コカ・コーラのオウンドメディアの強みは、なんといっても2016年4月リリースのスマホアプリ「Coke ON」。
対応する自販機26万台で、コカ・コーラ製品を買うたびスタンプが貯まり、15スタンプで1本が無料に。2018年11月からは決済機能「Coke ON Pay」も搭載され、2019年4月からは歩数でもスタンプをゲットできる「Coke ON ウォーク」をリリース。
さらに6月からは製品を撮影すると聖火ランナーに応募できる「オリンピック応援ポイント」機能が加わり、「消費者をよりリアルな場に巻き込んで感動体験を提供するデジタルプラットフォーム」へと進化を遂げています。
コーポレートサイトの記事によると、当初CMで獲得していたユーザーから口コミで利用が広がり、従来のターゲット層である30-40代ビジネスマンだけでなく、ママ友やティーンエイジャーといった新たな顧客層の創造につながっているようです。
感動体験を生むIoTアプリ「Coke ON」がリアル×デジタルで挑む東京2020オリンピック
https://www.cocacola.co.jp/stories/olympic_CokeON_relay_190617コカ・コーラ社のスマホ自販機で使えるアプリ「Coke ON」。東京2020オリンピック聖火ランナーに応募できるキャンペーンも開始し「Coke ON」を使ってより楽しくオリンピックを応援できるように進化します。 リアル×デジタルで挑む「Coke ON」の戦略に迫ります。
Coke ONをプラットフォームにエンゲージメント
eMark+で各メディアの併用状況を確認したところ、総合的なデジタルマーケティング戦略が奏功してか、ジョージアサイトユーザーは73%がコカ・コーラ会員サイトを、56%がCoke ONを併用。
コカ・コーラサイトも35%が利用しており、かなりのコークブランドファンといえそうです。コカ・コーラ会員サイトユーザーやコカ・コーラサイトユーザーも半数近くがCoke ONを併用しています。
図表 1 コカ・コーラサイト及びアプリの併用状況(2019年1-6月、スマートフォン)
太字は最多の併用サイト/アプリ
Coke ONユーザーだけは、他のメディアを使っていない「併用なし」ユーザーが51%。アプリ単体でもスタンプは貯められるので、キャンペーンに関心がなくても十分おトクということでしょうか。
キャンペーンだけじゃない人気コンテンツ
ジョージアサイトの人気コンテンツはキャンペーンが中心ながら、広瀬アリスさんの動画が掲載されている「ジョージア ジャパン クラフトマン 微糖」も2位に入っています。
図表 2 ジョージアサイトの人気コンテンツ(2019年1月-6月、スマートフォン)
一方、コカ・コーラ会員サイトのコンテンツはトップ10中8ページをジョージアブランドが独占。
とくにヤマハE-バイクキャンペーンはやはり関心が高かったようですが、1位は200万件を超えるツィートを集めた「ジョージア ジャパン クラフトマン 微糖」ページでした。5位「新春早起きチャレンジ」と6位「おみくじ付き福ボトル」も貢献していますが、ジョージアユーザーはもっともブランドロイヤルティが高いといえそうです。
図表 3 コカ・コーラ会員サイトの人気コンテンツ(2019年1月-6月、スマートフォン)
先進マーケティングカンパニーとしてのブランディングも
オウンドメディアとして素晴らしいのは、Coke ONはじめとするマーケティング戦略、製品開発や社会活動などの取組みをあますところなく語るブランドストーリーの数々。
アクセスログ上はキャンペーンコンテンツに及ばないものの、「ブランド」「イノベーション」「サステナビリティー」「歴史・文化」といった記事カテゴリーからは、お客さまや地域社会と「お互いに“共創する価値”を追求しなければ、持続的な成長はない」というコカ・コーラのブランド姿勢を感じとることができます。
コーポレートサイトで展開するブランドストーリー
26万台の自販機とつながるIoTアプリ「Coke ON」が描くデジタルマーケティングの未来とは?
https://www.cocacola.co.jp/stories/coke_on_walk自販機とつながるIoTアプリ「Coke ON」。歩くだけでスタンプが貯まる「Coke ON ウォーク」の機能も追加され、ダウンロード数は遂に1000万に。進化を続ける「Coke ON」が牽引するデジタルマーケティングの未来とは。
サイト上で紹介されている編集スタッフは10名とメディア並みの体制で、オウンドメディア運営に対する本気度が伺えます。
世界ブランド、コカ・コーラのデジタルマーケティングコンテンツ、製品ファンでなくてもロックオンされそうです。
調査概要
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービスeMark+を使用し、ジョージア、コカ・コーラのサイト、Coke ONアプリについて調査しました。
※ユーザー数は、スマートフォンのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
前編はこちら
Georgiaに見るオウンドメディア活用ブランディング|前編 右肩上がりのCoke ONアプリ
https://manamina.valuesccg.com/articles/527お客さまと直接コミュニケーションできるD2C(Direct to Customer)チャネルとして、消費財メーカーなどを中心にブランドサイトやSNS、アプリといったオウンドメディアを活用する企業が増えています。今回は、飲料メーカーのオウンドメディアに着目してみました。
法政大学院イノベーション・マネジメント専攻MBA、WACA上級ウェブ解析士。
CRMソフトのマーケティングや公共機関向けコンサルタント等を経て、現在は「データ流通市場の歩き方」やオープンデータ関連の活動を通じデータ流通の基盤整備、活性化を目指している。