関心ワード1位は「キッシュ」、2位は「クリームチーズ」
まず、料理好きなユーザーの関心キーワードをランキングにしてみました。次の図をご覧ください。
※特徴値とは、「料理が好き」と答えたユーザーを全体のユーザーと比べた時に、興味度合いを示す値です。すなわち、この特徴値が高ければ高いほど、「料理好きユーザー特有の」キーワードだと言うことになります。
料理好きのユーザーがもっとも関心を持っているワードは、「キッシュ」でした。
キッシュは、パイ生地やタルト生地の中に卵ベースの具材を流し込んでオーブンで焼く、フランス発祥の料理。駅ナカのパン屋さんで売っているのを、最近はよく見かけるようになりました。
2位には、クリームチーズがランクイン。
次の段落でご紹介する「ワードネットワーク」を見てみると、キッシュに入れたり、酒粕と一緒につまみにしたりと幅広く使うことのできる食材としてクリームチーズは注目されている様子。
日常の食卓でよく登場しそうな「鶏胸肉」や「いわし」、「作り置き」などのワードが上位に入っている一方、「キッシュ」や「ローストチキン」などおもてなし料理も興味を引いているようです。
“おもてなし”料理と“作り置き”料理に興味が分かれる
続いて見ていくのは、「ワードネットワーク」というキーワード同士の関連性を示した図。
この図では、検索行動やコンテンツの分析結果から判明した「関連性の近い」ワード同士が結ばれています。
例えば、関心ワードランキング2位に入っていた「クリームチーズ」は、1位の「キッシュ」とも繋がっていますが、「酒粕」や「生ハム」とも繋がっています。
これを見ると、料理好きなユーザーはクリームチーズを使った“おもてなし”料理を作りたいのではないかという推測ができます。クリームチーズはクラッカーに塗るだけでなく、ちょっとしたおつまみにもなることに、料理好きなユーザーは注目しているのかもしれません。
また、「ひき肉」や「鶏胸肉」といったワードは「作り置き」「おかず」などのワードに繋がっていて、かしこく作り置きおかずを作ろうとしていることがわかってきます。
料理が好きだからこそ、平日や忙しい時にはかしこく作り置きおかずを活用し、お客さんを呼ぶ時や週末は、ちょっと豪華なおもてなし料理をつくる。そんな風に、つくる料理をうまく使い分けているのではないでしょうか。
そうだとすると、同じ食材で「おもてなし料理」も「作り置き」もできるという提案レシピがあると、ユーザーの興味を引くことができるかもしれません。
関連が強いワードから作りたいレシピが見えてくる
次にご紹介するのが、階層クラスタリングという図。隣にあるキーワードとの関連性が強く、括られているキーワード同士の関連性が強いことを表しています。
この図に並んでいるワードの関係性から、キッシュに入れる材料を悩んでいるのではないかという仮説や、「サイドメニューはローストビーフとローストチキン、どちらがいいのだろう?」と悩んでいるユーザーの姿を推測することがでます。
また、上から「おかず」までの括りと、酒粕からパイナップルの括りが分かれていることから、和洋のおかずへのニーズと、健康的な食べ物に対するニーズが分かれていることも見えてきます。
女性の若年層は、“おもてなし”料理に興味
次に、それぞれのワードに関心を持つ人を性別・年代で分析していきましょう。
この図では、縦軸に平均年齢を、横軸に性別を取り、ワードごとにプロットしました。上にプロットされているほど、そのワードに興味を持つ人の年齢が高く、右にプロットされるほど女性割合が多いことになります。
圧倒的に、どのワードに関しても女性の関心度が高いことがわかります。
また、比較的若い40代くらいの世代の女性が「クリームチーズ」などの洋風な食べ物を検索し、「いわし」や「黒酢」を検索している平均年齢は高めに出ています。
作り置きをするための食材、例えば「ひき肉」や「鶏胸肉」は中間くらいに置かれているのを見ると、幅広い世代が作り置きに興味を示していることがわかります。
SEOの狙い目ワードは「炊き込みご飯」
最後に、ワードの競合性をマッピングしました。
この図は縦軸にGoogle検索ボリューム、横軸に競合性をとっています(データはGoogleのキーワードプランナーから取得)。
上にプロットされるほどボリュームが多く、右にプロットされるほど検索ワードのリスティング広告での競合性が高いことを意味します。
これらのワードの中でもっともSEO対策に効き目がありそうなのは「炊き込みご飯」でしょう。
競合性も0.01ほどで、検索ボリュームも多いため、狙い目と言えそうです。
ただ、「炊き込みご飯」と検索すると、クックパッドのレシピや大手調味料メーカーのレシピが上位に表示されるため、「作り置き」などのワードと組み合わせることで、よりSEO評価に結びつくのではないでしょうか。
その他の狙い目ワードとしては、「ローストビーフ」や「キッシュ」なども挙げられるでしょう。
まとめ
今回は「料理好き」ユーザーの関心キーワードを分析してみました。
おもてなし料理を作りたい若い年代と、健康的な料理を作りたい年代が分かれており、そのどちらも“作り置き”に注目していることがわかりました。
「炊き込みご飯」や「キッシュ」などの、SEO対策に効果のありそうなキーワードはいくつかありますが、レシピの記事は一定数公開されていることを考え、プラスαの情報を付け加えてあげることがポイントと言えそうです。
本調査結果を今後のマーケティング施策に役立てていただけましたら幸いです。
photo by :pixa bay(https://pixabay.com/)
【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2018年11月〜2019年4月の検索流入データ
※アンケートはインターネットを利用し興味関心項目をアンケートで聴取
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス
フリーランスの編集ライター。食べ物、暮らし、旅のことを中心に執筆。夏はパリとオレゴン、冬はサンディエゴに住む暮らしを夢見ています。