「大曲」や「広島空港」が人気?国内旅行好きユーザーの関心キーワードを調査

「大曲」や「広島空港」が人気?国内旅行好きユーザーの関心キーワードを調査

「国内旅行好き」の人が興味を持っているのは何でしょうか。今回は「国内旅行好き」ユーザーのインサイトについて調べるため、株式会社ヴァリューズのアンケート調査で「国内旅行に興味がある」と答えたモニターのインターネット行動ログから、彼らが関心を寄せるキーワードを自然言語処理のWord2Vecを用いて分析しました(※行動ログの集計期間は2018年10月〜2019年3月の半年間)。 一体どんな調査結果が出たのでしょうか。早速見ていきましょう。


関心ワード1位は「大曲」、2位は「広島空港」

まず、国内旅行好きユーザーの関心キーワードを特徴値が大きい順でランキングにしました。次の図をご覧ください。

※特徴値とは、「国内旅行に興味がある」と答えたユーザーを全体ユーザーと比べたときに、興味度合いを示す値です。

国内旅行好きのユーザーが関心を寄せているワード1位は「大曲(おおまがり)」でした。四季を通じて花火大会が開催され、夏には「全国花火競技大会」、通称「大曲の花火」が開かれることで有名な場所です。

また2位には「広島空港」、3位には阪急交通社の国内海外ツアー商品のブランド「トラピックス」がランクイン。

阪急交通社の「大曲の花火」特集サイト。旅行代理店各社もこうした大曲特集を組んでいる。

4位のSPG(スターウッドプリファードゲスト)とは、「スターウッドホテル&リゾート」の会員制ポイントプログラムのことです。SPGはマイルへの交換率が非常に高く、飛行機に乗らずともマイルを貯めることができるのが魅力。こうした「陸マイラー」と呼ばれる人の人気を集めているようでした。

また、5位の「A380」はエアバス社の作る旅客機のこと。総2階建て・4発エンジンが備え付けられた世界最大の機体でしたが、同社は今年2月に生産中止を発表していました。これが国内旅行好きの関心を引いたようです。

地酒が好きな人は松茸も好き

次に、これらのワード間の関係性を示す「ワードネットワーク」を見てみましょう。

この図では、検索行動やコンテンツの分析結果から判明した「関連性の近い」ワード同士が結ばれています。

例えば、関心ワードランキング3位だった「トラピックス」は「ふっこう割」と近い関係性にあります。「ふっこう割」は被災地を支援するための国の補助金制度で、これを活用したツアーを各旅行会社が用意していました。このためワード同士の関係性が近いのでしょう。

このワードネットワークからはほかにも様々な示唆がありそうです。

例えばSPGとAMEXが近いのは、SPGがアメリカン・エキスプレスと提携したカード、通称「SPGアメックス」に関係していると想像されます。「SPGアメックス」をSPG対象のホテルで利用するとポイント還元率が高いなど、マイルを貯めたいユーザーのためのサービスを提供しているのがその理由でしょう。

またトップ10以外のワードでは、「地酒」と「松茸」が近い位置にあることも面白いです。
これが意味するのは、「地酒が好きなユーザーは松茸も好きな人が多い」ということでしょうか。確かにうなずけるような気もします。

「SPG」は男性、「鬼怒川」は若めのユーザーが興味あり

次は、それぞれのワードに関心を持つ人を性別・年代で分類してみましょう。

この図では縦軸に平均年齢を、横軸に平均性別を取り、ワードごとにプロットしました。上にプロットされるほど、そのワードに興味を持つ人の年齢が高く、左にプロットされるほど男性割合が多いことになります。では、図を見ていきましょう。

まず特徴的なのは「トラピックス」の位置です。ずば抜けて上の方にプロットされており、平均年齢が高いことがうかがえます。ツアーを活用するのはやはり、年代が上のユーザーが多いのでしょう。

また緑色のプロットである、SPGやAMEXなど「陸マイラー」関連ワードや、「A380」や「JETSTAR」といった飛行機に関するワードは、図の左側に多く位置しています。このことは、主に男性がこれらのワードに興味を持っていることを示しています。

「国内旅行好き」が関心を示すスポット(赤色の点)の中で、もっとも平均年齢が若かったのは「鬼怒川」でした。鬼怒川は比較的若い層にも人気の観光スポットであると言えるのではないでしょうか。
とはいえ、そのプロット位置は平均年齢が48〜49歳のあたりとなっており、国内旅行好きユーザーの割合はそもそも年齢が高めの人が多いといえるでしょう。

SEOの狙い目ワードは「アドベンチャーワールド」

最後に、ワードの競合性をマッピングしました。

この図は縦軸にGoogle検索ボリューム、横軸に競合性を取っています(データはGoogleのキーワードプランナーから取得)。上にプロットされるほどボリュームが多く、右にプロットされるほど検索ワードのリスティング広告での競合性が高いことを意味します。

ここで「検索ボリュームは多いが競合性が低いワード」、つまりグラフの左上あたりにプロットされたワードのSEO対策をすれば、コンテンツの検索順位向上に寄与する可能性が高いことになるわけです。
では実際に図を見てみましょう。

これらのワードの中でもっともSEO対策に効き目がありそうなのは「アドベンチャーワールド」だと思われます。競合性も5〜7%あたり、検索ボリュームも多い位置にプロットされていました。

和歌山県 南紀白浜にある動物園、水族館、遊園地が一体になったテーマパーク「アドベンチャーワールド」

パンダといえば東京の上野動物園の「シャンシャン」が話題になりましたが、「アドベンチャーワールド」でもパンダの家族を見ることができます。こうした背景から、「アドベンチャーワールド」は密かに人気となっている観光スポットなのではないでしょうか。

また、その他の狙い目ワードとしては「館山」や「奥多摩」、「大曲」なども挙げられるでしょう。

まとめ

今回は「国内旅行好き」ユーザーの関心キーワードを調べました。

「国内旅行好き」ユーザーが、2018年10月〜2019年3月の期間にもっとも興味を持っていたワードは「大曲」でした。そのユーザー層としては比較的に高年齢層が多く、リスティング広告としては「アドベンチャーワールド」といったワードが効果を発揮する可能性が示唆されました。

本調査結果を今後のマーケティング施策に役立ててみてください。

【調査概要】
・全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報にもとづき分析
・行動ログ分析対象期間:2018年10月〜2019年3月の検索流入データ
※アンケートはインターネットを利用し興味関心項目をアンケートで聴取
※ボリュームはヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測
※対象デバイス:PC・スマートフォンの両デバイス

この記事のライター

マナミナ編集部でデスクを担当しています。新卒でメディア系企業に入社後、フリーランスの編集者・ライターとして独立。マナミナでは主にデータを活用した取り組み事例の取材記事を執筆しています。

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