こんにちは、マナミナ編集部です。早速、話題になったドラマの傾向を調査していきましょう。
なお、こちらの調査は全国のモニター会員(15歳以上の男女)へ、2024年1月~3月に放送されたテレビドラマ(以下前期ドラマ)と、2024年4月から放送予定のテレビドラマ(以下今期ドラマ)の、認知度と視聴意向について実施したアンケートの結果をもとに、各ランキングを作成しています。
若年層に人気の「占領シリーズ」や昭和世代に話題の「不適切にもほどがある!」が上位に
初めに、前期ドラマの認知度と視聴実態を見てみましょう。
表1 前期ドラマの認知度と視聴実態
サンプル数は31,642
視聴実態1位は、フジテレビ系土曜ドラマ「新空港占領」でした。2023年1月期に放送された「大病院占領」も視聴実態・満足度共に高かったことから、「占領シリーズ」は次回以降も注目度が高いことが想定されます。
視聴実態2位はTBS系金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」でした。人気ドラマを複数手掛けてきた宮藤官九郎氏の脚本によるオリジナル作品で、タイトル認知度3位と期待値の高さもうかがえます。詳しく調べてみると、初回放送後のX(旧Twitter)公式アカウントでは140万件以上の表示、1,000件以上リポストされており、世界トレンドでは3位にランクインしています。放送終了後多くのユーザーが拡散していたことが考えられます。
左
出典: https://twitter.com
@futeki_tbs 2024年1月26日午後23:18ツイート
https://twitter.com/futeki_tbs/status/1750883450515804560?s=46&t=HNsE0IvvbPShFmsGjjQg2A
右
Twittrend 世界のトレンド 2024年1月26日(金)23時
https://twittrend.jp/time/1/2024012623/
1話以上の視聴実態5位は、フジテレビ系月曜ドラマ「君が心をくれたから」でした。長崎を舞台にしたファンタジーラブストーリーで、テレビ長崎や長崎県観光連盟でも特設サイトを開設し、ロケ地や撮影風景を紹介しており、ドラマの認知度・視聴実態を高める要因になっていることが考えられます。
続いて、ドラマタイトルを認知しているユーザーの属性を調べてみます。
表2 タイトルを知っているドラマ×ユーザー属性 年代別
サンプル数は31,642
左から、タイトルを知っているユーザーの割合が高かった作品順
上の表は、各年代のうち、それぞれの作品を認知している人がどれくらいいるか、その割合を示したものです。
前回調査同様、全体を通してドラマシリーズの認知度が高いことが分かりました。テレビ朝日系刑事ドラマシリーズ「相棒season22」とフジテレビ系時代劇シリーズ「大奥」は、50代以上の認知度が高い一方、「新空港占領」は他の年代に比べて10代の認知度が比較的高いことが分かりました。「大病院占領」同様に、若年層から支持されるドラマであることが想定されます。
表1で認知度3位の「不適切にもほどがある!」は、50代の認知度がもっとも高く、「昭和から令和にタイムスリップする」という作品の特徴から昭和世代からの関心を集めていたり、脚本家のファンが含まれている可能性もありそうです。
次に、前期ドラマの満足度を調べてみましょう。
時代により異なるコンプライアンスや価値観に共感の声多数
表3 前期ドラマの中で最も満足した作品
サンプル数は17,422
「相棒season22」はもっとも満足度が高く、前回調査同様、多くのファンの期待に沿うドラマであったことがうかがえます。満足度2位は「不適切にもほどがある!」で、表1で全話視聴1位の「新空港占領」は満足度3位でした。
では、各ドラマを満足したと答えたユーザーを年代別に見てみましょう。
表4 最も満足したドラマ(性年代別)
サンプル数は17,422
左から、満足したと感じるユーザーの割合が高かった作品順
「相棒season22」は60代以上の男性の割合がもっとも高く、次いで30代男性の満足度も高いことが分かりました。「不適切にもほどがある!」は50代男性からの評価が高く、「新空港占領」は10代~20代の男女に人気であることが見えてきました。
では視聴者はドラマのどんな点に満足しているのでしょうか。その理由を探ってみます。
表5 最も満足したドラマ(1位~5位)の満足理由
サンプル数は15,760
「相棒season22」は、原作や出演者のファンであることに加え、家族や知人も視聴していることを満足理由としているユーザーの割合が高く、表4で60代以上男性と共に30代男性の満足度が高かった要因の1つと言えそうです。「不適切にもほどがある!」と「君が心をくれたから」は、今までにないストーリーを高く評価するユーザーが多いことが分かりました。
「不適切にもほどがある!」の具体的な満足理由を深堀調査してみると、現代と1986年を行き来する物語の中で、昭和と令和で異なるコンプライアンスや価値観の違いに共感する点や、ミュージカル要素を織り交ぜユーモアあふれる演出に満足度を高めたユーザーが多いことが分かりました。
表6 「不適切にもほどがある!」を最も満足したドラマと回答したユーザーの具体的な理由(一部抜粋)
サンプル数は31,642
「君が心をくれたから」の具体的な満足理由も調べてみると、現実ではありえない設定やストーリー展開に意外性があったことに、魅力を感じるユーザーが多かったことが分かりました。長崎がロケ地であることを評価する声もあり、馴染みのある地域が舞台であることに魅了されたユーザーが一定数いることが分かりました。
表7 「君が心をくれたから」を最も満足したドラマと回答したユーザーの具体的な理由(一部抜粋)
サンプル数は31,642
最後に、今期ドラマの認知度と視聴意向を見てみましょう。
人気ドラマシリーズや楽曲をもとに描くラブストーリーに期待が高まる
表8 今期ドラマの認知度と視聴意向
サンプル数は31,642
タイトル認知度・期待値共に高かったのは、日本テレビ系土曜ドラマ「花咲舞が黙ってない」でした。人気小説が原作のドラマシリーズで、過去にドラマと同じタイトルで漫画と文庫本が発行されています。テレビ朝日系ドラマシリーズ「特捜9 season7」も認知度・期待値共に高く、2023年4月期の調査で60代以上の認知度が高かったことから、今期も多くの刑事ドラマファンが期待を高めている可能性があります。
認知度・期待値共に3位は、フジテレビ系月曜ドラマ「366日」でした。ドラマに期待している具体的な理由を詳しく調べてみると、沖縄出身のバンドグループHYの「366日」の曲をもとに描かれた脚本であることや、出演者のファンが多いことが分かりました。ラブストーリーのためか女性の期待値が高く、2008年に発売し話題となった曲が、幅広い年代に知られていることも分かりました。
表9 「366日」を最も期待しているドラマと回答したユーザーの具体的な理由(一部抜粋)
サンプル数は31,642
まとめ
前期の調査のうち、昭和と令和それぞれの時代を行き来し思考のギャップをユーモア満載に描いた「不適切にもほどがある!」は、SNSによる拡散が視聴実態に繋がる要因であったことが分かりました。「君が心をくれたから」は、長崎を舞台にしていることからロケ地をめぐり聖地巡礼を楽しむ観光客が増加したそう。地方局や観光連盟と協力し情報発信することで、ドラマが地方観光の呼び水になっていることが見えてきました。
視聴実態・満足度共に高いドラマは、ターゲットを絞り込み視聴者が共感する要素と、ストーリーの独自性を持ち合わせていることを感じました。今期ドラマも引き続き調査を行い、視聴者としての視点を交えてお伝えしていきたいと思います。
【データ集計定義】
調査対象者:株式会社ヴァリューズのモニター 全国の15歳以上の男女
調査対象ドラマ:フジテレビ・テレビ朝日・TBS・日本テレビの4局で、おおよそ21時開始枠または22時開始枠に放送された/される予定のドラマ
調査期間:2024/3/26~2024/4/2
調査デバイス:スマートフォンおよびPC
回収サンプル数:31,642ss
ウェイトバック集計:当調査では性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計を行っている。掲載している数値はすべてウェイトバック後の結果となっている。
制作会社でUIUXデザインやWebサイトの施策立案を経験後、ヴァリューズにジョイン。セミナーのサポートやTVドラマランキングの執筆などを担当しています。