中国の次なる巨大マーケット「下沈(かしん)市場」在住者特徴を都市市場と比較調査。懐事情は都市市場とほぼ変わらぬ水準に

中国の次なる巨大マーケット「下沈(かしん)市場」在住者特徴を都市市場と比較調査。懐事情は都市市場とほぼ変わらぬ水準に

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズは、中国の都市市場および3級都市以下の都市及び農村である下沈(かしん)市場在住の男女600人を対象にアンケート調査を実施し、都市市場/下沈市場在住者それぞれの特徴と購買実態を比較分析しました。


下沈(かしん)市場とは

下沈市場は中国の3級都市以下の都市及び農村のことを指す。“下沈市場”や“都市等級”は経済専門誌やマーケティング会社により独自に規定されている。人口母数が大きく、消費能力の向上、及びインフラ投資拡大などの理由で注目を浴びている。都市市場人口が約3.90億人なのに対し、下沈市場人口は約10.04億人で中国の人口の72%を占めている(※)。

※出典:中国国家統計局2018年人口普査(Census)

調査結果のポイント

  • 平均世帯月収は約6,000元と開きがあるも、“毎月自由に使える金額”の差は僅か700元
  • 訪日旅行希望先は都市市場在住者が「東京」、下沈市場在住者は「北海道」を1位に
  • 都市市場在住者は日本産ブランド家電、下沈市場在住者は韓国産ブランド家電を好む

都市市場在住者と下沈市場在住者の特徴とは

まず、都市市場在住者と下沈市場在住者の特徴を比較しました。都市市場在住者は下沈市場在住者に比べ既婚者の割合がやや高くなりました。また都市市場在住者は大学院以上の学歴を持っている人が1割強いるようです。

図表1:都市市場在住者と下沈市場在住者の特徴➀

図表1:都市市場在住者と下沈市場在住者の特徴➀

年収についてもみてみると、個人月収が1万元以上の層では、下沈市場在住者が25%に対して、都市市場在住者は40%となっていました。世帯月収に関しては、37%の都市市場在住者が2万元を超えていましたが、下沈市場在住者は2割にとどまりました。

下沈市場在住者の平均世帯月収は約6,000元(約9,5000円)も都市市場在住者より低くなったなか、“毎月自由に使える金額”の差は僅か700元(約11,000円)と、大きな差は見られませんでした。

図表2:都市市場在住者と下沈市場在住者の特徴②

図表2:都市市場在住者と下沈市場在住者の特徴②

次に、サイトやSNSなどの利用媒体を比較しました。両市場在住者いずれも「Wechat」の利用が最も多く、毎日利用する人が8割以上となりました。

下沈市場在住者では都市市場在住者と比べて「TikTok」や「Kuaishou」といったショートムービーアプリを毎日利用している人が多くなっていました。また、共同購入のシステムを持つソーシャルECの「Pinduoduo」も下沈市場在住者の方が都市市場在住者よりも利用が多くなっています。

図表3:都市市場在住者と下沈市場在住者の利用媒体

図表3:都市市場在住者と下沈市場在住者の利用媒体

下沈市場在住者は“周囲に左右されず”“欲しい物にお金をかける”傾向

都市市場在住者と下沈市場在住者に、ライフスタイルと金銭意識を聞きました。ライフスタイルでは、両市場在住者ともに「背伸びはせず自分に合ったものを使う」が1位でした。

しかし、下沈市場在住者の2位と3位に入った「自分の趣味や生き方を大事にする」と「周囲環境に左右されず自分独自の信念を貫くことが多い」は、都市市場在住者より6ポイントも高くなりました。

図表4:都市市場在住者と下沈市場在住者のライフスタイル

図表4:都市市場在住者と下沈市場在住者のライフスタイル

次に、金銭意識もみてみましょう。両市場在住者ともに「計画を立ててお金を使う」が1位となる一方で、下沈市場在住者の2位は「趣味やほしいものにお金を惜しまない」となっており、都市市場在住者より6ポイントも高い結果となりました。

図表5:都市市場在住者と下沈市場在住者の金銭意識

図表5:都市市場在住者と下沈市場在住者の金銭意識

訪日旅行希望先は「東京」と「北海道」で各市場割れる

都市市場在住者と下沈市場在住者に、コロナ禍収束後の旅行意向を聞きました。両市場在住者ともに行きたい海外旅行先1位が「日本」となるなか、日本のどの都市に行きたいか聞くと、ベスト3の顔ぶれは変わらないものの、都市市場在住者は「東京」が1位、下沈市場在住者は「北海道」が1位となりました。

図表6:都市市場在住者と下沈市場在住者の旅行意識

図表6:都市市場在住者と下沈市場在住者の旅行意識

市場別に家電購入者特徴を比較

次に、それぞれの市場在住者の中で家電を購入した方の特徴をみてみました。世帯月収に開きはありましたが性年代別と特徴はあまり変わらず。しかし購入商品を比較してみると、中国ブランドの割合が最も高いながら、都市市場在住者は日本産のもの、下沈市場在住者は韓国産のものを好む傾向にあることが分かりました。

図表7:市場別家電購入者の特徴

図表7:市場別家電購入者の特徴

図表8:市場別家電購入商品

図表8:市場別家電購入商品

情報収集媒体では、両市場ともECサイト・アプリの利用が最もポイントが高くなっていましたが、家電購入者全体と比べると、下沈市場在住者は商品専門店などオフラインでも情報収集する傾向にありました。

図表9:市場別家電情報収集媒体

図表9:市場別家電情報収集媒体

商品を購入する際の重視点を聞くと、両市場で「安全性」が最も重視されていました。しかし2位は都市市場在住者では「メーカー、ブランド」、下沈市場在住者では「耐久性」を選んでいました。

また家電の購入チャネルでは、都市市場在住者はJingdongやSuningなどで購入する方が多く、下沈市場在住者ではアリババ系(T-mall/TAOBAO)での購入が多くなっていました。

図表10:市場別家電購入重視点・購入チャネル

図表10:市場別家電購入重視点・購入チャネル

調査・分析概要

インターネットリサーチにて、2020年11月17日~2020年11月31日にアンケート調査を実施。
対象は中国の都市市場/下沈市場在住者。購買実態に関しては直近2年以内に家電を購入したことがある人を調査。
(回答者600人 ※居住エリアで均等割付)

ホワイトペーパーダウンロード【無料】|都市市場VS下沈市場 中国人の実態調査 ~ 耐久消費財編

詳しい調査レポートのダウンロードURLを、ご入力いただいたメールアドレスに送付させていただきます。
ご登録頂いた方にはVALUESからサービスのお知らせやご案内をさせて頂く場合がございます。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

「防老」から「享老」の時代へ ~ 中国シニア市場の新動向と日本企業の参入機会

変わりゆく中国の高齢化の現状やシニア層の価値観・ライフスタイル。その変化を体系的に紹介するとともに、従来の医療・保障を中心とした「防老」(老後の備え)から、自我実現や社会参加を目的とした「享老」(老後の享受)へとシフトする消費心理および市場動向について解説。中国市場参入を計画する日本企業にとって、参考となる中国シニア市場の今をまとめました。


中国の若者に人気なのはドッグフードならぬ「ヒューマンフード」?「人糧」の魅力とは

中国の若者に人気なのはドッグフードならぬ「ヒューマンフード」?「人糧」の魅力とは

中国の社会人の若者の間で、「人糧」と呼ばれる食事が今、人気を集めています。「ドッグフードの人間版」のような自虐的なニュアンスの名前を持ちながら、忙しい彼らにとって生活の助けになっています。本稿では、この人糧の特徴や魅力について紹介します。


中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

中国自動車市場は新時代へ~中古車取引量急増で新車販売数に肩を並べる

2026年、中国の自動車市場は歴史的なターニングポイントを迎えました。2026年7月のデータによると、新車と中古車の取引比率が初めて1:1に達しました。この構造的変化の背景にはどのような要因が隠されているのでしょうか。そして、この変化は業界エコシステムの再構築にどのような可能性をもたらすのでしょうか。さらに、中国の中古車市場が直面する新たな機会、課題、そして取り組むべきテーマとは何なのか、この全く新しい領域についてレポートをします。


中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国乳製品市場が健康ニーズと共に拡大中

中国では、冷蔵牛乳やチーズ、バターなどはもちろん、日本では馴染みのない、常温保存が可能で半年以上鮮度を保つロングライフの牛乳やヨーグルトも親しまれています。基礎的な栄養補給が目的だった乳製品は、消費者のニーズに伴ってより高い付加価値が求められるようになりました。この記事では、現在の中国乳製品市場のトレンドを紹介します。


中国で抹茶が若者を中心に人気拡大。その魅力は?

中国で抹茶が若者を中心に人気拡大。その魅力は?

近年、中国の抹茶人気が高まっています。抹茶飲料だけでなく、アイス、ジェラート、チョコ、ラテ、お酒など数えきれないほどの抹茶商品が登場しており、「万物皆可抹茶(なんでも抹茶味にできる)」という言葉ができるほどです。この記事では、このような抹茶人気の背景にある要因を紹介します。


最新の投稿


Gunosy、ニュースの「この先」を予想する新機能「グノシー予想」を提供開始

Gunosy、ニュースの「この先」を予想する新機能「グノシー予想」を提供開始

株式会社Gunosyは、同社が提供する情報キュレーションアプリ「グノシー」において、ニュースの先の展開を読者が予想し、結果とその背景を解説や関連記事で確かめられる機能「グノシー予想」の提供を開始しました。


ヴァリューズ 齋藤ロベルト義晃が 一般社団法人 日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)の「主任研究員」に就任 —「根拠のあるマーケティング」のさらなる発展と実務への応用を牽引

ヴァリューズ 齋藤ロベルト義晃が 一般社団法人 日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)の「主任研究員」に就任 —「根拠のあるマーケティング」のさらなる発展と実務への応用を牽引

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)と一般社団法人日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(代表理事:木田浩理、以下「EBMI」)は、ヴァリューズの齋藤 ロベルト 義晃が、EBMIの「主任研究員」に就任したことをお知らせいたします。


AI前提の組織で人材価値を高めるリサーチキャリア【目標設定編:AI導入で転換点を迎えるリサーチャーの評価指標】|現場のユーザーリサーチ全集

AI前提の組織で人材価値を高めるリサーチキャリア【目標設定編:AI導入で転換点を迎えるリサーチャーの評価指標】|現場のユーザーリサーチ全集

リサーチャーの菅原大介さんが、ユーザーリサーチの運営で成果を上げるアウトプットについて解説する「現場のユーザーリサーチ全集」。10月本稿では、「AI前提の組織で人材価値を高めるリサーチキャリア」と題して、【目標設定編:AI導入で転換点を迎えるリサーチャーの評価指標】を解説します。


年末商戦の買い物で52%が「AIを利用する可能性あり」【Shopify Japan調査】

年末商戦の買い物で52%が「AIを利用する可能性あり」【Shopify Japan調査】

Shopify Japan株式会社は、2026年のホリデーシーズンにおける消費者の購買行動および事業者の動向に関する調査のうち、日本市場の結果を発表しました。日本では消費者2,000人、事業者の経営者・意思決定者500人が回答。ブラックフライデー・サイバーマンデー(BFCM)、クリスマス、年末年始商戦に向けた買い物への姿勢やAI活用、商品情報の整備状況などを調べています。


博報堂とHakuhodo DY ONE、AIに推奨されやすい商品説明文を自動生成

博報堂とHakuhodo DY ONE、AIに推奨されやすい商品説明文を自動生成

博報堂とHakuhodo DY ONEは、AIエージェントが自律的に商品を理解・選択するための商品データを整備する「Data Enrichment for 商品インサイト」の提供を開始しました。次世代コマース統合ソリューション「Agentic Commerce ONE™」の新たなラインナップとして、商品スペックと体験価値の因果関係を言語化し、AIに推奨されやすい商品説明文を自動生成するといいます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ