2023年5月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2023年5月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
2023年5月の急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しています。
それでは、1位〜30位にランクインしたなかで、注目のサイトをいくつかご紹介します。
ハウス食品がターゲット別に実施した効果的な集客施策
■2位:ハウス食品公式通販 every HOUSE(エブリハウス)
2位は、多様化する食のスタイルやニーズに応える「ハウス食品公式通販 every HOUSE(エブリハウス)」でした。このサイトでは、“大多数(all)”の家庭が求める商品ではなく、各家庭の“個の集合(every)”としてのニーズを捉えた独自の商品を販売しています。
この「every HOUSE」は、2022年7月の急上昇サイトランキングで7位にランクインした実績があり、その際にもマナミナが取り上げています。当時の調査では、キャンペーン広告による集客施策が要因でサイト流入が急上昇していたことがわかっています。
それでは、約1年ぶりに2位にランクインした要因は何だったのか、Dockpitの競合調査で調べてみましょう。
初めに集客構造を見てみます。
「ハウス食品公式通販 every HOUSE(エブリハウス)」Webサイト集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
ディスプレイ広告から73%と1番多くサイトへ訪れており、次いでメールから9%の流入があることが分かりました。
どんな情報を求めてサイトへ訪れているのでしょうか。ランディングページを見てみましょう。
「ハウス食品公式通販 every HOUSE(エブリハウス)」Webサイトランディングページ(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
最も流入が多かったのは1位・5位・10位の「カレーパンノヒ」商品ページでした。
「カレーパンノヒ」は、ハウス食品の代表的な商品である「バーモントカレー」や「ジャワカレー」を使った冷凍カレーパンで「カレーパングランプリ」の受賞歴もある人気の市通販商品です。新規顧客に向けて、ブランド想起しやすい商品を広告で訴求する「every HOUSE」の認知施策を実施していた、という観点を持つことができそうです。
次いで多く流入しているのは、3位・6位・7位・9位の「初夏の旨辛キャンペーン」ぺ―ジでした。
「初夏の旨辛キャンペーン」は、5月30日~6月12日まで実施しており、マイページから応募したユーザーを対象にしていることから、会員限定キャンペーンとしてメルマガで認知を図ったことが考えられます。
上記のような新規・既存双方の顧客に対する効果的な集客施策により、サイト流入が急上昇したことが見えてきました。
Pinterestで拡散しサイト集客に成功した国際的オークションハウス
■5位:Christie's Auctions & Private Sales | Fine Art, Antiques, Jewelry & More
5位にランクインしたのは、1766年に設立されたアートと高級品のオークションハウスの公式サイト「Christie's Auctions & Private Sales | Fine Art, Antiques, Jewelry & More(以下クリスティーズ)」でした。クリスティーズは、南北アメリカ・ヨーロッパ・中東・アジア太平洋地域の46ヵ国に物理的な国際販売拠点を持つオークションハウスです。このサイトでは、オークションのスケジュールや結果を閲覧でき、オンラインオークションへ参加することもできます。
国際的なオークションサイトが今月急上昇した要因は何だったのか、Dockpitで調べてみます。
「クリスティーズ」Webサイト集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
集客構造を見てみると、ノーリファラ―以外だと自然検索が1番多く、次いで外部サイトやソーシャルからの流入も多いことが分かりました。
どんなキーワードでサイトに訪れているのでしょうか。
「クリスティーズ」Webサイト流入キーワード(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
流入キーワードを見てみると、指名検索での流入が多いことが分かりました。
最後に比較的流入の多かったソーシャル構成を調べてみます。
「クリスティーズ」Webサイトソーシャル構成(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
Pinterestを経由してサイトに訪れているユーザーが多いことが分かりました。Pinterestのクリスティーズ公式アカウントを詳しく調べてみるとフォロワー数28万人、月の表示回数が1,000万以上と、他のアカウントに比べて比較的多いことが分かりました。
Pinterestに掲載されたオークションに関する情報に興味を持った多くのユーザーがサイトを訪れたことで、急遽ランクインしたことが想定されます。
60代をターゲットにした広告施策でD2Cの流入が急増
■22位:DRESS Shop
22位にランクインしたのは、波佐見焼(はさみやき)の食器を取り扱うオンラインショップ「DRESS Shop」でした。波佐見焼は長崎県の波佐見町(はさみちょう)で生産される陶磁器で、鮮やかな色合いやモダンな形が特徴的です。このサイトでは「食器は料理の衣装 DRESS」をブランドコンセプトに、波佐見焼に合うランチョンマットやコースターなどキッチン雑貨も販売しています。
それでは今月ランクインした要因をDockpitで調べてみます。どのようなユーザーがサイトに訪れているのか、ユーザー属性を見てみます。
「DRESS Shop」Webサイトユーザー属性 性別(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
性別を調べてみると、女性が9割を占めていることが分かりました。次に年代を見てみます。
「DRESS Shop」Webサイトユーザー属性 年代(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
60代のユーザーがもっとも多く流入していることが分かりました。サイトに訪れるきっかけを集客構造から探ってみましょう。
「DRESS Shop」Webサイト集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
ノーリファラ―以外だと、ディスプレイ広告からの流入が一番多いことが分かりました。
60代女性をターゲットにした広告施策が、サイト集客に寄与したことがうかがえます。
ブランドコンセプトが伝わりやすいエシカル商品の通販サイト
■28位:ソーシャルグッド&エシカル商品の通販サイト|Good Good Mart(グッドグッドマート)
28位は「ソーシャルグッド&エシカル商品の通販サイト|Good Good Mart(グッドグッドマート)」でした。プラントベース(ヴィーガン)・オーガニック・環境配慮・フェアトレードなど、暮らしにも社会にも優しい商品を取り揃えており、自社開発の食品も販売しています。
サイトの構造として特徴的だったのは、商品種別による検索軸の他に環境・社会貢献に関するカテゴリーからも商品を探すことができる点。ブランドコンセプトが伝わりやすく、企業の姿勢を強く感じることができます。
「Good Good Mart」グローバルメニュー「地球にGood」商品検索軸
SDGsのゴールのうち、ゴール12「つくる責任・つかう責任」に深い関連のあるエシカル消費は、社会的にも注目されています。
Good Good Martのサイトに訪れるユーザー属性をDockpitで調べてみます。
「Good Good Mart」Webサイトユーザー属性 年代(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
20代の流入が1番少なく、40代~60代のユーザーがサイトへ訪れていることが分かりました。
マナミナでは若年層のSDGsに関する調査を行っており、フードロスやエシカル消費に対する20代の意識についてもレポートしています。
このようにSDGsに対するユーザー意識の向上に繋がる物事や、近年増加している個人向けサービスについても、今後の動向に注目したいと思います。
60代のビール好きへブランド醸成を図る広告施策のポイントとは
■30位:ヱビスマガジン
30位にランクインしたのはサッポロビール株式会社が運営するオウンドメディア「ヱビスマガジン」でした。このサイトでは、エビスビールの魅力や豆知識に加え、ビールに合う料理レシピや旬の情報を発信しています。
今月ランクインした要因を調べてみましょう。はじめにユーザー属性を見てみます。
「ヱビスマガジン」Webサイトユーザー属性 年代(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
60代のユーザーが最も多くサイトへ訪れていることが分かりました。続いて集客構造を見てみましょう。
「ヱビスマガジン」Webサイト集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
ディスプレイ広告からの流入は88%と大半を占めていることが分かりました。どんな情報を閲覧しているのでしょうか。最後にランディングページを調べてみます。
「ヱビスマガジン」Webサイトランディングページ(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2023年3月~2023年5月、デバイス:PC)
TOPページ以外だと、3位~5位のヱビスビールに関する読み物的な情報ページへの流入が多いことが分かりました。
広告をきっかけにサイトに訪れた多くのユーザーが、ビールに関する豆知識やおつまみレシピなど、ブランド醸成を図るコンテンツを閲覧することで、オウンドメディアの認知を高めていることがうかがえます。
まとめ
今月はサービスの独自性を効果的に発信する食に関する通販サイトが複数ランクインしているところが印象的でした。
2位の「every HOUSE」は、新規顧客のブランド認知向上を目的とした広告施策と会員限定キャンペーンをフックにしたメルマガ施策という2つの施策の相乗効果によりサイト流入が急増。そして、22位の「DRESS Shop」は多くの60代女性をターゲットにした広告施策が成功し、多くのユーザーへ波佐見焼の魅力を届けていました。
今月は、ブランド醸成を図る工夫がなされているサイトが上位にランクインしている傾向があり、ブランド独自のメリットを分かりやすく伝えるコンテンツと、ターゲットに最適な広告施策がサイト集客を成功する鍵になっていることを改めて感じました。
▼『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
制作会社でUIUXデザインやWebサイトの施策立案を経験後、ヴァリューズにジョイン。セミナーのサポートやTVドラマランキングの執筆などを担当しています。