こんにちは、現役Z世代による”Z世代の行動データ”分析ラボ Gen-Z調査隊です!
私たちは、消費者の行動データをもとに、現役Z世代メンバーの視点から、“Z世代のリアル”を分析しています。
第11弾となる今回は、Gen-Z調査隊メンバーに加え、現役大学生のとりとり(01年生まれ・カフェ好き)も分析に参加し、本記事のライティングまで担当しています。
“Z世代”とは
“Z世代”は1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指します。物心ついた頃にはインターネットが既に身近にあったため、“デジタルネイティブ”な世代とも呼ばれており、今後の経済を支える中心世代として注目を集めています。
対して、本記事でZ世代と比較していくのは、そのひとつ上の“ミレニアル世代”。1981年頃~1990年代半ばに生まれ、インターネットの発達とともに育った世代です。
※本記事では、2023年9月時点で16~26歳のモニターをZ世代、27~41歳のモニターをミレニアル世代として定義し分析を行っています。
Z世代とミレニアル世代の関心はどこに?
2023年9月における、世代ごとのトレンド検索キーワードランキングがこちらです。
Z世代とミレニアル世代の検索キーワードトレンドランキング
〈補足〉
キーワードごとの検索者数の前月比降順でランキングを作成
順位が「新規」になっているキーワードは、前月に検索していたモニター数が0であるキーワード
〈集計条件〉
集計期間:2023年9月(前月比は2023年8月と比較)
対象デバイス:スマートフォン
対象者:2023年9月時点で16~26歳(Z世代)・27~41歳(ミレニアル世代)のモニター
まろん:Z世代のランキングでは、「月見」「敬老の日」「文化祭」「シラバス」といった秋・大学後期のはじまりらしいキーワードが多くランクインしているね。
とりとり:Z世代の新規ランクインワードに注目してみると、「モンハンなう」「ドット勇者」「スイカゲーム」などのゲームが多いですね。スマホ向けRPGゲーム「モンハンなう」は、戦闘時間が最大75秒と短いために、タイパ重視のZ世代で人気なのかもしれません。
こと:スイカゲーム」は、「テトリス」や「ディズニーツムツム」のような落ちものパズルゲーム。リリース自体は2021年と少し前だけれども、VTuberやゲーム実況者が実況プレイしたことで話題になったらしいよ。
せーら:YouTubeでゲーム実況やVTuberをよく観るZ世代では、自分がよく観ている実況者・VTuberによる「スイカゲーム」実況動画を通して、自分自身もそのトレンドに乗ることになるということがあるようだよ。
Z世代のYouTube視聴ランキング!なぜVtuberが人気?【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】 | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン
https://manamina.valuesccg.com/articles/2251#outline28Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第3弾となる今回のテーマは、マーケティングにおいても外せないSNS、YouTubeです。コンテンツ消費にタイパを意識すると言われるZ世代ですが、実際に彼らはYouTubeでどんなチャンネル、動画をみているのでしょうか?Z世代メンバーによるリアルな声を取り入れつつ、その特徴を深掘りしていきます。
Z世代に人気のVTuber
まろん:Z世代の新規では、ゲーム系の他に、Googleが提供する、2つの絵文字を掛け合わせて新しい絵文字を作成できるサービス「絵文字キッチン」がランクインしているよ。
ばんちゃん:絵文字キッチンは、X(旧Twitter)でも話題になっているよね。多くのXユーザーが絵文字キッチンでつくったオリジナルの絵文字をポストしていて、大喜利状態になっていたよ。
ロン:そうなんですね。僕が初耳だったのは、Z世代16位にランクインした「みんなの銀行」でした。
まろん:僕は「みんなの銀行」を使っているよ。イラストデザインがおしゃれで、入金・送金・貯金などを直感的に操作できるのがいまどきなWeb銀行なんだ。
とりとり:今月もトレンド盛りだくさんですね。今回は、「月見」「絵文字キッチン」「みんなの銀行」をテーマとして、これらがZ世代のトレンドとなった理由を考察していきましょう!
季節イベント「月見」がトレンドに
■“季節モノ消費”をするZ世代
まろん:「月見」の他にも、4月は「エイプリルフール」、6月は「父の日」と、Z世代の検索キーワードランキングには季節イベントがよくランクインしているね。
とりとり:上の世代と比較して、私たちの世代はハロウィンやクリスマス、バレンタインなどの季節イベントで盛り上がるという印象があります。
こと:そういった季節イベントに関する消費行動から、「節目節目を意識して、季節モノを味わいたい」という意識がうかがえるね。月見バーガーを食べた報告をInstagramのストーリーでよく見るのは、Z世代の「季節の流れに乗りたい」という意識の表れだと感じるよ。
ばんちゃん:Z世代の“季節モノ消費”を促進した立役者として、スターバックスが挙げられるんじゃないかな?「スターバックスのフラペチーノ新作フレーバーが出ると、それを試してインスタ映えしつつ季節を感じる」という流れが、Z世代ではルーティン化している気がする。
とりとり:たしかにそうですね。私の場合、スタバはあまり行かないのですが、カフェやパン屋、たい焼き屋で芋・栗系の商品が発売されると、「そっかもう秋なんだ。食欲の秋、きたー!」と思い、ついつい購入してしまいます。
ロン:実際9月は気温が高くて体感としては夏の気分ではありますが、秋を象徴する食材を使った商品を試すことで秋を先取りした気分になれるのがいいですよね。
まろん:僕の周りでも、季節系商品が好きな友人は多いよ。「Z世代は季節モノ商品への反応性が高い」という説、否めないね。
■「月見」商品はYouTube“モッパン”の題材にも
せーら:「月見」といえば月見バーガーだよね。月見バーガーのような季節商品は、モッパンにもなりやすい印象があるよ。
まろん:“モッパン”ってなんですか、みんな知ってるの?
せーら:“モッパン”(먹방)とは、出演者が食べ物を食べる様子を配信する動画コンテンツのことで、とにかくたくさん食べることが特徴だよ。韓国発祥ではあるけれど、最近は日本人のモッパン専門YouTubeチャンネルもあったりして、私はよく観てる。
ばんちゃん:昔で言うところの「ギャル曽根」、最近だと「もえあず」みたいな感じで、大食いな人がやっているイメージ。
とりとり:最近だと、大食いな人だけではなく、人気YouTuberが動画企画のひとつとしてモッパンをしていたり、モッパンと咀嚼音を聞かせる動画「ASMR」を組み合わせる「モッパンASMR」があったりと、多くの動画配信者がモッパン企画をしていますよね。
まなてぃ:私も好きなモッパンYouTuberがいて、新しい動画が出ると欠かさず観ています。
まろん:モッパン、こんなにみんな知っているものだったとは…。こういった動画をみて、「月見バーガーを食べよう」という気持ちにさせられるZ世代も多いのかもしれないね。
■Z世代女子は何のためにモッパンを観る?
ロン:まろんさんと同じく僕もモッパンを観たことがないのですが、女性陣はみなさんモッパンがお好きなようですね。
まろん:流行っているという事実はわかった。でも僕からしたら、なんでモッパンを観たいのか謎だよ。モッパンのどこがいいのか教えて?
[理由① ダイエットのお供に]
まなてぃ:私は、ダイエット中、モッパンを観ることで自分も食べた気になるっていう利用方法をしています。
ばんちゃん:すごくわかる。可愛くて華奢だけどジャンクフードを食べますっていうコンセプトが面白いというのもあるし、食べている様子を見て、自分自身の「爆食したい」っていう気持ちを発散させるんだよね。
せーら:私は逆に、“チートデイ”の前哨戦としてモッパンを観ることが多いよ。食事制限をしている期間に、次のチートデイの夢を膨らませるんだ。
まろん:“チートデイ”なんて作ってるの?言葉自体は聞いたことがあるけど、実践しているのはボディビルダーみたいな筋トレ好きの若年男性ばかりだと思ってた。
せーら:ダイエット中には、「この日はなにを食べてもいい」っていう日をつくっているよ。
ばんちゃん:私もそういう日を作っているよ。
とりとり:私の体感としても、チートデイを実践する人がここ数年で急増していて、今ではZ世代ダイエッター女子の間であたりまえの文化になっている印象です。
せーら:友達と出かけてハイカロリーな食事をする時に、「今日はチートデイだから」と言って、罪悪感を紛らわせようとするんだよね。ダイエット女子にとって、“チートデイ”はカロリー摂取の免罪符なんだ。
[理由② 口コミ・商品レビューの代わりに]
こと:「自分が食べる前のお試し」として観ているという側面もあると思う。例えば「月見バーガー」の場合、各種バーガーチェーン店の月見商品を全種類テイクアウトして食べ比べるというYouTube企画をしてくれるのね。私は、自分で買うとなった時に失敗したくないから、そういった動画のレビューをひとつの指標とすることもあるよ。
ロン:確かに、近年は「月見戦争」という言葉をよく見聞きするくらい、各社がこぞって月見バーガーを出しているので、どれを食べればいいか悩んでいました。YouTubeのレビューはとても参考になりそうです。
ばんちゃん:Z世代は、そういったモッパン動画を商品レビューやファッションルックブックと同じ感覚で観ているのかもしれないね。ただでさえカロリーが高いので自分の身をもって試すことはできないけれど、「こっちの方が美味しいんだ」「せっかく買うならこっちの方が好きだな」みたいな絶対良いという確実性がほしいんだよね。
まろん:YouTubeを観ることはZ世代の購買行動における検討の第一ステップとして、ファッションやコスメ以外にも取り入れられているのかもしれないね。
とりとり:たしかに!2023年5月のトレンドランキングでも、Z世代は日焼け止めを選ぶ際に検証動画を参考にしているという話がありましたね。
Z世代の検索ワードランキング!なぜ「セーラームーン」がトレンドに?(2023年5月)【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】 | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン
https://manamina.valuesccg.com/articles/2539#outline28Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。第7弾となる今回は、Z世代とミレニアル世代の検索キーワードランキングから、「ティアキン」「セーラームーン」「日焼け」の3テーマを取り上げてZ世代のトレンドをお送りします。 原作世代ではないZ世代でのセーラームーン人気の秘訣など、データとリアルな声を掛け合わせ、Z世代のニーズを読み解きます。
日焼け止め選びで検証動画を参考にするZ世代
SNSで話題の「絵文字キッチン」
■「絵文字キッチン」とは?
とりとり:「絵文字キッチン」とは、Googleが2023年9月に提供をはじめた、2つの絵文字を掛け合わせて新しい絵文字を作る機能です。元々は、AndroidのGboard機能のひとつでしたが、2023年9月15日よりGoogle検索からも利用可能となり、iPhoneでも利用可能になりました。
The Emoji Kitchen is a Google feature that allows Android users to send merged or elaborated sticker versions of Google’s emoji designs. Initial...
まろん:そうなんだ。みんな知ってた?
こと:LINEで絵文字をタップしたときに、「似たような絵文字にこんなものがあるよ」って亀が笑っている絵文字などがサジェストされるようになって、これは何だろうと思っていたよ。画像として処理されて、LINEの文章の中(文末など)で使えないから、私は使っていないよ。
LINEの画面の例。「笑顔」の絵文字を挿入すると、「笑顔×亀」や「笑顔×星」など、「笑顔」と別の絵文字を組み合わせた新しい絵文字が提案される。
ばんちゃん:私はSNSで知ったよ。X(旧Twitter)で突然話題になって、自分がつくった絵文字のスクショをポストする人が増えた印象。
■絵文字を使った推し活
ばんちゃん:絵文字キッチンを使って、推しを表現する新絵文字をつくったというポストも見られるようになったよ。「自分はこうしたよ」という独自性を発信できるという点で、Z世代とも親和性が高いんじゃないかな。
とりとり:そんな推し活もあるんですね。推しを表現する新絵文字をつくるって、“ファンマ”みたいなものですか?
まろん:“ファンマ”って何?
ばんちゃん:“ファンマ”とは、「ファンマーク」の略称。キャラクターやアイドル、アーティスト、配信者のファンであることの証として、自分のSNSのハンドルネームの末尾に特定の絵文字をつけるんだ。私も推し活の一部としてやっているよ。
とりとり:例えば、人気ガールズグループNiziU(ニジュー)の場合、グループ全体のファンマークとしては虹の絵文字があり、以下のようにメンバー個々人を指すファンマークもあるようです。
※ライター調べ
ばんちゃん:ファンマークが使われはじめた頃は、検索避けしつつ、わかる人にはわかるようにするために用いるというイメージだったけれど、最近では、配信者やアイドル本人が使ってほしいファンマークを提示することも多いみたい。
とりとり:ファンマークがあるおかげで、ファンの間には「同じ推しを推している仲間」という一体感・居場所感が生まれているのかもしれませんね。
■もうひとつの流行り“ミー文字”
まなてぃ:絵文字とは似て非なるものなのですが、iPhoneのアバター機能“ミー文字”も流行っています。作ったアバターをインスタのアイコンにしたり、DMで使ったりします。テキストのやりとりであっても、自分の表情まで伝えられてお気に入りです。
とりとり:最近流行っていますよね、お見せしているのは私のミー文字で、DMで使ったり、ストーリーにアバターを追加したりして利用しています。自分の感情を豊かに共有できるのが、私的推しポイントです。
まろん:「絵文字を使って自分らしさを表現する」というのは、SNS上で自己表現をするのが日常となっているZ世代のニーズのひとつなのかもしれないね。
Z世代に人気のWeb銀行「みんなの銀行」
■どんなアプリ?
まろん:「みんなの銀行」とは、スマホ一つ(カードなし)で口座開設からATM出金、振込、支払、貯蓄、管理まで完結できる銀行アプリだよ。僕は、キャンペーンの時に「便利そうだな」と思って使いはじめた。
とりとり:お金の全てが完結するようになっていたり、「U25 Z割」や、紹介コードを使って口座を開設すると1000円もらえる「お友だち紹介プログラム」を展開していたりという様子から、手軽さとお得感を求めるZ世代をターゲットとしていることがうかがえますね。
■人気の理由①幅広いサービスと優れたUI
とりとり:改めて、Z世代16位にランクインした「みんなの銀行」はどうしてZ世代に人気なのでしょうか。
まろん:お金に関する全ての機能がひとつのアプリにまとめられているのと、預金残高や入金出金状況の様子もパッと見られるUIの高さが、僕的推しポイント。みんな使えばいいのにって思う。
とりとり:手軽とはいえ、立て替え・借り入れ機能もあって、いつもお金がない大学生に使わせたら大変なことになってしまいそうだと思います。自分の意思でお金を管理することができる人向けのアプリなんですかね。
ばんちゃん:私は、基本サービスの他にも独自サービスがあって面白いと思った。特定の名前をつけた貯蓄預金で、預金残高に応じて間接的に推しに活動資金を寄付し、応援するとプレゼントがもらえる「Cheer Box」は、「ふるさと納税」の推し活バージョンという感じで興味深い。
こと:多機能でUIの質が高いというのは、手軽さを求めるZ世代にとても刺さりそうだね。
■人気の理由②カジュアルでおしゃれなデザイン
まなてぃ:デザインがとても若者向けですね。デザインを見ただけで、このアプリ使いたい!と思っちゃったくらいです。
まろん:そうそう、Z世代にウケそうなデザインだよね。
こと:「ほろよい」のCMもそうだけれど、ビジュアルでZ世代ウケを狙う企業も増えてきたという印象。早稲田大学のマーケティング研究会と対談したときもそうだけれど、Z世代では魅力的なデザインに惹かれて消費行動を取る人も多いみたい。
早稲田大学マーケティング研究会に聞く、Z世代に刺さる商品やプロモーションとは | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン
https://manamina.valuesccg.com/articles/2521「学生×マーケティング」を武器に、学生主催の勉強会や、企業と共催のビジネスコンテストを通して、実践的なマーケティングのインプットとアウトプットを目指す早稲田大学のアカデミックサークル、マーケティング研究会。意欲的に活動を行う「まーけん」民の熱意の裏側と、マーケターの目線をもったZ世代がいま気になる商品やプロモーションについて、幹事長の斉藤くん、渉外局長の石原くん、勉強会局長の石田さんに伺いました。
まとめ
今回は、2023年9月の検索キーワードトレンドランキングをもとに、「月見」「絵文字キッチン」「みんなの銀行」について分析・考察を行いました。
では、結果と見えてきた仮説をおさらいしましょう!
結果①
2023年9月には、「月見」がZ世代のキーワードトレンドになりました。
仮説①
季節モノ消費が好きなZ世代は、YouTubeなどの「月見バーガー比較」動画を商品レビュー代わりに閲覧し、確実に失敗しない選択をしたいと考える傾向があるようです。
結果②
2023年9月には、「絵文字キッチン」がZ世代のキーワードトレンドになりました。
仮説②
Z世代で絵文字がトレンド要素になるのは、絵文字を使うことでSNS上で自分らしさを表現しやすくなるためだと考えられます。
結果③
2023年9月には、「みんなの銀行」がZ世代のキーワードトレンドになりました。
仮説③
トレンドになったのは、幅広いサービスと手軽さ、魅力的なデザインがZ世代の心を掴んだためだと考えられます。
Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今後の連載にも、ぜひご注目ください。
現役Z世代による"Z世代の行動データ"分析ラボ Gen-Z調査隊®
株式会社ヴァリューズで2022年10月に発足。個性豊かなZ世代のメンバーが集まりました。
意識調査データやWeb行動データを活用し、"Z世代のリアル"を分析・発信していきます。
〈メンバー紹介〉
まろん(98年生まれ・エンタメコンテンツ好き)・ばんちゃん(99年生まれ・二次元キャラ好き)・こと(97年生まれ・観葉植物好き)・まなてぃ(01年生まれ・TikTok好き)・ロン(00年生まれ・テレビ好き)・まりん(02年生まれ・音楽好き)