ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、健康や体調を管理できる「ヘルスケアアプリ」市場について調査・分析しました。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、「健康&フィットネス」カテゴリのアプリの利用状況、月間ランキングなどを調査しました。
※集計期間:2018年11月
※アプリ名、カテゴリはGooglePlayのアプリカテゴリに準拠。
※アプリユーザー数は、Androidスマートフォンでのインストールおよび起動を集計し、ヴァリューズ保有モニタでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
考察サマリ
■女性向けアプリ「ルナルナ」が高い支持。健康・運動管理アプリがランキング上位を占める
自身の健康や体調を管理するため、アプリやデバイスの活用が進んでいます。「ヘルステック」とも言われるこのトレンドの中で、様々な「ヘルスケアアプリ」が誕生。体重や血圧を管理する記録型アプリや、ウェアラブルデバイスと連動して詳細なデータを記録できるもの、トレーニング特化型や女性向けのものなど多岐に渡ります。そこで、Google Playのカテゴリ「健康&フィットネス」に含まれるヘルスケアアプリについて、利用実態や利用者属性などを分析しました。
まずは2018年11月の利用ユーザー数トップ20をランキングしました【図1】。1位は女性向けアプリ「ルナルナ」で、利用ユーザー数は270万人以上、女性から圧倒的な支持を集めています。2位から7位までは、万歩計機能や体重・体脂肪率のモニタリング機能が搭載されている、運動・健康管理系のアプリが続きます。運動・健康管理系アプリは上位20位に最も多く、機能もさまざまでした。
万歩計機能はほとんどのアプリに搭載され、ウェアラブルデバイスを持っていなくても気軽に利用することができます。一方で、AIによる体調管理サポート機能や、生命保険料が割引されるポイントを獲得できる機能など、目新しい機能を持ったアプリもランキング入りしていました。
■施策が成功? AI活用の「FiNC」は利用ユーザー数が6.2倍と好調に推移
続いて、「健康&フィットネス」カテゴリの中で運動・健康管理系アプリに焦点を当て、eMark+の「Site Analyzer」を用いてランキング上位5つのアプリを比較しました【図2】。それぞれの主な特徴は以下の通りです。
■dヘルスケア:主に万歩計、体重の記録が可能。記録することでdポイントがたまる。
■Lifelog:Xperia専用。各種データモニタリングが可能。純正ウェアラブルあり。
■Google Fit:日々の運動量の測定が可能。機能はシンプル。多様なアプリと連携可能。
■S Health:運動に加え食事のカロリー管理も可能。
■FiNC:AIによるダイエットサポート機能搭載。専門家によるコンテンツ発信も多彩。
2017年12月から1年間の各アプリの利用ユーザー数推移を見ると、好調だった「Lifelog」が純減し、2018年11月に「dヘルスケア」がトップに。「dヘルスケア」は非常に好調に推移しており、2018年9月にリリースした三日坊主防止アプリ『みんチャレ』との提携や『dポイント』との連携などの施策が功を奏していると考えられます。また、「Google Fit」は2018年8月に新機能を追加したことでユーザー獲得に成功したことがうかがえました。
さらに、唯一AIを活用した「FiNC」も好調で、2018年9月に実施された“300万ダウンロード記念キャンペーン”の効果もあり、2017年12月には約23万人だった利用ユーザー数が1年で約143万人と、約6倍になっていました。直近1年でみると、「FiNC」は5つのアプリの中では最もユーザー数を増やしていることがわかりました。
■機能がシンプル「Google Fit」は男性、コンテンツが豊富「FiNC」は女性から支持
これらの「運動・健康管理系アプリ」の利用者はどのような人々なのでしょうか。
まず性別で見てみると、機能がシンプルな「Google Fit」は男性割合が7割以上と高かったのに対し、コラムなどのコンテンツが豊富な「FiNC」は女性が7割以上となっていることがわかりました【図3】。
年代別については、「dヘルスケア」は50代以上がおよそ半数を占めており、20代は9.9%と少なくなっています。「Lifelog」、「Google Fit」と「S Health」、「FiNC」は割合の傾向がそれぞれ似ており、特に「S Health」、「FiNC」は20代・30代がほぼ半数を占めていることがわかりました【図4】。
今回の「ヘルスケアアプリ」調査から、運動・健康管理系アプリが軒並みユーザー数を伸ばしていることがわかりました。特に「FiNC」ではAIを活用したコンテンツのレコメンドを行い、ダイエットに関心のある女性ユーザーの心をつかんできたことがうかがえます。アプリ内での特定のアクションによって貯まったポイントを使い、保険会社と提携して料金割引をする施策も行っており、今後も業界の広がりが予測されます。
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