カスタマーサクセスとは何?
カスタマーサクセスは、直訳すると「顧客の成功」です。顧客が抱えている課題を克服できるように、能動的に働きかけてサービスや製品の利用の継続、また収益の最大化を図るシステムや概念のことを指します。
企業側から顧客側にコミュニケーションを図り、見込み顧客の購買意欲を促進させます。そのためには成功体験をしてもらうことが必要。カスタマーサクセスは、ユーザーが使いやすさを感じてサービスを使い続けたいと思ってもらうために、企業が行う活動を示す概念だと言えるでしょう。
従来のビジネスでは、商品やサービスを買い取って使うというシーンが多くみられました。しかしサブスクリプションモデルは、サービスを利用することが基本的な考えです。ユーザーが使い続けている状態が大切なので、サービスを満足して使い、顧客が成功することが大切になります。
いかに買ってもらうかという考え方から、いかに長く使ってもらうかという考え方にビジネスシーンが変化しているため、カスタマーサクセスの重要性が高まっているのです。
カスタマーサポートとの違いは?
同じカスタマーという言葉が付く単語には、カスタマーサポートがあります。しかしカスタマーサポートは、ユーザーからの企業への問い合わせなので、カスタマーサクセスとは流れが異なります。
■成功体験をしてもらう
カスタマーサポートでは、不満となる点を解決することで、顧客満足度を上げていきます。しかしカスタマーサクセスは、顧客が成功することで、自動的に顧客の満足度も上がります。顧客の満足度が上がると、もっと良い成功をしていきたいと感じるので、アップセルやクロスセルなどの単価を上げる取り組みにつながるのです。
■カスタマーサポートは守り
カスタマーサポートは、問い合わせやクレームが合って初めてアクションが起こされます。企業側としては、受動的なものです。しかしカスタマーサクセスでは、顧客の成功のために、能動的に働きかけることがポイントです。アクションの面で考えると、カスタマーサポートは守りでしょう。
しかしカスタマーサクセスの場合は、顧客が成功したり、課題をクリアしたりするのが目的です。企業側から、顧客側に積極的に働きかけるので、カスタマーサポートは考え方が異なります。
カスタマーサクセスを導入し成功したサービス
カスタマーサクセスを成功させた事例は、どのようなものがあるでしょうか?
■Netflix
定額制の動画配信サービスをしているのが「Netflix」(ネットフリックス)です。アメリカで誕生したネットフリックスは、世界の190カ国以上で配信事業をする企業へと成長しました。主な特徴は、スマホやパソコン、タブレットなどでもネットに接続していれば、どこからでも動画を見れるというものです。
動画は見放題で、毎月新作が出るので、飽きることもありません。メンバーシップに加入することで、サービスを利用することができます。ベーシックプランの場合は、1度に接続することができる台数は1台のみですが、プレミアムプランを選ぶと、4つのデバイスで同時に視聴できます。
このアップセルの設定は、ユーザーのライフスタイルにマッチしていることから成功したと考えられるでしょう。ユーザーが成功体験をすることで、サービスを利用し続けたいと感じさせることが可能なのです。
■Sansan
「Sansan」は、法人向けのクラウド名刺管理サービスです。社内の名刺を集約することで、情報を活用していくためのサービスです。およそ7000社という多数の企業に採用されています。
サービスの特徴として、社内の人脈が可視化されることで組織的に営業が行えます。例えば、社内の別部署での取引実績も、人脈データを集約して管理しているためすぐに分かります。Sansanを使えば企業全体のつながりの活用が容易になり、アップセルやクロスセルにつなげることが可能になりました。
顧客同士のつながりをさらに強めて、利益を生み出すというユーザーの成功体験が、Sansanを成功させた秘訣とも言えるでしょう。
■freee
freee社は、会計の知識がない方でも簡単に会計処理を行えるように、個人や中小企業向けの会計ソフト「freee」を提供しています。個人事業主や中小企業といった会計の知識が少ない顧客が抱える、会計作業に時間を割きたくないというニーズを満たしています。
freeeでは顧客のログイン状況や取引登録などから顧客のつまずきを点数化しています。そして点数が高い顧客には、障壁となっている点を直接聞いて解決するシステムです。得られた情報を元に製品の改良に反映して、使いやすく満足できるソフトになるようにしていることが、カスタマーサクセスの成功の要因でしょう。
■Adobe
Adobe社はプロ向けの画像のソフトウェアを提供しています。画像を扱うプロは、ソフトを購入し、インストールしてセットアップを行います。しかし新しいバージョンが出るたびに新しいパッケージを購入する必要があり、コストの問題から旧バージョンを使い続けるという状況が見られました。
そこでAdobe社は、クラウド上でソフトウェアを提供する「Creative Cloud」をスタートさせます。月額で導入することができ、いつでも最新バージョンのソフトを使えるというのがメリットでした。
月定額制でコスト負担が楽になり、また最新のバージョンをいつでも使えるということが、クリエイターの成功体験をもたらすこととなったのです。
顧客の満足度だけでなく業績も向上させる
カスタマーサクセスは、顧客の成功を目的としています。最終的には、サポートしている顧客の課題をクリアして、併走するようにしてサービスを提供することができるのが目的です。カスタマーサクセスを導入し顧客の業績を向上させることで、長く、満足してサービスを利用してもらうことができるのです。
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カスタマーサクセスのKPIに使う指標とは?チャーンレート・LTVなど
https://manamina.valuesccg.com/articles/313顧客の成功を支援するカスタマーサクセスですが、その結果として契約更新を目指すだけが目的ではありません。カスタマーサクセスのKPIとしては顧客生涯価値を最大化するLTV、解約率を見るチャーンレート、オンボーディング完了率、アップセル/クロスセル率などの指標を使います。
「カスタマーサクセス(CS)」は、日本ではまだ完全には浸透していない顧客との関係性であり、新しいビジネスモデルです。しかし、サブスクリプション型のビジネスにおいては欠かすことができませんし、カスタマーサクセスは注目されていることからも理解しておきたいと考える人も多いでしょう。 そこで今回は、カスタマーサクセスを理解することができるおすすめの本を紹介していきます。
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