【話者紹介】
■REAL Target Monitor® とは?
自社がリーチしていきたい消費者(戦略ターゲット)をリアルにモニタリングできる、自社専用の環境を構築します。ターゲットはVALUESモニター会員から選定し、プロモーション実施期間中/期間後のWeb行動(ファクトベース)をモニタリングします。
ファネルの中央から上を狙う施策にアクセルを踏める
■認知施策には有効な中間KPIがなく、刈り取りに寄ってしまうのが課題
岩間:前回は、REAL Target Monitor®の誕生秘話をお聞きしました。事業会社でマーケティングに携わっていた齋藤さんの原体験から生まれたこともあり、クライアント様からも「こんなサービスが欲しかった…!」と高い評価をいただいているとのことで、気になり始めたマーケターの方もいるのではと思います。
改めて、REAL Target Monitor®は具体的にどのようなマーケティング課題を解決するのか、教えていただきたいです!
齋藤:まず、戦略ターゲット、すなわちマーケティング予算の投下する対象を明確にセグメントできること、そしてそのセグメント全体を動かすための施策全般の進捗を把握できるようになります。リーチを目的とした認知施策の進捗も分かりやすくなります。
事業会社からすると、認知施策を自信持って実施することは、なかなか難しいこと。多くの事業会社が注力せざるを得ないのは、刈り取りの方です。
岩間:どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。
齋藤:評価をする指標が限定的であることが挙げられます。認知施策は媒体において視聴やリーチを示す指標はあれど、その対象セグメントの間接効果も含めた行動を示す中間KPIがないのです。施策のインパクト、具体的には対象となるユーザーの行動変容を促せたのか、という媒体の評価が進まなければ、もっと投資しようとはなりにくいでしょう。デジタル広告が始まって20年以上経ちますが、状況はほとんど変わっていません。私の前職時代もそうでしたし、今ヴァリューズでクライアント様に伺っても同じような声があがってきます。
■認知施策のアンケートによる効果検証だけでは、納得感を得にくい
齋藤:「今年は認知に力を入れよう」と施策を実行されている企業様も見られますが、年に数回の認知度調査等を定期的に行って初めて、施策の効果を定量的に測れるようになるという図式は長らく変わっていません。
岩間:認知拡大に与えた影響を把握する手法には、ブランドリフトなどが挙げられますが、確かにその結果だけでは納得感を得にくいといいますか、本当にその広告が良いと思われたのかなど、戦略ターゲットを動かすために何が有効だったかがわからないまま終わってしまいそうですね。
齋藤:そうなんです。ブランドリフトやサーチリフトももちろん有効な指標ではあるとは思いますが、媒体上でリフトした比率、という意味で、範囲は限定的です。PRやSNSマーケティング、インフルエンサー施策などにも当てはまることですが、戦略ターゲットの定義を明確にした上で、その人たちに対してピンポイントに施策を打ち、施策前後の変化を見ていくことが必要です。
岩間:戦略ターゲットのリアルな行動をモニタリングできるREAL Target Monitor®なら、それができるということですね。戦略ターゲットにアプローチし、効果を出せていることがわかれば、ファネルの中央から上の施策にも自信をもって取り組めそうです。
狙いたいターゲットをどれだけ獲得できているか、接触率の推移で評価
齋藤:REAL Target Monitor®で計測できる戦略ターゲットに対するリーチ率は、ある種妥当なKPIのひとつだと考えます。私たちはこれを「戦略ターゲット・ユニーク・リーチ(接触率)」と呼んでいるのですが、この数値を消費者の行動ログデータをベースに示せるのは、ヴァリューズだけの独自価値です。
岩間:デジタルで集客をしていると、「ユーザーは誰なのか」などをイメージしづらくなっていくと感じます。そういった中で、人数ベースで戦略ターゲットを捉えて施策を打ち、そのうち何人が反応してくれたのかを累計で見ることができるというのは、ありそうでなかったと思います。
齋藤:まさにその通りです。しかしながら、やはり、REAL Target Monitor®がモニタリングするのはWeb行動ログですので、店舗比率の高い商材、またはデジタル上のリーチの重要性が大きくない商材に関しては、KPIとしての妥当性を見い出しにくいというフィードバックもいただいています。今後、EC化率の低い業界においても、D2C専用ブランドの立ち上げなどはより拡大していくと思いますので、そこでKPIとして活用できたら面白いと思っています。
戦略ターゲットに対する接触率を表す、ダッシュボードのサンプルイメージ
獲得効率だけに留まらない施策が可能に
岩間:REAL Target Monitor®を使えば、対象セグメントに対する施策の効果をモニタリングできることから、施策の手応えを把握しながら実行していけることがわかりました。ほかに解決できる課題はありますか。
齋藤:これまでお話してきた課題に付随したテーマではありますが、獲得効率だけに留まらない議論ができるようになります。戦略ターゲットに対するリーチ率をモニタリングし、戦略ターゲットを呼び込めている状況が確認でき、さらにその戦略ターゲットは実際に収益性が高い質の高いユーザーであるということを確認できていれば、CPAといった単価ではなく、戦略ターゲットの集客実績に基づいて施策や媒体を再評価することが可能になります。
また、企業によっては、特定セグメント、例えばフセンパイ(不戦敗)セグメントにおいて、いかに自社も併用してもらうか、といったことを大きな戦略テーマに掲げている場合もあり、そういった大きいマーケティングテーマを実際のデータに基づき進捗を測ることができるようになるのも大きな進歩であるといえるのではないでしょうか。
岩間:REAL Target Monitor®を使えば、単純に獲得を目指すだけでなく、シェアを広げていく施策も着実に進められそうだと思いました。予算配分の見直しなど、現状の施策のチューニングにも役立てることができそうです!
初回流入のきっかけ把握にも役立つ
齋藤:他にも、刈り取りに近い部分の施策に関しても、行動データによって把握できることがあります。
例えば、フセンパイ(自社サイト未接触、かつ他社サイト接触の「不戦敗」ユーザー)やシラジ(特定ワード検索者であり、かつ自社サイトにも他社サイトにも未接触の「白地」ユーザー)が、どのようなサイトから、どのようなキーワードで、どのような広告媒体をきっかけにして動いているのかも確認できます。
齋藤:ヤフーさんのデータによれば、他社に先駆けて白地ユーザーとの接触を行うことがCVRの上昇につながるということを示すデータもあります。初回流入のきっかけを把握することを通じて、初回流入の最大化に役立つツールとしてもご活用いただけることを狙いとしたデータもREAL Target Monitor®では収集しています。
岩間:戦略ターゲットを動かすためには何が有効だったかを把握できるとなると、ファネル全般の様々な施策に活用できそうですね。REAL Target Monitor®の活用イメージを描くことができました!第3弾では、実際に活用するときに押さえていきたいポイントをお伝えしていきます。
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「引っ越し」検討者への効率的なアプローチ法は? | 「戦略ターゲット発想」シリーズ
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▼第1弾、第3弾の記事はこちらから
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IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。