銀行業界5社をマーケティング視点で企業研究!現役大学生のデータドリブン就活【第2回】

銀行業界5社をマーケティング視点で企業研究!現役大学生のデータドリブン就活【第2回】

競合分析ツール「eMark+」を使って、就職活動に役立つコンテンツをお届けする企画。第2回は銀行業界の主要5社、三菱UFJ・三井住友・みずほ・ゆうちょ・りそなをWeb・アプリの集客状況から分析し、企業の強みや違いをまとめました。


企業研究は難しい

初めまして、小幡(おばた)です。私は大学でマーケティングを勉強しながら、データマーケティングの会社、ヴァリューズでインターンとして働いています。いまは大学4年生で、来年の春からはヴァリューズに入社する予定です。

就活のとき、困ったのが企業研究でした。行きたい業界を見つけたら、会社ホームページや就活サイトで情報収集をしたり、インターンに参加してみたり…。でも、紹介されているのは企業の良いところばかりで、本当のところはなかなか分かりません。

そこで今回、私が入社するヴァリューズの競合分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使って企業研究をしてみました。eMark+は消費者のインターネット上の行動を分析し、実際消費者がどんなサイトを閲覧しているのかを調べることができます。業界のあの大手企業は、本当に人気なのか?何に力を入れているのか?といった視点から、今までとは一味違った企業研究をしていきます。

 第1回は、「自動車業界」を分析しました。自動車業界とはいっても、製品事業だけではなく、レンタカー事業・金融事業にも力を入れていることが分かりました。

自動車業界5社をマーケティング視点で企業研究!現役大学生のデータドリブン就活【第1回】

https://manamina.valuesccg.com/articles/636

競合分析ツール「eMark+」を使って、就職活動に役立つコンテンツをお届けする企画を始めます。第1回は自動車業界の主要5社、トヨタ・ホンダ・日産・マツダ・スズキをWebサイトの集客状況から分析し、企業の強みや違いをまとめました。

さて、第2回は「銀行業界」について分析していきます。銀行業界の就活に役立てていただけたら幸いです。

分析企業の紹介

 今回は、2017~2018年の銀行業界における売上高ランキングにおいて、大手5社を分析します。(第5位の三井住友トラスト・ホールディングスは信託業務を中心としているため、今回は割愛します。)

幅広い事業で高い売上を維持する三菱UFJ銀行

経常収益・当期純利益ともにトップは三菱UFJフィナンシャルグループ(以降、「三菱UFJ」と表記)です。「世界に選ばれる、信頼のグローバル金融グループ」を目指し、銀行業務、信託銀行業務、証券業務を中心にクレジットカード・貸金業務・資産運用業務など幅広い事業領域を展開しています。個人向けインターネットバンキングの「三菱UFJダイレクト」や、アプリを利用した手続きの利用比率は年々上昇しており、店頭からデジタルへのチャネルシフトを推進しているといえます。
(参考:三菱UFJフィナンシャル・グループ『2019年度中間期決算 投資家説明会』、バフェットコード『三菱UFJフィナンシャル・グループの企業情報 - 8306 / 東証1 / 銀行業』)

アプリ開発に力を入れる三井住友銀行

第2位は、「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまとともに成長するグローバル金融グループ」を掲げる三井住友銀行フィナンシャルグループ(以降、「三井住友」と表記)です。他社と比べ、投資銀行部門・個人向けのリテール事業が強いです。「三井住友銀行アプリ」は2019年のグッドデザイン賞も受賞しており、アプリ開発にも力を入れているといえます。(参考:三井住友フィナンシャルグループ『SMBCグループの経営戦略』)

事業基盤が強みのみずほ銀行

売上の3位は、日本初のメガバンクとして発足したみずほフィナンシャルグループ(以降、「みずほ」と表記)です。みずほフィナンシャルグループという持ち株会社の下に、銀行や信託、証券を持つ総合金融グループです。国内企業の約7割、世界の大企業(Forbes Grobal 200)の約8割と取引がある事業基盤が強みです。また、全都道府県に展開をしているのも、メガバンクの中では唯一です。(参考:みずほフィナンシャルグループ『みずほFG:の強み』)

日本全国を網羅するネットワークを保有するゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行(以降、「ゆうちょ」と表記)は、日本郵政グループの銀行業を担う子会社であり、リテール事業と運用事業の2つを展開しています。企業理念に「最も身近で信頼される銀行」と入っているように、地方に強いのが特徴といえます。国内のATM設置台数は約31200台と最も多く、日本全国を網羅するATMネットワークを保有しています。(参考:バフェットコード『ゆうちょ銀行の企業情報 - 7182 / 東証1 / 銀行業』、ゆうちょ銀行『個人投資家のみなさまへ』)

店舗の戦略的配置が特徴のりそな銀行

売上6位のりそなホールディングス(以降、「りそな」と表記)は、メガバンクと地方銀行の中間のような立ち位置が特徴です。有人店舗数が約580とメガバンクに匹敵する店舗を保有していながら(3大メガバンクは平均730店舗)、経済活動の活発な首都圏・関西圏に集中的に店舗を配置することで、日本人口の3割以上をカバーしています。(参考:Infraインターン『【りそなグループ 企業研究】特徴と選考対策まとめ』)

利用ユーザー数は各社上昇傾向。りそなは大幅な伸び

まずはeMark+で、2019年12月の各企業のアプリ利用ユーザー数ランキングを見てみました。カテゴリ「ファイナンス」を指定すると次のような画面になります。

各アプリの月間利用ユーザー数推移を見てみましょう。上半期は経常収益1位の三菱UFJが1位であったのに対し、下半期には2位・3位の三井住友・みずほが追いついています。

アプリ利用ユーザー数推移

分析対象期間:2019年1月~2019年12月
デバイス:スマートフォン

前年同月(2018年12月)と比較すると、全てのアプリがユーザー数を伸ばしています。特に、りそなが331.1%と大きくユーザー数を伸ばす結果となりました。各社ともにキャッシュレス化の浸透に伴い、入出金明細の確認・振込をスマホ一つでできるように進めているといえます。

みずほは投資検討者、りそなは主婦層にアプローチ

 では、実際にどんなユーザーがアプリを利用しているのでしょうか。次はeMark+の機能「SiteAnalyzer」を用いて、各アプリのユーザ―属性を比較してみます。まずは男女比を見てみました。

分析対象期間:2019年1月~2019年12月
デバイス:スマートフォン

 全てのアプリで男性比率が半数以上となり、銀行系アプリの利用者は男性が多いことが分かります。特に、みずほの男性比率は68.5%と特別高いです。投資信託の新規開設キャンペーンを頻繁に行っており、投資に興味のある男性がキャンペーンをきっかけに口座開設をしていると予想できます。
(参考:『Yahoo!ファイナンスユーザー動向に見る個人投資家市場 | [マナミナ]まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン』)

 対して、りそなは、女性比率が目立って高いです。家族構成では、「子供あり」のユーザーが多いのもりそなであり、主婦層の利用が多いといえるのではないでしょうか。

分析対象期間:2019年1月~2019年12月
デバイス:スマートフォン

 りそな銀行トップページでは、俳優のムロツヨシさんを起用し、「お買い物にも使える」とアピールをしており、主婦層のニーズに上手くアプローチできているといえます。

三井住友はコンテンツマーケティングが成功

 次に、利用者の年代を見てみます。三菱UFJ・三井住友が全ての年代にバランスよく分布しているのに対し、ゆうちょは若年層の比率が高いと言えます。

分析対象期間:2019年1月~2019年12月
デバイス:スマートフォン

 ゆうちょは、若者向けクレジットカード「Alente」を提供しています。カラオケや映画で使える割引サービスや海外旅行用の保険サービスも付いているカードです。「新生活応援キャンペーン」など、定期的にプロモーションも行っており、カード入会をきっかけに口座を開設する若年層が多いのではないでしょうか。

 三井住友は、ライフステージに応じて貯金方法を提案するコンテンツをWebサイトに掲載しています。資産形成への関心が高まった現代において、消費者の状況に合わせた情報提供・サービス提案を行うことで、幅広い世代のユーザーを獲得できているといえます。

みらいのおかねガイドでは、4つの質問に回答することで、自分のタイプ診断や貯金方法を知ることができる

まとめ

企業分析を通して分かった各社の特徴をまとめます。

三菱UFJ・・・売上・アプリ利用者数ともにトップを獲得。幅広い年代からユーザーを集めている

三井住友・・・資産形成に興味を持ち始めた消費者をターゲットに、コンテンツマーケティングに成功。幅広い世代のユーザーを獲得している。

みずほ・・・投資検討者にアプローチすることで、アプリ利用者を増加させている。

ゆうちょ・・・若年層をターゲットとした施策を行うことで、ライフステージの早期段階で口座開設者を獲得している。

りそな・・・アプリ利用者が昨年対比333%と大幅な伸びを記録。主婦層への的確なアプローチを行うことで、ユーザー獲得に成功している。

今回は銀行業界をテーマに企業研究を行いました。キャッシュレス化の浸透に伴い、銀行も様々なアプローチで顧客を獲得しているといえます。このようにデータドリブンで企業研究を進めていくことができれば、理解もより深まるのではないでしょうか。

今回使用したツール「eMark+」は、私が入社する株式会社ヴァリューズの分析ツールです。ヴァリューズは消費者のインターネット行動履歴を分析することで、調査~施策までのマーケティング支援を行っています。

「マーケティングに関わる仕事がしたいが、行きたい業界は見つからない……」「1つの業界に決めず、様々な業界で仕事がしてみたい!」などと思っている方にぴったりの会社だと思います。説明会も開催中なので、興味がある方はぜひ一度足を運んでみてください。

<マーケティング × ビッグデータ × IT> | ヴァリューズ 採用サイト

https://recruit.valuesccg.com/

<<マーケティング × ビッグデータ × IT>株式会社ヴァリューズの採用サイトです。ヴァリューズは、インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する会社です。

調査・分析概要

 ヴァリューズ保有モニターパネル(20代以上)のログデータを用いて、銀行明細確認アプリのユーザーの行動ログを分析。行動ログは、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用。データはヴァリューズ保有のモニターでの出現率を基に、国内ネット人口に換算して推測。

銀行業界大手企業における、残高照会アプリ5つを分析。

分析対象:「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行アプリ」「みずほ銀行 みずほダイレクトアプリ」「ゆうちょダイレクト残高照会アプリ」「りそなグループアプリ」
分析対象期間:2019年1月~2019年12月
デバイス:スマートフォン

【無料ダウンロード】総ページ数90Pの金融トレンドレポート|デジタル・トレンド白書2024

https://manamina.valuesccg.com/articles/3872

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎えます。今回は2023年下半期から2024年に公開した調査から厳選し、金融業界のデジタル動向をまとめた「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開しました。ダウンロード特典として、銀行、証券など金融各業界のサイトランキングも収録しています。(「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」ページ数|90P)

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この記事のライター

大学でマーケティングを勉強しながら、ヴァリューズでインターンとして働いていました。2020年の春からは新卒としてヴァリューズに入社しました。

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