ペット関連市場は毎年拡大の一途
矢野経済研究所の調査によると、2018年度のペット関連総市場規模は、前年度比101.6%の1兆1兆5,442億円と推計しています。この市場は、微増ではあるものの、毎年増加の傾向あります。
現実的には犬の飼育頭数は減少、猫の飼育頭数は横ばいという状況の中、市場規模の右肩上がりが続く要因は、ペットを家族の一員やパートナーとして大切に飼育しているため、と考えられています。ペットの健康によりよいもの、マナー、エチケット関連の製品やサービスに対する需要が高まっていると見られています。
ペットも人間なみに健康志向〜海外からの波〜
ペット関連市場において、盛況なのがペットフードです。
ペットによいものを食べさせたいというニーズから、人間が食べるものと同じ素材、製造方法(ヒューマングレード)にしたり、獣医師の監修といった、いわゆる「健康的」なペットフードが広まっています。とくに、ペットフードのD2Cによる提供は、アメリカにおいて数年前から登場しており、活況を呈しています。
■アメリカのD2Cペット用品事例「The Farmer’s Dog」
注目株のスタートアップ企業「The Farmer’s Dog」では、ペットごとにカスタマイズしたドッグフードを提供するサブスクリプションサービスを展開しています。
同社が提供するドッグフードは、個々に対応したカスタマイズだけではなく、人間でも食べられる新鮮な素材、防腐剤といった添加物も使わないヘルシーさが特徴です。
なお、すでに毎月100万食以上を提供しており、およそ半数のユーザーが1年以上に渡ってリピート注文していることからも、その人気の高さがわかります。
Fresh Human-Grade Dog Food Delivery | The Farmer’s Dog
https://thefarmersdog.com/A smarter, healthier dog food: 100% human-grade food, pre-portioned and delivered to your door. Better for them & easier for you. Create your plan today!
■アメリカのD2Cペット用品事例「NomNomNow」
「NomNomNow」もThe Farmer’s Dogと同様のペットフードのサブスクリプションサービスです。
NomNomNowの特徴は、成長率の高さ。2016年12月から2017年同月までの成長率が6.5倍を達成。そしてさらに1,300万ドル(約14億円)の資金調達を行うほどの企業となっています。
サービス内容的には、顧客がペット情報(犬猫問わず)を入力すると、そのプロフィールをもとにいくつかのレシピを提案されます。これを顧客が選択すると、ペットフードのキットが届く、という流れです。
食材については、こちらも健康志向のもの・オーガニックフードが中心になっています。
Fresh food for dogs and cats, delivered - Nom Nom
https://www.nomnomnow.com/Nom Nom is healthy, fresh food for cats and dogs formulated by vets. Gently cooked each week with free delivery to your door.
■アメリカのD2Cペット用品事例「Ollie」
創業間もない「Ollie」は、ドッグフードの生産を、ペンシルベニア州の米国農務省認定調理工場に委託しています。米国農務省認定調理工場は、人間が口にする食品を加工する工場。当然のことながら、品質、食品の信頼性の高さは折り紙付きと言えます。
チキン、ビーフ、ラムの心臓、砕いたバターナッツ、ルタバガ、ヒヨコマメ、ポテト、クランベリー、ケール、いちご、(鱈の)肝油といった、これまでにドッグフードとして使われていない素材をチョイス。
こうした素材を顧客の犬に合わせてレシピを調製。適正量を顧客に届けるという流れです。
Ollie | Healthier Food for a Healthier Dog
https://www.myollie.com/Ollie delivers fresh, healthy dog food made with real, human-grade ingredients, tailored to your pup's unique nutritional needs.
国内のD2Cペット関連アイテムも「食」が中心
■D2Cペット用品事例「PETOKOTO FOODS」
「PETOKOTO FOODS(ペトコトフーズ)」が提供するドッグフードは、国産素材を用いたヒューマングレード。獣医師の監修のもと、「BEEF」「PORK」「CHIKEN」「FISH」というそれぞれの肉を中心とした4種類を提供しています。
犬種を「小型犬」「中型犬」「大型犬」の3つに分類し、それぞれの犬のカロリー量に応じてデリバリーの頻度が変わります。
カスタムフレッシュドッグフード|PETOKOTO FOODS(ペトことフーズ)
https://foods.petokoto.com/鹿児島県産和牛や黒豚、安納芋などの新鮮な国産食材を使用した無添加のプレミアムドッグフードです。世界に95名しかいないニュージーランドの栄養学専門獣医師が監修。全犬種全年齢対応。最低限の加熱調理で瞬間冷凍でお届けするため、人間も食べられる美味しい手作りごはんです。質問に答えるだけであなたの愛犬に合ったレシピやカロリー量でお届けし、一生涯の栄養や健康管理をサポートします。
■D2Cペット用品事例「CoCo Gourmet」
これまで紹介してきたペットフードは、ペットの種類全般に対応するスタイルでしたが「Regalie(レガリエ)」は、“室内で飼育している10kg以下の小型犬”に特化したドッグフードを提供するサービスです。
Regalieのドッグフードも他のサービスの例に漏れず、獣医師との共同開発や素材へのこだわり、無添加といった特徴を持っていますが、独特なのがグレインフリー(穀類不使用)という点です。
目指したのは世界一の品質。「レガリエ」ドッグフードは、生肉を主原料にヒューマングレード素材だけで作り上げたグレインフリーのスペシャルフードです。無添加にこだわりつつ、獣医師監修の元で室内飼いの犬に最適化した栄養バランスに仕上げています。
■D2Cペット用品事例「Catlog」
「Catlog(キャトログ)」は、猫の生活をテクノロジーで見守るIoTデバイスです。
首輪に装備された加速度センサーで猫の行動ログを取得し、その様子を飼主のスマホに転送するという内容になっています。行動ログはバイオロギング解析技術と機械学習を使い、「ごはん」「睡眠」「歩く」「⾛る」「運動」といった行動パターンを検知します。
映像での監視とはことなり、行動パターンが逐次スマホに送られてくるので、定期的にしかスマホで確認できないという場合は心強い内容です。
猫の生活をテクノロジーで見守る。 Catlog_ | RABO, Inc.
https://rabo.cat/catlogCatlog®(キャトログ)は「世界中の猫と飼い主が、1秒でも長く一緒にいられるように。猫の生活をテクノロジーで見守る。」猫様専用のIoTサービスです。猫様の日々の行動を24時間365日、そして一生にわたって見守り、記録し、猫様の健康管理をサポートします。すべては、猫様のために。
「独自性」というD2Cの強みがユーザーのニーズと合致
ホームセンターなどで販売されている国内の既存ブランドには無添加・グレインフリーのものは少ないのが現状です。
そうした製品を仮に大手企業が作ろうとしても、原価コストの点から販売価格帯が高くなります。また、自社の既存ブランドとのバッティングを防ぐ観点から、こうしたペットフードの分野には参入しづらい、と予測されます。
一方、小回りがきくD2Cブランドであれば価格を抑えつつ、安全なものを提供できます。オリジナリティによって、今後もペット用品のD2Cの流れは広がっていくことが予想されます。
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