料理が好きな人の関心ワードは?“おもてなし”と“作り置き”の2つに注目!

料理が好きな人の関心ワードは?“おもてなし”と“作り置き”の2つに注目!

料理が好きな人はどんなキーワードを検索しているのでしょうか。今回は料理好きユーザーのインサイトについて調べるため、株式会社ヴァリューズのアンケート調査で「料理に興味がある」と答えたモニターのインターネット行動ログから、彼らが関心を寄せるキーワードを自然言語処理のWord2Vecを用いて分析しました(※行動ログの集計期間は2018年11月〜2019年4月の半年間)。関心キーワード1位は「キッシュ」、2位は「クリームチーズ」。データからは、”おもてなし”料理と”作り置き”料理への興味が示唆されました。


関心ワード1位は「キッシュ」、2位は「クリームチーズ」

まず、料理好きなユーザーの関心キーワードをランキングにしてみました。次の図をご覧ください。

※特徴値とは、「料理が好き」と答えたユーザーを全体のユーザーと比べた時に、興味度合いを示す値です。すなわち、この特徴値が高ければ高いほど、「料理好きユーザー特有の」キーワードだと言うことになります。

料理好きユーザーの 関心ワードトップ10

料理好きのユーザーがもっとも関心を持っているワードは、「キッシュ」でした。

キッシュ

キッシュは、パイ生地やタルト生地の中に卵ベースの具材を流し込んでオーブンで焼く、フランス発祥の料理。駅ナカのパン屋さんで売っているのを、最近はよく見かけるようになりました。

2位には、クリームチーズがランクイン。

クリームチーズ

次の段落でご紹介する「ワードネットワーク」を見てみると、キッシュに入れたり、酒粕と一緒につまみにしたりと幅広く使うことのできる食材としてクリームチーズは注目されている様子。

日常の食卓でよく登場しそうな「鶏胸肉」や「いわし」、「作り置き」などのワードが上位に入っている一方、「キッシュ」や「ローストチキン」などおもてなし料理も興味を引いているようです。

“おもてなし”料理と“作り置き”料理に興味が分かれる

続いて見ていくのは、「ワードネットワーク」というキーワード同士の関連性を示した図。

この図では、検索行動やコンテンツの分析結果から判明した「関連性の近い」ワード同士が結ばれています。

ワードネットワーク

例えば、関心ワードランキング2位に入っていた「クリームチーズ」は、1位の「キッシュ」とも繋がっていますが、「酒粕」や「生ハム」とも繋がっています。

これを見ると、料理好きなユーザーはクリームチーズを使った“おもてなし”料理を作りたいのではないかという推測ができます。クリームチーズはクラッカーに塗るだけでなく、ちょっとしたおつまみにもなることに、料理好きなユーザーは注目しているのかもしれません。

また、「ひき肉」や「鶏胸肉」といったワードは「作り置き」「おかず」などのワードに繋がっていて、かしこく作り置きおかずを作ろうとしていることがわかってきます。

料理が好きだからこそ、平日や忙しい時にはかしこく作り置きおかずを活用し、お客さんを呼ぶ時や週末は、ちょっと豪華なおもてなし料理をつくる。そんな風に、つくる料理をうまく使い分けているのではないでしょうか。

そうだとすると、同じ食材で「おもてなし料理」も「作り置き」もできるという提案レシピがあると、ユーザーの興味を引くことができるかもしれません。

関連が強いワードから作りたいレシピが見えてくる

次にご紹介するのが、階層クラスタリングという図。隣にあるキーワードとの関連性が強く、括られているキーワード同士の関連性が強いことを表しています。

階層クラスタリング

この図に並んでいるワードの関係性から、キッシュに入れる材料を悩んでいるのではないかという仮説や、「サイドメニューはローストビーフとローストチキン、どちらがいいのだろう?」と悩んでいるユーザーの姿を推測することがでます。

また、上から「おかず」までの括りと、酒粕からパイナップルの括りが分かれていることから、和洋のおかずへのニーズと、健康的な食べ物に対するニーズが分かれていることも見えてきます。

女性の若年層は、“おもてなし”料理に興味

次に、それぞれのワードに関心を持つ人を性別・年代で分析していきましょう。

この図では、縦軸に平均年齢を、横軸に性別を取り、ワードごとにプロットしました。上にプロットされているほど、そのワードに興味を持つ人の年齢が高く、右にプロットされるほど女性割合が多いことになります。

性別・年代別関心ワードマップ

圧倒的に、どのワードに関しても女性の関心度が高いことがわかります。

また、比較的若い40代くらいの世代の女性が「クリームチーズ」などの洋風な食べ物を検索し、「いわし」や「黒酢」を検索している平均年齢は高めに出ています。

お弁当

作り置きをするための食材、例えば「ひき肉」や「鶏胸肉」は中間くらいに置かれているのを見ると、幅広い世代が作り置きに興味を示していることがわかります。

SEOの狙い目ワードは「炊き込みご飯」

最後に、ワードの競合性をマッピングしました。

この図は縦軸にGoogle検索ボリューム、横軸に競合性をとっています(データはGoogleのキーワードプランナーから取得)。

上にプロットされるほどボリュームが多く、右にプロットされるほど検索ワードのリスティング広告での競合性が高いことを意味します。

キーワードの競合生マッピング

これらのワードの中でもっともSEO対策に効き目がありそうなのは「炊き込みご飯」でしょう。
競合性も0.01ほどで、検索ボリュームも多いため、狙い目と言えそうです。

炊き込みご飯

ただ、「炊き込みご飯」と検索すると、クックパッドのレシピや大手調味料メーカーのレシピが上位に表示されるため、「作り置き」などのワードと組み合わせることで、よりSEO評価に結びつくのではないでしょうか。

その他の狙い目ワードとしては、「ローストビーフ」や「キッシュ」なども挙げられるでしょう。

まとめ

今回は「料理好き」ユーザーの関心キーワードを分析してみました。

おもてなし料理を作りたい若い年代と、健康的な料理を作りたい年代が分かれており、そのどちらも“作り置き”に注目していることがわかりました。

「炊き込みご飯」や「キッシュ」などの、SEO対策に効果のありそうなキーワードはいくつかありますが、レシピの記事は一定数公開されていることを考え、プラスαの情報を付け加えてあげることがポイントと言えそうです。

本調査結果を今後のマーケティング施策に役立てていただけましたら幸いです。

photo by :pixa bay(https://pixabay.com/

【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2018年11月〜2019年4月の検索流入データ
※アンケートはインターネットを利用し興味関心項目をアンケートで聴取
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス

この記事のライター

フリーランスの編集ライター。食べ物、暮らし、旅のことを中心に執筆。夏はパリとオレゴン、冬はサンディエゴに住む暮らしを夢見ています。

関連する投稿


今のSEO施策、うまくいってる?PDCAを回す際に見るべき指標を解説|「2023年9月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

今のSEO施策、うまくいってる?PDCAを回す際に見るべき指標を解説|「2023年9月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

今のSEO施策がうまくいっているのか、自信を持てないマーケターも多いのではないでしょうか。SEOのPDCAを回す際には見ておくべきポイントがあります。今回は、ヴァリューズのマーケティングコンサルタントが “どういった指標”を“何で見れば良いか”を徹底解説。今のSEO施策を続けるべきか、改善するにはどうすればよいかが分かるようになります。


第1回 モノを買う時の無意識の行動まで明らかに!? アンケートの弱みを補完する「購買プロセス調査」

第1回 モノを買う時の無意識の行動まで明らかに!? アンケートの弱みを補完する「購買プロセス調査」

多様な情報収集チャネルと購買アクションのオンライン化により、複雑さを増すカスタマージャーニー。「最近、お客様の顔が見えてこない。行動がよくわからない」という声も多く耳にします。ヒアリングしたい内容をピンポイントに確認できるアンケート調査と、無意識下や記憶に頼らないWeb行動ログ調査を組み合わせた「購買プロセス調査」なら、生活者の意思決定の実態を把握することが可能です。第1回ではその特長を事例とともにご紹介します。


「アミノ酸」関心層は「アミノ酸についてモヤモヤしている」?マーケティング成功のカギを探る

「アミノ酸」関心層は「アミノ酸についてモヤモヤしている」?マーケティング成功のカギを探る

食品・化粧品メーカーのマーケターや新しいもの好きな人、ヘルスコンシャスな人に向けて、食品のトレンドを分析します。今回のテーマは「アミノ酸」。ダイエットや美容に良い効果をもたらすと言われている「アミノ酸」について調べている人は、「アミノ酸」の何を知りたいと思っているのでしょうか。市場を調査します。


データ分析のヴァリューズ、「デジタル・トレンド白書2023 - 消費財・耐久消費財編」を公開

データ分析のヴァリューズ、「デジタル・トレンド白書2023 - 消費財・耐久消費財編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から3回目を迎える「デジタル・トレンド白書2023」は、Z世代・ライフスタイル編、消費財・耐久消費財編の2部構成になっています。※レポートは無料でダウンロード頂けます。(第2部:ページ数|109p)


食品メーカーのデジタルマーケティング事例 サッポロホールディングスのレシピ提案アプリ「うちれぴ」の狙いと効果は?

食品メーカーのデジタルマーケティング事例 サッポロホールディングスのレシピ提案アプリ「うちれぴ」の狙いと効果は?

サッポロホールディングス(株)がリリースした、”がんばらない”ごはん作りアプリ、「うちれぴ」。「家族」をキーワードとした他レシピアプリとの差別化や、他の食品メーカー・レシートアプリ・調理家電との提携方法について解説し、ヴァリューズのデータからユーザー特性を分析した上で、今後の可能性を考察しました。


最新の投稿


生成AI検索体験(SGE)の認知は約4割 SGEが本実装されても自分の目で情報を探す傾向あり【ナイル調査】

生成AI検索体験(SGE)の認知は約4割 SGEが本実装されても自分の目で情報を探す傾向あり【ナイル調査】

ナイル株式会社は、Googleの新たな取り組みである生成AIによる検索体験「SGE(Search Generative Experience )」の認知度と、SGE使用時のユーザー検索行動についてアンケート調査を実施。その結果を公開しました。


Webマーケティング施策の導入が営業活動・売上に良い影響を与えたとBtoB企業担当者の8割が回答【テクロ調査】

Webマーケティング施策の導入が営業活動・売上に良い影響を与えたとBtoB企業担当者の8割が回答【テクロ調査】

テクロ株式会社は、BtoB企業のマーケティング担当者を対象に、「マーケティング業務に関するアンケート」を実施し、調査結果を発表しました。


b8ta、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」と協業を開始

b8ta、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」と協業を開始

b8ta Japanは、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」を運営する株式会社マクアケと2023年9月25日(月)に協業を開始しました。


今のSEO施策、うまくいってる?PDCAを回す際に見るべき指標を解説|「2023年9月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

今のSEO施策、うまくいってる?PDCAを回す際に見るべき指標を解説|「2023年9月 コンテンツマーケティング最新動向レポート」

今のSEO施策がうまくいっているのか、自信を持てないマーケターも多いのではないでしょうか。SEOのPDCAを回す際には見ておくべきポイントがあります。今回は、ヴァリューズのマーケティングコンサルタントが “どういった指標”を“何で見れば良いか”を徹底解説。今のSEO施策を続けるべきか、改善するにはどうすればよいかが分かるようになります。


第1回 モノを買う時の無意識の行動まで明らかに!? アンケートの弱みを補完する「購買プロセス調査」

第1回 モノを買う時の無意識の行動まで明らかに!? アンケートの弱みを補完する「購買プロセス調査」

多様な情報収集チャネルと購買アクションのオンライン化により、複雑さを増すカスタマージャーニー。「最近、お客様の顔が見えてこない。行動がよくわからない」という声も多く耳にします。ヒアリングしたい内容をピンポイントに確認できるアンケート調査と、無意識下や記憶に頼らないWeb行動ログ調査を組み合わせた「購買プロセス調査」なら、生活者の意思決定の実態を把握することが可能です。第1回ではその特長を事例とともにご紹介します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ