不動産購入・買い替え時の重視点と閲覧サイトを調査

不動産購入・買い替え時の重視点と閲覧サイトを調査

消費税増税、東京五輪はどのくらい意識されている?


ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、不動産の購入・買い替え意向のある消費者について詳しく調査・分析しました。
2019年10月に消費税が10%となることが決定し、2020年の東京五輪に向けて地価の変動も予想される昨今ですが、消費者は不動産購入に関して、どのような点を重視し、どのように情報を収集しているのでしょうか。

分析概要

住宅購入・検討状況については、全国のVALUESモニターを対象として、2018年7月17日~7月30日にアンケート調査を実施、その回答者19,227人をネット行動分析の対象としました。
※ネット行動はPCの行動ログを対象としています。
※サイト分類のカテゴリはヴァリューズが独自に定義しています。

考察サマリ

不動産購入検討者の7割強が消費税増税を、4割弱が東京オリンピックを意識。

まず、不動産購入検討者に対して、不動産購入にあたり消費税増税を意識しているかを調査しました。「とても意識している」が43.8%、「やや意識している」が30.1%、あわせて73.9%が消費税増税を意識していると答えました。

また、不動産購入にあたり2020年に開催される東京オリンピックを意識しているかを調査したところ、「とても意識している」が21.9%、「やや意識している」が16.5%、あわせて38.4%のユーザーがオリンピックを意識していると答えました【図1】。

不動産購入検討者は7割強が消費税増税を、4割弱が東京オリンピックを意識しており、2019年秋に予定されている消費税増税を特に意識している傾向が強いようです。

検討者はイメージを膨らませる情報、購入者は決め手に近い情報に接触。

次に、現在不動産購入を検討しているユーザー(以下、検討者と記載)とすでに不動産を購入したユーザー(以下、購入者と記載)にわけ、不動産購入に関する情報収集をした媒体について調査しました【図2】。

検討者が情報収集をしている媒体の1位は「モデルルーム・モデルハウスなどの実際の物件」、2位「不動産会社・ハウスメーカーの公式サイト」、3位「物件検索情報サイト」でした。

一方、購入者が検討時に情報収集をした媒体の1位は「モデルルーム・モデルハウスなどの実際の物件」、2位「物件検索情報サイト」、3位「不動産会社の営業職員、不動産販売店の窓口」でした。

検討者と購入者間における媒体利用率の違いが大きい順に見ると、検討者の利用率が高い媒体の1位は「ダイレクトメールなどの郵便物」、2位「不動産会社・ハウスメーカーの公式サイト」、3位「友人・知人からのクチコミ」、4位「新聞記事・新聞広告」、5位「新聞折込チラシ」でした【図3】。

一方、購入者の利用率が高かった媒体の1位は「不動産会社の営業職員、不動産販売店の窓口」、2位「その他」3位「専門サイトなどの記事」、同率4位で「物件検索情報サイト」「電車内や駅の交通広告」でした。

両者を比較すると、検討者はダイレクトメールやハウスメーカーの公式サイトなどでイメージを膨らませる情報を見ているのに対し、購入者は営業職員や窓口、専門サイトなどでの情報収集に進んでおり、決め手に近い情報に接触していたことがわかります。

購入者は検討者と比べ、「立地」や「治安」などの、家の機能にとどまらない生活に密着した項目を重視している。

続いて、不動産購入時における重視ポイントについて調査しました【図4】。

検討者、購入者共に1位は「価格」、2位「立地」、3位「配置(間取り)」、4位「日当たり」、5位「広さ」という結果でした。

購入者は検討者と比べ、「立地」や「治安」などの、家の機能にとどまらない生活に密着した項目を重視している。

続いて、不動産購入時における重視ポイントについて調査しました【図4】。

検討者、購入者共に1位は「価格」、2位「立地」、3位「配置(間取り)」、4位「日当たり」、5位「広さ」という結果でした。

検討者と購入者の重視ポイントの違いが大きい順に見てみると、検討者が重視する傾向が強いポイントの1位は「断熱性、気密性、遮音性」、2位「アフターサービス・アフターサポート」、3位「耐震性、耐火性」でした。購入まで至っていない検討者は、より家の機能性を重視する傾向が見て取れます。また、4位に「地価」がランクインしていることからオリンピックを意識していることとの関連性も見受けられます。

一方、購入者が重視する傾向が強かったポイントの1位は「立地」、2位「価格」3位「築年数」でした。実際に購入するにあたって、家の機能だけにとどまらず、「立地」や「治安」などの、生活に密着した項目をしっかりと確認している様子が見てとれます【図5】。

男性は「断熱性・気密性・遮音性」、女性は「治安」「築年数」「価格」を重視する傾向。

不動産購入検討時の重視点の中でも、性別によって重視するポイントが大きく異なるものを詳しく見てみました【図6】。

男性が重視する傾向が強いのは「断熱性・気密性・遮音性」、女性が重視する傾向が高いのは「治安」「築年数」「価格」ということがわかりました。
全体的に女性の方が重視する比率が高い項目が多く、不動産については女性の方が多くの項目を気にする様子がうかがえます。

不動産を”現在もしくは1年以内に購入することを検討している”ユーザーは不動産関連サイトを、”いつか購入したい”ユーザーは結婚・出産・子育て関連サイトをよく見ている。

続いて、アンケートで不動産を”現在もしくは1年以内に購入することを検討している”と回答したユーザーと、不動産を”いつか購入したい”と回答したユーザーにわけ、見ているサイトのランキングを作成しました。【図7】

不動産を”現在もしくは1年以内に購入することを検討している”ユーザーを対象としたランキングでは、上位の殆どを不動産関連サイトが占めており、どういう物件を購入するか、設備をどうするかなどの具体的な検討が進んでいる様子が見受けられます。また、マンション購入検討者のためのクチコミ・掲示板サイト「マンションコミュニティ」が1位にランクインしていることから、不動産購入を検討している人は、クチコミをかなり重視していることが見て取れます。

一方、不動産を”いつか購入したい”ユーザーは、結婚・出産・子育て関連のサイトを見ていることがわかりました。結婚したばかり、子供ができたばかり等ライフステージの変化を迎えたことが、不動産購入を検討するきっかけになっていると考えられます。

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


キャンプブームはコロナ禍を経て落ち着いたのか? 検索行動データやアンケート調査から市場を考察

キャンプブームはコロナ禍を経て落ち着いたのか? 検索行動データやアンケート調査から市場を考察

新型コロナウイルスの拡大の時期に、キャンプが注目を集め、一大トレンドになりました。日常を取り戻した現在、キャンプブームは下火になっているようにみえます。一方で、キャンプブームが収まったのではなく、人々の生活にキャンプが文化として根付いたという意見もあります。今回は、キャンプブームをデータで分析し、その変遷と現状について考察します。


【TVドラマランキング】医療系ドラマ「ブラックペアン シーズン2」や親子の愛がテーマの「海のはじまり」の視聴実態など

【TVドラマランキング】医療系ドラマ「ブラックペアン シーズン2」や親子の愛がテーマの「海のはじまり」の視聴実態など

近年動画配信サービスが普及し、時間や場所にとらわれず様々なジャンルの動画を手軽に視聴できるようになりました。テレビ離れが幅広い年代で囁かれている時代、話題になるテレビドラマとは、どのようなものなのでしょうか。今回は、2024年7月~9月に放送されたドラマについて、認知度や視聴方法、満足度、満足理由などをランキング化。その実態を探りました。


【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

【調査リリース】Z世代メンズの美容意識を調査 ミレニアル世代より10%以上高く70%以上が美容に関心

SNS上のバズやトレンドへの感度が高く、流行を生み出す世代として注目のZ世代。企業のライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めるためには、顧客ライフサイクルが長いと思われる若い世代の獲得は避けて通れません。そこで今回は、「メンズメイク」「メンズコスメ」への関心が高まっているという背景から、Z世代男性の美容に関する意識や購買行動を、ミレニアル世代と比較しながら調査。美容潜在層を顕在層にするために、どのような環境やきっかけが必要なのか、現役Z世代アナリストが分析しました。


【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

【調査リリース】2024年夏の旅行トレンド全国調査~海外旅行は早めの予約が人気、20代女性の旅行意欲の高まりが目立つ

インターネット行動ログ分析によるマーケティング調査・コンサルティングサービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸、以下「ヴァリューズ」)は、国内の20歳以上の男女45,818人を対象に、今夏の旅行予定に関する消費者アンケート調査を実施しました。またヴァリューズが保有する約250万人の独自消費者パネルを活用したインターネット行動ログ分析ツール「Dockpit(ドックピット)」を使用して、消費者の観光ニーズを分析しました。


【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

【調査リリース】4大SNSのヘビーユーザーを比較調査!X利用者はフォロー/シェア等での割引施策参加に積極的、 TikTok利用者は高価でも衝動買いの傾向

アプローチしたい顧客セグメントに到達するためには、コミュニケーション媒体として適切なSNSを選定し活用することが重要です。数多くの新興SNSも登場する中、どんなユーザーがどのSNSを選び、どのような購買活動をしているのか。今回は4大SNSとも言える、Facebook、Instagram、TikTok、X(旧Twitter)それぞれのヘビーユーザーの属性、購買動機や興味関心などのサイコグラフィック、メディアの利用状況や消費行動などを調査し、ユーザープロファイルを作成しました。


最新の投稿


デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

デビットカードは日本でも覇権を握るのか? 検索者の実態をクレジットカードと比較調査

即時払いで決済を行うデビットカード。キャッシュレス決済全体に占める割合はまだまだ低いものの、利用者や利用場面は着実に増加しており、成長の兆しを見せています。本稿では、そんなデビットカードの検討状況について、キャッシュレス決済カテゴリのマーケットリーダーであるクレジットカードと比較し、今後の市場動向を占います。


博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

博報堂DYMP、日本経済新聞社・東北新社と企業ブランディングのためのドキュメンタリー動画広告企画を開発

株式会社博報堂DYメディアパートナーズは、株式会社日本経済新聞社、株式会社東北新社とともに、ドキュメンタリー動画を制作・提供する広告企画「日経ブランドドキュメント」を開発したことを発表しました。


2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

2024年人気アニメを振り返る!ヒットを生む「勝ちパターン」とは?

コンテンツには事欠かない現代ですが、話題を呼ぶ人気作には、どのような「勝ちパターン」が存在するのでしょうか。2024年に放送された新規アニメ「薬屋のひとりごと」「逃げ上手の若君」「怪獣8号」「ダンジョン飯」に、11月に劇場版が公開された「進撃の巨人」を加えて、消費者の関心を調査しました。


2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

2024年トレンド総決算!6つのテーマのマーケティング調査で振り返る

マナミナでは、国内最大規模の消費者オンライン行動データを活用して、世の中のトレンドを調査しています。2024年もさまざまなトレンドを記事として取り上げてきました。今回は調査記事の総集編として、2024年のトレンドを振り返ります。


2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

2024年にあたらしく取り組んだSEO対策は"生成AI活用によるコンテンツ制作"が約5割!検索上位表示に向けたキーワード分析にも生成AIを活用【インフォネット調査】

株式会社インフォネットは、自社のSEOマーケティングに携わっているマーケティング担当者を対象に、【2024年版】企業のSEO対策トレンド実態調査を実施し、結果を公開しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ