生命保険の相談・比較メディアのユーザー数が増加。新型コロナウイルスの感染拡大による保険需要の高まりに注目

生命保険の相談・比較メディアのユーザー数が増加。新型コロナウイルスの感染拡大による保険需要の高まりに注目

世界各地で新型コロナウイルスが猛威を振るっています。緊急事態宣言の対象は全国に拡大され、 外出自粛が一層求められるなど、感染拡大防止のためにさまざまな対策がとられています。しかしながら、感染者数は増加を続け、未だ収束の見通しがつかない状態です。そんな社会的不安を背景に、人々の保険への関心が高まっているようです。


ユーザー数を大きく伸ばすソニー生命保険

まず、eMark+のサイトランキング機能を用い、2020年3月における金融カテゴリの中で生命保険にまつわるサイトをサイト情報から抽出し、閲覧ランキングを調べてみました【図1】。

【図1】「生命保険」関連のサイトランキング(2020年3月)

【図1】「生命保険」関連のサイトランキング(2020年3月)
デバイス:PC・スマートフォン

※サイト情報に「生命保険」を含むものをeMark+を用いて抽出

1位~10位の内、損保・自動車保険に関するサイトを除く8つのサイトでは前年同月比でユーザー数が上昇していました。特に1位の「ソニー生命保険」、2位「【楽天】お金の総合案内」、3位「保険マンモス」については上昇率が高く、人々が関心を寄せていることがわかりました。

また 、お金のプロであるFPに生命保険の相談ができる「保険マンモス」や生命保険の一括請求ができる「保険スクエアbang!」など、各社の保険を比較できるメディアは前年同月比、前月比ともにユーザー数が増加していました。新型コロナウイルスの感染者数増加で家計や生命保険の見直しの兆しがうかがえます。

次にユーザー数が多い保険会社の上位3サイトについて、2019年4月~2020年3月の1年間におけるユーザー数推移を調べてみました【図2】。

【図2】「ソニー生命保険」「楽天生命」「日本生命保険」ユーザー数推移
デバイス:PC・スマートフォン

保険月間として各社が営業を強化する11月も高い水準となっていますが、おおむね新型コロナウイルスの流行と合致する形で2月から3月にかけてユーザー数が伸びていることがわかります。特にソニー生命保険のユーザー数は2020年3月が過去1年間の中で最高値となり、とりわけ大きな伸びがみられました。

加えて、3サイトの新規ユーザー率を調べてみました【図3】。

【図3】「ソニー生命保険」「楽天生命」「日本生命保険」新規ユーザー率
デバイス:PC・スマートフォン

こちらも1月2月に比べて3月になると増加が見られ、ソニー生命保険については半数が新規ユーザーであることがわかりました。

サイトの閲覧ユーザー数の大幅な増加に加え、新規ユーザー率も一定の水準で増加していることから、生命保険への人々の関心が高まっていることを裏付ける結果となりました。

既婚者の関心高め。性別・年齢に大きな差はみられず

それでは、そもそもどのような人々が生命保険に関心を持っているのでしょうか。ユーザー数5位にランクインした保険の比較サイトである「保険市場」に着目し、その属性情報を詳しく分析してみました。

まず、2019年4月~2020年3月までのユーザー数推移を調べてみると、2019年12月から徐々に上昇し、2020年3月が最も多いユーザー数となっていることがわかりました【図4】。

【図4】保険市場ユーザー数推移(2019年4月~2020年3月)
※デバイス:PC・スマートフォン

続いてユーザー属性について性別、年代、未既婚の3つの観点から分析してみました。
性別については男女差はほとんど見られず、関心度合いに差がないことがわかりました【図5】。

【図5】属性情報(性別)
※デバイス:PC・スマートフォン

次に年代をみてみると、こちらも大きな差はみられないものの、30代・40代の割合がやや高く、20代は50代・60才以上と同水準となっていることがわかりました【図6】。

【図6】属性情報(年代)
※デバイス:PC・スマートフォン

最後に未既婚をみてみると、既婚者が65%と大きな割合を占めており、未婚者に比べて既婚者からの関心が高いことがわかりました【図7】。

【図7】属性情報(未既婚)
※デバイス:PC・スマートフォン

また、属性情報に加えて2019年10月~2020年3月の半年間における流入元について調査してみると、自然検索からの流入が飛び抜けて多いことがわかりました。続いてリスティング広告、一般広告と広告媒体からの流入となりますが、保険に関心を持ち、自ら検索する人が多いことがわかりました【図8】。

【図8】流入元構成比(2019年10月~2020年3月)
※デバイス:PC

死亡保険比較ページは前月比212%と大きく上昇

最後に、2020年3月における保険市場内のコンテンツランキングを調べてみました【図9】。

【図9】保険市場コンテンツランキング(2020年3月)
※デバイス:PC

1位には死亡保険の比較ページがランクインしました。2位と大きくページビュー数に差がついたことに加え、前月比でも大幅な上昇がみられました 。

2位にランクインした自転車保険については、2015年10月に兵庫県で加入が義務化されたのを皮切りに全国へと広がり、2020年4月からは東京都でも加入が義務となったことが影響しているのではないかと思われます。

そのほか4位には確定申告関連で医療費控除に関するページがランクインするなど、3月特有の関心事項にまつわるページもランクインしましたが、死亡保険や医療保険・入院保険についてのページで前月比が高まっており、人々の関心が高まっていることがわかりました。

目に見えないウイルスという脅威にさらされ、不安が日に日に大きくなりつつある今、自分自身や家族を守るために保険に安心感を求める人が増えているのかもしれません。一人ひとりが自覚ある行動をし、一刻も早く感染拡大が収束することを願います。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。指定したサイトのユーザー数がわかる「ユーザー数推移」やサイト訪問者の性別、年代、職業などがわかる「ユーザー属性」は、PCのデータであれば無料で利用することができます。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。

dockpit 無料版の登録はこちら

分析概要

全国のモニター会員(20代以上)の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年4月~2020年3月におけるユーザーの行動を分析しました。
※ユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

関連記事

コロナ禍で起きた消費者行動変化を緊急調査 Webやアプリの行動ログから見えてきた実態とは

https://manamina.valuesccg.com/articles/823

新型コロナウイルスの感染拡大により、外出自粛やテレワークなど、人々のライフスタイルが大きく様変わりする中、消費者の行動や意識にはどのような変化が起きているのでしょうか。「巣ごもり消費」や「ネット行動の活発化」など、Webやアプリの行動ログから、日別の推移、商品ジャンルの閲覧伸び率などを通じて、変化の実態を緊急調査しました。

コロナが変えた消費者行動を検索から深掘る Googleが提唱したバタフライ・サーキットを活用【NewsPicksウェビナー】

https://manamina.valuesccg.com/articles/826

DX時代に求められるマーケティング戦略について、NewsPicks主催のイベントが4月14日、YouTube Liveで開催されました。登壇者は株式会社Kaizen PlatformのCEO・須藤憲司さん、ヴァリューズの副社長・後藤賢治と執行役員・子安亜紀子の3人。新型コロナの影響によって変化した消費者の行動を、データからディスカッションした内容をお伝えします。

ファッションECで前年比の訪問者数が54%増のサイトも。巣ごもり消費と新型コロナ影響の関係を探る

https://manamina.valuesccg.com/articles/818

外食産業や観光業をはじめ、あらゆる業界に深刻な売上不振をもたらしている新型コロナウイルス。しかしそんな中で、“巣ごもり消費”でEC売上が向上していると言われているのがファッションECです。本稿では、外出自粛の影響で、実際にファッションECが伸びているのか、またどのような影響が現れているのか、実態を調査していきます。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

富裕層向けの最上位クレカ「ブラックカード」関心層の分析と戦略の検討

高ランク帯のクレジットカードのなかでも特に持つ人が限られているというプレミアムなカード、通称"ブラックカード"。ブラックカードを持つことに憧れているという人も多いのではないでしょうか。本記事では、ブラックカードに関心を持つ人々の検索傾向やターゲット層の特徴を深掘りし、どのようなプロモーション施策が効果的かについて考察します。


2025年 暗号資産(仮想通貨)の現状と将来性とは。”決済”が鍵か

2025年 暗号資産(仮想通貨)の現状と将来性とは。”決済”が鍵か

ビットコインが誕生してから15年以上が経過し、暗号資産(仮想通貨)は投資対象だけでなく、実用的な決済手段としても利用されるようになっています。本記事では、暗号資産の「投資対象」としての側面と、「決済手段」としての側面の2つの観点から、その現状と今後の展開について調査します。


電気やガスを使った分だけ株がもらえる!話題の新サービス「カブアンド」を調査

電気やガスを使った分だけ株がもらえる!話題の新サービス「カブアンド」を調査

申し込み殺到により一時受付を停止した、話題の新サービス「カブアンド」。電気やガス、モバイル、ネット回線などを使った分だけ株がもらえるという、革新的なビジネスモデルで注目を集めています。今回は、世間の関心が高まった背景や、同サービスがどのような人に検討されているのか、公式サイトの閲覧者データをもとに分析していきます。


データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎えます。今回は2023年下半期から2024年に公開した調査から厳選し、金融業界のデジタル動向をまとめた「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」を公開しました。ダウンロード特典として、銀行、証券など金融各業界のサイトランキングも収録しています。(「デジタル・トレンド白書2024 – 金融編」ページ数|90P)


話題の「リカバリーウェア」のターゲット層は?人気の4ブランドをデータから比較

話題の「リカバリーウェア」のターゲット層は?人気の4ブランドをデータから比較

日々の疲れを癒し健康的な生活へと回復させるためのサポートとして、医薬品やサプリ、健康食品など、巷にはさまざまな情報が溢れています。中でも最近よく見聞きするのが「リカバリーウェア」。着るだけで疲労感などが軽減されると謳う救世主的な商品ですが、一体どのような物で、どのような人たちの関心を掴んでいるのか、データを用いて検証します。


最新の投稿


約5割がWeb広告運用の成果に「満足していない」!約8割が広告運用の成果把握に課題を実感【富士フイルムビジネスイノベーション調査】

約5割がWeb広告運用の成果に「満足していない」!約8割が広告運用の成果把握に課題を実感【富士フイルムビジネスイノベーション調査】

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、事業会社に勤めており、Web広告の運用に携わっているマーケティング担当者を対象に、広告運用と成果把握に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


人新世をめぐって ~ 人が起源の地質革命

人新世をめぐって ~ 人が起源の地質革命

SDGs(持続可能な開発目標)という言葉にも慣れ、人類と環境の関係に関しても再考が必要との認識が深まりつつある今。人類が我がもの顔で地球資源やそれら環境の利益だけを享受する行動を制し、あらゆる自然環境と共存するという考えとその行動を真剣に追求することを急がねばならない時に来ているかもしれません。本稿では「人新世(じんしんせい)」というワードをキーに、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が、人類と地球の歩んできた歴史関係の精緻な理解の薦め、そして未来のために今とるべき行動は何かを問いかけます。


LINEヤフー、法人向けサービス「LINEプロモーション絵文字」の正式提供を開始

LINEヤフー、法人向けサービス「LINEプロモーション絵文字」の正式提供を開始

LINEヤフー株式会社は、法人向けサービス「LINEプロモーション絵文字」の正式提供を、4月1日より開始したことを発表しました。


ReBearとOshicoco、Z世代の決済手段と消費行動についての合同調査結果を公開

ReBearとOshicoco、Z世代の決済手段と消費行動についての合同調査結果を公開

α・Z世代に特化したリサーチプラットフォームを運営するReBear合同会社と、推し活領域を専門としたマーケティング企画会社である株式会社Oshicocoは、「Z世代の決済手段と消費行動の多様化」について合同調査を実施し、結果を公開しました。


より早いスピード感で手軽に調査をスタート!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」とは【第1回】

より早いスピード感で手軽に調査をスタート!中国市場Web調査ツール「ValueQIC」とは【第1回】

トレンドの変化が速い、と言われている中国市場。「最近、中国市場の変化が掴めない。言語の壁もあり、中国人生活者の考え方がよくわからない。」というのも多く耳にします。従来の調査には1ヶ月以上の時間が必要ですが、サブスクリプション型のWeb調査ツール「ValueQIC(ヴァリュークイック)」なら、言語の壁を感じることなく最短1週間で調査結果を確認することが可能です。第1回は、その特徴を事例とともにご紹介します。※本資料は記事末尾のフォームから無料でダウンロードいただけます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ