「家電は買うだけじゃない」…人気急上昇中のカメラと最新家電のレンタルサービス『Rentio』を調査

「家電は買うだけじゃない」…人気急上昇中のカメラと最新家電のレンタルサービス『Rentio』を調査

カメラ・家電を中心に常時1500種類以上のレンタル商品を展開する「Rentio」(以下、レンティオ)。高額な家電をどんな敏腕家電販売員にすすめられても、やはり使ってみないとわからない。そんな家電購入選びの迷いを打ち消すかのようなレンティオの「レンタル」サービス。ひとくちに家電と言っても、カメラから育児用品までと幅広く、レンタル期間も短期から長期、買い取りまでと様々。はたして急増している利用者はどんな人物像なのか、レンティオのサービスも含めて調査しました。


「レンティオ」ってどんなサービス?

レンティオとは?

日本のシェアリングエコノミー市場は拡大を続け、2021年までに約1,071億円まで拡大すると予測されています。

そのような中、2015年にレンタル事業を創業して以来、購入を考えもしなかった製品や、価格的に購入には手の届かなかった製品をレンタルすることで、順調に利用者を増やしている「レンティオ」。その規模は2016年からの累計レンタル注文数19万件を突破する勢い。まさにうなぎ登りと言ってもいいでしょう。

Rentio[レンティオ] - カメラと最新家電のレンタルサービス 必要な間だけ買わずに使えて、気に入れば返さず購入もできます

https://www.rentio.jp/

1,000種類の家電、カメラ、ベビー用品が買わずにいつでも使える!気に入れば返さずに購入も!テレビCMも話題のレンタルサービスRentio。数日間のお試しから月額制の長期利用まで、必要な間だけ自分のものに。全国送料無料で最短翌日お届け、誰でも今すぐ注文できます

さらにその勢いに拍車をかけるかのように、2020年3月には10億円の増資も発表。調達資金に関しては、人材強化、在庫拡充やマーケティングへの投資、物流面のアップグレードを進めていく見込みとのことです。

さてそんなレンティオは、『不要な「所有」を減らし、価値ある「体験」を増やしたい』というミッションのもと、以下の2つのサービスが基本となっています。

①家電やカメラを気軽にレンタルできるサービス「Rentio」
②最新家電とともに過ごすライフスタイルを提案する情報サイト「Rentio PRESS」

次からそれぞれ詳しく見ていきましょう。

具体的にはどんなものが借りられる?

レンティオでは、一眼レフカメラ、掃除ロボット、高圧洗浄機、キッチン家電、ドローン、ベビーカー、寝具といった製品、製造元はソニーやシャープなどの大手メーカーから、iRobotやAnker(アンカー)などの新興メーカーまで実に1500種類以上を取り扱っており、それら製品の約2万点を在庫保有し、毎月1万3000〜4000件の商品を貸し出しているそう。

レンタル費用の一例としては、例えば5万円以上するキッチン家電や、更に高価格帯の一眼レフカメラを月額数千〜7000円程度でレンタルすることができます。

図:主なサービスプラン

レンタルの形態としては、基本の3泊4日の短期レンタルに加えて、月額制の長期レンタルの他、ユニークなのが「もらえるレンタル」。これは一定期間使用し続けると商品が手に入るというサービスです。
実際レンタルして良かったから、一旦返却して、店舗やネットなどで新品を買い直す…といった、手間と資金が抑えられる嬉しいサービスですね。

またこの他、月額1,200円〜で人気のロボット掃除機「ルンバ」を借りられるというサブスクサービスもiRobot社と共同展開中です。

Robot Smart Plan 月々1,200円からのサブスクプラン

https://www.irobot-jp.com/robotsmartplan/

月々のお支払いでお手軽にお掃除をロボットにおまかせ。3年間無償保証、13か月目から解約可能などしっかりサポートで安心してお使いいただけます。

借りる方法もいたって簡単。どのサービスもネットで申し込み可能。最短で翌日には手元に届きます。あとは利用が終わったら送付時のキットを再利用して返送するだけと実にシンプルかつ便利です。

図:1日単位の場合のアイテムのレンタル方法

「Rentio PRESS」ではどんなコンテンツが人気?

また、前述した②最新家電とともに過ごすライフスタイルを提案する情報サイト「Rentio PRESS」というサイトも、家電選びからカメラレンズの詳しい話題まで多岐にわたる情報が掲載されており、人気のサイトとなっているようです。

Rentioによるカメラ・家電の徹底解説サイト
「Rentio PRESS」

例えば、どんなページが閲覧されているのか、サイト分析ツール「eMark+」のデータでコンテンツランキングを調べてみました。こちらは2020年2月のレンティオのサイト内コンテンツランキングです。

 図:「www.rentio.jp」コンテンツランキング

期間:2020年2月
デバイス:PC

さすが人気のカメラ情報が満載ですね。加えてこちらも根強い人気のロボット掃除機の製品比較記事などが上位にランキングされています。さらにユーザーにとって魅力的と言えるのは、製品機能の紹介だけでなく、製品の使い方などのコンテンツも充実しているところのようです。

例えば、5位にランキングされている「ホワイトバランスと色味を知ろう!設定1つでこんなにも変わる撮影テクニックを解説」などは、カメラ初心者やもっと上達したいユーザーのちょっとした疑問にも答え、テクニックの紹介も数多く掲載されています。

これからレンタルを考えるユーザーにとっても、既にレンタルしているユーザーにとっても、興味深いコンテンツがまとめられているサイトと言えるでしょう。

レンティオのユーザー層を調査

それではどんなユーザーがレンティオを利用しているのか、「eMark+」のデータをもとに探ってみましょう。

①ユーザー数推移

2019年3月から2020年2月までのユーザー数推移です。
ゴールデンウィークや夏休み、年末年始と、休暇やイベントを連想させる時期に盛り上がりを見せながら、約1.8倍の右肩上がりに推移しています。

図:サイトUU数推移

図:サイトUU数推移

期間:2019年3月〜2020年2月
デバイス:PC、スマートフォン

②性別構成比

男性が65.9%と多数を占めています。生活必需品というよりも、趣味に利用する家電をレンタルされているのではないかと連想できます。

図:性別構成比

図:性別構成比

期間:2019年3月〜2020年2月
デバイス:PC、スマートフォン

②年代別構成比

20代〜40代が大半を占める結果となりました。趣味、育児などのライフイベントが多い年代とも取れますし、また「購入よりレンタル」という概念が、これらの年代の方により受け入れられており、身近にあるとも言えそうです。

図:年代別構成比

図:年代別構成比

期間:2019年3月〜2020年2月
デバイス:PC、スマートフォン

上記3項目の属性別データを総合的にみると、ユーザーは男性が多く、趣味(おそらくカメラやデジタル機器)に利用する家電をお試しレンタルしているのではという大まかなユーザー像が浮かびます。

アンケートでユーザー像をさらに調査

マナミナを運営する株式会社ヴァリューズのアンケート×ネット行動ログに基づく調査から、さらにユーザー像に近づいてみましょう。調査対象は2019年1月~12月の間に、レンティオのサイトに1回でも接触した人で、2019年12月のネット行動データを抽出し分析したものです。

20代〜30代の若年層男性の利用が目立つ

まず、前項でも調べた属性別データを詳しく見てみましょう。
やはり20代〜30代の若年層男性の利用が目立つようです。職業としては、学生も比較的多く含まれるという点から、イベントでの利用、または家電の購入コストを下げたいといった動機もうかがえますね。

図:ユーザー属性 性年代別

図:ユーザー属性 性年代別

図:ユーザー属性 職業別

図:ユーザー属性 職業別

趣味に多く支出している傾向が

日常でどのような項目に多く支出しているのか、毎月の支出状況も見てみましょう。Rentioユーザーの特徴として挙げられるのは、「海外旅行」「国内旅行」「外食」。趣味に多く支出しているのがわかります。

 図:1か月あたりの平均支出

図:1か月あたりの平均支出

「カメラ・家電」に興味関心が強い

さらに、どういったことに関心を強く持っているのか分布図で見てみます。
高額な家電レンタルに興味があるだけあって、「カメラ」「スマートフォン」「デジタル機器」が特出しています。「マネー、投資」という項目も気になります。自身のライフスタイルにおいて、快適さや便利さ趣味を満喫し、経済的にも物質的にも豊さを求める傾向が強いのではと連想されます。

図:興味関心 分布図

図:興味関心 分布図

新情報はSNS経由で収集

このようなユーザーはどのようにして、情報を得ているのでしょうか。下記のグラフを見ると、「SNS」「ネットの書き込み」が多く、ネット利用者が多いのではと推測されます。別のアンケートでも、1日を通じてネットアクティブであるとの結果が出ていました。比較的デジタルツールに精通している人物像とイメージできます。

図:新情報の入手先

図:新情報の入手先

Amazonでは何をよく見ている?

先のアンケート結果で、“ネットアクティブ”、“デジタルツールに精通”というユーザー像が見えてきました。その延長で調査した「実際にどのようなアプリを利用しているか?」という行動ログ分析では、「Twitter」「Amazon」「Instagram」が特徴値上位という結果が。

では、この中の一例「Amazon」で、どんなジャンルの商品をよく見ているのか分布図を出してみると、「ホーム&キッチン」「家電&カメラ」をよく見に行っているようです。レンティオでレンタルできる製品の情報、実際の販売価格などを検索しているとも考えられますね。

図:Amazonで何をよくみているか?

図:Amazonで何をよくみているか?

※これら調査結果は一部です。ヴァリューズではさらに細かく調査したアンケート×行動ログ分析データを用意しております。ご興味ある方はぜひお問い合わせください。

まとめ

急速な成長を見せるレンティオ 。高額な家電購入のハードルを下げるだけでなく、デジタル社会に生きる現代人にマッチした、ネットひとつで自宅で商品のやり取りもできるといった利便性の高いサービス形態も人気を後押しする要因の一つと感じました。そして、シェアリングエコノミーも成長している今、ビジネスモデルも的確にニーズに応えていると言えるでしょう。

今や家電までもシェアリング、サブスクリプションとなると、「所有」するという意味はどのような価値をもつのか、現代の価値観の変貌も気になるところです。このレンティオのサービスがこの先どれほど定着し拡大していくのか、さらに注目です。

分析概要

全国のモニター会員(20代以上)の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年1月~2020年2月におけるユーザーの行動を分析しました。
※Webサイトのユーザー数はPC及びスマートフォンからのアクセスを集計し、ヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

関連記事

ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ヤマダ電機...家電量販店サイトを比較調査!

https://manamina.valuesccg.com/articles/796

AmazonなどECモールを活用したメーカー直販が台頭する中、大手家電量販店は脱家電に舵をきりはじめ、例えばヤマダ電機が家具メーカーの大塚家具と組んで住宅産業に進出したり、ビックカメラが薬や日用品、自転車などの異業種マーケットに挑戦したりと、各社それぞれ戦略を打ち出しています。そこで今回は、大手家電量販店5社の公式サイトを比較し、ユーザーの利用実態や集客などについて分析しました。

食品ロス解決アプリのMAUは1年で約1.9倍。SDGsで追い風が吹くフードシェア系サービスを比較調査

https://manamina.valuesccg.com/articles/817

食品ロスを減らすための法律「食品ロス削減推進法」が2019年10月に施行され、SDGsの目標のひとつとしても掲げられている食品ロス問題。自治体主体の取り組みが広がる一方、食品ロス削減に役立つサービスも増えてきています。それらのサービスは、どこまで浸透し、どのような層に利用されているのでしょうか?本稿では「食品ロス削減」サービスを調査しました。

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

マナミナは" まなべるみんなのデータマーケティング・マガジン "。
市場の動向や消費者の気持ちをデータを調査して伝えます。

編集部は、メディア出身者やデータ分析プロジェクト経験者、マーケティングコンサルタント、広告代理店出身者まで、様々なバックグラウンドのメンバーが集まりました。イメージは「仲の良いパートナー会社の人」。難しいことも簡単に、「みんながまなべる」メディアをめざして、日々情報を発信しています。

関連する投稿


Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Marketing strategy of three Chinese & Taiwanese home appliance manufacturers: HUAWEI, Xiaomi, & ASUS

Chinese and Taiwanese manufacturers have been growing their market share and number of users, and they are expected to compete with Japanese companies. We will analyze the current sales trends of HUAWEI, Xiaomi, and ASUS in Japan and predict their future while comparing with Japanese brands.


海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

海外家電メーカーのマーケティング戦略は?中華圏メーカーHUAWEI、Xiaomi、ASUSの3社を調査

近年、世界で着実にシェアを伸ばしつつある中華圏メーカー。日本においてもその製品の利用者は増加しており、日本企業と競合していくことが予想されます。そこで今回は日本にも進出している代表的な3つの中華圏メーカー、HUAWEI、Xiaomi、ASUSについて、日本における現時点での販売動向を分析し、国産ブランドとも比較しながら3社の今後を占っていきます。


検討者急増!今大注目の冷凍宅配弁当サービス「nosh(ナッシュ)」とは?新生活前に業界動向を調査

検討者急増!今大注目の冷凍宅配弁当サービス「nosh(ナッシュ)」とは?新生活前に業界動向を調査

コロナ禍によるリモートワークの普及は、家で食事したいという新たな需要を生み出し、それに応えるようにUber Eatsをはじめとした様々なサービスが生まれました。そんな中、安くて健康的であるとして注目されているのが冷凍宅配弁当サービスです。今回は、3月という新生活を目前に控えた今、改めてnoshを中心に宅食サービスの動向を分析します。


コロナ禍を乗り越えても人気継続?カーシェア大手4社のアクセス数を分析

コロナ禍を乗り越えても人気継続?カーシェア大手4社のアクセス数を分析

好きな時に好きな時間だけ借りられるという便利なシステムのカーシェア。コロナ禍では公共交通機関を避ける移動手段として注目が集まりました。しかし、コロナウイルスが5類に分類された今でも人気なのでしょうか。カーシェア大手4社(タイムズカー、トヨタシェア、オリックスカーシェア、カレコ)のWebサイトへのアクセス数を分析し、その疑問に迫っていきます。


サブスク最前線 〜30代はおもちゃ、40代以上はホテルなど、年代によって異なるニーズとは?

サブスク最前線 〜30代はおもちゃ、40代以上はホテルなど、年代によって異なるニーズとは?

音楽や動画配信などで注目を集めているサブスクリプション(通称サブスク)。年代やライフスタイルによって、求めているサービスがどのように異なるのか、その実態を調査してみました。


最新の投稿


Increasing popularity among men? Investigating the needs for “sunscreen”! Latest Edition [2024]

Increasing popularity among men? Investigating the needs for “sunscreen”! Latest Edition [2024]

As men's cosmetics receive increasing attention, what are the consumer needs for sunscreen? Also, does the quality of sunscreen differ depending on the season, with summer and winter? We will analyze changes in needs and consumer psychology for sunscreen based on the behaviors during the consideration stages.


生成AIの時代におけるWEBライティング業界の健全な発展及び進化を実現する「日本AIライティング協会®」設立

生成AIの時代におけるWEBライティング業界の健全な発展及び進化を実現する「日本AIライティング協会®」設立

生成AIによるテキスト創出「AIライティング」の急速な普及に伴い、情報の正確性や倫理基準の劣化のリスクがある中で、WEBライター集団を抱える団体を中心に構成する「日本AIライティング協会®(英称:JAPAN AI Writing Association 略称:JAIWA)」を発足したことを発表しました。本協会では、前述の課題がある中で、「AIライティングの新たな規範の樹立」と「WEBライターと生成AIが共存共栄できる未来の探究」を目的に活動するといいます。


日々の生活で「時間不足」と感じている女性は7割以上 1日に自分のために使える時間は1時間以上2時間未満が最多【SHE株式会社 調べ】

日々の生活で「時間不足」と感じている女性は7割以上 1日に自分のために使える時間は1時間以上2時間未満が最多【SHE株式会社 調べ】

SHE株式会社は、SHElikesで学ぶ女性を対象に、時間の使い方や環境が変化する新生活・新年度のタイミングに、タイパ時代の「女性のスキマ時間の関する調査」を実施し、結果を公開しました。


ギブリー、企業の生成AI開発ををサポートする共創ラボ「Givery AI Lab」を設立

ギブリー、企業の生成AI開発ををサポートする共創ラボ「Givery AI Lab」を設立

株式会社ギブリーは、生成AIを活用した開発プロジェクトを総合的にサポートする共創型ラボ開発機関「Givery AI Lab(ギブリーAIラボ)」を設立したことを発表しました。


「引っ越し」に関するニーズを調査!「挨拶」や「ふるさと納税」に注目

「引っ越し」に関するニーズを調査!「挨拶」や「ふるさと納税」に注目

進学、卒業、就職など環境が大きく変化する春。引っ越しをして新天地での生活を始める人も多いと思います。引っ越しを考える上で一番気になることは何なのでしょうか。引っ越し検索者の心理を読み解いていきます。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

アクセスランキング


>>総合人気ランキング

ページトップへ