LOD表現のおさらい
前々回の記事ではLOD表現の基本について、前回の記事ではLOD表現の一種類であるINCLUDEについてご紹介しました。
以下前々回と前回の再掲です。
■LOD表現の基本
・LOD表現は行や列に設定しているディメンションを無視した粒度で集計できる
・LOD表現の基本的な構文は {FIXED ディメンション名 : 集計式}
・LOD表現同士でないと四則演算ができないため、割合などを出す場合は分子分母両方をLOD表現で作成する
■INCLUDEの使い方
・INCLUDEは「粒度をディメンションより細かなレベルにして集計する」ことができる
・FIXEDとの違いはビューに設定しているディメンションを無視する(FIXED)かしない(INCLUDE)か
・INCLUDEを使ったLOD表現の基本的な構文は {INCLUDE ディメンション名 : 集計式}
今回の記事ではLOD表現の最後の一つである「EXCLUDE」についてご紹介していきます。
EXCLUDEの基本的な考え方
EXCLUDEは「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」ことが可能になるLOD表現です。
「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」とは、ビュー上に配置しているディメンションのうち、特定のものを除外した集計単位を設定できるということです。
前回紹介したINCLUDEの真逆なイメージとなります。
EXCLUDEを使ったLOD表現の基本的な構文は以下の通りです。
{EXCLUDE ディメンション名 : 集計式}
→ビューに配置している特定のディメンション(サブカテゴリ)を無視した状態でビュー上に売上合計を集計したい場合は以下の書き方になります。
{EXCLUDE サブカテゴリ : Sum(売上)}
EXCLUDEの実践的な使い方
では「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」ということが求められるのは具体的にどういった時でしょうか。
サンプルのスーパーストアデータを見ながら確認していきたいと思います。
カテゴリとサブカテゴリという階層構造にあるデータを基に考えてみます。
一つのビューの中でカテゴリとサブカテゴリをディメンションに設定しカテゴリ毎とサブカテゴリ毎の売上合計を出そうとしてみます。
通常はビューで設定している中での最小粒度のディメンション(ここではサブカテゴリ)が集計の基準となるため単純な設定では出す事ができません。
ディメンションに「サブカテゴリ」を設定しているため「カテゴリ」単位での粒度が集計できない。
この状態でカテゴリ毎の集計結果を表示するために以下の数式を計算フィールドで作成します。
{EXCLUDE サブカテゴリ :Sum(売上)}
EXCLUDEのディメンションに「サブカテゴリ」と指定することでビューに設定している「サブカテゴリ」を無視して売上を合計する
これで計算フィールドの設定としては完成です。
では、実際にビューにこの計算フィールドを配置して確認してみましょう。
ビューのディメンション「サブカテゴリ」を無視して「カテゴリ」単位での売上合計を表示
一つのビューで「カテゴリ」「サブカテゴリ」と2つのディメンションを指定していますが、ビューの中では「サブカテゴリ」を無視した集計結果を見れることが確認できました。
EXCLUDEを使うケースとは?
ここまでEXCLUDEの動きについて説明してきましたが、前回までの記事をご覧いただいたり、Tableauについて勉強熱心な方であれば「FIXEDとどう違うのか」や「表計算機能でもカバーできるのでは」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
どうしてもEXCLUDEを使わないといけないというケースはあまりなく、活用する機会が少ないLOD表現であることは事実です。
Tableauの裏側ではそれぞれ異なる動きをしていますが、一般ユーザーレベルではあまり意識する必要はなく、FIXEDや表計算の方が簡単に実現できるのであればそちらで対応してしまった方が良いでしょう。
まとめ
・EXCLUDEは「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」ことができる
・EXCLUDEを使ったLOD表現の基本的な構文は {INCLUDE ディメンション名 : 集計式}
・EXCLUDEの結果はFIXEDや表計算機能で簡単に代替できることが多い
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新卒でソフトウェアベンダーに入社しBIツールを使ったシステム構築やデータ分析の他、顧客向けのトレーニングやセミナー講師を担当。
その後、WEB系事業会社のWEBマーケティングの担当として新規顧客獲得や広告運用の業務を担当した後ヴァリューズに入社。
現在はお客様が持っているデータを活用してマーケティングの支援を行う他、WEBマーケティングデータとBIツール「Tableau」を組み合わせた新たなサービスの開発にも従事。