SDGsとは
SDGs、すなわち「持続可能な開発目標」とは、現在横行する様々なかたちの貧困や不平等を解消し、また気候変動に対処することを目的に2015年に国連加盟国によって採用された17の開発目標です。
人類にとって非常に重要な取り決めですが、17の目標を端的に表したキャッチーなロゴやアイコンも功を奏し、企業のブランディングの手段としても注目を集めています。そこで本記事では、サイト分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使って、インターネット上の検索キーワードを分析していきます。世の中ではSDGsに対してどのような関心が寄せられているのでしょうか。
どんなキーワードで検索されているのか
それでは早速、2019年2月から2020年1月の1年間で、SDGsがどのようなキーワードとともに検索されたのかを見てみましょう。次の「SDGs」関連検索ワードのユーザー数ランキングをご覧ください。
「SDGs」関連検索ワードのユーザー数ランキング(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
1位から3位は、SDGsそのものが何なのか、に関する検索と思われます。日本では「SDGs」とならび日本語訳の「持続可能な開発目標」をよく耳にしますが、SDGsという言葉は頭文字なのでそもそも何のことかわからないという人も多いのではないでしょうか。
8位「SDGs 17の目標」についても、SDGsのより具体的な内容についての検索と考えられます。
4、5,6位の「ロゴ」「企業」「バッジ」などは、主に企業の取り組み内容の調査のために検索されたものと思われます。先述のキャッチーなロゴやバッジを使ったアピールへの関心がうかがえるでしょう。
SDGsの17のアイコン。SDGsをあまり知らなくとも、見覚えがある人は多いのではないでしょうか。
7位の「未来都市」は、内閣府地方創生推進事務局による、SDGsを基調とした地方開発プロジェクトのことを指します。同局は2008年よりSDGsと同様の狙いで「環境モデル都市」の選定を開始。2011年秋には東日本大震災の被災地を含む複数の都市がより発展的な「環境未来都市」に選定され、助成金を受けています。
そして同局は2015年のSDGsの国連決議を受け、SDGsに準拠した「SDGs未来都市」の選定を開始しました。これが検索の背景にあるものと見られます。
キーワードのセッション数の月別推移
それでは、先ほど全体像を確認した検索キーワードのうち、注目すべきものについて月別のセッション数推移を追ってみましょう。
キーワード全体
「SDGs」関連検索ワードのセッション数推移(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
SDGsというキーワードを含む検索によるセッション数は、多少の増減を繰り返しながら全体的に増加しています。世の中の環境意識の高まりが反映されていると言えるでしょう。
1位:「SDGs」
「SDGs」検索ワードのセッション数推移(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
検索の大部分を占める「SDGs」のみによる検索数の推移は、全体とほぼ同じ変動を見せています。
2位:「SDGsとは」
「SDGsとは」関連検索ワードのセッション数推移(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
SDGsが何を指すのかという問いですが、2019年6月にこのキーワードでの検索数が前月比4倍以上増えています。これは当月に行われたG20大阪サミットにおいて重要な議題とされ、新たにロードマップが策定されたことなどを受けて世間でも関心が高まったからではないでしょうか。
人気のコンテンツは?
では、キーワードごとにどのようなコンテンツが実際に閲覧されているのか、ランディングページ(LP)を見てみましょう。
1位:「SDGs」
「SDGs」検索後のLPのユーザー数ランキング(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
検索キーワードランキングで圧倒的にセッション数の多かった「SDGs」というキーワードですが、開設サイトや国連広報センターのページなど、やはりそもそもSDGsとは何なのか、ということを調べる人がほとんどのようです。
検索ワード「SDGs」のLPセッション数1位は、外務省の一般向け特設ページ。
4位:「SDGs ロゴ」
「SDGs ロゴ」検索ワードのLPのユーザー数ランキング(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
4位「SDGs ロゴ」というキーワードからは、SDGsのロゴのダウンロードページや、その使用法に関する解説ページが多くアクセスされていました。
検索ワード「SDGs」のLPセッション数1位は、国連広報センター開設のSDGsロゴダウンロードページ
5位:「SDGs 企業」
「SDGs 企業」検索ワードのLPのユーザー数ランキング(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
5位の「SDGs 企業」という検索ワードからは、具体的な企業の取り組みをまとめた外務省のページにアクセスする人が多いようです。また、企業がどのような取り組みをすべきなのかまとめた解説サイトもアクセスを集めている様子がうかがえます。
企業のSDGsとの共存のあり方に注目が集まっており、取り組み事例を調査する企業が多いことを示唆していると言えるのではないでしょうか。
各企業の取り組み事例をまとめたサイト
企業がSDGsに準拠した経済活動を行うことによるメリットを論じたサイトも注目度が高い
6位:「SDGs バッジ」
「SDGs バッジ」検索ワードのLPのユーザー数ランキング(eMark+画面より)
※対象デバイス:PC
「SDGs バッジ」というキーワードからは、SDGsのロゴのピンバッジの購入ページを閲覧する人が多いようですが、興味深いのはセッション数8位にSDGsバッジの真贋の見分け方について解説したページがランクインしている点です。偽物が出回っているとすればそれは残念ですが、SDGsおよびSDGsバッジが市民権を得ていることの証左といえるのではないでしょうか。
SDGsバッジの真贋を見分ける方法を説くサイト
まとめ
最後に、今回の分析を通じて見えてきたことを総括します。
・SDGsに対する世の関心は依然高まり続けている
・企業のSDGsに関する取り組みにも関心が注がれている
・ロゴやバッジなどを利用したPR活動への関心も高い
・SDGs未来都市など日本独自の公的取り組みについても検索されている
今回の調査結果を踏まえて、公私ともにSDGsへの準拠を考えてみてはいかがでしょうか。
ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズは、全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年2月~2020年1月の「SDGs」関連検索者のネット行動ログデータを分析しました。
※ユーザー数・セッション数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。まずは無料版に登録して、実際にDockpitを体験してみてくださいね。
ウィーン大学への留学を経て京都大学文学部卒業。
外資系大手ITコンサルティング会社に勤務後、フリーランスライターに転向。