BtoBカスタマージャーニーの特徴と事例

BtoBカスタマージャーニーの特徴と事例

BtoCとBtoBでは購買プロセスが異なるので、カスタマージャーニーの作り方も変わってきます。BtoBでは検討期間が長く関係者が多い特徴があります。カスタマージャーニーを作るにあたっては、キーパーソンをペルソナに設定し、社内を説得できる材料を提供しましょう。BtoBのカスタマージャーニー事例もご紹介します。


BtoBとBtoCの購買プロセスの違い

BtoCの場合は企業対消費者になりますが、検討者=意思決定者なので、ペルソナも一人で済みます。一方、BtoBでは高額な商品・サービスを、論理的な比較で選択し、決裁権者の稟議が通って初めて購入になるという違いがあります。加えて、検討期間も長期間になりがちです。

BtoC中心だったカスタマージャーニーがBtoBでも使われるようになった理由について、ネットイヤーグループの神田さんは、うまく行っている会社を真似てMAなど流行りのツールなどを導入すればすぐBtoBマーケティングができるようになるものではないとしています。

他部署からマーケティング担当になったり、製造業では系列の弱体化で取引先の開拓に迫られるなど、顧客がどう購買検討しているか、改めて把握する必要が生じている背景もあります。

このような場合、まず比較検討がどのように行われているかを行動ログのデータで明らかにします。仮説の肉付けをするためにリサーチし、業務理解を深めてカスタマージャーニーを作っていきます。

BtoBマーケティングでデータ起点のカスタマージャーニーづくりが効く理由とは【ネットイヤー神田×ヴァリューズ宇都宮】

https://manamina.valuesccg.com/articles/596

BtoBでもカスタマージャーニーが重要視され始めたのはなぜなのでしょうか。BtoBマーケティングにおけるカスタマージャーニー活用の理由を探るため、ネットイヤー社の神田さんとヴァリューズ社の宇都宮さんの対談模様を取材しました。

BtoBの「ペルソナ」設定方法

実際にBtoBのペルソナを設定するには、2つの絞り込みを行います。まずBtoBではターゲットとする企業群を、ある程度絞り込めるはずです。例えば自社の売上上位を占める企業群をサンプルに、企業規模や従業員数、業種・業務内容・商材、課題、購買に関係する関係者などを企業ペルソナ=ファーモグラフィックスにまとめます。

企業ペルソナを作るなかで、購買関係者の一覧を作りましょう。現場の担当者、その上司、経営者、利用部門、情報システム部などが考えられます。そのなかでキーパーソンは誰でしょうか?キーパーソーンはあなたの会社の商品・サービスを導入する、と決め社内に稟議を回したり、関係者を説得してくれる人のことです。

BtoBマーケティングでは、キーパーソンの個人ペルソナに対して自社商品・サービスを売り込み、またかつキーパーソンが社内に説得できる材料を提供することを目指します。

関係者からキーパーソンへの想定質問を考え、情報収集→比較検討→購入とステップを踏むたびに、キーパーソンが必要とする情報を提供しましょう。

改めておさらい!ペルソナの意味やメリット、作り方から事例までまとめ

https://manamina.valuesccg.com/articles/733

商品・サービスが想定する架空の顧客像を「ペルソナ」として設定し、マーケティングに活用する事例が増えています。購買行動が多様化しペルソナが必要になった背景や利用するメリット、ペルソナの作り方からカスタマージャーニーマップで活用する方法、活用事例をまとめました。

ペルソナの作り方を事例と本から学ぶ

https://manamina.valuesccg.com/articles/554

マーケティングに役立つペルソナの活用方法を、具体的な事例と作り方に役立つ本を通じて学びます。ターゲットを代表する典型的なユーザー像を「ペルソナ」として設定すると、顧客視点のマーケティングになると共に関係者間でターゲット像を共通認識できるメリットがあります。

カスタマージャーニーとは?意味とマップの作り方を3分で学ぼう

https://manamina.valuesccg.com/articles/555

今回は、マーケティング用語の「カスタマージャーニー」の意味と作り方についてです。カスタマージャーニーでは、顧客が商品を知ってから購入するまでの接点や心理、行動を「カスタマージャーニーマップ」として図式化します。カスタマージャーニーの接点やアクションに対する施策を打つことで、顧客目線のマーケティングを実現できるメリットがあります。

BtoBの典型的なカスタマージャーニーマップ事例

BtoBとBtoCのカスタマージャーニーマップの作り方は、基本的に同じです。異なる点としては、BtoCの方が顧客との接点が多様である点が挙げられます。その分、購買行動の分析では接点そのものより接点での顧客の感情変化に割合を割くとよいでしょう。

購買後の買い手の行動も盛り込んだカスタマージャーニーマップ事例

日経BPコンサルティングのサイトでは、BtoBのカスタマージャーニーマップの例を示しています。「認知」「情報収集」「調査・検討」「購買」の後に「継続的取引」として「製品のバージョンアップを知りたい」というニーズとそれに対するアクションが設定されている点がポイントです。

BtoBでは高額な商品・サービスを数年間に渡り使用することも多いため、サポートの質も顧客からの評価につながります。そこで継続取引を前提に購入後のプロセスもカスタマージャーニーマップに含める方法があります。

リコーのBtoBカスタマージャーニーマップの事例

リコーのダイレクトマーケティングに関するコーナーの記事ですが、導入までのカスタマージャーニーマップと、継続取引に対するカスタマージャーニーマップを分けて設定している事例です。

意思決定権者・購買窓口担当者・ユーザー部門など、関係者ごとに提供すべき体験を設定している所に注目しましょう。サービスによっては意思決定権者にアプローチして、トップダウンで社内に指示してもらった方が、スムーズなコミュニケーションが可能な場合もあるという図です。

次のカスタマージャーニーマップのサンプルは、導入後だけにフォーカスしたカスタマージャーニーマップです。定額サブスクリプションのBtoB向けWebサービスでは「導入したが全然使っていない」「使いこなせていない」事態は契約延長に失敗する要因になります。

顧客企業数が限られていて、顧客獲得コストも高いBtoBマーケティングでは、導入後早く習熟・活用してもらう「カスタマーサクセス」を担当する部門を設ける企業も出ています。

カスタマーサクセスとは?注目されている理由【CSの新しい考え方】

https://manamina.valuesccg.com/articles/311

日本においてはカスタマーサポートを中心に考えられてきていましたが、海外では「カスタマーサクセス」という概念が浸透し、日本でも取り入れられてきています。 なぜ今日本でもカスタマーサクセスが注目されているのでしょうか? 顧客を成功に導くためのカスタマーサクセスのビジネスモデルとどんな役割を担っているのか解説します。

まとめ

BtoCで使われてきたカスタマージャーニーが、BtoBでも使われるようになってきています。その背景には、系列など従来の販路が失われたり、ツールの導入だけではマーケティングがうまく行かず、顧客の購買行動を理解し直す必要が生じているためです。

BtoBでは購買関係者のなかのキーパーソンを決め、購買行動のプロセスをカスタマージャーニーマップで整理した後、そのキーパーソンが社内関係者を説得できる材料を、適切なタイミングで提供していくマーケティングが求められます。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


大反響!博報堂 若者研究所と解き明かす、Z世代特有の意思決定行動とは? | セミナーレポート

大反響!博報堂 若者研究所と解き明かす、Z世代特有の意思決定行動とは? | セミナーレポート

2023年2月17日(金)に開催され、大反響を呼んだZ世代の行動実態解説セミナー。本記事では、MarkeZine Day 2023 Springでもコンテンツ化された当セミナーの内容をお届けします。独特の価値観や消費力の拡大で世界的に注目されているZ世代について、特徴的な意思決定行動とその背景にある心理を分析。現役大学生のリアルな声と、行動(ファクト)ベースのWeb行動ログデータを組み合わせて、Z世代の実態を明らかにします。


生命保険のカスタマージャーニーの実態は?マーケティングへの活用事例も解説

生命保険のカスタマージャーニーの実態は?マーケティングへの活用事例も解説

競争が激しくなる保険業界ではカスタマージャーニーの把握の重要性が高まっています。実際の保険検討者のネット上の検討行動を可視化・解説しながら、カスタマージャーニーの活用事例についても取り上げます。


ペルソナ分析とは?具体的な手順と企業の事例、便利なツールを紹介

ペルソナ分析とは?具体的な手順と企業の事例、便利なツールを紹介

「ペルソナ分析とは具体的に何をすればすべきなのか分からない」、「自社の改善点がイメージできない」そんな悩みを解決するペルソナ分析とは何か、過去の事例やペルソナの作成から具体的な改善策をまとめました。 よくある間違いとペルソナ分析に役立つツールも紹介しているため、ペルソナ分析を効率的に行いたい人は改善の方法をチェックしてはいかがでしょうか。


ペルソナマーケティングとは?必要性とやり方、テンプレートと事例

ペルソナマーケティングとは?必要性とやり方、テンプレートと事例

ペルソナマーケティングとは、メインの顧客像を細かな属性情報、ライフスタイルなどの要素まで設定するものです。ペルソナの情報をマーケティングに反映させることで、顧客から喜ばれる商品・サービスの機能や、販売促進や流通を実現できます。本記事では、ペルソナマーケティングの概要や具体的なやり方、事例、注意点について解説します。


The personas of convenience store users from app data

The personas of convenience store users from app data

There are approximately 56,000 convenience stores nationwide in Japan. In this report, we will analyze the personas of app users of the three major convenience stores (7-Eleven, Lawson, and FamilyMart) using the newly added app analysis function of "Dockpit."


最新の投稿


【5/16(木)開催セミナー】ファミリーマートと考えるヒットを生み出す「マーケティングリサーチの効能と技法」

【5/16(木)開催セミナー】ファミリーマートと考えるヒットを生み出す「マーケティングリサーチの効能と技法」

「マーケティングリサーチ=コスト」という意識が根強く残る中、リサーチをしたくても、その有用性を会社や上司に示せず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。本セミナーでは、リサーチ会社から事業会社へ転籍し、リサーチ及びアナリティクス組織を立ち上げ、マネジメントを行ってきた2人が、事業会社やマーケティング支援会社双方の視点から、マーケティングリサーチにどう向き合うべきか議論を交わします。


CM総合研究所、2023年度のCM好感度ランキングを発表!CM好感度No.1は日本マクドナルドに

CM総合研究所、2023年度のCM好感度ランキングを発表!CM好感度No.1は日本マクドナルドに

CM総合研究所は、2023年度のCM好感度No.1企業を 「ベスト・アドバタイザー」として発表するとともに、企業別CM好感度、および躍進企業とCM好感度の獲得効率のランキングを発表しました。


【2024年4月29日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

【2024年4月29日週】注目のマーケティングセミナー・勉強会・イベント情報まとめ

編集部がピックアップしたマーケティングセミナー・勉強会・イベントを一覧化してお届けします。


EC利用者が次も買いたくなる同梱物は?顧客離反につながる”逆効果な”同梱物も【ディーエムソリューションズ調査】

EC利用者が次も買いたくなる同梱物は?顧客離反につながる”逆効果な”同梱物も【ディーエムソリューションズ調査】

ディーエムソリューションズ株式会社は、全国の20-60代の男女で特に月に1回以上ECで買い物をされるヘビーユーザーを対象に「同梱物に対する消費者実態調査」を実施し、結果を公開しました。


国際テロと地政学リスク

国際テロと地政学リスク

国家間の政治問題が取り沙汰されることが多い「地政学リスク」ですが、他にも学ぶべきこととして「国際テロ」の問題もあげられます。国際テロとは縁遠いと思われる日本。しかし、日本人が巻き込まれるテロ事件は断続的に起こっています。本稿では、国際政治学者としてだけでなく、地政学リスク分野で企業へ助言を行う会社の代表取締役でもある和田大樹氏が、大きなニュースとなったロシアでのコンサートホール襲撃事件をはじめ、過去に起きたテロ事件を振り返り、国際テロの脅威について解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ