ユーザーの「価値観」でなく「行動」ベースでのターゲット設定が重要。REAL Target Monitor®活用のコツ(連載第3弾)

ユーザーの「価値観」でなく「行動」ベースでのターゲット設定が重要。REAL Target Monitor®活用のコツ(連載第3弾)

ヴァリューズが新しくリリースした「REAL Target Monitor®」は、戦略上重要なターゲットのリアルな動きをモニタリングできる、オーダーメイド型KPIダッシュボード。ファネルの中央から上を狙う施策において、ターゲットの動きをKPIとしてモニタリングできたり、初回流入のきっかけを把握できたりするなど、まさに多くのマーケターが待ち望んでいたツールです。本記事では、REAL Target Monitor®の活用ポイントをお伝えしていきます。


【話者紹介】

REAL Target Monitor® とは?

自社がリーチしていきたい消費者(戦略ターゲット)をリアルにモニタリングできる、自社専用の環境を構築します。ターゲットはVALUESモニター会員から選定し、プロモーション実施期間中/期間後のWeb行動(ファクトベース)をモニタリングします。

「シラジ・ヘイヨウ・フセンパイ」ユーザーを狙う





岩間:1回目は「REAL Target Monitor®の誕生秘話」、2回目は「REAL Target Monitor®が解決するマーケティング課題」について、事業責任者である齋藤さんにお話を伺ってきました。
ここまでのお話を聞いて、REAL Target Monitor®を使いこなすためには、どのようなユーザーを戦略ターゲットにするか、つまり仮説の立て方が肝になると感じたのですが、アドバイスはありますか。










齋藤:例えば、顧客を純増させようとする場合、現時点ですでに接触できているコアターゲットではなく、シラジ(特定ワード検索者であり、かつ自社サイトにも他社サイトにも未接触の「白地」ユーザー)や、フセンパイ(自社サイト未接触、かつ他社サイト接触の「不戦敗」ユーザー)といったセグメントを戦略ターゲットにする方法があります。








岩間:シラジとフセンパイ、ヘイヨウユーザーも含めて、すべてユーザーの「行動」が切り口になっていますね。










齋藤:この行動データに基づくセグメンテーションが大切なポイントだと考えています。価値観を切り口にしたセグメンテーションの場合、ユーザーの共感を得るコミュニケーションに資するものではありますが、実際の施策を行う際のひとつの弊害は「ターゲティングが難しくなる」ということが挙げられます。訴求する内容によって特定の価値観を持っているユーザーが反応するのだから問題ない、と自社で位置づけできていればよいのですが、施策に活かせないためせっかく作ったセグメント像がだんだんと活用されなくなることもあるかと思います。行動ベースのセグメンテーションの利点は、デジタル上の施策と相性が良いということがあります。




ターゲットは「自社・他社・ユーザー」の相対的な位置関係で定義





齋藤:ただ、シラジ、ヘイヨウ、フセンパイのどのセグメントを戦略ターゲットにするかは、企業によって様々です。例えば私が前職時代にモニタリングしていたセグメントはヘイヨウセグメントでしたが、最近お会いしたメーカー様は、フセンパイをターゲットにしているとのことでした。ネットメディアの企業でも、ある企業はフセンパイに注目し、ある企業はシラジに注目するなど様々です。これは企業のそれぞれの課題感に紐づいています。










岩間:なるほど。例えば、リーディングカンパニーであればシラジを、後発ならフセンパイを狙っていくなど、傾向のようなものはありますか。










齋藤:やはり、一概には言えません。どうしてそのような状況ができてしまっているか、企業の優先的な戦略テーマは何か、どのようなユーザーを純増させたいかによるでしょう。

例えば、今問題視しているのがフセンパイなのであれば、自社は検討されずに他社が検討されているということですよね。そのようなユーザーが存在しているのはなぜなのか。もしかしたらその他社ブランドに対する信奉があるなど、強い心理が働いているのかもしれません。そのようなユーザーを本当に狙っていくべきか、スイッチングコストが高さなどを考えることが肝要です。










岩間:本当に、置かれている状況によって異なるのですね。だからこそ、自社専用の環境が必要になってくると。ヴァリューズの行動ログデータなら、自社と他社、ユーザーを組み合わせてセグメントを作っていけるので、それぞれの企業様の問題意識や課題感にもフィットしそうです。










齋藤:そうですね、REAL Target Monitor®では、まさに1社1社に合わせた専用の環境を作り上げることができます。現在、REAL Target Monitor®の初期プロダクトを通じて、いろいろな企業やマーケターの皆さまの意見を集約しているフェーズなのですが、自社と他社、ユーザーという3つのプレーヤーの相対的な位置関係でターゲットを定義することに対する反応の良さは手応えとして感じています。

「自社・他社・ユーザー」の関係性に基づいてWho(ターゲット)を定めると、そのユーザーには何を伝えるべきかというWhat(訴求)についても議論が進みやすくなります。WhoとWhatをセットにしクリエイティブを開発していくことができるのはまさに私自身やりたかったアプローチの一つです。




PDCAを回しながら、仮説の精度を高めていく





岩間:戦略ターゲットの定め方のポイントはわかったのですが、やはり調査会社などに依頼して、綿密に作り上げていくほうがよいのでしょうか。










齋藤:自分たちでまず大枠の仮説を立て、REAL Target Monitor®でPDCAを回しながら、精度を高めていくという実践的なアプローチが良いのではないかと思います。

最初から精度の高い仮説をつくって成果を狙おうとするよりも、実施した施策を検証することで、施策を改善していくことがポイントだと思います。




「見えない相手」との関わりに手触り感を





岩間:最後に、REAL Target Monitor®の今後の展望を教えていただけますか。










齋藤:REAL Target Monitor®は、「届けたい人に、価値が届く社会を創る」をミッションとして掲げています。デジタル時代のマーケティングでは、時に、見えない相手を対象に日々を過ごしているかのような思いを抱くことがあるのではないでしょうか。だからこそ、商品やサービスの価値を消費者に届けたいという想いを持ち、戦略ターゲットの動向を手触り感をもって把握することを切望するすべてのマーケターや、企業様にご利用いただきたいと思っています。

また、広告媒体を保有する各プラットフォームの企業様とのディスカッションも進んでおり、各戦略ターゲットにターゲティングしていく手法部分の磨きこみ、コミュニケーションを行うクリエイティブ開発部分の磨きこみなどをプラットフォーム側とも連携して進めていければと考えています。日本のマーケティングに新しい概念を持ち込む!という気概で取り組んでいければと思っています。




▼「戦略ターゲット発想」についてはこちらもあわせてお読みください

「引っ越し」検討者への効率的なアプローチ法は? | 「戦略ターゲット発想」シリーズ

https://manamina.valuesccg.com/articles/2338

ターゲットの解像度が低い。ターゲットを策定しても、施策になかなか落とし込めない。これらは、デジタルマーケティング戦略を考えるうえで陥りがちな課題です。そんなお悩みを解決するのが、消費者のWeb行動ログデータにもとづいた「戦略ターゲット発想」。今回は、新型コロナの影響で都市部から郊外へと人口移動が進む中、「引っ越し」の検討行動に着目し、どんなユーザーにどのような集客を行っていくべきか、「戦略ターゲット発想」から解説します。

▼第1弾、第2弾の記事はこちらから

マーケターの「あったらいいな」をカタチに!REAL Target Monitor®誕生秘話(連載第1弾)

https://manamina.valuesccg.com/articles/2307

ヴァリューズが新しくリリースした「REAL Target Monitor®」は、戦略上重要なターゲットのリアルな動きをモニタリングできる、オーダーメイド型KPIダッシュボード。マーケターの「こんなことができたらいいな」から生まれたツールです。本記事では、REAL Target Monitor®がどのように誕生したか、開発の裏側をお届けします。

刈り取りに留まらない、認知施策の効果検証や初回流入のきっかけ把握も可能に!REAL Target Monitor®が解決するマーケティング課題(連載第2弾)

https://manamina.valuesccg.com/articles/2308

ヴァリューズが新しくリリースした「REAL Target Monitor®」は、戦略上重要なターゲットのリアルな動きをモニタリングできる、オーダーメイド型KPIダッシュボード。事業会社から代理店まで、「こんなサービスが欲しかった!」といった声があがっています。本記事では、REAL Target Monitor®が具体的にどのようなマーケティング課題を解決するのかをお伝えします。

この記事のライター

IT企業でコンテンツマーケティングに従事した後、独立。現在はフリーランスのライターとして、ビジネスパーソンに向けた情報を発信しています。読んでよかったと思っていただける記事を届けたいです。

関連する投稿


POLAが描いた独自の顧客体験戦略と、組織横断型のプロジェクト・組織マネジメント術 |「Values Marketing Dive」レポート

POLAが描いた独自の顧客体験戦略と、組織横断型のプロジェクト・組織マネジメント術 |「Values Marketing Dive」レポート

ヴァリューズは、“データを通じて顧客のことを深く考える”、“マーケティングの面白さに熱中する”という意味を込め、マーケティングイベント「VALUES Marketing Dive」を6/25に開催しました。第4回目となる今回の全体テーマは「Think & Expand - 潜考から事業拡大へ」。企業の成長、事業拡大を目指すためのマーケティング戦略、組織について考え、革新的な思考・潜考がどのように事業拡大につながるのか、マーケティング組織のマネージャーやエグゼクティブが押さえておきたい“Premium”な知識や事例をご紹介します。本講演では音部大輔氏がモデレーターとなり、顧客体験・組織戦略についてPOLA中村俊之氏と対談しました。


無印良品のアプリユーザーをUNIQLO、ニトリと比較。興味関心と購買行動の特徴とは

無印良品のアプリユーザーをUNIQLO、ニトリと比較。興味関心と購買行動の特徴とは

シンプルで洗練されたデザインと低価格を両立した商品づくりで人気を博している無印良品。そんな無印良品のユーザーの関心や購買行動の特徴を、UNIQLO、ニトリと比較しながら紐解いていきます。その上で、無印良品のマーケティング戦略も分析しました。


資生堂「SHIFT 2025 and Beyond」に込めた想いとブランディングを成功に導く視点|株式会社資生堂代表 魚谷氏に訊く【後編】

資生堂「SHIFT 2025 and Beyond」に込めた想いとブランディングを成功に導く視点|株式会社資生堂代表 魚谷氏に訊く【後編】

資生堂 会長 CEOの魚谷雅彦氏は、3年前倒しで売上目標1兆円を達成した後、コロナ禍でも様々な取り組みを実行してきました。新たに中期経営戦略として策定された「SHIFT 2025 and Beyond」には、どのような想いがあったのか。自社ブランディングを成功させるために必要な視点も合わせて、マーケティングのプロフェッショナルである魚谷氏にヴァリューズ 代表取締役社長の辻本が伺いました。


資生堂の中期経営戦略「VISION2020」で実行した構造改革と2030年への展望|株式会社資生堂代表 魚谷氏に訊く【前編】

資生堂の中期経営戦略「VISION2020」で実行した構造改革と2030年への展望|株式会社資生堂代表 魚谷氏に訊く【前編】

資生堂 会長 CEOの魚谷雅彦氏は社長への着任後、「世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー」となることを宣言し、資生堂のオリジンをしっかり出しつつも、様々な取り組みを実行。100年先も輝き続ける会社を目指し、短期目線ではなく中長期での成長実現に向け、取り組んできた想いや狙いをヴァリューズ 代表取締役社長の辻本が伺いました。


競合分析とは?フレームワークを活用して効率的に分析する手法を紹介

競合分析とは?フレームワークを活用して効率的に分析する手法を紹介

市場での競争を生き残るために欠かせない競合分析。マーケティングで効果を出すためにポイントとなる競合分析の進め方や、効率的な分析に役立つフレームワークやツール・テンプレート、競合分析のまとめ方や活用方法を解説します。


最新の投稿


みんなの注目キーワードは?週間検索トレンドランキング(2024/08/26〜2024/09/01)

みんなの注目キーワードは?週間検索トレンドランキング(2024/08/26〜2024/09/01)

ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」をもとに、週次の検索急上昇ワードランキングを作成し、トレンドになっているキーワードを取り上げます。


デジマ施策の外部委託で成果が出ている要因は"信頼できる人や企業からの紹介を受けたから"が最多【フロンティア調査】

デジマ施策の外部委託で成果が出ている要因は"信頼できる人や企業からの紹介を受けたから"が最多【フロンティア調査】

フロンティア株式会社は、Webマーケティング施策の外部委託を行った、プロジェクト責任者・担当者(経験者を含む)を対象に、Webマーケティングの発注に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


【2024年9月30日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年9月30日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


AI画像解析で商品陳列状況をリアルタイムに数値化・見える化!インパクトフィールド、買い場分析システムを消費財メーカー向けに提供開始

AI画像解析で商品陳列状況をリアルタイムに数値化・見える化!インパクトフィールド、買い場分析システムを消費財メーカー向けに提供開始

インパクトフィールド株式会社 は、店頭活動DXプラットフォーム 「MarketWatcher NEO (マーケットウォッチャー ネオ) 」 の拡張機能として、流通小売店舗の店頭状況の把握・分析業務を大幅に効率化する買い場分析システム 「ShareWatcher (シェアウォッチャー) 」 を提供開始したことを発表しました。


セグメンテーションマップ(顧客理解のアウトプット)|現場のユーザーリサーチ全集

セグメンテーションマップ(顧客理解のアウトプット)|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。今回は、セグメンテーションマップ(顧客理解のアウトプット)について寄稿いただきました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ