デジタルトランスフォーメーションの意味は広い
デジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術を用いて企業が新たな価値を創造していくことを意味します。DXにはこのような定義があるものの、部分的にIT化したり、システムを刷新すれば終わるものではなく、新しい事業・ビジネスモデルを立ち上げていく努力が求められます。
ちなみに、「トランスフォーメーション(Transformation)」なのに「X」と略す理由ですが、「Trans(~を超える、~を横断する)」の同義語である「Cross」を念頭に置く必要があります。
Crossは「交差する、横切る」の意味を持ち、この語を記述(=視覚的に表現)するときに「X」と略されるようになりました。これが転じてTransを略する場合も「X」が用いられるようになった、というのが“X=Transform”の理由です。
デジタル技術の進化にともない、ビジネス環境にも変化がみられます。ここ数年注目を集めている概念「デジタルトランスフォーメーション(DX)」もそのひとつです。 デジタルトランスフォーメーションの定義や意味、日本の現状を解説します。具体的な企業事例も紹介しながら、DXの効果や単なるIT化にとどまらず、革新的な変化を起こす点を理解しましょう。
なぜデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が求められているのか?
DX推進は経済産業省も促しているものです。その理由は「2025年の崖」問題という、DXを実現できないと2025年以降、年間で最大12兆円の経済損失が発生してしまうという予測があるからです。
この「2025年の崖」問題のほか、DXについて経済産業省の見地から発表されている「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」も目を通しておくことをおすすめします。
デジタルトランスフォーメーションを学べるおすすめ本
DXに取り組むにあたって社内外の関係者への説得材料、裏付けとなる知識やノウハウを学べる本を紹介します。
■DX本「イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション)」
書籍「イラスト&図解でわかるDX(デジタルトランスフォーメーション)」はタイトル通り、図やイラストが豊富なのが特徴です。
文字からだけでなく、ビジュアル的にデジタルトランスフォーメーションの概念を理解できます。記載されている内容は比較的平易で、「DXって何?」「DXをざっくりと知りたい」という方がまず読むべき入門書と言えます。
■DX本「いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略」
DXについての知識がほとんどなくても読める、DX入門書と呼べるのが本書です。現場主義的にDXの知識や実行の道筋を、事例やイラスト、図解を交えて丁寧に解説しています。
DXに興味がある人はもちろん、DXを推進しなければならない立場の人まで幅広い人が専門知識なしで読み進められる一冊となっています。
■DX本「デジタルトランスフォーメーションの実際」
書籍「デジタルトランスフォーメーションの実際」もデジタルトランスフォーメーションの要点を掴むのに役立ちます。
著者であるベイカレント・コンサルティングは、日本でいち早くDXの重要性を説いたコンサルティング会社。顧客企業のグローバル展開支援などに精通していることから、本書では日米間のDXについて比較分析がなされています。
また、「デジタルパッチ」→「デジタルインテグレーション」→「デジタルトランスフォーメーション」の3ステップでデジタル戦略を立案すべきという主張も、本書独自のポイントです。
■DX本「システムを作らせる技術 エンジニアではないあなたへ」
DXを推進するにあたってはシステムの構築が必要不可欠です。そのためにベンダーなどの専門家に構築を依頼した際に、自社が望むような結果にならなかったり、計画そのものが頓挫してしまうトラブルが出る危険性があります。
DX推進の担当者がある程度の知識を持ち、システム構築の指示、つまりどのようなシステムを作って欲しいかを明確にできればトラブルの可能性を低く抑えられます。本書ではシステムづくりの際に注意すべき点をさまざまな事例をもとに解説しています。
■DX本「DX経営図鑑」
本書は、DXに成功したさまざまな企業の事例を紹介しています。単なる事例にとどまらず、DXをどのように考え、そして推進にあたってどんなことを行ったのかまでを網羅しているのが特徴です。
紹介されている企業の業種は多岐にわたっているため、自社と同じようなケースを見つけやすいでしょう。
■DX本「デジタル時代のイノベーション戦略」
書籍「デジタル時代のイノベーション戦略」はDXを総括的に理解できる本です。DXがなぜ重要なのか、企業においてDXをどう位置づければいいのか、どのようにイノベーションを起こしていくのかが説明されています。いずれも日本の風土、日本企業の特性に合わせた指南になっています。これからデジタルトランスフォーメーションに取り組む担当者や経営者の方におすすめの一冊です。
■DX本「企画立案からシステム開発まで 本当に使えるDXプロジェクトの教科書」
著者がDXに携わっており、そのノウハウの解説が中心となっているので、タイトルが示すように、DX推進のための具体的な方法の紹介がおもな内容です。
ある程度DXの知識を付け、これからDXの推進に取り組まねばならないといった立場の人にとって大いに参考になる情報が多数紹介されています。
■DX本「DX(デジタルトランスフォーメーション)経営戦略」
DX推進となるとどうしてもITやシステム構築といったテクノロジーにばかり目が行きがちですが、DXに必要な組織は組織は?そして人は?という部分を掘り下げている本書。
4年間に渡って1万6000人への調査、さらにウォルマートやGoogleの企業マネージャーへのインタビューなども紹介されているので、DX推進の旗手となるポジションの人へとくにおすすめできます。
■DX本「ソフトウェア・ファースト」
デジタル化はいうなれば、「ハードからソフトへの変革」を意味します。書籍「ソフトウェア・ファースト」ではソフトウェアをキーワードに、これからの日本企業が生き残るための方策について説明されています。著者の及川 卓也氏はMicrosoftやGoogleでプロダクトマネージャーやエンジニアリングマネージャーを務めた有名エンジニアです。
AI、サブスク、SaaS(Software as a Service)など、今話題のキーワードがちりばめられており、ソフトを中心としたサービス志向の流れを学べるでしょう。DX推進者だけでなく、エンジニア・プログラマーにも参考になる一冊ではないでしょうか。
■DX本「DX戦略立案書」
著者はデジタル経営の権威のひとり、デビッド・ロジャース。およそ10年にもおよぶこの分野についての研究、教育、そしてコンサルティングといった実績をベースにして、目まぐるしく変化するデジタル環境に対応する術を解説しています。
戦術論に終止しがちなDX関連書にはない、わかりやすいフレームワークを導入しているため、自社の状況にあてはめて考えやすくなっています。
■DX本「サブスクリプションシフト DX時代の最強のビジネス戦略」
書籍「サブスクリプションシフト DX時代の最強のビジネス戦略」は、DX時代を牽引する代表的なビジネスモデル「SaaS」「サブスクリプション」を主に取り扱っています。SaaS・サブスクリプションがなぜ急成長したのか、その生産性の高さの源はどこにあるのかが詳細に分析されています。
■DX本「対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方」
本書が提唱する「デジタル・ディスラプター」とは、DX推進によって既存の製品やサービス価値が変容することによって起こる大幅な市場変化をデジタル・ディスラプションとし、これを行う企業のことを指しています。
紹介されているデジタル・ディスラプターに対抗する戦略は4種類。すでにDXが自社の経営に影響を与えている、もしくは今後影響を与えられる懸念があるという企業のDX推進担当者、そして経営者におすすめしたい一冊です。
■DX本「DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる」
書籍「DX実行戦略 デジタルで稼ぐ組織をつくる」ではデジタルトランスフォーメーションを組織論の観点から解説しています。日本企業(特に大企業)では、組織が縦割りになっているために生じる「システム・人的リソースの無駄」がよく見られます。そのような状況を「サイロ化の罠」と言い、そこから抜け出すためのヒントを本書からは得られるでしょう。既にDXに取り組み始めている企業やDX担当者におすすめの一冊です。
■DX本「リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書」
デジタルトランスフォーメーションを推進したくても、人材不足で足踏みをしている企業も少なくありません。書籍「リーダーが育つ変革プロジェクトの教科書」ではDXを人材教育の面から捉え、これからのデジタル競争を勝ち残れる人材育成のノウハウについて解説しています。デジタル化、グローバル化が加速度的に進む現代において、人材育成もサービス・ソフト開発以上に重要な課題であることを説いています。
■DX本「ルポ 日本のDX最前線」
DXを推進している企業のみならず、政府が推進しているDXまで、幅広く現実の、そして現在のDXを紹介しています。
政府CIO補佐官、経済産業省、金融庁といった3つの行政機関、そして7つの企業におけるDXの本音やリアルな意見を、DXに関する深い知識を持たずとも読み進められます。
まとめ
デジタルトランスフォーメーションと一口に言っても、その観点は様々です。DXを企業内で推進していくためには、ソフト開発、組織作り、人材育成、風土改革など、多面的な戦略立案が必要となります。自身が抱える課題に合わせて、今回ご紹介した書籍を参考にしてみてください。
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