Googleアナリティクスのクロスドメイン設定方法(トラッキングコードを直接変更する方法)(UA、GA4)|Googleアナリティクス使い方ガイド

Googleアナリティクスのクロスドメイン設定方法(トラッキングコードを直接変更する方法)(UA、GA4)|Googleアナリティクス使い方ガイド

前回の記事に続き、Googleアナリティクスで複数ドメインにまたがるサイトの分析を行うことができるクロスドメインの設定方法について解説します。今回は、UAプロパティでのトラッキングコードを直接変更する設定方法と、GA4プロパティでの設定方法をご紹介します。


前回は、クロスドメイントラッキングの設定方法について、ユニバーサルアナリティクスプロパティ(以下、UAプロパティ)におけるGoogleタグマネージャー(以下、GTM)を使用した設定方法と、Google アナリティクス 4 プロパティ(以下、GA4)における設定方法をご紹介しました。今回はクロスドメイントラッキング設定について、UAプロパティでのトラッキングコードを直接変更する設定方法をご紹介します。

「Googleアナリティクスのタグの管理にGTMを利用されている方」、「GA4プロパティでクロスドメイン設定をしたい方」は前回の記事をご覧ください。
今回のトラッキングコードを直接変更する設定方法は、「トラッキングコードを直接記述してGoogleアナリティクスを運用されている方」向けの内容となっています。

クロスドメインとは?どんなサイトに必要?

クロスドメインとは、1つのWebサイト内で複数のドメインに分かれている状態のことです。

GoogleアナリティクスでWebサイトを計測する際、クロスドメイン測定を使用すると、ドメインをまたいだユーザー行動を、同一ユーザーによるものとして正確に識別できます。別ドメインへのリンクがクリックされると、通常はユーザーの離脱として処理されますが、リンク先ドメインがクロスドメイン測定の対象として登録されている場合はこの処理から除外されます。

以下のようなWebサイトを運営されている方は、クロスドメイントラッキングの設定が必要になります。

・ショッピングカートASPを導入しているECサイトで、サイトドメインとカートドメインが異なる
・コーポレートサイトとサービスサイトを運用しており、ユーザーがサイトを横断する場合(サービスサイトのお問い合わせ先がコーポレートサイト上にあるなど)
・メールフォームに、別サイトのドメインを利用している

こちらについても、前回の記事で詳しく解説しています。

トラッキングコード、gtag.jsとは?

クロスドメイントラッキングの設定手順の解説に進む前に、トラッキングコードやgtag.js(グローバルサイトタグ)について整理しておきましょう。

トラッキングコードとは

トラッキングコードとは、GoogleアナリティクスでWebサイト訪問者の流入元や検索キーワード、ページ遷移や滞在時間などを計測するためのコードです。

このトラッキングコードを計測対象のWebサイトのソースコード内に実装する、あるいはGTMを利用することで、計測対象のWebサイトの訪問者のデータをGoogleアナリティクスで計測・分析できるようになります。

Googleアナリティクス上で確認できるトラッキングコードとトラッキングID

トラッキングコード(及びトラッキングID)については、こちらの記事でも解説しています。

gtag.js(グローバルサイトタグ)とは?

gtag.jsとは、現時点(2021年8月)で最新のトラッキングコードです。2017年8月以降に発行されたトラッキングコードはすべてgtag.jsになっています。

Googleアナリティクスのトラッキングコードは5つのバージョンがあり、すべてJavaScriptで記述されています。古い順から「urchin.js」「ga.js」「非同期トラッキングコード」「analytics.js(ユニバーサルアナリティクス)」「gtag.js(グローバルサイトタグ)」となっています。

「urchin.js」「ga.js」「非同期トラッキングコード」はすでにサポートが終了しています。また、クロスドメイン設定ができないため、もしもこれらのトラッキングコードを利用されている場合は、gtag.jsに変更することをオススメします。

1世代前のトラッキングコードであるanalytics.js(ユニバーサルアナリティクス)は現在でも利用できるため、無理にgtag.jsに移行する必要はありません。しかしgtag.jsは、ITPへの対応やGoogle広告の複数タグ一括設定などができるようになるなど、より利便性が向上しています。
状況に応じて切り替えを検討してもよいでしょう。

トラッキングコード(gtag.js)の記述変更によるクロスドメイントラッキング設定手順

トラッキングコードの記述変更

まずは、Googleアナリティクスで現状のトラッキングコードを確認してみましょう。

Googleアナリティクス>管理>トラッキング情報>トラッキングコード

トラッキングコードは以下のようになっています。

上記の「 gtag('config', 'UA-XXXXXXXX-X');」の部分を、以下に書き換えます。

gtag('config', 'UA-XXXXXXXX-X', {
'linker': {
'domains': ['valuesccg.com', 'data.dockpit.net']
}
});

※UA-XXXXXXXX-XXはご自身のトラッキングIDに置き換えてください。

※ ['valuesccg.com', 'data.dockpit.net']の箇所には、クロスドメイントラッキング対象のドメインに置き換えてください。今回は例として、弊社コーポレートサイトとサービスサイトで設定しています。


※クロスドメイントラッキングの対象となるページに設置しているすべてのトラッキングコードの置き換えが必要となりますので、最終的にすべてのトラッキングコードの記述が変更されているか確認することをオススメします。

参照元除外の設定

続いて、Googleアナリティクスにログインし、「参照元除外」の設定を行います。
「参照元除外」の設定とは、設定したドメインを参照元として計測しないようにする設定を指します。

弊社の例であれば、コーポレートサイト「valuesccg.com」とサービスサイト「data.dockpit.net」を行き来しているユーザーの動きを、参照元除外を設定せずにGoogleアナリティクスで計測すると「data.dockpit.net」の参照元の殆どがメインドメイン「valuesccg.com」になってしまいます。参照元除外の設定をすることで、サービスドメインの参照元からメインドメインを除外し、「どの経路からの流入がよりコンバージョンしているか」といった参照元分析が正確にできるようになります。

それでは、設定方法を見ていきましょう。

1.「管理>トラッキングコード>参照元除外リスト」を選択する

2.「参照の除外を追加」をクリック

3.除外するドメイン(valuesccg.com)を入力して「作成」ボタンをクリック

フィルタの設定

次にフィルタ設定を行います。
フィルタ設定とは、通常はGoogleアナリティクスでの計測の際に自分自身や自社社員等のアクセスを除外するために使うような設定ですが、今回は「ホスト名連結フィルタ」の設定を行います。

アナリティクスでページを分析する際は通常は「/articles」のようにドメイン名を含まないパスで表示されますが、フィルタ設定の「ホスト名連結フィルタ」の設定をすれば「manamina.valuesccg.com/articles」のようにドメイン名を含むパスで表示させることができます。

1. 「管理>フィルタ」をクリックします。

2. [フィルタを追加]ボタンをクリックします。

3.フィルタの設定を進めます。
「ビューにフィルタを適用する方法を選択」で「新しいフィルタを作成」を選択します。
「フィルタ名」を任意で設定します。
「フィルタの種類」で「カスタム」を選択します。

4.「詳細」のラジオボタンを選択後、詳細を設定します。
「フィールド A」を「ホスト名」、「引用A」を (.*)、「フィールドB」を「リクエスト URI」、「引用B」を(.*)、出力先を「リクエスト URI」、構成を $A1$B1 に設定します。

簡単にこの設定の内容を説明します。
フィールドA -> 引用Aの部分では、【ホスト名(ドメイン部分)を全てフィールドA($A1)へ代入する】という設定をしています。(「.*」は「値を全部」という意味です)

次にフィールドB -> 引用Bの部分では、【リクエストURI(URL)を全てフィールドB($B1)へ代入する】という設定をしています。

最後に出力先 -> 構成(Googleアナリティクス上での表示形式)を「$A1$B1」、つまり【ドメイン+URLの構成でGoogleアナリティクス上表示させる】という設定をしています。

5. 「保存」をクリックします。


以上で設定は完了です。

注意
※反映には24時間ほどかかります。
※この設定をする前の計測結果には適用されません。

GA4プロパティのクロスドメイントラッキング設定

GA4プロパティの計測においても、gtagをサイトに直接記述して計測している方もいるかと思います。その場合においてのクロスドメイントラッキング設定については、トラッキングコードの記述変更は必要なく、アナリティクスの設定を変更するだけで完結します。

GA4でのクロスドメイントラッキング設定手順も、前回の記事で解説しています。

クロスドメイントラッキングの動作確認方法

クロスドメイントラッキングは、以下の2点を中心に確認するとよいでしょう。

1. リンクから別ドメイン(サブドメイン)に遷移して、URLにパラメータが付与されているかを確認する

クロスドメイントラッキングではドメイン間のリンクURLに、UAプロパティの場合は_gaパラメータが、GA4プロパティの場合は_glパラメータが追加されます。

例:https://xxxxxxxxxx.com/?_ga=x.xxxxxxxxx.xxxxxxxx.xxxxxxxx


2. (UAプロパティについて)Googleアナリティクスのリアルタイムレポートに全ドメインの情報が記録されているかを確認する

Googleアナリティクスのレポートを開き、[リアルタイム]>[コンテンツ]を選択します。クロスドメイントラッキング対象の全ドメインがここにリストアップされていればOKです。

まとめ

前回の記事では、GTMを使用したクロスドメイントラッキング設定を解説しましたが、今回はトラッキングコード(gtag.js)を直接変更するパターンの設定手順を紹介しました。トラッキングコードを直接書き換えるということで、設定のハードルが上がる印象を受ける方もいるかもしれませんが、作業としては難しいものではありません。一つ一つの設定を確実に丁寧に対応し、設定を進めていきましょう。

また、ご自身のGoogleアナリティクスが現状どのような状態で計測されているのか、使用しているトラッキングコードのバージョン等をご確認いただき、現状の設定に適した形式で設定を進めましょう。

クロスドメイントラッキングを導入することで、これまで曖昧になっていた“ドメインをまたぐユーザーの行動”が可視化され、具体的な改善点に気づきやすくなります。複数ドメインをまたぐサイトを運用してされている場合は、ぜひ、行うことをおすすめします。


※本記事は、2021年8月時点の情報に基づいています。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連するキーワード


Googleアナリティクス

関連する投稿


Tableau2023.3でGA4コネクタが使えるようになりました

Tableau2023.3でGA4コネクタが使えるようになりました

2023年夏にGA4用のコネクタがTableauでリリースされましたが、リリース当初は動作が不安定な状態でした。 その後、Tableau2023.3リリースに伴い状況が改善されました。


TableauにGA4コネクタが登場!ビジネスシーンで使うことができるのか?コネクタの使い方は?

TableauにGA4コネクタが登場!ビジネスシーンで使うことができるのか?コネクタの使い方は?

旧Google Analyticsが2023年7月1日でサービスを終了します。 今後はGA4へと完全移行する形になりますが、それに伴いTableauにもGA4用のコネクタがようやくリリースされました。 そもそもTableauのGA4コネクタはちゃんと使うことができるのか?という点を含めて早速確認してみたいと思います。


GA4移行で最低限やっておくことを解説!よくある質問と解決方法も更新中

GA4移行で最低限やっておくことを解説!よくある質問と解決方法も更新中

UAからGA4に移行したいけど手順が分からない。そんな悩みを解決すべくGA4に移行するために最低限やっておくことやGA4の概要や移行までの準備までまとめました。GA4移行でよくある質問と解決策も更新しているのでこれからGA4に移行する人はまず最低限の設定まで進めておきましょう。


ITPが広告運用やWebサイト運営に与える影響を分かりやすく解説

ITPが広告運用やWebサイト運営に与える影響を分かりやすく解説

Cookie規制、ITPがWebサイト運用や広告運用に与える影響について解説します。Googleアナリティクスの計測への影響や、リターゲティング、広告CV計測、広告の効果測定や運用時における自動入札等の広告運用周辺への影響について、詳しくご紹介します。


ITPとは?Cookie規制?要点を絞って分かりやすく解説!

ITPとは?Cookie規制?要点を絞って分かりやすく解説!

個人情報保護の動きが高まる中、「ITP対応」「Cookie廃止」といった言葉を耳にすることも増えてきました。今回は、そもそもCookieとは何か、ITPとは何かについて、要点を絞り、事例を交えつつわかりやすく解説します。


最新の投稿


アパレル系の店舗アプリを知ったきっかけは「店員からの案内」が約6割【Repro調査】

アパレル系の店舗アプリを知ったきっかけは「店員からの案内」が約6割【Repro調査】

Repro株式会社は、アパレル系店舗アプリのインストール前後の利用状況に関するユーザー調査を実施し、結果を公開しました。


認知度の向上にはコンテンツマーケティングが必須と回答した人は9割以上!実施の結果、7割以上が成果を実感している【未知調査】

認知度の向上にはコンテンツマーケティングが必須と回答した人は9割以上!実施の結果、7割以上が成果を実感している【未知調査】

未知株式会社は、全国の企業に在籍する20〜60代の方を対象に「コンテンツマーケティングの実施・成果」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

「美容成分オタク」のオンライン行動を分析!スキンケアの情報収集実態に見る、コミュニケーションのヒント|セミナーレポート

近年、美容インフルエンサーの発信により特定のスキンケア成分がフォーカスされ、「成分関心層」が増加しています。今回は、@cosmeを運営するアイスタイル社が保有する、日本最大級の美容に関する生活者データと、ヴァリューズが保有するオンライン行動データを活用。成分に関する情報感度の高いアーリーアダプター層に注目し、その裏にあるユーザーインサイトから、成分関心層と取るべきコミュニケーションを探ります。※本セミナーのレポートは無料でダウンロードできます。


官民連携の智略 ~ PPP/PFI

官民連携の智略 ~ PPP/PFI

高い効率性が求められるのは今や個人の仕事や学業の範疇にとどまらず、国の施策運営である公共事業などにもその思考傾向は浸透しつつあります。その結果、国は民間企業の協力を得て「官民連携」で公共事業を進めることでそれらを効率化し、さまざまな事業を支えている例が多く存在します。本稿では、このような「官民連携」で効率化を目指す手法のPPPやPFIなどについて、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が解説します。


観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

観るだけでポイントが貯まる「TikTok Lite」はSNSビジネスを革新するか。TikTokユーザーデータと比較調査

動画視聴を通じてポイ活を行うアプリ「TikTok Lite」が注目を集めています。「TikTok」に少し変化を加えただけに思えるこのアプリですが、実は「TikTok」と同じぐらい勢いがうかがえます。そこで、本記事では「TikTok Lite」と「TikTok」のアプリユーザーのデータを分析し、双方の違いから「TikTok Lite」の人気の要因を探っていきます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ