CtoCハンドメイドEC市場、勢い止まらず。minne、CreemaはショッピングアプリTop50にランクイン

CtoCハンドメイドEC市場、勢い止まらず。minne、CreemaはショッピングアプリTop50にランクイン

ハンドメイド作家を目指す人も急増中。売るも買うも人気のハンドメイド市場。「minne(ミンネ)」「Creema(クリーマ)」「ココナラ」それぞれの強みとは。ユーザー数や属性を調査し、各サービス の特徴を考察しました。


市場の拡大が期待されるハンドメイドEC市場

「minne(ミンネ)」「Creema(クリーマ)」等に代表されるハンドメイド市場が、着実に勢いを伸ばしてきています。従来のフリマサイトとは異なり、手作りに価値を見出すユーザーと、自作のアイテムを売り出したい作り手とのニーズが合致し、その手軽さも相まって身近な市場になりつつあるハンドメイド市場。その動向について行動ログ分析ツールeMark+のSite Analyzerを用いて分析を行いました。

まず2019年7月のショッピング関連メディアにおけるスマートフォン(SP)でのアプリランキングを調べました。CtoCのハンドメイド作品の販売アプリで上位50位以内にランクインしたのは「minne」「Creema」の2つでした。

トップ10位以内には「メルカリ」や「ヤフオク!」、「ラクマ」等フリマアプリが3つランクインしており、現状ではハンドメイド市場よりもより幅広い商材を扱うフリーマーケット市場の方が依然として人気が高いことがうかがえます【図1】。

【図1】2019年7月のアプリランキング(Google Playカテゴリ:ショッピング)

【図1】2019年7月のアプリランキング(Google Playカテゴリ:ショッピング)

根強い人気を誇る「minne」「Creema」、幅広いユーザー層をカバーし伸びを見せる「ココナラ」

次に、国内外の主要ハンドメイドサービス5つをピックアップし、2018年8月~2019年7月の1年間における各Webサイトのユーザー数推移について、 詳しく調べてみました【図2】。

【調査対象】
・minne(ミンネ)
https://minne.com/
GMOペパボ株式会社が運営。手作り・クラフト雑貨などの販売・購入が楽しめる国内最大級のハンドメイド通販サイト 。

・Creema(クリーマ)
https://www.creema.jp
株式会社クリーマが運営。クオリティの高い作品が多く、minneと並んで知名度の高いハンドメイド通販サイト。

・ココナラ
https://coconala.com
株式会社ココナラが運営。「得意を売り買いココナラ」というCMの通り、経験・知識・スキル等各自の得意を売り買いできるオンラインフリーマーケット。

・Etsy(エッツィ)
https://www.etsy.com/jp/
Etsy Inc.が運営するグローバルなハンドメイド通販サイト。ビンテージ品も扱っている。

・iichi(いいち)
https://www.iichi.com
Pinkoi Japan株式会社が運営。小規模ながら素材からこだわったクオリティの高い作品が多い。

「minne」、「Creema」のユーザー数は、ほぼ同水準のまま横ばいとなっており、近頃CMを目にする機会の増えた「ココナラ」が徐々にユーザー数を伸ばしています。

ココナラは先のアプリランキングでは惜しくも上位50位以内にはランクインしていませんでしたが、2019年7月時点のユーザー数は前年の8月に比べて約20%増と着実に知名度を上げてきているサイトです。 経験・知識・スキルの売り買いができることから、形のある作品だけではなく、占いや恋愛相談といった商材も扱っていることが大きな特徴です。

【図2】ユーザー数推移(PC・SP合算)

【図2】ユーザー数推移(PC・SP合算)

また、性別ごとのユーザー数の割合をみてみると、「minne」「Creema」「iichi」は約7割が女性、「Etsy」も約6割が女性なのに対し、ココナラのみ男女比率がほぼ同率となっていました。

【図3】ユーザー属性(性別)

【図3】ユーザー属性(性別)

さらに年齢別にみてみると20代のユーザーの割合が一番多いのは約3割を占める「ココナラ」となっています【図4】。その他の年代については大きな差はみられませんが、30代以下の割合をみると、「ココナラ」が他4つのサイトに比べ大きな割合を占めていることがわかります。

【図4】ユーザー属性(年代別)

【図4】ユーザー属性(年代別)

ココナラは、様々なスキルを活かしたいと考えている若い世代に大きな支持を得ているようです。

そこで、ココナラのコンテンツ閲覧者数から人気のカテゴリを調べてみました 。【図 5】

【図5】ココナラの人気カテゴリ(2019年2月~7月)

【図5】ココナラの人気カテゴリ(2019年2月~7月)

最も閲覧者数の多かったイラスト作成のページでは、様々なタッチのイラストが1,000円~販売されています。登録されているイラストレーターの中から自身の要望にあった書き手を探し、オリジナルのイラストを発注できます。挿絵やホームページ、パンフレットなど使い道は多岐に渡ります。

2位のイラスト・似顔絵・漫画のページは1位のイラスト作成に限らず、アイコン作成や似顔絵作成など、幅広いコンテンツを選択できます。また、作品だけではなく、イラストの添削や漫画の講評など、アドバイスを買うこともできます。3位のロゴ作成・デザインはデザインカテゴリの中にあるコンテンツの1つです。ホームページや名刺に載せる会社のロゴなど、ビジネスシーンでの利用が多いようです。1位~5位の中で4つがデザイン系のカテゴリであることから、ココナラの中でも特にニーズが高い分野であることがうかがえます。

また、4位にランクインした占いで特徴的なのは、1分100円~の電話相談です。電話番号を知られずに通話が可能で、気軽に利用できるように整備されているようです。そのほかにもタロット占いや占星術、手相占いなど定番の占いコンテンツも揃っています。

近年、アジアを中心に海外でもハンドメイド市場の人気が高まり、「minne」「Creema」では国内外の需要に応える形で海外との取引も可能となりました。今後も日本国内のみならず、従来のハンドメイドの枠にとらわれない様々な商材が生まれ、ハンドメイド市場はさらなる盛り上がりを見せるのではないでしょうか。

分析概要

全国のモニター会員(20代以上)の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2018年8月~2019年7月におけるユーザーの行動を分析しました。
※ユーザー数はPC・スマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
※アプリユーザー数は、Androidスマートフォンでの起動を集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測

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