【無料ダウンロード】デジタル・トレンド白書2024 – Z世代トレンド・SNS動向編|ホワイトペーパー
https://manamina.valuesccg.com/articles/3770国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。(「Z世代トレンド・SNS動向編」ページ数|140P)
逆消費とは?
逆消費とは伝統的な消費とは対照的な消費パターンを指します。伝統的な消費パターンは世俗的な価値観に基づいて自分の欲しいものを自由に消費し、豊かな生活を送り、社会的地位を証明することです。たとえばブランド商品や高価な高級品を購入することはその価値観に基づいて行った消費行動です。
消費学の記号論によれば、人々が高級品を購入する際には高級品自体ではなく、それを社会的地位の象徴として消費する傾向があるといわれています。したがって伝統的な消費パターンの目的は、主に自分の生活がどのように豊かであるかを示し、自分の優位性を他人にひけらかすことだといえるでしょう。
一方、逆消費は上記の消費観とは対照的であり、その消費目的は自慢したり社会的地位を証明することではなく、自分が必要とするものだけを購入することです。たとえば高級品だからという理由でを購入することはせず、コストパフォーマンスの良い商品を選択し購入するといったことが逆消費の消費観といえます。
ではSNSで逆消費の考え方が広く普及するにつれて、中国のZ世代の消費者の消費行動に具体的な変化は生じたでしょうか?
逆消費の影響
■高級品を購入しない
中国人は長い間高級品を熱心に消費する消費者と見なされており、普通の給料の一般人でも節約して高級品を購入していました。そのため中国の街には高級ブランドのアイテムを持つ人がいたるところに見られました。このような中国消費者の購買力により、高級ブランドのルイ・ヴィトンの収益は、2010年には200億ユーロを突破しました。ルイ・ヴィトンのトップであるArnault氏もインタビューで「現在の中国は世界で最も興味深い場所であり、多くの人々が高級品を買うために列に並んでいる。」と述べたことがあります。しかし2022年から中国の消費者の高級品への熱意は急激に減少しました。中国の個人向け高級品市場は初めて10%の減少を記録し成長期が終わりました。高級品を購入するために列をなしていた若者たちもまるで一夜の間に姿を消したかのようで、中古の高級品店にも来客が途絶えています。
■中国ブランドを選択する
過去、中国ブランドは中国の消費者に好まれていませんでした。価格は安いですが、若者たちに人気があまり高くありませんでした。しかし近年、中国経済の発展と中国ブランドへの投資や宣伝の増加に伴い、この状況は大きく変化しました。多くの中国ブランドが消費者に認知され、優れた品質と高いコストパフォーマンスが認められるようになりました。そして多くの若者が自分の好きな中国ブランドをソーシャルメディアで紹介するようになり、高価な海外ブランドよりコストパフォーマンスの高い中国ブランドの方が若者に好意的に認められはじめています。
中国のインスタグラム「レッド」における中国ブランドと海外ブランドの対比投稿
■中古取引や共有経済の発展
逆消費の影響を受けて新しい消費者は持続可能な消費スタイルに関心を持ち、必要がない商品の購入を減らし、リサイクルを促進しています。そのような逆消費者は消費主義及び浪費行為にSNSでそれらの行動に対し反対しています。彼らは共有経済やレンタル、中古取引などの手段を選ぶことを好み、浪費と資源の消費を減らしています。中国では中古取引は比較的新しい事業領域に属していますが、急速に発展しており、さまざまな中古取引プラットフォームが登場しています。オンライン取引の例を挙げると、2022年の中国の中古品取引規模は4802億元に達し、ユーザー数は2.63億人で、それぞれ前年比20%と17.9%増加しています。「中古品を買う、中古品を使う」という考え方はますます多く新しいの消費者、特に若い世代に受け入れられ、生活のトレンドとして発展しています。
中国のインスタグラム「レッド」における中古取引アプリの紹介に関する投稿
なぜ逆消費が現れたのか?
逆消費が現れる理由の一つは経済不景気が原因だと考えられます。そのような経済景気の中、節制消費の主な原因は消費者の消費能力の低下や経済状況への反応です。経済が繁栄し、個人の収入が安定して成長する時期には人々は将来に楽観的な態度を持ちがちであり、これらの心理状態が、消費者を高価な商品やサービスを購入し生活を楽しむ消費行動へと促します。
しかし新型コロナウイルスの影響や世界的な政治の不安定要因が強まる中で、現在の中国の経済全体は以前よりも不確実性に満ちています。経済成長の減速や雇用市場の不安定、個人の経済状況の変動といった将来の不確実性への懸念、このような状況下では消費者は理性的な消費を行い、逆消費を支持する傾向があると考えられます。
もう一つの理由として、SNSの発展が理性的な消費観念の普及を促していると考えられます。過去SNSは人々を盲目的な競争や過剰消費に駆り立て、ブランドのマーケティングや広告が多くの若い消費者を非理性的に消費させました。しかし時代の発展とともに中国の新しい消費者、特にZ世代の世情に対する認知レベルが向上し、彼らは慣れ親しんだマーケティング手法の中で消費主義の罠を見抜くようになりました。実際数十年にわたる電子商取引消費主義の狂騒を経験し、毎年恒例の「ダブルイレブン」ショッピングイベントの熱狂も徐々に沈静化しています。今日SNS上のショッピングシェアはもはや「爆買」のスローガンは衰退傾向にあり、高価なブランドの価値に対する疑問が投げかけられることもあり、高価な商品を盲目的に消費する人々はしばしば批判されています。一方、逆消費の理念はSNSで注目され、若者たちの新しい消費観念となっています。
まとめ
逆消費は一部の高価なものを盲目的に購入する経済などの衰退を招く一方で、コストパフォーマンスの良い製品の購入意向の増大や中古市場の新興など、他の経済の発展を促進しています。それらは、逆消費者は消費に対してより理性的なアプローチを取り始め、持続可能な消費スタイルの発展を促進するため、ポジティブな兆候かもしれません。しかし単純に消費能力の低下や経済不景気を反映している場合もあり、それはマイナスな兆候とも考えられるかもしれません。
中国のような巨大な経済体に対して、現時点では明確な結論を導くことは難しいかもしれません。中国の経済状況に引き続き注目し、様々な兆候をとらえ、それらの影響を引き続き見守る必要があります。
参考資料
参考资料:
当年轻人开始反向消费,品牌能做点什么?
https://www.cbndata.com/information/292360
LV暴跌,“卖不动”成奢侈品常态?
https://www.cbndata.com/information/292386
二手交易商机多
http://www.xinhuanet.com/fortune/20240414/728c6cdf65ce431ba1ea71ebfcabf51d/c.html
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ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。今回、国内外におけるZ世代の消費トレンド、Instagram、TikTok等SNSの利用実態など、2024年に反響の高かった16本のデジタル動向調査をピックアップし、白書として収録しました。
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広東省出身の中国人留学生。現在は名古屋大学でメディアを専攻している。