【話者紹介】
■REAL Target Monitor®とは?
自社がリーチしていきたい消費者(戦略ターゲット)をリアルにモニタリングできる、自社専用の環境を構築します。ターゲットはVALUESモニター会員から選定し、プロモーション実施期間中/期間後のWeb行動(ファクトベース)をモニタリングします。
分析価値のあるユーザーに絞って、その動向を把握したい
岩間:REAL Target Monitor®が誕生した背景には、データプロモーション事業の事業責任者である齋藤さんの原体験があると聞きました。ぜひ詳しい話を教えてください。
齋藤:特定のユーザーに目印をつけて、その動きをモニタリングしていた話のことですね。
私が前職のネット証券で、マーケティングに携わっていたころの話です。当時、自社を含め複数の口座を使い分けているユーザーは総じて収益性が高い、いわば高LTVユーザーであるということを、調査を通じて把握していました。このような戦略上重要なユーザーを対象として、ネット上の動きをモニタリングしていたんです。
岩間:そのモニタリング方法というのは、もしかして…
齋藤:ヴァリューズの行動ログデータを使っていました。私は前職でヴァリューズのクライアントの立場だったんです。自社と他社の両方に接触しているユーザーの動き(取引顧客の流出入)を確認できるのは、ヴァリューズの行動ログだけでした。ヴァリューズの行動ログが、国内最大級だからこそできたことだと思います。
具体的には、自社のドメインと他社のドメイン、あと自社のマイページと他社のマイページにそれぞれ接触しているユーザーたちに目印をつけたうえで、動きをチェック。自社への流入の動き、他社への流出の動き、それぞれの数字の推移を、経営メンバーに報告するダッシュボードにおいて毎月欠かさず報告していました。
自社に流入してきたユーザー数が多くなったら、その時実施していた施策の有効性を改めて確認したり、逆に他社に流れてしまったら、状況を把握して施策をチューニングしたりするというように活用していました。
このように、日本のネット人口全体を漫然と眺めるのではなく、自社にとって意味のある集団の動向を定点的に把握することが、事業経営において大きな意味を持つと思っていました。
狙いたいユーザーが実際に動いたか?を検証しないと意味がない
岩間:その後ヴァリューズにジョインされたということですね。前職時代の経験から、ずっとREAL Target Monitor®のようなツールを作りたいと考えられていたのですか。
齋藤:どちらかというと、ふと思い出したという感じでしょうか。
昨年の夏、社内のデータアナリストに、彼が担当していた機械学習のプロジェクトについて話を聞きたいと、私から声をかけました。弊社にはシャッフルランチ、シャッフルディナーの社内交流企画があるのですが、そのイベントを勝手に二人で開催したのがきっかけです。
齋藤:彼とはオンライン飲み会をして、ヴァリューズの行動ログの可能性や集客施策の課題など、いろいろな話をしました。その中で、ファネルの中央から上を狙おうとする施策は、効果検証がフワッとしているよねという話題になったんです。狙いたいユーザーが、その広告を見て実際に行動を起こしたのかをきちんと計測できなければ、「たくさんの人が見ました」という話で終わってしまうのではないかと。
その時ふと「昔、ヴァリューズのデータを使って、ターゲットに目印をつけて行動をチェックしていたな」と前職時代のことを思い出しました。
「不戦敗」ユーザーを炙り出し、ピンポイントで施策を打てた
岩間:その後、どのようにREAL Target Monitor®というツールを開発していったのですか。
齋藤:オンライン飲み会後も、そのエンジニアとは継続して話し合いをしていました。その中で、「今持っている案件で、データを作ってみよう」ということになり、フセンパイ(自社サイト未接触、かつ競合サイト接触の「不戦敗」ユーザー)を課題とされていたワインECのクライアント様にコンセプトチェックのための事例となっていただくことへのご協力をお願いしたところ、ご快諾いただけたんです。
齋藤:早速そのクライアント様がターゲットとする競合EC接触かつ自社未接触という特定ユーザーに目印をつけ、行動をモニタリングしてデータを作ってみたところ、ターゲット層の中にいるフセンパイの日本国内の推計値とその後の接触状況の数字がポンっと出てきて…。その後施策を打つと、そのクライアント様にフセンパイユーザーが接触し始めている様子が見てとれました。
これがREAL Target Monitor®のプロトタイプです。社内のエンジニアにBIツールで表現してもらいつつ、「これは新しいKPIになるのでは」と社内で話していました。そこからです、このプロジェクトがぐっと前に進みはじめたのは。
「戦略ターゲット(仮説)=LTVが高いユーザー」も証明
齋藤:もう一つ、戦略ターゲットの行動をモニタリングすると同時に、実際自社サイトに入ってきたユーザーのLTVが高いかどうかも確認しました。なぜなら、戦略ターゲットを設定した段階では、「戦略上重要なのは、このユーザーだろう」というあくまで仮説に基づいているものであるため、本当にそのユーザーが狙うに値するターゲットとして正しかったのかを確認するべきと考えたからです。弊社は事例化にご協力をいただいてたクライアント様のCRM領域も支援しているため、新規ユーザーの購買金額を集計しているのですが、新規ユーザーの購買金額の昨対比率が、弊社の支援開始後、すなわち戦略ターゲットとの接触を意図的に増やすことをもくろんだ施策を通じて、堅調に100%を上回ってく様子が確認できました。
つまり、戦略ターゲットがLTVの高いユーザーだったということを証明できたことになります。
岩間:なるほど。戦略ターゲットが実際に自社サイトに接触してきてくれるかのモニタリングと、接触してきたユーザーが狙い通り収益性が高いユーザーなのかの検証は、セットで行うべきなのですね。両方のピースがそろって初めて、施策の目的が達成されるということです。
「ターゲットに軸が置かれているのが面白い」
岩間:ここまで事業会社様の反応をお聞きしましたが、代理店の方の反応はどうでしたか。
齋藤:大手調査会社でPR戦略を担当されている方に、プロジェクト初期の頃、REAL Target Monitor®のまだ企画書ベースの状態のものと、プロトタイプの原型をお見せしたことがありました。すると、「これいいですね!」と言っていただいて。「ターゲットに軸が置かれているのが面白い。これは期待できますね」と。戦略ターゲットに対してのリーチ率をシンプルに表現できている点が特徴的と評価していただきました。「ぜひ多くの方に使っていただきたい」とREAL Target Monitor®を様々な企業様に提案し始めてくださっています。
岩間:どんどんREAL Target Monitor®が広まり、いろいろな方に喜んでいただいていることを感じますね。
齋藤:ありがたいですね。このように、自分が企画に携わったものに対して、クライアント様から良い反応をいただけると素直に嬉しいですし、大きなモチベーションになります。また、今回のプロジェクトのように、みんなで案を持ち寄って、新しい価値を一緒に作ろうとしている雰囲気が、自分は好きなんだということを改めて感じました。
岩間:REAL Target Monitor®は、齋藤さんをはじめ、マーケターの「あったらいいな」をカタチにしたものなのですね。ありがとうございました。
活用イメージが具体的に湧くように、続く第2弾では「REAL Target Monitor®は具体的にどのようなマーケティング課題を解決するのか」について深掘りしていきたいと思います!
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IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。