企業でDXを推進する組織づくりとは?3つのタイプを事例とともに考察します

企業でDXを推進する組織づくりとは?3つのタイプを事例とともに考察します

デジタル技術を活用し、革新的なビジネスモデルを生み出すDXに取り組む企業が増えています。革新的なビジネスモデルを実現するには、単なるツール導入や業務効率化にとどまらず、社内の仕事の進め方を全般的に変える必要があります。そのために、DX専任の組織を置く企業も増えています。今回は、企業のDXを推進する組織づくりの事例を紹介します。


DX推進組織の必要性

本記事では最近ますます需要が高まっている、DXを推進する組織づくりを紹介します。まずはその前に、DX=デジタルトランスフォーメーションとはなにかを振り返りましょう。

広義のDXは、進化したデジタル技術を浸透させ、生活をより良いものとする変革のことを指します。変革には、既存の価値観や枠組みを根底から覆すようなイノベーションという意味合いも含まれます。

これを踏まえ、企業におけるDXとは、市場環境のデジタル化に対応し、従来の権益を保つために競争力の維持・強化を図るべく、組織の制度や文化までもを変革する取り組み、となります。

”デジタル”というワードがあるため、業務のIT化やそれを利用しての効率化であると捉えられてしまうかもしれませんが、企業においてDXを推進する場合はIT化や業務効率化では不十分です。

先述したように「組織の制度や文化までもを変革する取り組み」が革新的なビジネスモデルを生み出す原動力になります。そのためには、既存組織の変更や再構築が必要不可欠となるため、DXを担当する部門をどうすべきか、まで考える必要が出てきます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

https://manamina.valuesccg.com/articles/730

デジタル技術の進化にともない、ビジネス環境にも変化がみられます。ここ数年注目を集めている概念「デジタルトランスフォーメーション(DX)」もそのひとつです。 デジタルトランスフォーメーションの定義や意味、日本の現状を解説します。具体的な企業事例も紹介しながら、DXの効果や単なるIT化にとどまらず、革新的な変化を起こす点を理解しましょう。

【DX事例集】これでデジタルトランスフォーメーションを理解しよう!

https://manamina.valuesccg.com/articles/762

デジタル技術でビジネスに変革をもたらすDX(デジタルトランスフォーメーション)。概念はわかるものの海外の華々しい事例のほかに、日本ではどのようなDX事例があるでしょうか?身近な企業の取り組み事例を元に、デジタルトランスフォーメーションを理解していきましょう。

企業内でDXを担当する組織編成のタイプ

DXを推進する組織編成には、3つのタイプがあります。

■IT部門拡張型
ITの専門家集団とも言えるIT部門の機能を拡張し、デジタルイノベーション創出を担う。

■事業部門拡張型
事業部門が主導し、IT部門が支援。

■専門組織設置型
デジタルイノベーションを推進するための専門組織。

業種やビジネスとITの関連性によって最適な組織編成のタイプが変わりますが、社内の各部門からメンバーを招集し、従来の業務と兼務する場合だと、多忙である、権限が与えられていない、既存部門との協力を得られない、といった理由で活動が停滞する事態に陥りがちです。

そのため、DXを本気で推進するには、専任の組織やメンバーを置き、明確な組織ミッションを与えることが有効です。IT部門拡張型や事業部門拡張型においても、先述した活動停滞理由を払拭できるよう、全体的な視点を持ち、組織を横断して活動できるように配慮する必要があります。


次に、DXに取り組む企業に対する調査結果から、どのタイプが多いのかをみてみましょう。

IDC Japanの調査結果では、DX専任組織(=専門組織設置型)を「第2のIT部門」として推進の中核とするケースが(計28.7%)と最多であることがわかりました。続いて組織横断的プロジェクトチームが17.7%、事業部門が17.4%、情報システム部門(=IT部門)が6.9%という調査結果になっています。

このデータから、DX推進にあたっては専門組織を設置するのが一般的であると読み取れます。それを踏まえて次の章では、DXを推進している企業の組織編成の事例を紹介します。

各社のDX推進組織の事例

住友商事のDX推進組織事例

住友商事ではDX推進を目的に、全社横断組織である「IoT & AIワーキンググループ」を2016年4月に発足。続いて2018年4月からは専任組織である「DXセンター」をデジタル事業本部に設置しました。

DXセンターだけにとどまらず、グループ会社のSCSKや、同社が出資する経営・ITコンサルティング会社であるアジアンフロンティア、また、同社が出資するベンチャー企業各社とも連携し、DXの推進をさらに加速させています。

最先端の技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進

https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/business/case/group/dx

「最先端の技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進」についてご紹介している住友商事の事業紹介ページです。

花王のDX推進組織事例

花王ではDXを推進するため、同社内に専務執行役員が統括する「先端技術戦略室(SIT)」を発足させました。この「先端技術戦略室」の役割はデジタル先端技術戦略の立案・実行を推進することです。

「先端技術戦略室」直下に戦略企画グループを配置し、「能率化活用グループ」「情報戦略グループ」「販売グループ・事業」「IT設計管理グループ」という実務を担当する4グループの活動をコーディネートする体制を取っています。

なお、花王の「先端技術戦略室」は研究開発や生産、販売など各部門の社員を集めて編成しているので、既存部署との兼務者が多くなっています。

DXのために花王が実践した“具体的な”体制づくりと取り組み - IBM THINK Business

https://www.ibm.com/think/jp-ja/business/kao-ts2019-session/

デジタル・トランスフォーメーション(DX)は、いまやどの企業でも関わる課題だ。しかし、DX実現に向けて、うまく動けていない企業も多い。花王グループもそうだった。しかし、同社はDXに向けて体制整備を行い、DXに動き出した。花王 代表取締役 専務執行役員 長谷部佳宏氏がこれまでDXで歩んだ道のりを具体的に解説する。

NECのDX推進組織事例

NECではDX専任組織として100人規模の「Digital Business Office」を設置。全社横断でデジタルビジネスを推進する体制を確立しています。

「Digital Business Office」には、社内だけではなく外部のメンバーも招聘しています。体制に関しては現状のものにとどまらず、新たな職種が求められればそれを用意し、人員の確保を行って柔軟に変化する組織を目指しています。

NECは、DXに関する記者会見で「デジタルトランスフォーメーション(DX)事業を推進するうえで“出島(=別会社、別組織)”は必要ない。全社組織をシフトしていけるような体制にしないと、DX事業はうまくいかないと考える(吉崎敏文執行役員)」としています。

DXに「出島」は必要か?――NECと富士通の違いに見るDX組織設立の勘所

https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1911/11/news057.html

NECがDX事業の強化に乗り出した。最新技術の提供形態を示したデジタル基盤を整備するとともに、顧客企業のDXを支援する組織を新設。その組織の在り方で、競合する富士通との違いが浮き彫りになった。

各社のDX推進組織事例のまとめ

今回紹介した3社におけるDX推進組織の編成方法はそれぞれに特徴があります。

・住友商事:事業部門拡張型から専門組織設置型への段階的な組織編成、そして外部の力を利用しての推進

・花王:統括部門とそれを支えるグループには、社内の人材を活用。事業部門拡張型の組織編成

・NEC:専門組織設置型の組織編成。人材は社内外から登用。今後の情勢によって体制は変化する可能性あり

最後に、いち早く既存システムを刷新する判断を下し、DXを推進している企業には、必ずと言っていいほど経営層のコミットがあります。

また、マーケティングにデータを活かすためのデータマーケティング組織についても、同様のことが言えるでしょう。データマーケティング組織のあり方については下記の記事で詳しく解説しています。気になる方はそちらも参考にしてみてください。

データマーケティングできる組織をどう作るか

https://manamina.valuesccg.com/articles/761

Webアクセスのログなど大量のデータが取れる今「データマーケティング」に取り組む企業が増えています。データマーケティングに取り組むには、データを扱える人材を組織的に育成する努力が必要です。データマーケティングできる組織づくりを事例も参考にしながら見ていきます。

DX推進組織の編成にあたっては、自社をどのような企業にするのかというビジョンによって組織体系は変わってきます。経営戦略をしっかりと固め、社内の理解・協力を得たうえで一丸となって取り組んでくことが大切です。

この記事のライター

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