コンビニやスタバでも新商品登場の「あんバター」熱が沸騰中?検索ワードでトレンドを調査

コンビニやスタバでも新商品登場の「あんバター」熱が沸騰中?検索ワードでトレンドを調査

食品業界のマーケターや、トレンドに敏感なマーケター層をターゲットに、食品のトレンドを分析します。今回のテーマは「あんバター」。2022年2月8日放送の「マツコの知らない世界」でも特集され話題となった「あんバター」は、なぜ今ここまで注目されているのでしょうか?「あんバター」検索者のデータから分析します。


あんバターとは?

あんバターの歴史について調べてみると、1921年頃に名古屋にある喫茶店「満つ葉」で誕生した「小倉トースト」が最初だといわれています。あるお客がバタートーストをぜんざいに浸して食べているのを見た店主が商品化したのが発祥なのだとか。

その後1996年にあんぱんで有名な「銀座木村屋」があんバターパンを発売したことで全国的に知られるようになりました。2018~2019年にかけて、韓国であんバターブームが起き、映えるあんバターパンが数多くInstagramで投稿され、日本でもじわじわと注目されるようになっていきました。

▼関連:マナミナでは食品のトレンドを分析した記事を他にも公開しています。ぜひ併せてお読みください。

【関連】人気急上昇中スイーツのスフォリアテッラは次のトレンドになるか?検索データで予測してみた

https://manamina.valuesccg.com/articles/1646

人気急上昇中の「スフォリアテッラ」を調査します。2021年に大ブームを巻き起こしたのは「マリトッツォ」でしたが、2022年を迎え、「次はどんなスイーツが流行るのかな」と気になっている方も多いかもしれません。様々なスイーツ名が挙がる中、私が注目したのは密かに人気急上昇中の「スフォリアテッラ」。これからさらに話題になるかどうか、マリトッツォのデータと比較しながら調査をしてみたいと思います。

【関連】コロナ禍で伸びる冷凍食品-コンビニが力を入れ、フランス発の専門店が注目集める理由とは-

https://manamina.valuesccg.com/articles/1692

今回は2022年ヒット予測にも取り上げられた「冷凍食品」について調査します。冷凍食品といえば、「便利で手軽だけど美味しくない」というイメージも強いはず。さらに、スーパーなどで手軽に手に入るもので、わざわざ新商品について調べたりする印象はありませんでした。なぜ「今」ここまで冷凍食品が注目されるのか? 「冷凍食品」検索者のデータから分析します。

火付け役は「久世福商店」のあんバター。検索数も急上昇!

「あんバター」の検索ユーザー数推移を見てみると、2021年10月頃からじわじわと検索数が増え、2022年に入ってから一気に急上昇していることがわかります。なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しました。

「あんバター / アンバター」検索ユーザー数推移

「あんバター / アンバター」検索ユーザー数推移
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

2021年10月頃から検索数が増えている理由は一緒に検索されているワードから推測できます。四半期ごとの「あんバター」検索との掛け合わせワードを見てみると、10月頃から特徴的なワードが現れていました。

「あんバター / アンバター」季節比較

「あんバター / アンバター」季節比較
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

目立つのは「久世福」「コストコ」というワードです。久世福商店は「バターが香る あんバター」という商品を販売しています。

2020年6月に発売された久世福商店「バターが香る あんバター」の人気が口コミで広がり、話題となったことから検索する人が増えたことがうかがえます。特に、2021年春頃にコストコでオトクな大容量サイズの同商品が登場してからは、テレビ番組でも取り上げられる機会が増え、一時は入手困難になるほど。

そんな人気の中、2021年10月には久世福商店がシリーズの商品として「あんバター」に加え、「あまおうの 苺あんバター」「抹茶あんバター」「北海道大納言小豆の 濃厚あんバター」「とろける ミルクあんバター」と合計5種のラインナップを展開。食べ比べをする人も増えてネット上で話題になることが多くなりました。

検索ユーザーの属性を見てみると、女性の40代の割合が多いことがわかります。

「あんバター / アンバター」検索ユーザーの属性<性別>

「あんバター / アンバター」検索ユーザーの属性<性別>
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

「あんバター / アンバター」検索ユーザーの属性<年齢>

「あんバター / アンバター」検索ユーザーの属性<年齢>
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

おうち時間がまだまだ続き、なかなかカフェなどに行けない分「自宅での朝食やおやつを充実させたい」というニーズが高まり、あんバターに興味を持つ方が増えたのではないでしょうか。高級食パンブームがいまだ続いていることもあんバター人気を後押ししているのかもしれません。

コンビニやスターバックスからはあんバター商品が続々登場

さらに2021年10月頃からは、コンビニ各社からあんバターパン商品が続々と登場しました。

ファミマからは「あんバターフランス」が、ローソンからは「香くるみフランスパン あんバター」や「フランス産発酵バターのクロワッサンあんバター」「LAWSONBAKERY╳GODIVA あんバターショコラ」と、立て続けにあんバター商品が登場しています。毎日訪れる人も多いコンビニでこれだけあんバター商品が登場すると、口にする人も増えていきます。あんとバターの美味しい組み合わせに改めて目覚めた!という人が増えていったのではないでしょうか。

そんな中、コンビニ以外からもあんバター商品が登場し始めます。

2021年11月には日清シスコが「ココナッツサブレあんバター」を発売。定番で人気商品のあんバター商品ということで、「ココナッツサブレ」ファンからも「あんバター」ファンからも「美味しかった!」との声が上がりました。

さらに気になるのが、一緒に検索されているワード上位にある「スタバ」です。

「あんバター / アンバター」検索キーワード

「あんバター / アンバター」検索キーワード
(集計期間:2021年3月〜2022年2月、デバイス:PC&スマートフォン)

2021年12月に季節限定の新作フードとして「あんバターサンド」が登場すると、ネット上で大きな話題となりました。スタバはこれまで新作のフラッペが話題になることはあっても、フードメニューが話題になることはほとんどありませんでした。いかにあんバター人気が高まっているかがわかると思います。

マツコの知らない世界で一気に「あんバターブーム」に!

このようにあんバター商品の人気がどんどん高まっていたところに、2022年2月に後押しをするように放送されたのが「マツコの知らない世界 あんバターの世界」。

インパクトのある見た目のあんバターメニューが数多く紹介され、また紹介した「あんバター研究家」のうさもぐさんの可愛らしさも話題となり、世の中の「あんバターが食べたい!」というニーズが一気に沸点に達しました!

今後の予想ですが、「あんバター」で注目されたあんこの美味しさから派生して、「進化系あんこスイーツ」が人気になっていくのではないかと思います。実際に、話題となっている「進化系あんこスイーツ」が、「スライスようかん」です。

さらに、古風なイメージのあったおはぎを映える見た目と食感にした「タケノとおはぎ」も手土産の定番になりつつあります。

洋菓子と比べ、身体に良いとされている「あんこ」。そして背徳感のある塊のバター……。相反するようですが、「健康にも気を遣いたいけれど背徳感のあるものも食べたい!」というニーズが2022年のトレンドのキーワードとなっているのかもしれません。

あんバターの魅力にぜひ注目してみてください。

▼今回の分析にはWeb行動ログ調査ツール『Dockpit』を使用しています。『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。

dockpit 無料版の登録はこちら

この記事のライター

恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。

関連する投稿


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


2024年のトレンドワードまとめ!新語・流行語大賞の「ふてほど」ほか、50-50、新NISAなど

2024年のトレンドワードまとめ!新語・流行語大賞の「ふてほど」ほか、50-50、新NISAなど

パリ2024オリンピックや衆議院選挙が行われた2024年は、どのような1年だったのでしょうか?2024年新語・流行語大賞の分析とヴァリューズで分析した今年1年間の週間検索キーワードランキングから2024年のトレンドを分析しました。


新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

新時代のフランス発SNS「BeReal(ビーリアル)」MAUは過去1年で4倍に。広告にも期待感高まる

リリースされてから、Z世代を中心に強い支持を集めている「BeReal(ビーリアル)」。2023年初頭から人気を集め始めていますが、いまだにその人気は衰えていません。2024年7月には、日本で広告事業を本格化しはじめたことが大きな話題になりました。今回は、BeRealの最新動向をデータを用いて分析するとともに、広告ビジネスの可能性を調査していきます。


データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – ライフスタイル・消費トレンド編」を公開

データ分析のヴァリューズ、 「デジタル・トレンド白書2024 – ライフスタイル・消費トレンド編」を公開

ヴァリューズは、国内最大規模の消費者Web行動ログパネルを保有し、データマーケティング・メディア「マナミナ」にて消費トレンドの自主調査を発信してきました。その中から注目領域の調査・コラムをピックアップし、白書として収録。2021年の発行から4回目を迎える「デジタル・トレンド白書2024」は、Z世代トレンド・SNS動向編、ライフスタイル・消費トレンド編の2部構成になっています。(「ライフスタイル・消費トレンド編」ページ数|153P)


最新の投稿


BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

BtoBマーケティングの成功は"ファクトファインディング"が重要!本質的・潜在的な課題・ニーズを引き出すことが成功のカギ【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、全国のマーケティングコンサルタントを対象に、「BtoBマーケターが始めた方が良いこと」に関する調査を実施し、結果を公開しました。


デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

即時払いで決済を行うデビットカード。キャッシュレス決済全体に占める割合はまだまだ低いものの、利用者や利用場面は着実に増加しており、成長の兆しを見せています。本稿では、そんなデビットカードの検討状況について、キャッシュレス決済カテゴリのマーケットリーダーであるクレジットカードと比較し、今後の市場動向を占います。


博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

株式会社博報堂DYメディアパートナーズは、株式会社日本経済新聞社、株式会社東北新社とともに、ドキュメンタリー動画を制作・提供する広告企画「日経ブランドドキュメント」を開発したことを発表しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ