調査分析背景
新型コロナウイルス感染拡大以降、大きく変わった消費者の生活様式。コロナ禍も2年目となり、変化した生活様式は継続しているのか、はたまたコロナ前に戻っているのでしょうか。
今回ヴァリューズでは、消費者の生活実態を捉えるため、感染拡大前、コロナ1年目、そしてコロナ2年目のいまと、時系列でどのような変化を辿ったのか、アンケート回答と独自のWeb行動ログを掛け合わせた調査分析をし、第一弾「生活変化編」として発表いたしました。
金融商品、有料動画配信サービス、健康食品はネット購入が定着
コロナ感染拡大後、自宅で過ごす時間が増えた影響で、消費者がネット上で商品を購入する機会も増えました。
現在もネット上での購買行動は続いているのでしょうか。
各商品・サービスごとに、消費者が「コロナ以前からネット購入」/「コロナきっかけでネット購入」/「現在もネット購入」しているものを調査しました。
コロナきっかけでネット購入し現在もネット購入している“ネット購入定着率”でみると、「金融商品(株・FX・投資信託など)」(92.4%)、「有料動画配信サービス」(85.5%)、「健康食品」(79.0%)は高い数字を記録し、ネット購入が定着しているようです。
一方、「育児用品・ベビーフード」(59.0%)、「レトルト食品・インスタント食品」(60.6%)「アルコール飲料」(69.6%)などは、 オフライン購入への一部回帰が考えられそうでした 。
図表1 コロナ前~2年目現在のネット購入行動変化
消費者行動ログ分析ツール「Dockpit」でも、「定期購入」との掛け合わせ検索ワードを時系列でみると、コロナ1年目にはサプリメントの順位が上昇し、コロナ2年目には金融商品の順位が上昇していました。
図表2 コロナ前~2年目現在の「定期購入」掛け合わせ検索ワード変化
余暇の過ごし方でネット利用定着も、外食需要の戻りでオンライン飲み会は大幅減
消費者の余暇の過ごし方がどのように変化したのか、時系列で調査しました。
家の中でおこなうものとしては、コロナ前後を問わずテレビ鑑賞をおこなう人が最多となっていました。コロナ1年目に比べてコロナ2年目では、「インターネットショッピング」(第1回緊急事態宣言時 比:112.0%)、「動画配信サービスでの動画鑑賞」(同:109.7%)をおこなう人が増えており、コロナ2年目でも家の中での過ごし方の選択肢として定着してきていそうです。
逆に「オンライン飲み会」(同:50.3%)をする人は第一回緊急事態宣言下と比べると大幅に減っていました。
図表3 コロナ前~2年目現在の余暇の過ごし方変化(イエナカ編)
家の外でおこなうものでは、コロナ前後を問わず「ウォーキング・ジョギング」をする人が多くいました。
コロナ影響で落ち込んだ外出行動の中で、第一回緊急事態宣言解除後は「デパートや商業施設での買い物」や「外食」は比較的戻りが早かったようです。その後コロナ2年目では、コロナ1年目に比べてイベントやレジャーで外出する人が増えていましたが、コロナ前の水準には遠く及ばず、まだ時間がかかりそうでした。
図表3 コロナ前~2年目現在の余暇の過ごし方変化(イエソト編)
コロナ禍でも出勤していた人は2年目も変化なし、在宅勤務勢の在宅継続は4割超
コロナ影響で在宅勤務が推奨された際に働き方が変わった人・変わらなかった人は、コロナ2年目の現在でどうなっているのか調査しました。
コロナ禍でも出勤頻度が変わらなかった人は、コロナ2年目の現在も変化がありませんでした。一方で、在宅勤務が増えた人は、「コロナ2年目に入り出勤が増えた人」/「そのまま在宅勤務の人」かで二分されていました。在宅勤務が根付いた企業とそうでない企業がはっきり分かれたことがうかがえます 。
図表5 コロナ後~コロナ2年目の働き方変化
コロナ影響でアニメやマンガコンテンツ、お金・投資への関心増
コロナ影響で消費者の関心はどのように変化したか、ヴァリューズが独自におこなう定点アンケートで調査しました。
関心者増加率でみると、コロナ前と比べてコロナ2年目で消費者の関心が高まったのは1位「キャンプ」、2位「アニメ」、3位「占い」でした。キャンプ人気は言わずもがな、4位に「声優」、7位に「マンガ」が入るなど在宅時間が増えた影響かコンテンツへの関心も高まったようです。
コロナ1年目とコロナ2年目を比べても1位「占い」、2位「声優」、3位「アニメ」となりましたが、こちらでは4位に「不動産投資」、5位に「マネー、投資」が入るなど、ネット購入定着率でも上位に入っていた金融商品への関心の高まりが現れていました。
関心者減少率でみると、コロナ前に比べコロナ2年目ではイベントやレジャー系、スポーツへの関心が減少していました。コロナ1年目に比べてコロナ2年目でもイベントやレジャー系、スポーツへの関心が減少するなか、「その他芸能人・有名人」が大幅に関心を減らし1位に、「国内旅行」が4位に入っていました。
図表6 コロナ2年目の興味・関心変化
コロナ影響で高血圧への悩み 増加、体臭・口臭への悩みは減少
コロナ影響で消費者の体の悩みはどのように変化したか定点アンケートで調査しました。
悩み増加率でみると、コロナ前と比べてコロナ2年目で高まったのは1位「高血圧」、2位「動機・息切れ」、3位「冷え性」でした。2位3位は季節要因と推測されますが、1位「高血圧」はコロナ感染後の重症化要因である基礎疾患として「高血圧」の認知が高まったことが要因かもしれません。
悩み減少率では、ステイホームで人と話す機会が減少したことが影響してか、1位「体臭」、2位「口臭」となっていました。
図表7 コロナ2年目の体の悩み変化
消費者行動ログ分析ツール「Dockpit」でも、「高血圧」との掛け合わせ検索ワードマップを時系列でみると、コロナ1年目に“基礎疾患”や“重症化”と掛け合わせて検索されるようになり、コロナ2年目にはワクチン接種と高血圧の関連を検索する人が増えていました。
図表8 コロナ2年目の「高血圧」「睡眠」検索ワードマップ変化
調査・分析概要
全国のヴァリューズモニター(20歳以上男性)を対象として、 2021年7月6日~7月13日にアンケート調査を実施。(回答者25,401人)
※アンケート調査は性年代別人口とネット利用率に合わせたウェイトバック集計をおこなっている。
※Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
■本レポート内で引用した調査
・P11~12 「第1回 緊急事態宣言解除後(20年6月)の過ごし方」は以下より引用しました。
出典: https://manamina.valuesccg.com/articles/931
調査対象:国内の20歳以上の男女25,382人、調査期間:2020年6月16日~6月25日
・P14~15 で引用した定点アンケートのnは以下の通りです。
20年1月実査回=53,678 20年7月実査回= 52,244、21年1月実査回= 52,157
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