こんにちは、マナミナ編集部です。早速、話題になったドラマの傾向を調査していきましょう。
なお、こちらの調査は全国のモニター会員(15歳以上の男女)へ、2023年4月~6月に放送されたテレビドラマ(以下前期ドラマ)と、2023年7月から放送予定のテレビドラマ(以下今期ドラマ)の、認知度と視聴意向について実施したアンケートの結果をもとに、各ランキングを作成しています。
熟年層男性に話題の「ラストマン―全盲の捜査官―」「風間公親ー教場0ー」「特捜9 season6」
初めに、前期ドラマの認知度と視聴実態を見てみましょう。
表1 前期ドラマの認知度と視聴実態
サンプル数は21,965
TBS系日曜劇場の刑事ドラマ「ラストマン―全盲の捜査官―」は、タイトルの認知度が4位でしたが全話視聴するユーザーが1番多かったことが分かりました。フジテレビ系スペシャルドラマ「教場」の連続ドラマ「風間公親ー教場0ー」は前回のテレビドラマ分析で放送前から話題だったこともあり、全話視聴したユーザーが多く一定数のファンの存在がうかがえる結果になりました。大人気コミックが原作の「あなたがしてくれなくても」は、タイトルの認知度が2番目に高く全話視聴したユーザーも比較的多かったことが分かりました。
2014年~2017年まで小学館の「プチコミック」に連載されていたマンガが原作の恋愛ドラマ「王様に捧ぐ薬指」と、2022年10月~2023年2月まで日刊ゲンダイで連載されていた推理小説が原作の「合理的にあり得ない~探偵・上水涼子の解明~」は、タイトル認知度は5位以下でしたが全話視聴するユーザーが比較的多かったことが見えてきました。
続いて、ドラマタイトルを認知しているユーザーの属性を調べてみます。
表2 タイトルを知っているドラマ×ユーザー属性 年代別
サンプル数は21,965
左から、タイトルを知っているユーザー割合が高かった作品順
上の表は各年代のうち、それぞれの作品を認知している人がどれくらいいるか、その割合を示したものです。
「風間公親ー教場0ー」「あなたがしてくれなくても」「ラストマン―全盲の捜査官―」や刑事ドラマシリーズの「特捜9 season6」は、50代以上のタイトル認知率が他の年代に比べて高いことが分かりました。一方で、恋愛ドラマの「王様に捧ぐ薬指」は若年層の認知率が高く、年代ごとにドラマの好みが顕著になったと言えそうです。
次に認知度・視聴実態の高いドラマのうち、満足度の高いドラマを調べてみましょう。
人気ドラマは独自性あふれるストーリーや出演者の魅力が影響する
表3 前期ドラマの中で最も満足した作品
サンプル数は11,407
表1 で全話視聴するユーザーが多かった「ラストマン―全盲の捜査官―」「風間公親ー教場0ー」「王様に捧ぐ薬指」「あなたがしてくれなくても」に加え、「特捜9 season6」も、他のドラマに比べて満足度が高かったことが分かりました。
各ドラマを満足したと答えたユーザーを年代別に見てみましょう。
表4 最も満足したドラマ(制年代別)
サンプル数は11,407
1位の「ラストマン―全盲の捜査官―」は他の年代に比べて50代以上の男性、3位の「あなたがしてくれなくても」は40代女性、4位の「王様に捧ぐ薬指」は10代~20代の女性の満足度が高いことが分かりました。
性別による特徴としては「ラストマン―全盲の捜査官―」や「風間公親ー教場0ー」などの刑事ドラマは、男性の満足度が高く、「あなたがしてくれなくても」や「王様に捧ぐ薬指」などの恋愛ドラマは女性の満足度が高いことが明らかになりました。
ではドラマのどんな点に満足しているのでしょうか。その理由を探ってみます。
表5 最も満足したドラマ(1位~5位)の満足理由
サンプル数は10,280
「ラストマン―全盲の捜査官―」は、出演者の個性や演技力に加え、今までにないストーリーだったことが満足度を高める要素になっていることが分かりました。今まで数多くの刑事ドラマを見てきた熟年層男性が、全話視聴する理由として納得感ある結果でした。
「あなたがしてくれなくても」は、共感できるストーリーを評価するユーザーが多く、「王様に捧ぐ薬指」は出演者の魅力と胸キュンするストーリーが若年層女性の心を掴んでいたことが見えて来ました。
表4の満足度の高いドラマは、実際どのように視聴されているのでしょうか、視聴方法を調査します。
表6 最も満足したドラマ(1位~5位)の中で最も多い話数視聴した方法
サンプル数は10,280
全体的にテレビ放送でのリアルタイム視聴が多い一方「あなたがしてくれなくても」は、配信サービスの見逃し配信(無料)で視聴するユーザーが他のドラマに比べて多いことが分かりました。詳しく調べてみると無料動画配信サービスTverの5月のお気に入り登録1位になっていたことが分かりました。テレビで家族と共に見るというよりも、隙間時間に1人でゆっくり見ているユーザーが多かったことが考えられます。
最後に、今期ドラマの認知度と視聴意向を見てみましょう。
今期ドラマも小説やマンガが原作のドラマに期待値高まる
表7 今期ドラマの認知度と視聴意向
サンプル数は21,965
タイトル認知度・視聴意向・期待値共に最も高かったのは、2015年からテレビ朝日系で継続的に放送されている刑事ドラマシリーズ「刑事7人 Season9」でした。タイトル認知度2位の「ばらかもん」と3位の「こっち向いてよ向井くん」は、原作のマンガの認知度が影響していることが想定されます。
日本テレビ系「土曜ドラマ」枠で放送される「最高の教師1年後、私は生徒に■された」は、2019年1月期に放送された話題のドラマ「3年A組 -今から皆さんは、人質です-」を手掛けたプロデューサーと監督の脚本作品ということもあり、視聴意向や期待値が高まっている可能性がありそうです。
視聴意向2位の「ハヤブサ消防団」は、池井戸潤氏によるミステリー小説が原作になっており原作の認知度の高さに加え、ドラマ化に興味を持つユーザーが多いことが考えられます。
今期も小説やマンガが原作になっているドラマの認知度・期待値が高まっており、次回の調査にどのような影響があるのか、引き続き考察をまじえ各ドラマの視聴実態をお伝えしていきたいと思っています。
【データ集計定義】
調査対象者:株式会社ヴァリューズのモニター 全国の15歳以上の男女
調査対象ドラマ:フジテレビ・テレビ朝日・TBS・日本テレビの4局で、21時開始枠または22時開始枠に放送された/される予定のドラマ
調査期間2023/6/22(木)~2023/6/26(月)
調査デバイス:スマートフォンおよびPC
回収サンプル数:21,965ss
ウェイトバック集計:当調査では性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計を行っている。掲載している数値はすべてウェイトバック後の結果となっている。
制作会社でUIUXデザインやWebサイトの施策立案を経験後、ヴァリューズにジョイン。セミナーのサポートやTVドラマランキングの執筆などを担当しています。