UU数増加1位は「Yahoo!みんなの政治」、2位は「スポーツブル」
まず、訪問ユーザー数の前月比が高い順にWebサイトをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。
デバイスはPCとスマートフォンの合算。ヴァリューズ保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に即して推計。
1位は参院選を分かりやすく解説したサイト、2位は甲子園関連サイト
それでは早速、ランキングの1位から3位までを詳しく見ていきましょう。
■1位:Yahoo!みんなの政治
ユーザー数が前月比9022.9%増と、前月のおよそ100倍にもUU数を伸ばしたのは、国会議員や政党の情報を簡単に調べることのできる「Yahoo!みんなの政治」でした。中でも特にUU数を伸ばしたコンテンツを見てみると、以下のようにことごとく7月21日の参議院選挙に関するページであることがわかります。7月4日の公示から参院選に興味を持ち、議員や政党について検索した人が急激に増えた結果ではないでしょうか。
「Yahoo!みんなの政治」の、2019年7月のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
■2位:スポーツブル
2位はインターネットスポーツメディアの「スポーツブル」でした。各スポーツメディアと提携し、様々なニュースやスポーツ番組を提供しているサイトです。どのようなコンテンツが注目を集めたのか見てみましょう。
「スポーツブル」の、2019年7月のコンテンツランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
UU数を多く獲得したコンテンツランキングを見てみると、上位10位のすべてが高校野球に関するものだったことがわかります。特にUU数1位のページは、夏の甲子園のライブ中継が無料で見られるサービスであり、人気が集中していた様子が伺えます。
■3位:楽天でんわ
3位は「楽天でんわ」。楽天が提供する、電話回線を利用した通話アプリです。どのようなコンテンツが人気を集めていたのか見てみましょう。
「楽天でんわ」の、2019年7月のコンテンツランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
コンテンツランキングを見ると、1位のコンテンツにUU数が集中しています。ページタイトルが表示されていませんが、こちらはトップページで、特殊なコンテンツのページでありませんでした。それではなぜ楽天でんわのトップページにアクセスが集中したのか、流入元を確認して考えてみましょう。
「楽天でんわ」の、2019年7月の流入元(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
流入元として、外部サイトが著しく多いことがわかります。では、流入元の内訳をさらに詳細にみていきましょう。
「楽天でんわ」流入元の、2019年7月のWEBサイトランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)
上記の一覧のように、同じ楽天の提供する様々なサービスのサイトからの流入が多くなっていることがわかります。現状のサイトでは確認できませんでしたが、おそらくこれらのサイトを通じて楽天でんわのプロモーションを行っていたのではないでしょうか。
7位の「ポケットモンスター」は就活生の関心をゲット
ここからは4位以下でUU数増加の原因が興味深いものをいくつかピックアップしていきたいと思います。
今回のランキングの中でも異彩を放つ「ポケットモンスター」のUU数増加の原因を調べてみると、面白い要因が見えてきました。
「ポケットモンスター」の、2019年7月のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
コンテンツランキングを見てみると、上位10位までの大半がポケモン自己分析というコンテンツにかかわるものであること、また、株式会社ポケモンセンターの採用情報が上位に来ていることがわかります。以上のことから、「ポケットモンスター」は、就活生の関心を集めてUU数を伸ばしたものと考えられます。また、7月に東京の渋谷駅に掲示され、話題を集めた同社のポスターも関係がありそうです。それでは次に、「ポケットモンスター」がアクセスを獲得した経路を確認してみましょう。
「ポケットモンスター」の、2019年7月の流入元(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
流入元を確認してみましょう。「外部サイト」「検索」「ノーリファラー/その他」が多くなっています。では、「外部サイト」と「検索」についてさらに分析してみましょう。
まずは検索です。
「ポケットモンスター」の、2019年7月の検索キーワードランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
検索キーワードを調べてみると、やはり上位に「ポケモン自己分析」「ポケモン診断」「ポケモン診断 ラプラス」「ポケモン自己診断」などのキーワードが並んでいます。また、近日発売の「ポケモンソードシールド」に関する検索も多かったようです。
次に外部サイトからの流入元内容をチェックしてみましょう。
「ポケットモンスター」流入元の、2019年7月のWEBサイトランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
外部サイトランキングの上位に、「Twitter」や「Facebook」などのSNSがならんでいます。SNSを利用したプロモーションが功を奏している様子が伺えます。また、「ロケットニュース24(β)」「GIGAZINE(ギガジン)」などのウェブマガジンも複数ランクインしているため、ウェブ上のメディアで取り上げられて興味関心を惹いた側面もあったようです。
9位の「朝鮮日報」は日韓関係への関心の高まりを受けて
「朝鮮日報」の、2019年7月のコンテンツランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
9位には韓国の新聞大手である朝鮮日報のウェブ版がランクイン。コンテンツランキングを見ると、先般の日韓関係に関する記事が多く閲覧されているようです。
「朝鮮日報」の、2019年7月の流入元(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
また、流入元を見てみると、外部サイトからの流入が多いことがわかります。
「朝鮮日報」流入元の、2019年7月のWEBサイトランキング(対象デバイスはPC、「eMark+」画面より)
外部サイトの内訳をみると、ニュースサイトが大半を占めています。日韓関係にかかわる大きなイベントが立て続けに発生したため、国内の各ニュースサイトのキュレーターが韓国側の大手メディアである「朝鮮日報」の記事を引用し、そこからユーザーが元サイトに移動してさらにニュースを閲覧する、というようなアクセスの流れが考えられます。
また、流入元1位になっているサイトは「エンタメコリア」という「朝鮮日報」のエンタメ欄のWEB版でした。エンタメについて情報収集していくなかで政治的な記事に移行していったユーザーもいたのではないでしょうか。
まとめ
最後に2019年7月の急上昇サイトの、注目の訪問ユーザー数増加要因をまとめます。
1.時事ネタ+個性的なサービス
当然ながら時事ネタをとらえたウェブサイトは今月2019年7月もUU数を大きく増やしていました。特に今月は参院選、甲子園など多くの話題があり、UU数増加率上位にランクインしていましたが、例えば「Yahoo!みんなの政治」では議員や政党の単位で検索できる仕組みや、「スポーツブル」では甲子園の無料ネット観覧など他サイトと違ったサービスを展開していることも要因のようです。
2.SNSや街頭広告で話題作り
「ポケットモンスター」で顕著だったのは、SNSからの流入と、「ポケモン自己分析」めあてのウェブ検索でした。TwitterやFacebook、また、駅のポスターなどで話題を集め、積極的なアクセスを増やしてUU数を大幅に増加させたものと考えられます。
調査は競合・市場分析ツールeMark+を用いて行いました。今回の急上昇サイトランキングはeMark+の無料機能で見ることができます。この機会にぜひ登録してみてはいかがでしょうか。取り上げたトレンドや他社事例を活用し、キャンペーン施策立案などのマーケティング活動に活かしてみてください。
ウィーン大学への留学を経て京都大学文学部卒業。
外資系大手ITコンサルティング会社に勤務後、フリーランスライターに転向。