コロナ禍でも業績好調な中国EC「Pinduoduo」の成功要因を探る | 中国トレンド調査

コロナ禍でも業績好調な中国EC「Pinduoduo」の成功要因を探る | 中国トレンド調査

拼多多(Pinduoduo)は2015年9月にサービスを開始した、中国のECプラットフォームです。 ソーシャルコマースを取り入れたPinduoduoの2022年第2四半期の業績は、予想を大きく回りました。Pinduoduoはどのようにして成功を収めたのか、その理由を解説します。


Pinduoduoの2022年第2四半期の業績は、売上高、利益ともに予想を大きく上回り、売上高は前年同期比36%増の314.4億元で、市場予想の236億元を大きく上回りました。一般株主に帰属する当期純利益は88.96億元となり、前年同期比268%の大幅な増益となりました。

売上高と利益の急増の一方で、運用費用率は前年同期比で大幅に減少。第2四半期の運営費用は147.8億元で、総収入に占める割合は前年同期の57%から47%に低下しています。 中でも、販売費および研究開発費率はいずれも前年同期に比べ大幅に低下しました。

業界全体が厳しい状況にある中で、なぜPinduoduoはこれほどの成長を遂げることができたのでしょうか?そこでPinduoduoの2022年上半期、特に第2四半期の好調な業績を分析してみたところ、「コロナウイルスの流行」「消費のダウングレード」「ライバルの撤退」という3つのキーワードが浮かび上がってきました。

1. コロナウイルスの流行

2022年上半期に中国国内で新型コロナウイルスの流行が再来し、ECプラットフォームの配信の成長を停滞させました。
京東グループ(大手ECプラットフォーム)のCEOは、新型コロナウイルス影響について、今年の流行はオンラインとオフラインのビジネスにとって「ダブルパンチ」だった(オンオフ両方のビジネスを展開する企業にとっては、オンオフ両方に打撃があった)と語りました。また第2四半期は、上場した京東にとって最も厳しい四半期だったといいます。

アリババグループ董事長兼CEOも、特に上海、深セン、商圏の重要拠点でもある周辺都市では、新型コロナウイルスによるサプライチェーンや物流の混乱が、売上に広く影響を及ぼしたと語っています。

一方でPinduoduo全体の売り上げは大きく回復し、携帯電話、家電製品、美容・化粧品業界はいずれも前年比2倍増を達成しました。中でも、携帯電話業界全体は前年比148%増、家電製品業界全体は前年比103%増、美容業界全体は前年比122%増、日用化学業界全体は前年比110%増となり、売上高が大幅に増加しました。

Pinduoduoは収益増加の一方で、それに伴う費用割合はむしろ減少していることから、大幅に成長していると言えるでしょう。 広告収入を見ると、第2四半期は252億元で、前年同期比39%増となり、手数料収入は、前年同期比107%増の62億元となりました。

Pinduoduoの責任者は、2022年以降、国内外の一流ブランドが同プラットフォームに開設した公式ショップの数が前年比330%増になったと報告しています。その原因は、消費低迷の一般的な傾向の下で、2022年上半期に生き残りをかけて主要消費者ブランドがとった「チャネル多様化戦略」によるものでしょう。

消費者によると、特に上海でコロナウイルスの流行が深刻だった2022年4月、5月は、京東の注文が大幅に遅れ、アリババもそれに次ぐ影響を受けたといいます。 一方Pinduoduoは、配達時間の厳守と短縮に注力し、多くのユーザーがPinduoduoに乗り換え、高い再購買率につながったのです。

Pinduoduo四半期ごとの営業利益とマーケティングコスト比率
凡例は棒グラフが「営業利益(億元)」、折れ線が「マーケティングコスト比率」
出典:Pinduoduo財務報告書
グラフ作成:奇偶派

2. 消費のダウングレード

5月下旬以降、消費が回復し始めると、Pinduoduoは成長を促進するために様々な措置を講じました。 618キャンペーンでは、家庭用化学品、青果、小型家電、美容などのカテゴリーでプラットフォームが大きく成長しました。

ところがコロナウイルスなどの要因による不確実性が、消費者の信頼感を低下させました。国家統計局のデータによると、2022年上半期の消費財小売総額は2104億3200万元で、前年同期比0.7%減となりました。 第2四半期は、4月が前年同期比11.1%減、5月が同6.7%減と縮小し、6月は同3.1%増と減少から増加に転じたものの、前年同期比4.6%の大幅減となりました。

また全国のネット通販の売上高を見ると、2022年上半期は6307億元と前年同期比3.1%増加したものの、同年4月は史上初のマイナス成長となりました。消費の種類別に見ると、上半期の商品小売売上高は1兆9039億2000万元で0.1%増、外食産業売上高は2000億4000万元で7.7%減となりました。一方、生活必需品の消費は順調に伸びており、食料品と飲料の小売販売額はそれぞれ9.9%、8.2%の増加となりました。

消費意欲については、不要不急の消費を抑制し、財布を引き締める消費者が多く、中間層は消費を抑制し、低価格でコストパフォーマンスの高い商品を購入する傾向があったのです。
消費者側のモチベーションが低いため、必需品以外の商材は広告を控えめにするようになりました。当然、自社ECサイトで商品を販売している京東や、美容・アパレルカテゴリーに強みを持つアリババに最も影響を及ぼしています。

一方Pinduoduoは、生活必需品「青果」の販売と「低価格」の実現により、消費のダウングレードの波に影響されず、高い成長率を達成しました。またその高収益化の主な要因は、toB側の広告出稿率の上昇と、顧客単価およびユーザー再購買率の上昇です。

3. ライバルの撤退

Pinduoduoの上期業績が好調だったもう一つの要因は、競合他社が下位市場への参入を中止していることです。
一時期、アリババ、京東、美団は、新たな成長エンジンとして下位市場に注目していました。2020年後半から、これら3大企業は下位市場でグループ購買と食料品購買事業を積極的に強化し、Pinduoduoの経営基盤に浸透させました。

ところが2022年に入り、アリババ、京東、美団はコスト削減と効率化を進め、規模よりも利益を重視するようになりました。 その結果、Pinduoduoが直面する競争環境は変化し、競争水準が緩和されました。 決算報告によると、上半期には、アリババ、京東、美団、Pinduoduoのマーケティングコストが低下し、利益も改善されています。その中で第2四半期では、Pinduoduoのマーケティングコストは11ポイント下がり、4大企業の中で最も大きく低下しました。

今後の展望

Pinduoduoは、2021年第4四半期、2022年第2四半期と、2四半期連続で過去最高利益を更新し、力強い成長を遂げています。 では、この傾向は持続できるのでしょうか?

Pinduoduoの投資額から判断すると、過去の超高成長は再現されないものの、少なくとも比較的高い成長が期待できると言えるでしょう。

昨年の第3四半期決算後、Pinduoduoはマーケティングや営業投資を重視する旧来の成長モデルから、技術や農業への投資増を重視する成長ロジックに切り替えると発表しました。ブランディングへの継続的な投資と今期の劇的な成長が相まって、このプラットフォームが予想外の方法で「決定的な飛躍」を遂げたことを示しています。2022年第2四半期は、Pinduoduoの成長の分かれ目になるでしょう。

まとめ

中国国内EC業界の発展を振り返ると、各プラットフォームの発展のターニングポイントは、それぞれ異なります。

アリババの初期には、多くのブランドを引き付けるためにダブル11に依存しました。京東はいち早くオンライン施策への切り替えを選択し、それ以来、3Cデジタル分野における強力なECプラットフォームが国内市場に誕生しました。

どちらも、中国のネット通販の波という同じ時代を背景にした物語です。 後発組であるPinduoduoは、常に高い成長率を目指して成長していくのでしょう。

参考URL

「赢麻了?拼多多上半年凭什么赚115亿?」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1742579425896818123&wfr=spider&for=pc
「拼多多盈利了,但白嫖党、刷单户变多了」
http://finance.sina.com.cn/tech/csj/2021-09-02/doc-iktzscyx1813132.shtml
「拼多多二季度营收利润双涨,“活下来”最重要」
http://news.sohu.com/a/582183005_120865506
「拼多多悄悄完成“关键一跃”」
https://view.inews.qq.com/wxn/20220831A01YC400?
「“超级赢家”拼多多:靠什么半年暴赚150亿?」
https://www.163.com/dy/article/HG1DEL290552A7ZI.html

この記事のライター

慶應義塾大学在学中。

関連するキーワード


中国トレンド調査 EC

関連する投稿


Does Gen Z Prefer Apps Over Websites When Online Shopping?

Does Gen Z Prefer Apps Over Websites When Online Shopping?

The Gen Z data analysts at VALUES, Inc. analyzed behavioral data regarding the online shopping consumption among Generation Z. It is said that Gen Z prefers “e-commerce apps” over “e-commerce websites,” but what is true? We will dig deeper, incorporating the honest voices of the Gen Zers.


中国で加熱するペットブーム。注目が集まる「ペット向けスマート家電」の動向を調査

中国で加熱するペットブーム。注目が集まる「ペット向けスマート家電」の動向を調査

近年、中国ではペットブームが巻き起こっており、ペットにかける金銭を惜しまない飼い主も多いです。感染症の流行下で需要が増えたことも影響し、ペット業界の市場規模は拡大の一途を辿っています。本記事では中国のペット業界の中で、関心が高まっている「スマート家電業界」を中心にご紹介します。


中国Z世代の調味料に対する新たなニーズは?❘ 中国トレンド調査

中国Z世代の調味料に対する新たなニーズは?❘ 中国トレンド調査

消費水準が高まるにつれて、現在中国における調味料業界が全体的に好調を見せています。2021年から新型コロナウイルスの影響を受けたものの、消費者は外食を控え、自炊比率が上がっため、中国の調味料業界の発展潜在力は依然として高いと言えます。一方、近年若者たちにとって、自宅で自炊することが幸福感を高めることから、料理は人気を増してきました。本記事では、中国の調味料業界の発展過程及び中国Z世代の調味料に対するニーズを解説していきます。


Z世代のネットショッピングはサイトよりアプリが主流?【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

Z世代のネットショッピングはサイトよりアプリが主流?【現役Z世代が読み解くZ世代の行動データ】

Z世代のデータアナリストが、自らZ世代の行動データを分析する本連載。今回のテーマはネットショッピング。Z世代は“ECサイト”より“ECアプリ”を好むと言われますが、その実態はどうなっているのでしょうか。Z世代メンバーによるリアルな声を取り入れつつ、深掘りしていきます。


2022年中国の「独身の日=ダブルイレブン」商戦。最新のトレンド業界は?

2022年中国の「独身の日=ダブルイレブン」商戦。最新のトレンド業界は?

ダブルイレブン(W11)とは、毎年<b>11月11日に中国で行われている独身の日を祝うイベント</b>です。2022年のダブルイレブンでは、ECプラットフォームや店舗などの関係者が売上高を伸ばすことに力を入れていました。その中で加盟店が示す戦況報告からは、中国のマーケットで、新しい産業やブランドが急成長しているのを垣間見ることができます。 本記事では、2022年ダブルイレブンのトレンドとなった業界を中心にご紹介します。


最新の投稿


【TVドラマランキング】Twitterで世界トレンドに!若年層の心をつかんだ「silent」が人気

【TVドラマランキング】Twitterで世界トレンドに!若年層の心をつかんだ「silent」が人気

近年動画配信サービスが普及し、時間や場所にとらわれず様々なジャンルの動画を手軽に視聴できるようになりました。テレビ離れが幅広い年代で囁かれている時代、話題になるテレビドラマとは、どのようなものなのでしょうか。今回は、2022年10月~12月に放送されたドラマについて、認知度や視聴方法、満足度、満足理由などをランキング化。その実態を探りました。


Does Gen Z Prefer Apps Over Websites When Online Shopping?

Does Gen Z Prefer Apps Over Websites When Online Shopping?

The Gen Z data analysts at VALUES, Inc. analyzed behavioral data regarding the online shopping consumption among Generation Z. It is said that Gen Z prefers “e-commerce apps” over “e-commerce websites,” but what is true? We will dig deeper, incorporating the honest voices of the Gen Zers.


検索順位をチェックし競合分析できる無料ツール「SEOチェキ!」と「SEOTOOLS」とは

検索順位をチェックし競合分析できる無料ツール「SEOチェキ!」と「SEOTOOLS」とは

競合サイト分析に使える無料ツール「SEOチェキ!」「SEOTOOLS」について。知名度がありキーワードの検索順位などもチェックできますが、ツールとしての世代が古い感は否めません。SEOチェキ!とSEOTOOLSの特徴や使いどころ、検索順位が競合分析にどう役立つかを解説します。


Instagramにおける「クリエイターマーケティング」 ~ 注目高まるクリエイターエコノミーと企業活用事例

Instagramにおける「クリエイターマーケティング」 ~ 注目高まるクリエイターエコノミーと企業活用事例

2023年、マーケターが押さえておきたいトピックのひとつに、Instagramを活用した「クリエイターマーケティング」が挙げられます。今回は、クリエイターマーケティングをテーマに、Facebook Japanの相原氏と、ヴァリューズの岩間と蒋が対談。期待される効果や施策を行う際のポイント、企業活用事例などをお届けします。


地産地消 ~ 道の駅と食育から

地産地消 ~ 道の駅と食育から

近年注目されつつある「地産地消」。この裏には、人気のお出かけスポットとしての「道の駅」が一役買っています。単なる観光客向けの食品・工芸品の販売だけではなく、地元の生活者の糧としても活用され、そして何より子供たちの「食育」にも繋がることで、「地産地消」の循環の輪は広がっているようです。そのような「地産地消」のメリット・デメリットを含めた実情を、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長を務めている渡部数俊氏が解説します。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら