躍進するドラッグストア業界。気になるネット勢力図やエリア特性は?

躍進するドラッグストア業界。気になるネット勢力図やエリア特性は?

新型コロナ禍で、多くの企業が厳しい経営を強いられる中、ドラッグストア業界が快進撃を続けています。品揃えも、従来の日用品・医療品・化粧品などに加え、食料品や酒類、日用雑貨、中には弁当や惣菜を取り扱う店舗も出現、「ドラッグストアのコンビニ化」と言われるまでに進化しています。今回は成長を続けるドラッグストア業界を徹底調査。ネットでの勢力図や各社の強みなどを分析します。


街に増えるドラッグストア

新型コロナの影響で飲食店や小売店の閉店が続く中、代わってドラッグストアの出店が目立つようになりました。実際、2016年から2020年の5年間で、ドラッグストア主要5社の店舗数は順調に増加しています。

ドラッグストア5社店舗数推移(2016年〜2020年実績)

参考:『薬キャリ 職場ナビ』の各年度「ドラッグストア 売上高ランキング」を参照し筆者作成
『薬キャリ 職場ナビ』https://pcareer.m3.com/shokubanavi/feature_articles/169(2020年データ

※今回分析対象としたドラッグストアは、ヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」上の検索ユーザー数、公式サイト訪問ユーザー数などから選定しました。

ドラッグストア5社 公式サイト訪問ユーザー分析

躍進するドラッグストア業界を、ネットユーザー動向から分析していきます。

ユーザー数は「マツキヨ」と「ココカラファイン」の2強

まずは、それぞれの公式サイトの訪問ユーザー数から見ていきましょう。

ドラッグストア業界は、実店舗数が増加傾向にありますが、同時にEC化も進んでいます。新型コロナ禍でのマスク・消毒薬やトイレットペーパーなどの需要増、調剤薬局オンライン予約サービス利用者増加など、社会のニーズに合わせてサービスを拡充してきた印象が強いでしょう。

その中でも、マツモトキヨシ(以下、マツキヨ)とココカラファインが好調です。新型コロナ禍の2020年3月、4月にユーザー数の急増が見られました。

両社は2021年10月を目処に経営統合すると発表されましたが、共にオムニチャネル戦略に力を入れるなどEC事業では確固たる地位を築いています。

ドラッグストア5社 公式サイトユーザー数推移

ドラッグストア5社 公式サイトユーザー数推移

期間:2019年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

ドラッグストア マツモトキヨシ

【ココカラクラブ】ドラッグストア・調剤薬局のココカラファイン情報サイト

東の「ウエルシア」 VS 西の「スギ薬局」

続いて公式サイト訪問ユーザーについてを比較します。
まず特徴的だったのがエリア特性です。下図のように、東日本エリアはウエルシア、マツキヨ、西日本エリアはスギ薬局、ココカラファインのユーザーが多いことが分かりました。

ドラッグストア5社 公式サイトユーザー属性/居住地域

ドラッグストア5社 公式サイトユーザー属性/居住都道府県

期間:2019年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

公式サイトへの集客構造の違い

続いて、公式サイトへの集客構造を比較します。

ユーザー数が好調のマツキヨおよびココカラファインは自然検索が多いことが分かりました(上グラフ:集客ユーザー数比較)。
また、マツキヨについては外部サイトおよびアフェリエイト広告からも多くの集客があります。シェアで見ると他社は自然検索が6割〜8割を占めている中で、外部サイトから30%、アフェリエイト広告から20%の集客を獲得しています。これについて、さらに詳しく見ていきます(下グラフ:集客構造シェア比較)。

ドラッグストア5社 公式サイト/集客構造

ドラッグストア5社 公式サイト/集客構造(ユーザー数)

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

ドラッグストア5社 公式サイト/集客構造(シェア)

ドラッグストア5社 公式サイト/集客構造(シェア)

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「マツキヨ」ユーザー数増加の理由はアフィリエイト?

マツキヨの集客構造の多くを占めている外部サイトの上位10サイトを分析したところ、セッション数が最多だったのはアフェリエイトサイト(バリューコマース)からの流入であることが分かりました(vc.matsukiyo.co.jp)。
2位にはポイントサイトの「チャンスイット」が入りました。dポイントと組んだキャンペーン(2021年2月15日に終了)でも流入が多く、ポイントサイトとの親和性の高さが伺えます。

マツキヨ公式サイトへの流入元サイトランキング

マツキヨ公式サイトへの流入元サイトランキング

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

懸賞、ショッピング、アンケートでお得生活。賢い人は始めてる!- チャンスイット

ドラッグストア 検索キーワード比較

公式サイトの訪問ユーザー分析に続いて、検索ユーザーについても比較します。
検索キーワードは引き続き「ウエルシア」「ココカラファイン」「サンドラッグ」「クリエイト」「マツキヨ」で分析します。

指名検索は「サンドラッグ」が好調

ドラッグストア5社の掛け合わせワードを分析します。メインキーワードに指名されたドラッグストア名はサンドラッグが1位でした。

掛け合わせワードランキング(ドラッグストア5社総合)

掛け合わせワードランキング(ドラッグストア5社総合)

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「マスク」との掛け合わせが多い。「ポイント」は各社違いが表れる

次に、それぞれの掛け合わせワードを詳しく見ていきます。

マツキヨ以外の4社については、「店舗」「チラシ」「営業時間」が上位に入り、実店舗に関する情報が検索されやすいことが分かりました。マツキヨは「オンライン」がランクインしています。

また、各社ポイントについてもよく検索されています。

・Tポイント:ウエルシア
・楽天ポイント:ココカラファイン、サンドラッグ
・dポイント:ココカラファイン、マツキヨ

そして、どのドラッグストアも新型コロナの影響が色濃く、「マスク」が多く検索されました。マツキヨは期間中1位、その他4社についても3位、4位に入りました。

掛け合わせワードランキング

掛け合わせワードランキング

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

若年・女性に人気の「マツキヨ」

それぞれの検索ユーザーの属性に差はあるのでしょうか。

性別を比較すると、5社とも女性比率が多く、マツキヨは65%で最多でした。
年齢は大きな差異はありませんが、マツキヨが他社より若年層に支持されているようです。

ドラッグストア検索ユーザー属性比較/性別・年代

ドラッグストア検索ユーザー属性比較/性別・年代

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「マツキヨ」勝因はターゲットの心を掴むキャンペーン!?

公式サイト訪問ユーザー数、「マツキヨ」検索ユーザー数共に好調のマツキヨですが、人気の秘密はどこにあるのでしょうか。

検索掛け合わせワードの季節変化にそのヒントが見つかりました。
「マツキヨ」と掛け合わせで検索されたキーワードを時系列で見てみましょう。

2002年3月〜5月:「スプリングセール」「春のきれい咲く咲くフェア」「SPRING」
6月〜8月:「エコバッグ」「エコバック」
9月〜11月:「秋のきれいときめきフェア」「ポケモンGO」「ワンダフルセール」
12月〜2021年2月:「年末年始福袋」「エキサイティングセール」「ドリームセール」

同じくユーザー数が多いココカラファインと比較してもその差が歴然です。
他社が「マスク」「トイレットペーパー」「体温計」「PCR」など新型コロナ関連商品の検索が増え続ける中、季節ごとのセールやエコバッグなど新商品の発表、ポケモンGOとのコラボキャンペーンなど、“コロナ以外”で次々に勝負を仕掛け、ターゲットの心を掴んでいたことが分かりました。

「マツキヨ」掛け合わせワード季節比較

「マツキヨ」掛け合わせワード季節比較

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

「ココカラファイン」掛け合わせワード季節比較

「ココカラファイン」掛け合わせワード季節比較

期間:2020年3月〜2021年2月
デバイス:PCおよびスマホ

matsukiyo ポケットエコバッグ | ドラッグストア マツモトキヨシ

https://www.matsukiyo.co.jp/store/online/p/4570038060056

ドラッグストア マツモトキヨシのmatsukiyo ポケットエコバッグ。プラゴミを無くすための一歩、どこへでも、いつでもエコバックを始めよう。 折りたたんで携帯できるコンパクトサイズです。 【使用サイズ】 高510×幅430×マチ185(mm)。お買物でポイントも貯めたり、商品の取り置き・取り寄せ、レビューなどもお楽しみいただけます。

まとめ

新型コロナ禍で、多くの企業が厳しい経営を強いられる中、ドラッグストア業界が好調です。今回は成長を続けるドラッグストア業界を徹底調査。ネットでの勢力図や各社の強みなどを分析しました。

●店舗数推移

今回分析対象としたドラッグストアは「ウエルシア」「ココカラファイン」「サンドラッグ」「クリエイト」「マツキヨ」の5社です。5社とも実店舗数は5年間で純増していることが分かりました。

●公式サイト訪問ユーザーを分析

公式サイト訪問ユーザー数は「マツキヨ」「ココカラファイン」が好調です。新型コロナ禍でユーザー数が増えたことも分かりました。「マツキヨ」はアフィリエイトからの流入数が多いのも特徴です。

また、公式サイト訪問ユーザーの居住地域に特徴がみられました。東日本エリアは「ウエルシア」「マツキヨ」、西日本エリアは「スギ薬局」「ココカラファイン」のユーザーが多いようです。

●ドラッグストア5社の検索ユーザー動向を分析

それぞれの掛け合わせワードを分析したところ、メインキーワードに指名されたドラッグストア名はサンドラッグが1位でした。また、どのドラッグストアも新型コロナの影響が色濃く、「マスク」が多く検索されました。
そのほかの掛け合わせワードには、「マツキヨ」以外の4社で「店舗」「チラシ」「営業時間」など実店舗に関する情報が検索されていました。「マツキヨ」は「オンライン」がランクインしました。
また、各社、ポイントについてもよく検索されており、ポイント運営会社との組み合わせにも特徴が出ました。

・Tポイント:「ウエルシア」
・楽天ポイント:「ココカラファイン」「サンドラッグ」
・dポイント:「ココカラファイン」「マツキヨ」

それぞれの検索ユーザーの属性の差を確認したところ、マツキヨが他社より女性比率、若年層比率が高いことが分かりました。

●「マツキヨ」が好調の理由を分析

最後に、公式サイト訪問ユーザー数、検索ユーザー数共に好調の「マツキヨ」の人気の秘密を探りました。

検索掛け合わせワードの季節変化に他社(ココカラファイン)との違いが見つかりました。
「マツキヨ」と掛け合わせで検索されたキーワードを時系列で見ると、季節ごとのセールやキャンペーンなど、”コロナ以外”で次々に勝負を仕掛け、ターゲットの心を掴んでいたことが分かりました。

分析概要

全国のモニター会員の協力により、インターネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析ツール『Dockpit』を使用し、2020年3月~2021年2月におけるユーザーの行動を分析しました。

「Dockpit」は、競合サイト分析や消費者のトレンド調査にとても役立ちます。もし宜しければ、無料版もありますので、下記よりご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

フリーライター。大手キャリア系企業で編集の仕事に出会い、その後、3つのメディアの立ち上げなど行い、2014年にフリーランスに。医療系、就活系、教育系、結婚系のサイトで執筆中。

関連するキーワード


EC 日用品 化粧品 医療

関連する投稿


コロナ禍から1年、化粧品への消費者ニーズはどう変わった?業界動向をデータで振り返る

コロナ禍から1年、化粧品への消費者ニーズはどう変わった?業界動向をデータで振り返る

化粧品のトレンドについて調査する新企画。ヴァリューズのマーケティングコンサルタントである私、伊東茉冬が気になる話題について調査していきます。 今回の調査は前回の記事に引き続き、新型コロナウイルスの影響についてです。 コロナ禍から約1年、化粧品への消費者の意識はどのように変化してきたのか、データから振り返り、今後の動向について予想します。


「除菌」ワードの検索者は何を気にしている?コロナによる衛生意識の高まりを調査

「除菌」ワードの検索者は何を気にしている?コロナによる衛生意識の高まりを調査

新型コロナウイルスの流行によって、高まる消費者の衛生意識。コロナ禍で消費者は一体どんなことを気にしているのでしょうか?本稿では、「除菌」と検索した人のデータをWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を使って調査。きれい好きな人の実態について、掛け合わせキーワードや閲覧ページなどからインサイトを探ります。


LOHACOユーザーの特徴を探る!Amazonユーザーや楽天市場ユーザーと比べて何が違うのか?

LOHACOユーザーの特徴を探る!Amazonユーザーや楽天市場ユーザーと比べて何が違うのか?

オフィス向け通販サイト「アスクル」の<a href="https://www.ryutsuu.biz/accounts/n031741.html" target="_blank">2021年5月期第3四半期決算</a>によると売上高などが計画を上回る結果となっており好調のようです。また、「アスクル」の個人向け通販サイト「LOHACO(ロハコ)」もYahoo!との連携強化やメーカーとの共創強化などで、順調に売上高を伸長しているようです。今回はこのコロナ禍においても増収増益をあげている「LOHACO」のユーザー像に迫っていきたいと思います。


2021年 中国の春節から見た新たな消費 ~ EC購入品|中国トレンド調査

2021年 中国の春節から見た新たな消費 ~ EC購入品|中国トレンド調査

2月は、中国で最も大切で伝統的な祝日である春節(旧正月)がありました。しかし、今年の春節は、今までとは異なる過ごし方をした人がたくさんいました。新型コロナウイルスの再拡大への警戒から政府が「居住地で春節を迎えて」と帰省自粛を呼びかけており、家族と一緒に春節を過ごすことができないため、ECを利用して実家にいる両親にプレゼントを贈る人が増えていました。また、中国人は、春節(旧正月)の長い休みに際し、何らかの手土産を持って目上の人へ挨拶に伺う「拝年」という習慣があるため、今年はインターネットを活用してこの習慣を続ける人も多くいました。ここでは、春節のECショッピングブームの中でよく買われたもの、流行ったものについて紹介したいと思います。


中国の主要越境ECサイト9選〜CtoCから共同購入まで注目プラットフォームを解説!

中国の主要越境ECサイト9選〜CtoCから共同購入まで注目プラットフォームを解説!

「618」や「W11」等のキャンペーンで大きな売り上げが報じられる中国越境EC。サイト・プラットフォームにはどのような種類があるのでしょうか。モール型、CtoC型などに越境ECを分類し、9つのプラットフォームを取り上げた上で特徴を解説します。


最新の投稿


覇権確実?スマホゲーム『ウマ娘』は引退馬も救う?!

覇権確実?スマホゲーム『ウマ娘』は引退馬も救う?!

2021年2月24日にサービスが開始された新作スマホゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(以下、ウマ娘)が話題を集めています。早くも2021年覇権タイトル確実と噂される「ウマ娘」の人気の実態やその理由を、ネットでの検索データをもとに徹底リサーチします。


Googleタグマネージャー(GTM)を導入する|Googleアナリティクス使い方ガイド

Googleタグマネージャー(GTM)を導入する|Googleアナリティクス使い方ガイド

Webサイトの計測や広告等の施策投下、効果測定の実施にあたり増え続ける計測タグの管理に便利なタグマネジメントツールがあるのはご存じでしょうか?もし、まだ利用されてない方はぜひ導入をおすすめします。また「Googleタグマネージャー」を導入することで、『タグの管理が簡単になる』『タグの管理を外部に委託する必要がなくなる』『ページの表示速度が速くなる』などのメリットも挙げられるので、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。今回はいくつかあるタグマネジメントツールの中でも代表的な「Googleタグマネージャー」の基礎設定について紹介していきます。


呪術廻戦は「鬼滅超え」なるか!?TVアニメ開始前後の検索データから止まらない人気ぶりを徹底分析

呪術廻戦は「鬼滅超え」なるか!?TVアニメ開始前後の検索データから止まらない人気ぶりを徹底分析

映画化も決定した人気作品の「呪術廻戦」。その人気ぶりは、社会現象ともなった「鬼滅の刃」(著:吾峠呼世晴/集英社)と似ることから、最近ではメディアから“ポスト鬼滅”として取り上げられることも。今回はそんな「呪術廻戦」について、ヴァリューズが提供する市場分析ツール「<a href="https://www.valuesccg.com/dockpit/" target="_blank">Dockpit</a>」を用いて、検索データを分析しました。


郊外に移り住む人が増えている?コロナ禍での引っ越し傾向を探る自主調査レポート

郊外に移り住む人が増えている?コロナ禍での引っ越し傾向を探る自主調査レポート

コロナ禍でのテレワークの浸透や在宅時間の増加から、住環境を見直す人が増えているようです。都心を離れての近距離の移住や新たに住宅を購入する動きなどが見られる中、コロナが引っ越しに与えている影響はどのようなものなのでしょうか。アンケート調査とインターネット行動ログデータの分析から調査しました。(ページ数|25p)


急上昇ワードに“松山英樹”“マスターズ”など...「週間」検索キーワードランキング(2021/4/11~2021/4/17)

急上昇ワードに“松山英樹”“マスターズ”など...「週間」検索キーワードランキング(2021/4/11~2021/4/17)

2021年4月11日~4月17日週の検索急上昇ワードでは、日本人として初のマスターズ制覇を果たしたプロゴルファー「松山英樹」さんの検索が急増。ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析を行い、検索キーワードランキングを作成しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング