中国Z世代の新しい消費トレンド「逆消費」とは

中国Z世代の新しい消費トレンド「逆消費」とは

2023年の年末から中国のSNSで「逆消費」というホットトピックが現れ、今日まで人気が続いています。急速に変化している中国社会では常に新しい消費観念や消費トレンドが生まれており、この記事では現在の中国のZ世代において最も流行している消費トレンドである「逆消費」について紹介します。


【無料ダウンロード】デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編|ホワイトペーパー

https://manamina.valuesccg.com/articles/3770

国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)

逆消費とは?

逆消費とは伝統的な消費とは対照的な消費パターンを指します。伝統的な消費パターンは世俗的な価値観に基づいて自分の欲しいものを自由に消費し、豊かな生活を送り、社会的地位を証明することです。たとえばブランド商品や高価な高級品を購入することはその価値観に基づいて行った消費行動です。

消費学の記号論によれば、人々が高級品を購入する際には高級品自体ではなく、それを社会的地位の象徴として消費する傾向があるといわれています。したがって伝統的な消費パターンの目的は、主に自分の生活がどのように豊かであるかを示し、自分の優位性を他人にひけらかすことだといえるでしょう。

一方、逆消費は上記の消費観とは対照的であり、その消費目的は自慢したり社会的地位を証明することではなく、自分が必要とするものだけを購入することです。たとえば高級品だからという理由でを購入することはせず、コストパフォーマンスの良い商品を選択し購入するといったことが逆消費の消費観といえます。

ではSNSで逆消費の考え方が広く普及するにつれて、中国のZ世代の消費者の消費行動に具体的な変化は生じたでしょうか?

逆消費の影響

高級品を購入しない

中国人は長い間高級品を熱心に消費する消費者と見なされており、普通の給料の一般人でも節約して高級品を購入していました。そのため中国の街には高級ブランドのアイテムを持つ人がいたるところに見られました。このような中国消費者の購買力により、高級ブランドのルイ・ヴィトンの収益は、2010年には200億ユーロを突破しました。ルイ・ヴィトンのトップであるArnault氏もインタビューで「現在の中国は世界で最も興味深い場所であり、多くの人々が高級品を買うために列に並んでいる。」と述べたことがあります。しかし2022年から中国の消費者の高級品への熱意は急激に減少しました。中国の個人向け高級品市場は初めて10%の減少を記録し成長期が終わりました。高級品を購入するために列をなしていた若者たちもまるで一夜の間に姿を消したかのようで、中古の高級品店にも来客が途絶えています。

中国ブランドを選択する

過去、中国ブランドは中国の消費者に好まれていませんでした。価格は安いですが、若者たちに人気があまり高くありませんでした。しかし近年、中国経済の発展と中国ブランドへの投資や宣伝の増加に伴い、この状況は大きく変化しました。多くの中国ブランドが消費者に認知され、優れた品質と高いコストパフォーマンスが認められるようになりました。そして多くの若者が自分の好きな中国ブランドをソーシャルメディアで紹介するようになり、高価な海外ブランドよりコストパフォーマンスの高い中国ブランドの方が若者に好意的に認められはじめています。

中国のインスタグラム「レッド」における中国ブランドと海外ブランドの対比投稿

中古取引や共有経済の発展

逆消費の影響を受けて新しい消費者は持続可能な消費スタイルに関心を持ち、必要がない商品の購入を減らし、リサイクルを促進しています。そのような逆消費者は消費主義及び浪費行為にSNSでそれらの行動に対し反対しています。彼らは共有経済やレンタル、中古取引などの手段を選ぶことを好み、浪費と資源の消費を減らしています。中国では中古取引は比較的新しい事業領域に属していますが、急速に発展しており、さまざまな中古取引プラットフォームが登場しています。オンライン取引の例を挙げると、2022年の中国の中古品取引規模は4802億元に達し、ユーザー数は2.63億人で、それぞれ前年比20%と17.9%増加しています。「中古品を買う、中古品を使う」という考え方はますます多く新しいの消費者、特に若い世代に受け入れられ、生活のトレンドとして発展しています。

中国のインスタグラム「レッド」における中古取引アプリの紹介に関する投稿

なぜ逆消費が現れたのか?

逆消費が現れる理由の一つは経済不景気が原因だと考えられます。そのような経済景気の中、節制消費の主な原因は消費者の消費能力の低下や経済状況への反応です。経済が繁栄し、個人の収入が安定して成長する時期には人々は将来に楽観的な態度を持ちがちであり、これらの心理状態が、消費者を高価な商品やサービスを購入し生活を楽しむ消費行動へと促します。
しかし新型コロナウイルスの影響や世界的な政治の不安定要因が強まる中で、現在の中国の経済全体は以前よりも不確実性に満ちています。経済成長の減速や雇用市場の不安定、個人の経済状況の変動といった将来の不確実性への懸念、このような状況下では消費者は理性的な消費を行い、逆消費を支持する傾向があると考えられます。

もう一つの理由として、SNSの発展が理性的な消費観念の普及を促していると考えられます。過去SNSは人々を盲目的な競争や過剰消費に駆り立て、ブランドのマーケティングや広告が多くの若い消費者を非理性的に消費させました。しかし時代の発展とともに中国の新しい消費者、特にZ世代の世情に対する認知レベルが向上し、彼らは慣れ親しんだマーケティング手法の中で消費主義の罠を見抜くようになりました。実際数十年にわたる電子商取引消費主義の狂騒を経験し、毎年恒例の「ダブルイレブン」ショッピングイベントの熱狂も徐々に沈静化しています。今日SNS上のショッピングシェアはもはや「爆買」のスローガンは衰退傾向にあり、高価なブランドの価値に対する疑問が投げかけられることもあり、高価な商品を盲目的に消費する人々はしばしば批判されています。一方、逆消費の理念はSNSで注目され、若者たちの新しい消費観念となっています。

まとめ

逆消費は一部の高価なものを盲目的に購入する経済などの衰退を招く一方で、コストパフォーマンスの良い製品の購入意向の増大や中古市場の新興など、他の経済の発展を促進しています。それらは、逆消費者は消費に対してより理性的なアプローチを取り始め、持続可能な消費スタイルの発展を促進するため、ポジティブな兆候かもしれません。しかし単純に消費能力の低下や経済不景気を反映している場合もあり、それはマイナスな兆候とも考えられるかもしれません。
中国のような巨大な経済体に対して、現時点では明確な結論を導くことは難しいかもしれません。中国の経済状況に引き続き注目し、様々な兆候をとらえ、それらの影響を引き続き見守る必要があります。

参考資料

参考资料:
当年轻人开始反向消费,品牌能做点什么?
https://www.cbndata.com/information/292360
LV暴跌,“卖不动”成奢侈品常态?
https://www.cbndata.com/information/292386
二手交易商机多
http://www.xinhuanet.com/fortune/20240414/728c6cdf65ce431ba1ea71ebfcabf51d/c.html

【Z世代をより理解したい方へ】総ページ数140P以上のZ世代ホワイトペーパーの無料ダウンロード

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。今回、国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。

ホワイトペーパーの詳細・ダウンロードは
データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編」を公開をチェック

この記事のライター

広東省出身の中国人留学生。現在は名古屋大学でメディアを専攻している。

関連するキーワード


中国トレンド調査 中国市場

関連する投稿


中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

2026年、中国の自動車市場は歴史的なターニングポイントを迎えました。2026年7月のデータによると、新車と中古車の取引比率が初めて1:1に達しました。この構造的変化の背景にはどのような要因が隠されているのでしょうか。そして、この変化は業界エコシステムの再構築にどのような可能性をもたらすのでしょうか。さらに、中国の中古車市場が直面する新たな機会、課題、そして取り組むべきテーマとは何なのか、この全く新しい領域についてレポートをします。


中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国では、冷蔵牛乳やチーズ、バターなどはもちろん、日本では馴染みのない、常温保存が可能で半年以上鮮度を保つロングライフの牛乳やヨーグルトも親しまれています。基礎的な栄養補給が目的だった乳製品は、消費者のニーズに伴ってより高い付加価値が求められるようになりました。この記事では、現在の中国乳製品市場のトレンドを紹介します。


中国で抹茶が若者を中心に人気拡大。その魅力は?

中国で抹茶が若者を中心に人気拡大。その魅力は?

近年、中国の抹茶人気が高まっています。抹茶飲料だけでなく、アイス、ジェラート、チョコ、ラテ、お酒など数えきれないほどの抹茶商品が登場しており、「万物皆可抹茶(なんでも抹茶味にできる)」という言葉ができるほどです。この記事では、このような抹茶人気の背景にある要因を紹介します。


中国の犬猫3000万匹がシニア期へ、進化するペット終活最新事情

中国の犬猫3000万匹がシニア期へ、進化するペット終活最新事情

今、中国ではペットの老いが大きなテーマになっています。たくさんの犬や猫がシニア期を迎え、ペット業界もかわいがるだけのフェーズから、最期まで寄り添うケアへと変わってきました。ペット保険、フードと健康管理、そしてペット葬儀。広がり続けるこの市場で、今最も注目されている変化をレポートします。


中国で大ブーム!食べて健康になる薬食同源(やくしょくどうげん)と最新トレンド

中国で大ブーム!食べて健康になる薬食同源(やくしょくどうげん)と最新トレンド

中国で今、伝統的な健康思想「薬食同源」が大ブームを巻き起こしています。急速な高齢化を背景に健康寿命を延ばしたいシニア世代だけでなく、日々の疲れやストレスを抱える若者たちの間でも、タイパ抜群の手軽な養生スタイルとして急速に浸透中。2024年には主要ECだけで1兆円を超える巨大市場へと成長しました。本記事では、老舗の若返りやヒット商品の動向など、進化を続ける中国の最新健康トレンドを解説します。


最新の投稿


生成AI活用、事業成果への到達は24.1% 88.4%が投資増・新規投資を予定【Macbee Planet調査】

生成AI活用、事業成果への到達は24.1% 88.4%が投資増・新規投資を予定【Macbee Planet調査】

株式会社Macbee Planetは、企業でマーケティングや宣伝に携わり、直近12カ月に業務で生成AIを利用した方を対象に、「生成AIの事業成果への貢献調査」を実施し、結果を公開しました。


radiko、番組グッズを購入できる「radiko EC mall」開始 企画・制作から販売まで支援

radiko、番組グッズを購入できる「radiko EC mall」開始 企画・制作から販売まで支援

株式会社radikoは、同社が提供する「radiko(ラジコ)」にて、番組や放送局等のグッズを購入できる新サービス「radiko EC mall」の提供を開始したことを発表しました。


紙袋は「歩く広告」?49.8%が販促・広告効果ありと回答【NEXER Group・くま袋調査】

紙袋は「歩く広告」?49.8%が販促・広告効果ありと回答【NEXER Group・くま袋調査】

株式会社NEXER Groupは、全国の男女を対象に「紙袋・ショッパーの広告・ブランディング効果に関するアンケート」を実施し、結果を公開しました。


AIサブスク選択率35.5%、ゲーム超え ChatGPTは8位【benribook調べ】

AIサブスク選択率35.5%、ゲーム超え ChatGPTは8位【benribook調べ】

benribook(便利ブック)は、同社が提供するサブスク棚卸しツール「サブスクイック」の匿名選択操作ログから集計した「サブスクリプション利用実態調査2026」を公開しました。


企業担当者の75.6%が「noteは検索上位やAI検索に引用・掲載されやすい」と回答【PRIZMA調べ】

企業担当者の75.6%が「noteは検索上位やAI検索に引用・掲載されやすい」と回答【PRIZMA調べ】

株式会社PRIZMAは、企業のnote運用(記事の企画・執筆・管理など)に携わっている担当者・責任者を対象に、「企業のnote運用における実態」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ