えます。
そもそもプレスリリースとは、企業や組織が発表する公式文書のことで、新しい情報を届けることを目的に作成されます。
参考:プレスリリースとは?意味、配信する目的と使い方を広報担当者がわかりやすく簡単に解説
多くは企業が発信するものであり、企業にとっては「広く」「好意的な影響をもたらす」ことが優れたプレスリリースの重要な要件の一つと言えるでしょう。
その上で「広く」「好意的な影響をもたらす」ために、プレスリリースはどう作っていくべきなのでしょうか。
今回受賞したプレスリリースを「誰が」「何を」「どうやって」伝えるかという観点で振り返ります。
■誰が伝えるか
株式会社ヤッホーブルーイング「ゆっくりビアグラス」
「広く」「好意的な影響をもたらす」ために、「誰が言うか」は大事な観点であると考えます。
今回受賞したプレスリリースでも、継続的に一貫した活動を行っている企業・組織がいくつか見受けられました。例えば、株式会社ヤッホーブルーイングでは、今回の「ゆっくりビアグラス」だけでなく、お酒に弱い体質の方に向けた商品や活動を行っており、適正飲酒について活動し続けています。
単発の広報施策ではなく、熱量を持って活動に取り組み続けている組織が発信するからこそ、その想いが伝わり、プレスリリースが広く伝播しているのかもしれません。
継続的に活動をしているなど、覚悟を持った組織が発信することが、優れたプレスリリースの一つであるのではないでしょうか。
■何を伝えるか
株式会社LIFULL「『おとり物件』に対する不動産会社の対応実態調査&消費者への認識調査」
今回の受賞作品では、自組織のためだけにとどまらない内容が多かった印象でした。
株式会社LIFULLの「おとり物件調査」では、不動産業界全体への問題提起が行われ、有限会社稲垣塗装所の仏壇供養サービス「結壇(Yuidan)」は、仏壇メーカー自らが既存のビジネスモデルを揺るがしかねないサービスを提供しているなど、目先の自社の利益にとらわれない取り組みが表彰されていました。
顧客のために、業界のために、を突き詰めた調査やサービスの紹介をプレスリリースにしていく、ということが一つ重要なことかもしれません。
データを伝える
また、データをきちんと伝えるプレスリリースもいくつか見受けられました。
株式会社岡崎竜城スイミングクラブの「水難訓練」のプレスリリースでは、インドの15歳以下の溺死者数のデータを用い、なぜ水難訓練を行うのかを伝えています。
データを用いることで、なぜその活動やサービスが必要なのか、を納得感を持って伝えることができるのではないでしょうか。
どんなデータを活用すべきか、どうやってデータを集めるべきか、がプレスリリースを作成していく上で今後の論点になっていくかもしれません。
■どう伝えるか
株式会社永谷園ホールディングス「永谷園がお客様に代わって試してみました!その数 60 種類以上!『冷やし茶漬けにピッタリな冷たい飲み物』セレクション」
プレスリリースアワードでもあるので、表現についての評価も多くされていました。
株式会社永谷園ホールディングスの「冷やし茶漬けにぴったりな冷たい飲み物」では、プレスリリース自体の全体の構成や写真の配置までこだわられていることが受賞理由に。
株式会社オレンジの資金調達のリリースでは、漫画を表現に用いています。
プレスリリースを作成する際、既存のプレスリリースの枠組みのなかで磨きをかけることはもちろん、自社の事業やブランドに即した新しい表現技法で伝えていくことも、検討が必要かもしれません。
想いを込めてプレスリリースを
当日の会場の様子
「誰が」「何を」「どうやって」伝えていくかという観点で見ていきましたが、プレスリリースアワード全体を通して「発信者の想い」を度々感じました。
受賞した方のなかには初めてプレスリリースを書いたという方もおり、経験や小手先のテクニックだけが重要じゃないことを改めて痛感しています。
選ばれたプレスリリースはどれも素晴らしいものであったので、プレスリリースを作成する業務に携わる人は一度目を通してみることをおすすめします。
また広報職に携わる一人として、いい仕事が表彰される場があるのはありがたいことで、プレスリリースアワード自体も素敵なイベントでした。
マナミナ編集部員。コンテンツマーケ、SEO、SNS周りに携わっています。小説と音楽が好きです。