カレンダー共有の「タイムツリー」、夫婦共演のテレビCMで月間ユーザー数が約1.6倍に。F1層の心を掴む?

カレンダー共有の「タイムツリー」、夫婦共演のテレビCMで月間ユーザー数が約1.6倍に。F1層の心を掴む?

中尾明慶さんと仲里依紗さんの夫婦共演CMが印象的な「タイムツリー」。アプリ内でコミュニケーションが取れるスケジュール管理アプリとして注目を集めるサービスです。本稿では、そんなタイムツリーを調査。サービスの特徴やユーザー傾向、マネタイズ方法など、サービスの実態を調べていきます。


中尾明慶さんと仲里依紗さんの夫婦共演CMが印象的な「TimeTree(タイムツリー)」。CMのストーリーを見ていても、夫婦のコミュニケーションを円滑にし、円満な家庭を支えてくれるサービスなんだろう、というイメージが伝わってきます。本稿では、そんなタイムツリーを調査。サービスの特徴やユーザー傾向、マネタイズ方法など、サービスの実態を調べていきます。

タイムツリーとは?

タイムツリーは、「共有とコミュニケーション」をテーマに作られたスケジュール管理アプリ。壁掛けカレンダーに家族みんなの予定を書き込んでいくように、スマートフォンの中のカレンダーで予定を共有でき、アプリ内でコミュニケーションを交わせることが特徴です。

家族や仕事など、相手に応じてカレンダーを共有できるほか、各予定にはコミュニケーションスペースが用意されており、共有相手へのコメントが可能。予定の相談や、記録に活用できる仕組みです。

これまで個別に相談していたスケジュール調整の手間を考えると、アプリ上で完結させられるのはとても便利です。明るく可愛らしいデザインも、ユーザーをワクワクさせ、スケジュール登録を"楽しい"と感じさせてくれる特長のひとつと言えるでしょう。

サービスサイトに掲載されているユーザーの感想には、タイムツリーの手軽なスケジュール共有とコミュニケーションの機能により「言った言わないがなくなった」「スケジュールの食い違いがなくなり、効率化された」などの声が寄せられています。

また、スケジュールの調整だけでなく、家族の思い出の記録として活用している事例もあるといいます。サービスの機能を活用し、ユーザー各々のアイデアでカスタマイズして使えるのがタイムツリーの魅力でもあるのでしょう。

過去1年のアプリのユーザー数をチェック

次に、ヴァリューズのWebサイト・アプリ分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使って、タイムツリーアプリの月別のユーザー数推移を見ていきます。

集計期間:2019年3月~2020年2月、デバイス:スマートフォン

こちらは、過去1年間のアプリユーザー数の推移です。タイムツリーとカレンダーアプリの「ジョルテ」を比較しました。

1年前(2019年3月)時点ではジョルテが大きく上回っていますが、徐々にタイムツリーがジョルテに迫り、11月にはタイムツリーが逆転。以降、ジョルテがほとんど横這いな一方で、タイムツリーはグンとユーザーを増やし、2020年2月にはMAUで100万人以上の差がついています。

実はタイムツリーのユーザー数が大きく伸びた2019年11月は、中尾明慶さんと仲里依紗さんの夫婦共演テレビCMの放送が始まった月です。CMが効果的に認知を広め、サービス飛躍のきっかけになったと言えるでしょう。

タイムツリーの認知度を調査

次に、タイムツリーの認知度を見てみましょう。

※2020年1月に株式会社ヴァリューズが実施したアンケート調査より

アンケート対象者のうち、タイムツリーを知っていた人は23.2%、実際にスケジュール共有した人は3.6%という結果となりました。

では、どのような人がタイムツリーに興味を持っているのでしょうか。内訳を調べるため、性・年代別の認知度も見てみます。

※2020年1月に株式会社ヴァリューズが実施したアンケート調査より

性年代別では女性・20代の認知度がもっとも高いという結果になりました。その次に高いのは女性・30代です。これらのことから、タイムツリーは若年層の女性に支持されていることがうかがえます。

これはサービスのターゲットとも一致しているように思われます。例えば、仲里依紗さんを起用したCMも、20〜30代女性の心に寄り添うようなクリエイティブになっています。さらに、サービスサイトにはユーザーインタビューが掲載されており、トップに登場するのは「新社会人の帆奈美さん」。普段のライフスタイルや、恋人や家族とのタイムツリーの利用シーンが紹介されています。

オフラインのテレビCMとデジタルコンテンツ、マルチチャネルで行うタイムツリーのブランディング活動にあるのは、一貫した世界観です。サービスの機能が伝わるだけでなく、共感してもらい、見る人に好奇心を抱かせるようなコンテンツに仕上がっています。ここにはポジショニングづくりや、STP戦略の巧みさを感じます。

「新社会人の帆奈美さん」のタイムツリーのユースケースを伝えるコンテンツ。その他にも夫婦や家族の利用シーンがユーザーに寄り添う形で記事化されている。

もうひとつ興味深い点は、タイムツリーの広告ビジネスです。タイムツリーでは、ユーザーが登録するスケジュールを学習し、ユーザーのこれからの行動に合わせたターゲティングができる広告ソリューションを提供しています。

過去のデータではなく、未来の予定に基づいた広告を配信できるのは予定管理アプリならではの特性。育児、ヘルスケア、レジャーなどカテゴリ設定できるUIになっており、適切なセグメントに広告配信されることが期待されます。

「未来にターゲティングできる唯一の広告ソリューション」というキャッチコピーでも語られているように、特性を活かした独自のマネタイズが成立しており、ビジネス設計も含めてサービスの一貫性を感じます。

まとめ

最後に分析内容をまとめましょう。タイムツリーは、

効果的なCMや巧みなデジタルコンテンツでターゲットユーザーをうまく取り込んでいる
サービスの特性を活かした広告モデルで優位性を生み出している

と言えます。そして、これらがうまく連動して成り立っているのは、土台となるターゲット設定とブランディングの一貫性があってこそでしょう。ユーザーが日常的に使うアプリとして浸透することで、今後のビジネスも広がっていきます。どのように展開していくのか、タイムツリーのサービス動向に注目です。

<分析概要>
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年3月~2020年2月のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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この記事のライター

フリーランスPRおよびライターとして活動中。二児の母。

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