Pinduoduoの2022年第2四半期の業績は、売上高、利益ともに予想を大きく上回り、売上高は前年同期比36%増の314.4億元で、市場予想の236億元を大きく上回りました。一般株主に帰属する当期純利益は88.96億元となり、前年同期比268%の大幅な増益となりました。
売上高と利益の急増の一方で、運用費用率は前年同期比で大幅に減少。第2四半期の運営費用は147.8億元で、総収入に占める割合は前年同期の57%から47%に低下しています。 中でも、販売費および研究開発費率はいずれも前年同期に比べ大幅に低下しました。
業界全体が厳しい状況にある中で、なぜPinduoduoはこれほどの成長を遂げることができたのでしょうか?そこでPinduoduoの2022年上半期、特に第2四半期の好調な業績を分析してみたところ、「コロナウイルスの流行」「消費のダウングレード」「ライバルの撤退」という3つのキーワードが浮かび上がってきました。
1. コロナウイルスの流行
2022年上半期に中国国内で新型コロナウイルスの流行が再来し、ECプラットフォームの配信の成長を停滞させました。
京東グループ(大手ECプラットフォーム)のCEOは、新型コロナウイルス影響について、今年の流行はオンラインとオフラインのビジネスにとって「ダブルパンチ」だった(オンオフ両方のビジネスを展開する企業にとっては、オンオフ両方に打撃があった)と語りました。また第2四半期は、上場した京東にとって最も厳しい四半期だったといいます。
アリババグループ董事長兼CEOも、特に上海、深セン、商圏の重要拠点でもある周辺都市では、新型コロナウイルスによるサプライチェーンや物流の混乱が、売上に広く影響を及ぼしたと語っています。
一方でPinduoduo全体の売り上げは大きく回復し、携帯電話、家電製品、美容・化粧品業界はいずれも前年比2倍増を達成しました。中でも、携帯電話業界全体は前年比148%増、家電製品業界全体は前年比103%増、美容業界全体は前年比122%増、日用化学業界全体は前年比110%増となり、売上高が大幅に増加しました。
Pinduoduoは収益増加の一方で、それに伴う費用割合はむしろ減少していることから、大幅に成長していると言えるでしょう。 広告収入を見ると、第2四半期は252億元で、前年同期比39%増となり、手数料収入は、前年同期比107%増の62億元となりました。
Pinduoduoの責任者は、2022年以降、国内外の一流ブランドが同プラットフォームに開設した公式ショップの数が前年比330%増になったと報告しています。その原因は、消費低迷の一般的な傾向の下で、2022年上半期に生き残りをかけて主要消費者ブランドがとった「チャネル多様化戦略」によるものでしょう。
消費者によると、特に上海でコロナウイルスの流行が深刻だった2022年4月、5月は、京東の注文が大幅に遅れ、アリババもそれに次ぐ影響を受けたといいます。 一方Pinduoduoは、配達時間の厳守と短縮に注力し、多くのユーザーがPinduoduoに乗り換え、高い再購買率につながったのです。
Pinduoduo四半期ごとの営業利益とマーケティングコスト比率
凡例は棒グラフが「営業利益(億元)」、折れ線が「マーケティングコスト比率」
出典:Pinduoduo財務報告書
グラフ作成:奇偶派
2. 消費のダウングレード
5月下旬以降、消費が回復し始めると、Pinduoduoは成長を促進するために様々な措置を講じました。 618キャンペーンでは、家庭用化学品、青果、小型家電、美容などのカテゴリーでプラットフォームが大きく成長しました。
ところがコロナウイルスなどの要因による不確実性が、消費者の信頼感を低下させました。国家統計局のデータによると、2022年上半期の消費財小売総額は2104億3200万元で、前年同期比0.7%減となりました。 第2四半期は、4月が前年同期比11.1%減、5月が同6.7%減と縮小し、6月は同3.1%増と減少から増加に転じたものの、前年同期比4.6%の大幅減となりました。
また全国のネット通販の売上高を見ると、2022年上半期は6307億元と前年同期比3.1%増加したものの、同年4月は史上初のマイナス成長となりました。消費の種類別に見ると、上半期の商品小売売上高は1兆9039億2000万元で0.1%増、外食産業売上高は2000億4000万元で7.7%減となりました。一方、生活必需品の消費は順調に伸びており、食料品と飲料の小売販売額はそれぞれ9.9%、8.2%の増加となりました。
消費意欲については、不要不急の消費を抑制し、財布を引き締める消費者が多く、中間層は消費を抑制し、低価格でコストパフォーマンスの高い商品を購入する傾向があったのです。
消費者側のモチベーションが低いため、必需品以外の商材は広告を控えめにするようになりました。当然、自社ECサイトで商品を販売している京東や、美容・アパレルカテゴリーに強みを持つアリババに最も影響を及ぼしています。
一方Pinduoduoは、生活必需品「青果」の販売と「低価格」の実現により、消費のダウングレードの波に影響されず、高い成長率を達成しました。またその高収益化の主な要因は、toB側の広告出稿率の上昇と、顧客単価およびユーザー再購買率の上昇です。
3. ライバルの撤退
Pinduoduoの上期業績が好調だったもう一つの要因は、競合他社が下位市場への参入を中止していることです。
一時期、アリババ、京東、美団は、新たな成長エンジンとして下位市場に注目していました。2020年後半から、これら3大企業は下位市場でグループ購買と食料品購買事業を積極的に強化し、Pinduoduoの経営基盤に浸透させました。
ところが2022年に入り、アリババ、京東、美団はコスト削減と効率化を進め、規模よりも利益を重視するようになりました。 その結果、Pinduoduoが直面する競争環境は変化し、競争水準が緩和されました。 決算報告によると、上半期には、アリババ、京東、美団、Pinduoduoのマーケティングコストが低下し、利益も改善されています。その中で第2四半期では、Pinduoduoのマーケティングコストは11ポイント下がり、4大企業の中で最も大きく低下しました。
今後の展望
Pinduoduoは、2021年第4四半期、2022年第2四半期と、2四半期連続で過去最高利益を更新し、力強い成長を遂げています。 では、この傾向は持続できるのでしょうか?
Pinduoduoの投資額から判断すると、過去の超高成長は再現されないものの、少なくとも比較的高い成長が期待できると言えるでしょう。
昨年の第3四半期決算後、Pinduoduoはマーケティングや営業投資を重視する旧来の成長モデルから、技術や農業への投資増を重視する成長ロジックに切り替えると発表しました。ブランディングへの継続的な投資と今期の劇的な成長が相まって、このプラットフォームが予想外の方法で「決定的な飛躍」を遂げたことを示しています。2022年第2四半期は、Pinduoduoの成長の分かれ目になるでしょう。
まとめ
中国国内EC業界の発展を振り返ると、各プラットフォームの発展のターニングポイントは、それぞれ異なります。
アリババの初期には、多くのブランドを引き付けるためにダブル11に依存しました。京東はいち早くオンライン施策への切り替えを選択し、それ以来、3Cデジタル分野における強力なECプラットフォームが国内市場に誕生しました。
どちらも、中国のネット通販の波という同じ時代を背景にした物語です。 後発組であるPinduoduoは、常に高い成長率を目指して成長していくのでしょう。
参考URL
「赢麻了?拼多多上半年凭什么赚115亿?」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1742579425896818123&wfr=spider&for=pc
「拼多多盈利了,但白嫖党、刷单户变多了」
http://finance.sina.com.cn/tech/csj/2021-09-02/doc-iktzscyx1813132.shtml
「拼多多二季度营收利润双涨,“活下来”最重要」
http://news.sohu.com/a/582183005_120865506
「拼多多悄悄完成“关键一跃”」
https://view.inews.qq.com/wxn/20220831A01YC400?
「“超级赢家”拼多多:靠什么半年暴赚150亿?」
https://www.163.com/dy/article/HG1DEL290552A7ZI.html
慶應義塾大学在学中。