【話者紹介】
■REAL Target Monitor® とは?
自社がリーチしていきたい消費者(戦略ターゲット)をリアルにモニタリングできる、自社専用の環境を構築します。ターゲットはVALUESモニター会員から選定し、プロモーション実施期間中/期間後のWeb行動(ファクトベース)をモニタリングします。
「シラジ・ヘイヨウ・フセンパイ」ユーザーを狙う
岩間:1回目は「REAL Target Monitor®の誕生秘話」、2回目は「REAL Target Monitor®が解決するマーケティング課題」について、事業責任者である齋藤さんにお話を伺ってきました。
ここまでのお話を聞いて、REAL Target Monitor®を使いこなすためには、どのようなユーザーを戦略ターゲットにするか、つまり仮説の立て方が肝になると感じたのですが、アドバイスはありますか。
齋藤:例えば、顧客を純増させようとする場合、現時点ですでに接触できているコアターゲットではなく、シラジ(特定ワード検索者であり、かつ自社サイトにも他社サイトにも未接触の「白地」ユーザー)や、フセンパイ(自社サイト未接触、かつ他社サイト接触の「不戦敗」ユーザー)といったセグメントを戦略ターゲットにする方法があります。
岩間:シラジとフセンパイ、ヘイヨウユーザーも含めて、すべてユーザーの「行動」が切り口になっていますね。
齋藤:この行動データに基づくセグメンテーションが大切なポイントだと考えています。価値観を切り口にしたセグメンテーションの場合、ユーザーの共感を得るコミュニケーションに資するものではありますが、実際の施策を行う際のひとつの弊害は「ターゲティングが難しくなる」ということが挙げられます。訴求する内容によって特定の価値観を持っているユーザーが反応するのだから問題ない、と自社で位置づけできていればよいのですが、施策に活かせないためせっかく作ったセグメント像がだんだんと活用されなくなることもあるかと思います。行動ベースのセグメンテーションの利点は、デジタル上の施策と相性が良いということがあります。
ターゲットは「自社・他社・ユーザー」の相対的な位置関係で定義
齋藤:ただ、シラジ、ヘイヨウ、フセンパイのどのセグメントを戦略ターゲットにするかは、企業によって様々です。例えば私が前職時代にモニタリングしていたセグメントはヘイヨウセグメントでしたが、最近お会いしたメーカー様は、フセンパイをターゲットにしているとのことでした。ネットメディアの企業でも、ある企業はフセンパイに注目し、ある企業はシラジに注目するなど様々です。これは企業のそれぞれの課題感に紐づいています。
岩間:なるほど。例えば、リーディングカンパニーであればシラジを、後発ならフセンパイを狙っていくなど、傾向のようなものはありますか。
齋藤:やはり、一概には言えません。どうしてそのような状況ができてしまっているか、企業の優先的な戦略テーマは何か、どのようなユーザーを純増させたいかによるでしょう。
例えば、今問題視しているのがフセンパイなのであれば、自社は検討されずに他社が検討されているということですよね。そのようなユーザーが存在しているのはなぜなのか。もしかしたらその他社ブランドに対する信奉があるなど、強い心理が働いているのかもしれません。そのようなユーザーを本当に狙っていくべきか、スイッチングコストが高さなどを考えることが肝要です。
岩間:本当に、置かれている状況によって異なるのですね。だからこそ、自社専用の環境が必要になってくると。ヴァリューズの行動ログデータなら、自社と他社、ユーザーを組み合わせてセグメントを作っていけるので、それぞれの企業様の問題意識や課題感にもフィットしそうです。
齋藤:そうですね、REAL Target Monitor®では、まさに1社1社に合わせた専用の環境を作り上げることができます。現在、REAL Target Monitor®の初期プロダクトを通じて、いろいろな企業やマーケターの皆さまの意見を集約しているフェーズなのですが、自社と他社、ユーザーという3つのプレーヤーの相対的な位置関係でターゲットを定義することに対する反応の良さは手応えとして感じています。
「自社・他社・ユーザー」の関係性に基づいてWho(ターゲット)を定めると、そのユーザーには何を伝えるべきかというWhat(訴求)についても議論が進みやすくなります。WhoとWhatをセットにしクリエイティブを開発していくことができるのはまさに私自身やりたかったアプローチの一つです。
PDCAを回しながら、仮説の精度を高めていく
岩間:戦略ターゲットの定め方のポイントはわかったのですが、やはり調査会社などに依頼して、綿密に作り上げていくほうがよいのでしょうか。
齋藤:自分たちでまず大枠の仮説を立て、REAL Target Monitor®でPDCAを回しながら、精度を高めていくという実践的なアプローチが良いのではないかと思います。
最初から精度の高い仮説をつくって成果を狙おうとするよりも、実施した施策を検証することで、施策を改善していくことがポイントだと思います。
「見えない相手」との関わりに手触り感を
岩間:最後に、REAL Target Monitor®の今後の展望を教えていただけますか。
齋藤:REAL Target Monitor®は、「届けたい人に、価値が届く社会を創る」をミッションとして掲げています。デジタル時代のマーケティングでは、時に、見えない相手を対象に日々を過ごしているかのような思いを抱くことがあるのではないでしょうか。だからこそ、商品やサービスの価値を消費者に届けたいという想いを持ち、戦略ターゲットの動向を手触り感をもって把握することを切望するすべてのマーケターや、企業様にご利用いただきたいと思っています。
また、広告媒体を保有する各プラットフォームの企業様とのディスカッションも進んでおり、各戦略ターゲットにターゲティングしていく手法部分の磨きこみ、コミュニケーションを行うクリエイティブ開発部分の磨きこみなどをプラットフォーム側とも連携して進めていければと考えています。日本のマーケティングに新しい概念を持ち込む!という気概で取り組んでいければと思っています。
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「引っ越し」検討者への効率的なアプローチ法は? | 「戦略ターゲット発想」シリーズ
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▼第1弾、第2弾の記事はこちらから
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IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。