【解説者紹介】
Microsoft社が提供する検索エンジン「Bing」
安部:2023年3月のコンテンツマーケティング最新動向レポートでは、Bingについて解説しています。
岩間:Bingというと、最近ではOpenAIが提供するChatGPTの導入を発表したことが話題になりましたね。
安部:そうですね。検索エンジンというとGoogleやYahoo!をイメージするマーケターが多いかもしれませんが、今回は改めてBingに注目していきたいと思います。
岩間:改めてBingとは何か、教えてもらえますか。
安部:Bingとは、Microsoft社が提供するインターネット検索エンジンです。日本では、GoogleやYahoo!に次いで多く使われています。ユーザーに対して、検索結果のカスタマイズやフィルタリング、セーフサーチといった機能を提供するなど、セキュリティとプライバシーにも配慮しているのが特徴です。
Bingは、Windows 10やMicrosoft EdgeなどのMicrosoftの製品にデフォルトで搭載されているので、自分が普段使っているのがBingだと認識していない人もいるでしょう。会社から仕事用に支給されるのがWindowsであることが多いため、読者の皆さんもBingユーザーかもしれません。
コロナ禍のリモートワークにより、Bingユーザーが増加
安部:ChatGPTの導入をはじめ、Bingはこの数年、興味深い動きをしています。時系列でまとめてみたので、ご紹介します。
安部:まずコロナ禍の行動の変化について説明するため、データをひとつ紹介します。ちなみに、今回説明する内容は、すべてパソコンに限った話です。
Microsoftから発表されたフォレスター・リサーチの調査によると、勤務時間中にプライベートな用事を1時間以上行っている人は4割以上、パソコンで商品やサービスを購入する人のうち、定期的に仕事用パソコンで購入している人は6割以上いるとのことです。
岩間:仕事用パソコンでプライベートなことをしている人って結構いるんですね。驚きです…!
安部:そうなんです。「リモートワークで家にいるから」と、プライベートなことをしている人が増えたと考えられます。その行動のひとつに検索もあります。
先ほどWindowsは仕事用に支給されることが多いと話しました。つまり、仕事用パソコンで検索する人が増えたことで、Bing上で起こる検索も増えたと見られます。
岩間:確かにコロナ禍以降、Bingの利用ユーザー数は伸びています!しかも直近では、Yahoo!検索に迫る勢いですね。
安部:ほかにも、先ほど話に出たChatGPTの導入やチャット形式で回答できる機能のローンチなど、Bingをめぐっては注目すべき動きがいくつも見られます。
「Bingのみ」でしかアプローチできないユーザーが増加中
岩間:Bingの勢いが増していることはわかりました。実際どのように使っている人が多いのでしょう。ほかの検索エンジンと併用している人が多いのか、気になります。
安部:全体でみると、GoogleとYahoo!を併用している人が多いのですが、コロナ禍以降は変化がみられます。
ヴァリューズのデータを使って説明した、以下の図をご覧ください。まずはGoogleユーザーからみた、他の検索エンジンの併用状況を見ていきます。Google検索をメインにしている人はGoogleのみを使うことが多いですが、コロナ禍以降は一緒にBingを使う人が増えています。
安部:続いてYahoo!ユーザーからみた、他の検索エンジンの併用状況ですが、Yahoo!から見た併用状況も興味深いです。コロナ禍以降、Yahoo!のみを使っている人は減少傾向にあるんですよね。一方でGoogleかBingと併用している人は増えています。伸び率でいうと、Bingとの併用のほうが顕著です。
安部:そしてBingから見た他の検索エンジンとの併用状況は、Yahoo!との併用が多い状況ですが、Bingのみで検索する人も少しずつ増えつつあります。
岩間:Bingのみを使う人が増えているということは、Bingのみでしかアプローチできないユーザーも増えてきそうですね。Bingを使っているのは、具体的にどんな人たちなのでしょう。
安部:Google、Yahoo!、Bingユーザーの属性比較をしたデータがあるので、見てみましょう。
このデータによると、他の検索エンジンと比べ、Bing利用者は50代以上のシニア層が多いようです。年代に比例してか、子供ありの人が多いです。
Bingの最新動向をふまえ、マーケターがとるべき対策
安部:今回の内容の統括になりますが、現状でBingの利用割合が圧倒的に高くなったというわけではないものの、下記2点の理由から、今後Bingの重要性は高まる可能性はあると考えています。
・傾向として、Bingの利用割合が増えている
・Chat GPTなどの機能追加でユーザーが増える可能性がある
岩間:Bingユーザーが増え、またBingのみでしかアプローチできないユーザーも増えつつあるという話しもありましたが、今回の内容を踏まえて、マーケターはどのような対策をとっていくべきでしょうか。
安部:最初にお伝えした通り、今回説明した内容はパソコンに限った話なので、パソコンに限定してお話します。仕事用のパソコンで商品やサービスの購入をしている人は6割以上いる、とお話したことから、Bingのブラウザ上で検索上位を目指す施策にも一定の意味があると考えます。
GoogleのSEO対策を優先して行いつつ、中小企業や個人ブロガーの人であれば、Bingに対するSEO対策に集中し、ニッチな領域を取っていくこともひとつの方法としてあるのではないでしょうか。
ほかにもMicrosoft広告やYahoo!経由でのリスティング広告といった施策もあるでしょう。そして、BingはGoogleやYahoo!と比較してドメインパワーよりコンテンツの質がアルゴリズム上強いため、一層コンテンツの質を高めることが必要だと考えます。
安部:以上、3月のコンテンツマーケティング動向「SEO編」でした。次月のネタも楽しみにお待ちください。
(本調査はあくまでも傾向に注目し、今後の施策における仮説立てや優先順位の検討に有効活用するためのものであり、因果関係を示すものではないこと、また、各トピックの内容やVALUESの見解は、資料作成時のものであり、今後の情勢やアルゴリズムの変化によって変わることがある旨、ご留意ください)
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IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。