カーシェアとは?
カーシェアとはカーシェアリングの略語で使いたい時に好きな時間だけ車を借りられるというサービスのことを指します。
レンタカーとは似ているように思われますが、違う点としては登録したらすぐに使える、ガソリン代を払う義務がない、細かい時間で借りることができるなどがあります。
2019年末からのコロナ禍で公共交通機関を避ける移動手段としてのニーズを満たして名前が知られるようになった印象がありますが、実は2000年代から事業を始めている会社が多くあります。例えばオリックス自動車。2002年4月に日本初のカーシェアリング会社を設立しています。
オリックス自動車の歴史より引用
そんなカーシェアですが、コロナウイルスが感染症法上の5類に分類された現在ではどのような状況になっているのでしょう。今回はそこを深堀していきます。
カーシェアリングの大手4社比較
まずはカーシェアリング事業で有名な4社(タイムズカー、トヨタシェア、オリックスカーシェア、カレコ)のそれぞれの特徴を見ながら比較していきます。
■タイムズカー
「タイムズカー」は株式会社タイムズモビリティが運営するサービスです。特徴はなんと言ってもステーションの数の多さ。他3社と圧倒的な差をつける約15000箇所で首都圏はもちろんのこと、全国各地でそのサービスを利用することができます。
タイムズカー公式ホームページより引用
■トヨタシェア
「トヨタシェア」は株式会社トヨタ自動車が運営するカーシェアリングサービスです。特徴は基本料金が0円である点。毎月決まって払う料金はなく、カーシェアを利用した時間分だけ払えば良いので気楽に登録することができますね。
タイムズカー公式ホームページより引用
■オリックスカーシェア
「オリックスカーシェア」は株式会社オリックス自動車によって運営されています。特徴は長時間料金の安さ。この4社のなかで6時間4280円と最安値を出しています(2023年10月末時点)。1日は使わないけど半日くらいは車を借りたいという人におすすめです。
オリックスカーシェア公式ホームページより引用
■カレコ
「カレコ」は株式会社三井不動産リアルティが運営元のサービスです。特徴は利用できる車の種類の多様さ。62種類のなかから好きな車を選ぶことができ、なんとマツダのロードスターやトヨタのハチロクまで乗ることができます。車好きだけれど、買うだけのお金がないという人におすすめですね。
カレコ公式ホームページより引用
■4社比較表
上記で述べた各社の特徴点を表にまとめてみました。料金の欄に関しては2023年10月末時点で最も安く利用できる値段で計算しています。またステーション数についてはこちらのサイトを参考にしました(https://www.carsharing360.com/market/quarter/)。
カーシェア4社比較表(筆者まとめ)
カーシェア大手4社のHPアクセス数を比較
ここからは大手4社の公式ホームページ訪問者について、毎月更新される行動データを用いて、手元のブラウザで競合サイト分析やトレンド調査を行えるヴァリューズのWeb行動ログ分析ツール「Dockpit」を用いて詳しく調査していきます。
■サイト訪問者はタイムズが最多
下のグラフは各社の公式ホームページに訪問した人の月次推移を表したものです。
各4社サイト:訪問者数月次推移
調査期間:2022年10月~2023年9月
デバイス:PC・スマートフォン
見てもらうと分かる通り、2023年9月現在タイムズカーの接触者が群を抜いて多くて、次にカレコ、オリックスカーシェア、トヨタシェアという順番になっています。なぜここまで差が出てしまうのでしょうか。
■知名度を決めるステーション数
タイムズカー公式ホームページによると、東京都にあるステーション数は約5100箇所だそうです。それを東京都の面積(約2200km)で割ると、2.31、つまり単純計算で1km圏内に2カ所以上あるということです。
もちろん東京都には山などの人が立ち入るのが困難な場所がありますので、実際にはもっと数字は増えるでしょう。とすると、街中を少し歩けばタイムズカーの駐車場を見かけることになります。このような状況から大きな差がついているのではないかと考えられます。
■男女比は各社とも7:3
男女比を見てみると各社揃って7:3で男性が多い結果になりました。
各4社サイト:訪問者男女比
調査期間:2022年10月~2023年9月
デバイス:PC・スマートフォン
■各年代で異なる結果に
さらに年齢層について見てみるとタイムズカーとオリックスカーシェアは他社に比べて20代の構成比が高く、カレコは30代、トヨタシェアは50代の構成比が高くなっていました。
各4社サイト:接触者男女比
調査期間:2022年10月~2023年9月
デバイス:PC・スマートフォン
アフターコロナでもなぜカーシェアは人気なのか?
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類になった今でも、カーシェアの人気は続いているのでしょうか。
ここからは最も公式ホームページへの訪問者が多かったタイムズカーを例にとって見ていきましょう。
■コロナが流行り始めてから人気はどうなったのか
下の二つのグラフはタイムズカー公式ホームページ訪問者数の推移を表したものです。上のグラフが2020年8月~2022年8月まで、下のグラフが2022年8月~2023年9月となっています。
タイムズカー:サイト訪問者数推移
調査期間:2020年8月~2022年8月
デバイス:PC・スマートフォン
タイムズカー:サイト訪問者数推移
調査期間:2022年8月~2023年9月
デバイス:PC・スマートフォン
日本国内でコロナウイルスが流行り始めて半年が経過した2020年8月から、訪問者数は多少前後するものの平均1000000人を維持しています。つまりコロナが2023年5月に5類感染症に分類され、以前よりも感染対策意識が低くなった今でも落ち込み見られません。これは人気が維持できていると言っていいでしょう。
■都会に住む人々や若者のニーズを満たす?
では、なぜカーシェアは人気を維持することができているのでしょうか。それは首都圏、特に東京都に住んでいる人々のニーズを満たすサービスだからなのではと考察します。
東京都は日本の首都であり、公共交通機関が発達しています。そのため地方と違って、車を買わなくても日常生活を不自由なく過ごすことができます。「たまに」車を使いたい人にカーシェアは最適なサービスと言えるでしょう。
さらに今の若者のニーズも満たしていると考えられます。この記事を書いている私もZ世代の若者ですが、同世代の人たちは車の運転を怖いと感じる人が多いように思います。実際に私も含め、周りの免許を持っている友人たちも同じような話題で盛り上がることがあります。
車を日常的に運転するのは気が引けるし、買うお金もない、でも「たまに」友人とのドライブにだけに使いたい、といったニーズを満たすカーシェアが重宝されるのでしょう。
以上のように考察すると「たまに〇〇に利用したい」という気持ちがカーシェア利用の主な動機ではないでしょうか。その「〇〇に」のシーンをどれだけ具体化して、消費者のニーズと的確にマッチさせ提示できるかが、カーシェアサービスのプロモーションにおいて重要な鍵になるのではないかと思われます。
まとめ
今回はコロナ禍を経て注目を集めているカーシェアリング業界について調べてみました。分かったことは、
①各4社にステーション数、料金体系、車種など独自の良い点がある
②公式ホームページの訪問者は圧倒的にタイムズカーが多い
③カーシェアの人気の秘訣は「たまに」を満たすサービス
でした。
Z世代の私の意見としては、カーシェアは駐車場などの管理が要らず、好きな時間だけ利用できるという観点でタイパ(タイムパフォーマンス)やスぺパ(スペースパフォーマンス)というニーズを満たす側面もあるので今後も順調に伸びていくのではないかと思います。今後の動きに注目です!
早稲田大学商学部1年生のハルです。愛知から上京してきて絶賛一人暮らし中。自炊にはまっています。現在マナミナにてインターン中。