3大ECモール(Amazon/楽天市場/Yahoo!ショッピング)を競合サイト分析ツールeMark+で比較してみた

3大ECモール(Amazon/楽天市場/Yahoo!ショッピング)を競合サイト分析ツールeMark+で比較してみた

経済産業省によると、2017年のEC(BtoC)市場規模は、16 兆 5,054 億円。前年と比較すると9.1%の増加、まさに成長市場です。その市場を牽引する3大ECモールといえば、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング。今回はそれぞれのサイトの特徴について、競合サイト分析ツールeMark+を用いて比較します。


【サイト訪問者の数を知ろう】ユーザー数、1人あたりページビュー数が多いのはAmazon

eMark+の「Site Analyzer」は、競合サイト分析でよく使われるメニューです。指定したサイトのユーザー数推移やユーザー属性、流入元などを比較することができ、それぞれのサイトの特徴や時系列変化などを一目で把握することができます。

まずは2018年8月〜2019年7月の1年間のユーザー数推移をみていきます。使用するのは「Site Analyzer」の「ユーザー数推移」です。

・Amazon(www.amazon.co.jp)
・楽天市場(www.rakuten.co.jp)
・Yahoo!ショッピング(shopping.yahoo.co.jp)
それぞれのURLを入力し、当該期間のPCとSPの合計のユーザー数推移、1人あたりページビュー数を表示します。

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングのユーザー数、1人あたりページビュー数

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングのユーザー数、1人あたりページビュー数

期間:2018年8月〜2019年7月

集計対象期間におけるユーザー数推移に大きな変化はみられず、ほぼ横ばいとなっています。
1位はAmazon。Yahoo!ショッピングはAmazonや楽天市場に比べるとユーザー数が半数程度です。

Amazonと楽天市場は、ユーザー数だけをみるとほぼ互角ですが、1人あたりのページビュー数は大きく異なり、Amazonが他サイトを大きく上回っていることがわかります。

では、Amazonのページビューはどのようにその数を増やしているのか、Amazonサイトへ流入する経路を調べてみましょう。

【どこから来たのかを知ろう】流入元分析で各社の流入経路を比較

それぞれのサイトへの流入経路を、「Site Analyzer」の「流入元」で調べます。

比較するサイトのURLと期間を入力しグラフで確認してみましょう。

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの流入元

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの流入元

(集計期間:2019年2月〜2019年7月、デバイス:PC)

楽天市場は一般広告、外部サイトからの流入が多く、Amazonは自然検索からの流入が多いことがわかりました。

外部サイトからの流入について、グラフ下部にランキングを表示しました。

Yahoo!JAPANからYahoo!ショッピングへの流入が1位、楽天市場のマイページ、my Rakutenから楽天市場への流入が2位と続きます。楽天市場は楽天グループサイトからの流入でトータルセッション数を獲得していることがわかります。

一方、検索エンジンであるGoogleからの流入はAmazonが多いことがわかります。

では、Amazonへ流入する際の自然検索に頻出する検索ワードは何なのか。同機能内のキーワードタブから確認します。

Amazonの流入キーワード

Amazonの流入キーワード

(集計期間:2019年2月〜2019年7月、デバイス:PC)

Amazonへの流入キーワードは上図の通りです。

Amazonプライム、Amazonプライムビデオ、Kindle、Amazonミュージックなどサービスサイト名もよく検索されています。

【ユーザーは誰かを知ろう】Yahoo!ショッピングは50代以上の割合が高め

次に、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングそれぞれのユーザー属性を、「Site Analyzer」の「ユーザー属性」機能を用いて比較します。

ユーザー属性機能で表示される項目は、性別、年代、地域、職業、未既婚、子供有無、世帯年収、個人年収の8項目です。

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングのユーザー属性(性別・年代)

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングのユーザー属性(性別・年代)

(集計期間:2018年8月〜2019年7月)

ユーザーの性別には大きな差はなく、男女比は3サイトともほぼ半分の比率。Yahoo!ショッピングが若干男性比率が高いという結果になりました。

年代はYahoo!ショッピングが50代以上のユーザーが多く、Amazonと楽天市場には大きな差はみられませんでした。

【競合サイトとの併用状況を知ろう】半数以上がAmazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングを併用

競合サイト分析でユーザーの重複率をみる併用状況を知ることはとても重要です。

「Site Analyzer」の「併用状況」機能を用いて確認しましょう。

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの併用状況サマリ

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの併用状況サマリ

(集計期間:2019年2月〜2019年7月、デバイス:PC)

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの併用率は非常に高く、集計対象の半年間に3サイトとも利用している割合が55.6%という結果でした。

その中で最も利用されているサイトがAmazonということになります。

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの他サイト併用状況

Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングの他サイト併用状況

(集計期間:2019年2月〜2019年7月、デバイス:PC)

それぞれのサイトからみた併用率もわかります。

楽天市場のユーザーの9割が、Amazonを併用していることがわかります。

また、使用しているのがYahoo!ショッピングのみ、というユーザーは3%にとどまり、現状ではAmazonと楽天市場の2大巨塔と言えそうです。

この記事でご紹介した「Site Analyzer」の「流入元」や「併用状況」は有料機能となっていますが
指定したサイトのユーザー数がわかる「ユーザー数推移」やサイト訪問者の性別、年代、職業などがわかる「ユーザー属性」は、PCのデータであれば無料で利用することができます。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。Dockpitには無料版もありますので、ぜひ以下ボタンよりご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

関連記事

経済圏確立へキャリアが向かう道|EC編(1) コロナ禍がもたらした市場変化

https://manamina.valuesccg.com/articles/884

通信キャリアの経済圏確立へ向けた動向について、第4回ではEC領域を分析してみます。新型コロナウィルス感染拡大防止に伴う外出自粛でさらに欠かせない存在となり、市場成長が見込まれるEC市場。米国では過去5週間に失業給付金申請が2,650万件を記録するなか、Amazonが3月に10万人、4月に7.5万人を採用するなど労働力の受け皿としても期待されています。

Shopifyが伸びている。ネットショップ開設サービスの最新動向を調査

https://manamina.valuesccg.com/articles/893

2017年にカナダから日本に参入したECプラットフォーム「Shopify」。Amazonや楽天市場といった大手プラットフォームを使うよりも費用は格段に安く、更新作業もまるでSNSにアップするかのような手軽さで、特に中小企業の支持を集めています。日本では同様のサービス「BASE」「STORES」も人気です。それらとの違いは?今回はそんな「Shopify」の動向を探ります。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


市場調査 EC eMark+

関連する投稿


ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトにおけるKPI策定のポイント

ECサイトの売り上げをあげるためには、KGIの設定だけではなく、KPIの策定が重要なポイントになります。そこで、気になるKPIの策定ポイントや、課題の洗い出し・分析についてご紹介します。効果的なマーケティング施策にお悩みの方や、ECサイトの売り上げが伸び悩んでいる方はぜひ参考になさってください。


ファッション通販サイトのポジショニングを分析! 20代に人気「GRL」を4P分析で紐解く

ファッション通販サイトのポジショニングを分析! 20代に人気「GRL」を4P分析で紐解く

新型コロナウイルスの蔓延を経て、ファッション業界でもオンラインショッピングの利用が急拡大しました。実店舗よりも選択肢が増える状況下で、多くの支持を集めるブランド「GRL(グレイル)」「ユニクロ」「GU」「SHEIN(シーイン)」に注目し、好調の理由を分析します!


ECのLTVの計算方法とは?LTV向上の事例も解説!

ECのLTVの計算方法とは?LTV向上の事例も解説!

EC事業において重要な指標の一つであるLTV(ライフタイムバリュー)。LTVは顧客が生涯にわたってもたらす総収益を示す指標で、既存顧客のLTVを高めることで売上の維持、拡大につながります。 本記事では、LTVの基本的な概念と計算方法、LTVを高めるため方法について解説し、実際にLTVの向上に成功した事例についても紹介します。LTVの改善施策を考える際に役立てていただければ幸いです。


フリマ市場を比較調査。メルカリとYahoo!系サービス、それぞれの特徴や集客の強みとは?

フリマ市場を比較調査。メルカリとYahoo!系サービス、それぞれの特徴や集客の強みとは?

節約やお小遣い稼ぎの手段としても注目が高まるフリマ市場。「メルカリ」「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」を対象に、フリマ市場の最新動向について調査しました。各サービスのサイト・アプリについて、利用者数やユーザーの人となりに加えて、サイト集客構造の違いについても深掘りし、それぞれの特徴について明らかにしていきます。


副業の注目高まる!ハンドメイド販売サイト「minne」「Creema」「BASE」を比較調査。検討者に違いは?

副業の注目高まる!ハンドメイド販売サイト「minne」「Creema」「BASE」を比較調査。検討者に違いは?

誰でも気軽に売り買いできるハンドメイド販売サイト。副業としてハンドメイド作家に興味を持つ方も多いのではないでしょうか。今回は「minne」「Creema」「BASE」を対象に、どのような人がこれらのサイトを訪問しているのか、それぞれの特徴を分析していきます。


最新の投稿


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

即時払いで決済を行うデビットカード。キャッシュレス決済全体に占める割合はまだまだ低いものの、利用者や利用場面は着実に増加しており、成長の兆しを見せています。本稿では、そんなデビットカードの検討状況について、キャッシュレス決済カテゴリのマーケットリーダーであるクレジットカードと比較し、今後の市場動向を占います。


博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

株式会社博報堂DYメディアパートナーズは、株式会社日本経済新聞社、株式会社東北新社とともに、ドキュメンタリー動画を制作・提供する広告企画「日経ブランドドキュメント」を開発したことを発表しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

株式会社インフォネットは、自社のSEOマーケティングに携わっているマーケティング担当者を対象に、【2024年版】企業のSEO対策トレンド実態調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ