D2Cのマーケティング課題と施策

D2Cのマーケティング課題と施策

店舗を介さず顧客へ商品を届けるD2Cが注目されていますが、商品が良くても顧客にリーチできなければ販売機会がありません。D2C各社がどのようにネットで存在感を出し、ブランドを育てているか、マーケティング事例から見ていきます。


D2Cのビジネスモデルとマーケティングの課題

D2Cとは、「Direct to Consumer」の略称で、原則としてメーカーが店舗(卸業者)を介さず、顧客に直接商品を届けるビジネスモデルです。D2Cが可能になった背景には、SNSやネットショッピングの普及があります。

D2Cのメリットとしては流通コストを省くことで低価格に抑えられたり、顧客と直接コミュニケーションできる点があげられます。その反面、原則実店舗がないということは、ネット上で存在感を出しファンを増やしていく集客能力が求められます。

D2Cブランド各社がどうマーケティングしてきたのでしょうか。

注目のビジネスモデル「D2C」とは?海外・国内の最新事例をご紹介

https://manamina.valuesccg.com/articles/550

D2Cとは、メーカーやブランドが店舗を介さず、自社ECサイトを通じて直販するビジネスモデルです。D2Cはアパレルや小売業界を中心に活用され、寝具マットレスの米国企業Casperのように未上場ながら評価額10億ドルを超えるユニコーン企業も現れたことから注目を集めています。D2Cの特徴や日本と海外のD2Cブランド事例をご紹介します。

「BULK HOMME」のマーケティング戦略

男性向けのスキンケアブランド「BULK HOMME」は、国内のD2Cでよく取り上げられる代表例です。具体的なマーケティングとして「BULK HOMME」ではUGCを活用したSNS広告に注力しCPAを1/3、1年で新規獲得数が10倍にした2018年の事例があります。

まず「BULK HOMME」は1200人に対する定量的な「アンケート」と日常の行動ログを記録する「日記調査」を行ったそうです。その結果、男性はスキンケアに対する意識が低く、3-4割の男性は洗顔を日常的にしていないことや、若い男性ほどFacebookやInstagramなどSNS接触時間が長いことがわかりました。そこでSNSに対して男性もスキンケアをすると良いことがある、というメッセージを打ち出していく施策を行いました。

ここでD2Cブランドらしいのは、SNS広告にスキンケアを身近に感じてもらえるようUGC(User Generated Contents、ユーザーが作成したコンテンツ)を活用したことで、許諾を得たユーザーのSNS投稿を広告に使用、A/Bテストを繰り返してCTRを向上させています。

BULK HOMME

https://bulk.co.jp/

「THE BASIC MENʼS SKIN CARE」をコンセプトに、確かなエビデンスから成る「瞬間的価値」と「⻑期的価値」を両⽴したプロダクトを提供する、メンズスキンケアブランドです。【brand site】https://bulk.co.jp/ 【amazon】http://goo.gl/gvZ6Ej

D2Cのブランディング事例

チョコレートの「Minimal」

カカオ豆から板チョコレートまで全行程を自社で行うBean to Barのチョコレートブランド「Minimal」も国内D2C事例としてよく取り上げられる存在です。

D2Cでは磨き上げた少数の製品を売りにするブランドが多いですが「Minimal」では自社の工房でユーザーの声を聞きながら改善を繰り返し、創業3年で国際的な品評会で金賞を受賞するに至っています。

D2Cでは原則店舗を持たないビジネスモデルとされますが、メインの販売ルートはオンラインでも、ユーザーからフィードバックを得る場として少数の店舗を活用する例は参考になります。

素人の僕たちが脱サラして3年で最高峰の品評会で金賞を受賞するまで

https://mini-mal.tokyo/blogs/journal/10110

チョコレートの素人が、世界大会で金賞。 2017年10月10日、ロンドン。 「インターナショナル・チョコレート・アワード(ICA)」のワールドファイナル(世界大会)の授賞式がありました。 最終発表はその場で壇上からコールされるため、会場には世界中からショコラティエやチョコレート関係者が集結します。 インターナショナルチョコレートアワードは10以上のエリア大会があり、そのエリア大会で受賞した作品がワールドファイナル(世界大会)に進みます。僕たちが出品しているPlain/origin bars(香料を用いないシンプルな板チョコレート)カテゴリでは、それまで日本ブランドの金賞受賞がありませんでした。 そして、皆が固唾をのんで見守る結果発表

メガネの「Warby Parker」

アメリカのD2Cブランド事例として有名なメガネの「Warby Parker」。寡占状態にあったアメリカのメガネ市場に新たな選択肢をもたらしたと評価されています。

アメリカでは99年ぶりとなる完全日食に関する「Warby Parker」のキャンペーンは、日食を楽しむための情報を提供したり、日食グラスを無料配布し当日はイベント会場も用意するなど、ブランドの認知拡大と信頼ある情報を提供する企業という信頼度向上に効果がありました。

Did You See?!

https://blog.warbyparker.com/eclipse-recap-2017/

After a 99-year wait, the Great American Solar Eclipse arrived on Monday—and it was quite the sight.

アパレルの「ALL YOURS」

クラウドファンディングでの成功は、D2Cブランドが初期にファンや実績を作るのに有効な手段です。

アパレルの「ALL YOURS」はCAMPFIREで24ヶ月連続クラウドファンディングを実施。案件の達成過程を通じてファンの共感を得るとともに、「今話題の」「24ヶ月連続」など、マーケティングに有利なポジションを獲得しました。

ALL YOURS 公式オンラインストア|次のあたりまえをつくる人の夢中服

https://store.allyours.jp/

着飾るためではなく、日常を快適にするための服。オールユアーズの服は着飾るためのものではありません。 着ているときはストレスがなく、その後の手入れも簡単。それでいてちゃんとして見える” いまこの時代でそんなものが必要とされていると思うのです。 特別な日のためではなく、日々の暮らしのための服。 オールユアーズはあなたの生活に寄り添う服を目指しています。

有名人を起用する

資金に余裕があれば、有名人によるマーケティングも知名度向上に有効です。海外など新たな市場に参画する、あるいは商品比較ではなくブランドメッセージの認知が必要なフェーズでは、従来のマーケティングも検討しましょう。

先述の男性向けスキンケアブランド「BULK HOMME」は2018年に俳優の窪塚 洋介さんをブランドアンバサダーに起用。さらに2019年には世界を代表するサッカー選手のキリアン・エムバペ選手をグローバルアンバサダーに起用しています。

先行するアメリカではD2Cの集客に変化?

D2CというとFacebookやInstagramなどSNSで安価に集客して急成長、というイメージがあるかもしれませんが、先行するアメリカではコストが高騰し次の施策を探し始めています。SNS広告費用が高騰したのは、集客コストが安いことが知れ渡り競争が激化したためです。

その解決策として、たとえば寝具ブランドの「パラシュート」はプレスを強化してインフルエンサー、口コミを活用した新製品マーケティングに取り組んでいます。

まとめ

最近話題のビジネスモデルであるD2Cですが、D2Cにすれば売れるという簡単なものではなく、各社初期のブランド認知やファンの獲得に工夫を凝らしていることがわかります。

D2Cマーケティングの現場でも「BULK HOMME」のように、マーケティングリサーチに基づいて仮説を検証し、ペルソナの行動を理解し、タッチポイントに対して施策を実施する丁寧な施策の繰り返しが成功の鍵と言えるでしょう。

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この記事のライター

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