2022年10月の急上昇サイトは?
こんにちは、マナミナ編集部です。まず早速、2022年10月の急上昇サイトランキングを見てみましょう。
2022年10月の前月比急上昇サイトランキング(対象はPC&スマートフォン、「Dockpit」トレンド分析より)
なお分析には、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用しています。
10月は、食のイベントサイトが2位にランクイン!
それでは、1位〜30位にランクインしたなかで、注目のサイトをいくつかご紹介します。
■2位:東京ラーメンフェスタ2022 Supported by Rakuten
2位にランクインしたのは、「東京ラーメンフェスタ2022」でした。東京ラーメンフェスタは、世田谷区の駒沢オリンピック公園で開催される日本最大級のラーメンイベント。2020年・2021年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で開催できませんでしたが、今年3年ぶりの開催となりました。10/27~11/1と11/2~11/6、の2期間を設けて、全国の有名店が28店舗出店しました。
早速Dockpitを使って、サイト流入が急上昇した要因のヒントを探ってみます。
どんなきっかけで、このイベントサイトへ訪れたのか、競合調査を使い集客構造を調べてみましょう。
「東京ラーメンフェスタ2022」集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン)
集客構造を見てみると、メールを見てサイトに訪れた方が88%と1番多く、ノーリファラ―以外だと外部サイトから3.6%、自然検索2.9%の方が流入していることが分かりました。
一体どんなサイトでイベントを知り得たのか、外部サイトの詳細を見てみます。
「東京ラーメンフェスタ2022」外部サイト(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン)
ポイントサイトからの流入が一番多い中、注目したのは2位以下のイベント情報メディアです。これらの情報メディア(サイト)の3位は「ラーメンデータベース」、4位は「Ramen Data Bank」と、ラーメンに特化したメディアですが、7位以下は地域のイベント情報サイトが上がっていました。このことから、ラーメンファンのみならず、地域に密着した情報に関心を持っているユーザーにも情報が行き届き、幅広い層の人々が注目するイベントであったことがうかがえます。
年の瀬の合図!?年賀状印刷サービスが3社もランクイン!
■12位:年賀家族
12位は、株式会社ソルトワークスが運営する「年賀家族」でした。使いたい写真とデザインを選ぶだけで、簡単に年賀状を作成できるサービスです。シンプルな年賀状の作成のみならず、写真と合わせて自分で撮った動画のQRコードを印刷することができる機能や、キラキラ光る箔押しといった特殊印刷にも対応できることなど、バリエーションもさまざま。選べるサービスラインナップの豊富さが特徴的なサービスと言えます。
今回「年賀家族」の他にも、18位に「ふみいろ年賀」、30位に「セブンイレブン年賀状印刷」の2社が、年賀状印刷サービスとしてランクインしていました。
18位:ふみいろ年賀
30位:セブンイレブン年賀状印刷
季節的に急上昇ランキングに上がったと思われるこの3社。それでは、どのような違いがランキングの上下に影響したのでしょうか。これら3社を競合企業として比較し、各社の特徴や「年賀家族」のサイト流入が急上昇した要因を、Dockpitの競合調査で調べてみます。
「年賀家族」「ふみいろ年賀」「セブンイレブン年賀状印刷」競合サマリ(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン)
競合サマリで3社を比較します。青文字が「年賀家族」、ピンク文字が「ふみいろ年賀」、緑の文字が「セブンイレブン年賀状印刷」です。
「年賀家族」は新規ユーザー率が1番多いことから、他社よりも上位にランクインしたようです。「ふみいろ年賀」は、ページビュー数は1番多い結果に。「セブンイレブン年賀状印刷」は、1人当たりのセッション数と平均滞在時間は、他2社に比べて高いことが分かりました。
続いてどのような経緯で各サイトを訪れているか、各社の集客構造を見てみます。
「年賀家族」「ふみいろ年賀」「セブンイレブン年賀状印刷」集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン)
集客構造で比較してみると、メールからの流入が1番多かったのは青いグラフの「年賀家族」。アフィリエイト広告からの流入が、圧倒的に多かったのは、ピンク色のグラフの「ふみいろ年賀」となりました。
最後に流入キーワードを比較調査してみます。
「年賀家族」「ふみいろ年賀」「セブンイレブン年賀状印刷」流入キーワード(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン)
自然検索からの流入が1番多かったのは「セブンイレブン年賀印刷(緑色)」で、リスティング広告からの流入が1番多かったのは「ふみいろ年賀(ピンク色)」でした。「年賀家族」は自然検索・リスティング広告共に他社よりも流入が少なかったようです。
3つの比較方法で競合調査をした結果、「年賀家族」は他社に比べ、メールや広告による既存顧客と新規顧客双方へのアプローチが成功し、サイト流入が急上昇したことが想定されます。「ふみいろ年賀」は広告施策を強化した点が、ランキングに結果として表れたとも言えるでしょう。
旅行支援関連も上昇。個人間決済サービスは群雄割拠の前触れ?
■24位:【愛知県公式】いいじゃん、あいち旅キャンペーン - 全国旅行支援
24位は、愛知県の旅行支援事業告知サイト「【愛知県公式】いいじゃん、あいち旅キャンペーン - 全国旅行支援」でした。このキャンペーンは、加盟宿泊施設又は旅行会社・旅行予約サービスから10月11日~12月20日宿泊分の予約をした方へ、宿泊代金の40%相当(最大5千円・交通付き旅行商品の場合 最大8千円)が割引になり、さらに地域限定対象店舗で利用できるクーポン最大3千円分が付いてきます。
このサイトに訪れたユーザーは何をきっかけにキャンペーンを知り、サイトへ訪れたのでしょうか。
早速Dockpitの競合分析で調べてみます。
「【愛知県公式】いいじゃん、あいち旅キャンペーン - 全国旅行支援」集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン
集客構造でノーリファラ―以外の流入状況を確認すると、自然検索からの流入が35%、外部サイトからの流入が34%と比較的多いことが分かりました。
流入の多かった外部サイトについて、さらに詳しく調べてみます。
「【愛知県公式】いいじゃん、あいち旅キャンペーン - 全国旅行支援」外部サイト(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン
外部サイトで注目した点は、2位以下に旅行サイトからの流入が多いことです。このことから、旅行サイトでキャンペーンを知り、興味を持った方が多い事が見えてきました。
続いてソーシャルについて調べてみます。
「【愛知県公式】いいじゃん、あいち旅キャンペーン - 全国旅行支援」ソーシャル構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン
ソーシャル構造を見てみると、Twitterからの流入が多いことが分かりました。加盟している店舗や宿泊施設のアカウントからのキャンペーン告知や、利用者からのツイートが散見されることから、ソーシャルコンテンツでキャンペーン認知が拡散したとも言えそうです。
11月1日に愛知県にスタジオジブリの世界を表現した公園“ジブリパーク”もオープンしており、キャンペーンとの相乗効果で、愛知県の観光がさらに活性化していくと想像できます。
10月から開始された旅行支援。さまざまな自治体や観光業界サイトの今後の動向にもおおいに期待できそうです。
■26位: 株式会社ことら
26位にランクインしたのは、スマホで簡単に送金できるサービス「ことら送金」の運営企業サイト「株式会社ことら」でした。10月11日にリリースしたこのサービスは、スマートフォンアプリを使って個人間の送金ができるサービスです。関心を掴んだのは、携帯電話番号やメールアドレスを指定するだけでも送金が可能という点ではないでしょうか。
「ことら送金」自体は独自アプリではなく、所定のマネーアプリ上で実装されるサービスであるため、「ことら送金」を利用できるアプリが双方のスマートフォンにインストールされていれば、相手のアプリの種類を気にせず送金することができる仕組みです。送金手数料についても、各アプリ事業者にもよりますが、銀行振り込みよりも安くなると言われています。また、お金と一緒にメッセージも送ることもでき、他銀行への振替や、友人と割り勘した時などに使いやすいサービスと言えそうです。
それでは今回サイト流入が急上昇した要因を調べてみます。
Dockpitの競合調査で、集客構造を見てみましょう。
「株式会社ことら」集客構造(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン)
集客構造見ると、ノーリファラ―以外だと自然検索で流入した方が47%と一番多く、外部サイトやソーシャルからの流入もあったことが見えてきました。
どんなサイトから流入してきたのか、外部サイトで詳しく調べてみます。
「株式会社ことら」外部サイト(Dockpit競合分析より)
(集計期間:2022年8月~2022年10月 、デバイス:PC&スマートフォン)
外部サイトを確認すると、1位2位4位など銀行サイトからの流入が多いことが分かりました。6位以下にも多数金融機関関連のサイトが見られます。このように金融機関サイトの「ことら送金」のサービス告知を見たユーザーが、興味を持ちサイトへ訪れていることが想定されます。
2022年11月1日現在、「ことら送金」の送金可能な金融機関は、大手メガバンクに地方銀行が含まれ20社。ついで16社の金融機関が今後導入予定となっています。そして「ことら送金」を利用できるアプリは8つとなっています。
現行の個人間送金サービスとしてはPayPay・d払い・LINE Payなども挙げられますが、これらは同じアプリ同士でしか送金できない仕組み。その一方で、「ことら送金」は現在8つのアプリであれば、異なるアプリ同士でも送金を行えるというのが強みの1つとなりそうです。今後、「ことら送金」の利用できるアプリや対応可能金融機関が増えていくことで、個人間決済インフラのデジタル化を推し進める、一つの大きな担い手になりそうです。
まとめ
以上、2022年10月の急上昇サイトランキングを調査しました。今回のランキングでは、コアなファンが利用するメディアからの告知・拡散で、イベント認知が高まった「東京ラーメンフェスタ2022」や、ユーザーのどのようなWeb行動によってサイトの順位を決定づけたのか、競合調査を行なった「3社の年賀状作成サイト」の急上昇の裏側から、メディアの活用法や広告施策の重要性を再認識しました。また、「株式会社ことら」では、アプリ側ではなく金融機関側が「ことら送金」のサービスを大々的に告知することで、サイト流入を促していた点が印象的でした。このような事例から、サービス認知には、広告施策と共に、自然流入を増やす施策も重要であることを改めて感じました。
▼『Dockpit』では毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えます。Dockpitには無料版もありますので、興味のある方は下記よりぜひご登録ください。
マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。
編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。