あんバターとは?
あんバターの歴史について調べてみると、1921年頃に名古屋にある喫茶店「満つ葉」で誕生した「小倉トースト」が最初だといわれています。あるお客がバタートーストをぜんざいに浸して食べているのを見た店主が商品化したのが発祥なのだとか。
その後1996年にあんぱんで有名な「銀座木村屋」があんバターパンを発売したことで全国的に知られるようになりました。2018~2019年にかけて、韓国であんバターブームが起き、映えるあんバターパンが数多くInstagramで投稿され、日本でもじわじわと注目されるようになっていきました。
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火付け役は「久世福商店」のあんバター。検索数も急上昇!
「あんバター」の検索ユーザー数推移を見てみると、2021年10月頃からじわじわと検索数が増え、2022年に入ってから一気に急上昇していることがわかります。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しました。
「あんバター / アンバター」検索ユーザー数推移
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)
2021年10月頃から検索数が増えている理由は一緒に検索されているワードから推測できます。四半期ごとの「あんバター」検索との掛け合わせワードを見てみると、10月頃から特徴的なワードが現れていました。
「あんバター / アンバター」季節比較
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)
目立つのは「久世福」と「コストコ」というワードです。久世福商店は「バターが香る あんバター」という商品を販売しています。
2020年6月に発売された久世福商店「バターが香る あんバター」の人気が口コミで広がり、話題となったことから検索する人が増えたことがうかがえます。特に、2021年春頃にコストコでオトクな大容量サイズの同商品が登場してからは、テレビ番組でも取り上げられる機会が増え、一時は入手困難になるほど。
そんな人気の中、2021年10月には久世福商店がシリーズの商品として「あんバター」に加え、「あまおうの 苺あんバター」「抹茶あんバター」「北海道大納言小豆の 濃厚あんバター」「とろける ミルクあんバター」と合計5種のラインナップを展開。食べ比べをする人も増えてネット上で話題になることが多くなりました。
検索ユーザーの属性を見てみると、女性の40代の割合が多いことがわかります。
「あんバター / アンバター」検索ユーザーの属性<性別>
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)
「あんバター / アンバター」検索ユーザーの属性<年齢>
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)
おうち時間がまだまだ続き、なかなかカフェなどに行けない分「自宅での朝食やおやつを充実させたい」というニーズが高まり、あんバターに興味を持つ方が増えたのではないでしょうか。高級食パンブームがいまだ続いていることもあんバター人気を後押ししているのかもしれません。
コンビニやスターバックスからはあんバター商品が続々登場
さらに2021年10月頃からは、コンビニ各社からあんバターパン商品が続々と登場しました。
ファミマからは「あんバターフランス」が、ローソンからは「香くるみフランスパン あんバター」や「フランス産発酵バターのクロワッサンあんバター」「LAWSONBAKERY╳GODIVA あんバターショコラ」と、立て続けにあんバター商品が登場しています。毎日訪れる人も多いコンビニでこれだけあんバター商品が登場すると、口にする人も増えていきます。あんとバターの美味しい組み合わせに改めて目覚めた!という人が増えていったのではないでしょうか。
そんな中、コンビニ以外からもあんバター商品が登場し始めます。
2021年11月には日清シスコが「ココナッツサブレあんバター」を発売。定番で人気商品のあんバター商品ということで、「ココナッツサブレ」ファンからも「あんバター」ファンからも「美味しかった!」との声が上がりました。
さらに気になるのが、一緒に検索されているワード上位にある「スタバ」です。
「あんバター / アンバター」検索キーワード
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)
2021年12月に季節限定の新作フードとして「あんバターサンド」が登場すると、ネット上で大きな話題となりました。スタバはこれまで新作のフラッペが話題になることはあっても、フードメニューが話題になることはほとんどありませんでした。いかにあんバター人気が高まっているかがわかると思います。
マツコの知らない世界で一気に「あんバターブーム」に!
このようにあんバター商品の人気がどんどん高まっていたところに、2022年2月に後押しをするように放送されたのが「マツコの知らない世界 あんバターの世界」。
インパクトのある見た目のあんバターメニューが数多く紹介され、また紹介した「あんバター研究家」のうさもぐさんの可愛らしさも話題となり、世の中の「あんバターが食べたい!」というニーズが一気に沸点に達しました!
今後の予想ですが、「あんバター」で注目されたあんこの美味しさから派生して、「進化系あんこスイーツ」が人気になっていくのではないかと思います。実際に、話題となっている「進化系あんこスイーツ」が、「スライスようかん」です。
さらに、古風なイメージのあったおはぎを映える見た目と食感にした「タケノとおはぎ」も手土産の定番になりつつあります。
洋菓子と比べ、身体に良いとされている「あんこ」。そして背徳感のある塊のバター……。相反するようですが、「健康にも気を遣いたいけれど背徳感のあるものも食べたい!」というニーズが2022年のトレンドのキーワードとなっているのかもしれません。
あんバターの魅力にぜひ注目してみてください。
▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。