MaaSの基礎知識
MaaSは「Mobility as a Service」の略で、多種多様な移動ニーズに応えるために情報・予約・決済を統合した移動/輸送サービスのことを指します。
MaaSとは?高齢化が進む日本で発展が期待される移動・物流・輸送の概念
https://manamina.valuesccg.com/articles/729MaaSは、最近登場した移動・物流・輸送についての新たな概念です。もともとフィンランドで生まれ、日本でも最近注目を集めています。この記事では、MaaSの定義や注目されている背景、具体的なサービス事例を解説します。
■世界のMaaS事例
■フィンランドのMaaS事例:Whim(ウィム)
「Whim」は2015年、フィンランドのMaaS Global 社が開発したアプリで、Whimを起動させて目的地を入力すると、そこまでの経路と最適な移動手段を案内します。クレジットカード番号を登録しておけば、提案された移動手段の予約から決済までをアプリ上で完結させられます。
Whimユーザーの交通手段の傾向が自家用車から公共交通機関利用の割合が増え(48%→74%)、自家用車の割合が減少(40%→20%)しているそうです。このように、WhimというMaaSの広がりによって、交通の利用方法に変化が起きています。
日本でもMaaS Global社が三井不動産と連携し、千葉県柏市・柏の葉でWhimのサービスが2020年から始まります。
モビリティ革命「MaaS(Mobility as a Service)」の実像に迫る特集の2回目。MaaSという概念が生まれた地、フィンランドに飛んだ。世界が注目するベンチャー、MaaSグローバルが展開するモビリティサービスの統合スマホアプリ「Whim(ウィム)」は、どこまで移動を便利なものに変えてくれるのか。また、Whimのような統合サービスの土台となり、官民学連携でオープンデータとオープンAPIを実現するフィンランドの仕組みづくりを解き明かす。
■ドイツのMaaS事例:Qixxit(キクシット)
2013年、ドイツ鉄道がリリースしたMaaSアプリが「Qixxit」です。経路検索と予約、決済までをワンストップでおこなえる点は前述の「Whim」と同じですが、ヨーロッパ大陸に位置するドイツは複数の国をまたいで移動するユーザーが多いため、陸路だけに限らず飛行機での移動=空路に対応していることが特徴です。
ドイツ鉄道関連の事業者以外との連携もすすめ、ユーザーの利便性を向上させていることでMaaSの先進事例として注目を集めています。
Qixxit - Book your train, bus and flight tickets
https://www.qixxit.com/en/Qixxit does more than simply show you various transportation options and compare prices: It combines trips by train, plane and long-distance bus into one itinerary and determines the best possible route for you. Qixxit is your trip planner.
■中国のMaaS事例:滴滴出行(ディーディーチューシン)
日本では馴染みのうすい「ライドシェア」サービスを提供する滴滴出行(ディーディーチューシン)。アプリ『滴滴出行-DiDi』に乗車場所と目的地を入力すると、その付近を走行している登録ドライバーが迎えにきてくれます。決済方法は中国で普及している「Alipay(アリペイ)」もしくは「WeChatPay(ウィーチャットペイ)」で完了します。
滴滴出行は元々ライドシェアサービスだけでしたが、2018年からは公共交通機関、シェアサイクル(自転車)など、複数の候補を表示する機能も追加され、本格的なMaaSサービスへと発展しています。
なお、日本では2018年、ソフトバンクが滴滴出行と提携し、アプリ(DiDi)を使って簡単にタクシー配車ができるほか、アプリ内で決済を完了させられるサービスを開始しています。
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DiDiで今までにない移動体験を | DiDiモビリティジャパン株式会社
https://didimobility.co.jp/はじめましてDiDi(ディディ)です。タクシー配車プラットフォームとして、タクシーに「乗りたい」と「乗せたい」をアプリでマッチングするサービスを提供しています。
■アメリカのMaaS事例:Waymo One(ウェイモ ワン)
2018年、アメリカ・アリゾナ州フェニックスにてWaymoが開始した配車サービスが「Waymo One」です。現状では、アシストドライバーが同乗しますが、Waymo Oneは自動運転タクシー=ロボタクシーです。アプリ(Waymo)で乗車場所と目的地を入力すると、所要時間と料金の概算が表示され、問題なければ迎車が来るシステムになっています。
滴滴出行と同様のライドシェアサービスですが、Waymo Oneは自動運転サービスである点が大きな違いです。それを実現したのは、実走行とシミュレーション走行、両方の膨大な走行データ。今後、さらに蓄積される走行データによって、アリゾナ州フェニックス以外の場所でも自動運転サービスが広がる予定です。
Waymo—formerly the Google self-driving car project—stands for a new way forward in mobility. Our mission is to make it safe and easy for people and things to move around.
日本におけるMaaSの事例
■カーシェアの「タイムズカーシェア」
全国に展開するコインパーキング「タイムズ24」が提供するカーシェアサービス「タイムズカーシェア」は、パソコンやスマホから車を借りられるカーシェアサービスとして普及しています。
こうしたカーシェアサービスのほかに、鉄道の利用促進と利便性向上を促進する取り組みとして「レール&カーシェア」というサービスも提供しています。こちらは交通系ICカードでシェアする車のドアロック解除や料金優待を受けられるといったサービスです。
このほか、レンタカーとカーシェアのメリットを組み合わせた「タイムズカー」というサービスも開始しています。
■自転車の「ドコモ・バイクシェア」
「ドコモ・バイクシェア」は、NTTドコモグループのドコモ・バイクシェア社が提供する自転車のシェアリングサービスです。シェアされる自転車は電動アシスト付、ICカード(おサイフケータイ)対応で、域内のサイクルポートであればどこでも返却できます。
「ドコモ・バイクシェア」は都内の多くの区で導入され、最近はUber Eatsの配達員のインフラとしても活用されています。また、今後については2020年の東京五輪を見据えた事業展開、インバウンドの旅行者へのサービス拡大などが計画されています。
株式会社ドコモ・バイクシェアは、コミュニティサイクルサービスを通じて、環境保全や地域活性化に寄与しています。
まとめ
MaaSのひろがりに欠かせないのは、スマホの普及です。これにより、さまざまなサービスをワンストップでおこなえるようになりました。そのほか、地球環境への配慮という面も見逃せません。こうしたサービスの普及により、移動に関する意識が変わっていることも重要視すべき点です。
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