ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:辻本 秀幸)は、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービスeMark+を使用し、「スターバックス コーヒー ジャパン」サイトの利用者動向について分析、調査しました。
分析概要
全国のモニター会員の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービスeMark+を使用し、2018年2月~2019年1月の期間に「スターバックス コーヒー ジャパン」のサイトを利用したネットユーザーの行動を分析しました。
※ユーザー数はヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
考察サマリ
■スターバックスサイトには月間500万人以上のユーザーが訪問
「スタバ」の愛称で多くの人々に親しまれている、最大手コーヒーチェーンのスターバックス。季節限定の新作を出したり、出店する街の雰囲気に合わせた店舗づくりを行ったりなど、そのブランディング手法はマーケターの注目の的となっています。中でも特徴的と言われているのが、スターバックスは広告出稿をほとんどせずにマーケティングを行っていること。今回「スターバックス コーヒー ジャパン」のサイトを調査してみると、広告を出さなくとも安定的な流入を獲得している様子がうかがえました。なぜユーザーはスタバのサイトを訪れるのでしょうか?その裏には、web上でもユーザーに体験を提供するスタバのオムニチャネル戦略がありました。
まずスターバックスサイトの月ごとのユーザー数から確認していきます【図1】。
「eMark+」のSite Analyzerによれば、ユーザー数は月間500万~600万の間で推移していました。
【図1】スターバックスサイト ユーザー数推移(PC・SP合算)
■スタバサイトユーザーは女性6割、若年層が過半数
次に、どのような人がスタバサイトを訪問する「ファン層」なのかを調べてみました。
性別を見てみると【図2】、女性が6割を占めていることが分かります。季節ごとのスタバの新作をインスタグラムに投稿する女性像を考えれば、女性割合が男性よりも多いことはイメージと合致します。
【図2】スターバックスサイト ユーザー属性(性別)
(※2018年2月〜2019年1月)
また、年代別のデータからは【図3】、20代と30代のユーザーが半数以上を占めていることが読み取れました。とはいえ50代以上のユーザーも20%ほどを占め、幅広い年代層にファンを獲得している、スタバのブランド力の強さが推しはかれます。
【図3】スターバックスサイト ユーザー属性(年代別)
(※2018年2月〜2019年1月)
■「Starbucks Rewards」ポイント施策でユーザーが来訪
ではユーザーがスタバサイトを訪問する目的は何でしょうか。「eMark+」のSite Analyzerではサイト内でのコンテンツランキングを調べることができます。そこでまず、PCデバイスでのランキングを見てみました【図4】。
【図4】PCデバイスでのコンテンツランキング(2018年8月~2019年1月)
訪問ユーザー数1位はトップページで、2位と3位に「ログインページ」と「マイページ」がそれぞれランクインしています。スタバサイトを訪れ、マイページにログインするユーザー像が浮かび上がりました。
スターバックス会員は「Starbucks Rewards」というポイント制度が利用できます。これはWeb登録済みのスターバックスカード(プリペイドカード)で支払いごとにStar(ポイント)が集まるという制度。これを利用するため、ユーザーはスタバサイトを訪問していると考えられるでしょう。
しかし、ただポイント制度を作っただけでユーザーは集まりません。ユーザーの心を掴むにはコンテンツが必要です。ユーザーを惹きつけるためのコンテンツについては、スマートフォンでのコンテンツランキングを調べることでその一端がうかがえました【図5】。
【図5】スマートフォンでのコンテンツランキング(2018年8月~2019年1月)
スマートフォンでのランキングには4位と5位に「福袋」や「先行告知」の情報ページがランクインしています。
「先行告知」ページではスタバの新作の先行告知を行っており、会員でなければ見られない設計になっていました。つまり、毎回ユーザーが楽しみにしている「福袋」や「季節限定の新作」といったコンテンツを発信することによりユーザーを集め、ポイント制度によってロイヤリティを高めるのがスタバのオムニチャネル戦略と言えるでしょう。
今回の調査から、スタバのオムニチャネル戦略であるポイント制度「Starbucks Rewards」を利用するため、多くの人がスタバサイトを訪問していることが分かりました。それを支えているのは、「福袋」や「季節限定の新作」といったスタバのコンテンツである構造が読み取れます。このように、改めて他社の取り組みを見直すことの中に、マーケティングのヒントが詰まっているのかもしれません。
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