Tableau中級者への第一歩「LOD表現」について【第3回】FIXED以外のLOD表現「EXCLUDE」

Tableau中級者への第一歩「LOD表現」について【第3回】FIXED以外のLOD表現「EXCLUDE」

Tableauを使いこなすために避けては通れないテクニックとして「LOD表現」というものがあります。 慣れていないと少し難しく思えてしまいますが、LOD表現を自在に使えるようになるとTableauでの表現の幅がより拡がるので是非この連載で基本的な追加方や考え方をマスターしていきましょう。


LOD表現のおさらい

前々回の記事ではLOD表現の基本について、前回の記事ではLOD表現の一種類であるINCLUDEについてご紹介しました。
以下前々回と前回の再掲です。

■LOD表現の基本
・LOD表現は行や列に設定しているディメンションを無視した粒度で集計できる
・LOD表現の基本的な構文は {FIXED ディメンション名 : 集計式}
・LOD表現同士でないと四則演算ができないため、割合などを出す場合は分子分母両方をLOD表現で作成する

■INCLUDEの使い方
・INCLUDEは「粒度をディメンションより細かなレベルにして集計する」ことができる
・FIXEDとの違いはビューに設定しているディメンションを無視する(FIXED)かしない(INCLUDE)か
・INCLUDEを使ったLOD表現の基本的な構文は {INCLUDE ディメンション名 : 集計式}

今回の記事ではLOD表現の最後の一つである「EXCLUDE」についてご紹介していきます。

EXCLUDEの基本的な考え方

EXCLUDE「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」ことが可能になるLOD表現です。
「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」とは、ビュー上に配置しているディメンションのうち、特定のものを除外した集計単位を設定できるということです。
前回紹介したINCLUDEの真逆なイメージとなります。

EXCLUDEを使ったLOD表現の基本的な構文は以下の通りです。

{EXCLUDE ディメンション名 : 集計式}
→ビューに配置している特定のディメンション(サブカテゴリ)を無視した状態でビュー上に売上合計を集計したい場合は以下の書き方になります。
 {EXCLUDE サブカテゴリ : Sum(売上)}

EXCLUDEの実践的な使い方

では「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」ということが求められるのは具体的にどういった時でしょうか。
サンプルのスーパーストアデータを見ながら確認していきたいと思います。

カテゴリとサブカテゴリという階層構造にあるデータを基に考えてみます。
一つのビューの中でカテゴリとサブカテゴリをディメンションに設定しカテゴリ毎とサブカテゴリ毎の売上合計を出そうとしてみます。
通常はビューで設定している中での最小粒度のディメンション(ここではサブカテゴリ)が集計の基準となるため単純な設定では出す事ができません。

ディメンションに「サブカテゴリ」を設定しているため「カテゴリ」単位での粒度が集計できない。

この状態でカテゴリ毎の集計結果を表示するために以下の数式を計算フィールドで作成します。
{EXCLUDE サブカテゴリ :Sum(売上)}

EXCLUDEのディメンションに「サブカテゴリ」と指定することでビューに設定している「サブカテゴリ」を無視して売上を合計する

これで計算フィールドの設定としては完成です。
では、実際にビューにこの計算フィールドを配置して確認してみましょう。

ビューのディメンション「サブカテゴリ」を無視して「カテゴリ」単位での売上合計を表示

一つのビューで「カテゴリ」「サブカテゴリ」と2つのディメンションを指定していますが、ビューの中では「サブカテゴリ」を無視した集計結果を見れることが確認できました。

EXCLUDEを使うケースとは?

ここまでEXCLUDEの動きについて説明してきましたが、前回までの記事をご覧いただいたり、Tableauについて勉強熱心な方であれば「FIXEDとどう違うのか」や「表計算機能でもカバーできるのでは」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。
どうしてもEXCLUDEを使わないといけないというケースはあまりなく、活用する機会が少ないLOD表現であることは事実です。
Tableauの裏側ではそれぞれ異なる動きをしていますが、一般ユーザーレベルではあまり意識する必要はなく、FIXEDや表計算の方が簡単に実現できるのであればそちらで対応してしまった方が良いでしょう。

まとめ

・EXCLUDEは「粒度をディメンションより大きなレベルにして集計する」ことができる
・EXCLUDEを使ったLOD表現の基本的な構文は {INCLUDE ディメンション名 : 集計式}
・EXCLUDEの結果はFIXEDや表計算機能で簡単に代替できることが多い

▼Tableau導入に関するご相談は、お気軽に下記お問合せフォームよりご連絡ください
Tableauに関するお問い合わせはこちら

デモを交えて短時間でTableauの概要をお伝えしたり、Tableauを活用した事例紹介のウェビナーも随時開催中です。下記のリンクよりぜひご参加ください。

この記事のライター

新卒でソフトウェアベンダーに入社しBIツールを使ったシステム構築やデータ分析の他、顧客向けのトレーニングやセミナー講師を担当。
その後、WEB系事業会社のWEBマーケティングの担当として新規顧客獲得や広告運用の業務を担当した後ヴァリューズに入社。
現在はお客様が持っているデータを活用してマーケティングの支援を行う他、WEBマーケティングデータとBIツール「Tableau」を組み合わせた新たなサービスの開発にも従事。

関連するキーワード


Tableau LOD

関連する投稿


データ活用を加速させる!「BIダッシュボード」事例集 | BIダッシュボードギャラリー

データ活用を加速させる!「BIダッシュボード」事例集 | BIダッシュボードギャラリー

社内外の様々なデータを可視化し、グラフを組み合わせて表現することで、データの傾向やパターンを明確にし、分析の精度を向上させる「BIダッシュボード」。関係者間の正しい情報共有や共通理解の促進も期待できます。本レポートでは、Tableauをはじめとする様々なBIツールの導入や構築支援を行ってきたヴァリューズが、これまでの活用事例を厳選して紹介します。業務改善や意思決定に利用するダッシュボードについて、具体的なイメージが欲しい!という方にもおすすめです。


TableauでAI活用!Tableau Pulseって何?(概要紹介)

TableauでAI活用!Tableau Pulseって何?(概要紹介)

AIを使ってTableauの分析ができる新機能「Tableau Pulse」の日本語対応が先日発表されました。 2回に分けてそもそもTableau Pulseがどういったものか、どうやって使うのかをご紹介していきます。 この記事ではTableau Pulseの概要を紹介します。


TableauでAI活用!Tableau Pulseって何?(使い方)

TableauでAI活用!Tableau Pulseって何?(使い方)

AIを使ってTableauの分析ができる新機能「Tableau Pulse」の日本語対応が先日発表されました。2回に分けてそもそもTableau Pulseがどういったものか、どうやって使うのかをご紹介していきます。この記事ではTableau Pulseの使い方を紹介します。


Tableau2024.1の注目新機能紹介(Excelでのヘッダーと開始行の選択)

Tableau2024.1の注目新機能紹介(Excelでのヘッダーと開始行の選択)

2024年春にリリースされたTableau2024.1の新機能のうち、特に注目の新機能を3回に分けてご紹介します。 今回は「Excelでのヘッダーと開始行の選択」(Tableau Prep)です。


Tableau2024.1の注目新機能紹介(重複行の特定と除外)

Tableau2024.1の注目新機能紹介(重複行の特定と除外)

2024年春にリリースされたTableau2024.1の新機能のうち、特に注目の新機能を3回に分けてご紹介します。 今回は「重複行の特定と除外」(Tableau Prep)です。


最新の投稿


取り上げられるプレスリリースは「内容の興味深さ」!共感を呼ぶストーリーや他社と異なる独自性が重要【PRIZMA調査】

取り上げられるプレスリリースは「内容の興味深さ」!共感を呼ぶストーリーや他社と異なる独自性が重要【PRIZMA調査】

株式会社PRIZMAは、メディア関係者を対象に、「プレスリリースに関する調査」を実施し、結果を公開しました。


宅配サービスの直近の利用率は約4割でコロナ禍であった2年前より低下 受け取り方は「自宅で手渡し」が依然として高い傾向【クロス・マーケティング調査】

宅配サービスの直近の利用率は約4割でコロナ禍であった2年前より低下 受け取り方は「自宅で手渡し」が依然として高い傾向【クロス・マーケティング調査】

株式会社クロス・マーケティングは、「宅配」に関わる利用実態や意識・行動に関する調査として、全国47都道府県に在住する20~69歳の男女を対象に「宅配に関する調査(2024年)」を実施し、結果を公開しました。


博報堂DYホールディングスと博報堂テクノロジーズ、デジタルクリエイティブ制作における戦略や企画の効率化・高度化を行う「CREATIVE BLOOM PLANNING」を開発

博報堂DYホールディングスと博報堂テクノロジーズ、デジタルクリエイティブ制作における戦略や企画の効率化・高度化を行う「CREATIVE BLOOM PLANNING」を開発

株式会社博報堂DYホールディングスと株式会社博報堂テクノロジーズは、統合マーケティングプラットフォーム「CREATIVITY ENGINE BLOOM (クリエイティビティ エンジン ブルーム)」に、デジタルクリエイティブ制作における戦略や企画の効率化、高度化を行う「CREATIVE BLOOM PLANNING」を開発し、社内での利用を開始したことを発表しました。


約6割がタレント起用の広告を見てブランドをより好きになった経験あり!消費者の購入意欲度を高めることや購買行動を促す効果も【エイスリーグループ調査】

約6割がタレント起用の広告を見てブランドをより好きになった経験あり!消費者の購入意欲度を高めることや購買行動を促す効果も【エイスリーグループ調査】

エイスリーグループは、Z世代・Y世代の男女を対象に、タレント起用の広告が消費者に与える影響を調査し、結果を公開しました。


電通デジタルと電通、SmartNewsアプリ内「記事閲読行動データ」の活用で、生活者のモーメントを捉えたアプローチを実現

電通デジタルと電通、SmartNewsアプリ内「記事閲読行動データ」の活用で、生活者のモーメントを捉えたアプローチを実現

株式会社電通デジタルと株式会社電通は、スマートニュース株式会社と共同で、ユーザーのプライバシーを保護しながら安全にデータ分析ができるデータクリーンルーム「SmartNews Ads Data Pot」を構築。スマートニュース株式会社が運営するニュースアプリ「SmartNews」の記事閲読行動データなどを活用し、生活者のモーメントを捉えたマーケティング支援を開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ