外出自粛に合わせてドラマ視聴無料化のParaviアプリがMAUを3倍に。3月急上昇アプリからコロナ影響を調査

外出自粛に合わせてドラマ視聴無料化のParaviアプリがMAUを3倍に。3月急上昇アプリからコロナ影響を調査

2020年3月にアクティブユーザー数を伸ばしたアプリは? 市場分析ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使うと、どんな人がどんなアプリを使っているのか、主にユーザー数の推移といった切り口から調べることができます。今回はeMark+を使ってアクティブユーザー数の前月比が急上昇したアプリをチェック。3月のトレンドを調査しました。


3月の急上昇アプリランキングを調査

まず、アクティブユーザー数の前月比が高い順にアプリをランキングしました。以下のトップ10をご覧ください。

2020年3月の急上昇アプリランキング(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

トップ3はこのアプリ

それでは早速、ランキングの1位から3位までを詳しく見ていきましょう。

1位:Park Master

1位はKAYAC Inc.が配信中のハイパーカジュアルゲーム「Park Master」でした。アプリの概要を以下にまとめます。

運営:KAYAC Inc.
特徴:指で線を描いて車を駐車させるパズルゲーム
リリース:2019年11月16日(Android版)

では次に、このアプリのユーザー数の推移を見ていきましょう。

「park master」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)10-3月

Park Masterのユーザー数は約26万人、前月比+約309%となっています。

このゲームは言語によらず誰でも気軽に楽しめる設計になっています。また、2月末に米国のApp Store無料ランキングで首位になったことが話題となっていました。このゲームに対する期待値の高さが急上昇の要因かと思われます。

2位:Samsung Print Service Plugin

2位にランクインした印刷サポートアプリ「Samsung Print Service Plugin」の概要は以下の通りです。

運営:HP Inc.
特徴:プリントサービス

では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。

「Samsung Print Service Plugin」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

Samsung Print Service Pluginのユーザー数は約37万人、前月比+約289%でした。

Samsung Print Service Plugin はAndroid 4.4(KitKat)から強制的にインストールされるもので、Androidにおいてシステムアプリ扱いなのでアンインストールはできない模様です。2月の下旬から3月の上旬にかけてユーザーのスマートフォンにインストールされたようで、これがユーザー増加に一役買ったと推測できます。

3位:Nintendo Switch Online

3位は、任天堂のスマホ向けアプリ「Nintendo Switch Online」でした。概要は以下の通りです。

運営:Nintendo Co., Ltd.
特徴:Nintendo Switchのゲームと連動したボイスチャットが可能
リリース:2017年7月19日

では次に、ユーザー数の推移を見ていきましょう。

「Nintendo Switch Online」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

Nintendo Switch Onlineのユーザー数は約72万人、前月比+約203%でした。

Nintendo Switchの最近のヒット作「あつまれ どうぶつの森」ではアバター同士でチャットできる機能があり、このアプリを使えばアバターの動きを止めることなくスマホでチャットができます。

本メディア・マナミナの「3月急上昇サイト記事」でも取り上げましたが、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要のために「あつまれ どうぶつの森」の利用者が急増しました。その結果、あつ森購入に合わせてNintendo Switch Onlineのアプリを導入するユーザーが増加したと考えられます。

その他上位にはこんなアプリがランクイン

上位には新型コロナウイルスの影響と思われるアプリが多数ランクインしていました。順番に紹介していきます。

4位:ZOOM Cloud Meetings

4位にZoomの公式アプリ「ZOOM Cloud Meetings」がランクインしました。概要は以下の通りです。

運営:zoom.us
特徴:ビデオ会議システム

次にユーザー数を見ていきましょう。

「ZOOM Cloud Meetings」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

ZOOM Cloud Meetingsのユーザー数は約100万人、前月比+約191%でした。

Zoomはオンラインでビデオ会議ができるシステムで、「あつまれ どうぶつの森」と同様に3月急上昇サイト記事でも取り上げました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都を中心にリモートワークや在宅勤務が拡大し、この流れでビデオ会議システム「Zoom」がいち早く注目を集めました。そのため、Zoomのサービスを手軽に使おうとアプリをインストールするユーザーが急増したと考えられます。

5位:Paravi(パラビ)-国内ドラマ数が日本最大級-

5位にランクインしたのは動画配信サービス「Paravi」でした。アプリの概要は以下の通りです。

運営:株式会社プレミアム・プラットフォーム・ジャパン
特徴:定額制を中心とした動画配信サービス

それでは、ユーザー数の推移を見ていきましょう。

「Paravi」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

Paraviのユーザー数は約91万人、前月比+約178%でした。

「Paravi」には2週間の無料体験登録があります。

新型コロナウィルスの感染拡大防止に伴う、小中高の休校要請を受けて自宅で過ごすことになった学生に向け、配信中の一部コンテンツが期間限定で無料公開されました。(参考:『長期春休み応援!人気ドラマ22作品、期間限定無料公開!』)このキャンペーンを行ったことがアプリユーザー増加に貢献したと考えられます。

9位:Remini - photo enhancer

画像加工アプリ「Remini」が9位にランクインしました。アプリの概要は以下の通りです。

運営:Remini
特徴:写真を高画質化できる

ユーザー数の推移を見ていきましょう。

「Remini - photo enhancer」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

2月の中旬に画質が低い写真を人工知能が高画質へと変換されるとSNSを中心に話題となりました。例えば、以下のようにReminiが紹介されていました。これがアプリ急上昇のきっかけかと思われます。

このツイートでは元の画質の画像とアプリによって高画質にした画像を比較しています。画像の粗さが消えているのが分かります。

10位:LINE:ドラえもんパーク

10位にランクインしたのはLINE株式会社が手掛ける「LINE:ドラえもんパーク」でした。アプリの概要は以下の通りです。

運営:LINE Corporation
特徴:パズルゲーム
リリース:2019年8月22日

次にユーザー数推移を見ていきます。

「LINE:ドラえもんパーク」のユーザー数推移(対象デバイスはAndroidスマートフォン、「eMark+」画面より)

こちらでは、3月にアプリにログインするとオリジナルLINEスタンプがもらえるキャンペーンを行っていました。(参考:『「LINE:ドラえもんパーク」、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』のオリジナルLINEスタンプを無料配信!』)

ユーザーは無料アプリをインストールすればドラえもんのオリジナルLINEスタンプを獲得できます。このLINEスタンプ配信施策がユーザー数増加の一因となったと考えられます。

まとめ

最後に3月の急上昇アプリと、アクティブユーザー増加の背景をまとめてみます。

1位の「Park Master」のゲームアプリはゲームに対する期待値がそのままユーザー数の増加に繋がったといえるのではないでしょうか。「Park Master」は米国のApp Storeで首位になっていたことから急上昇ランキング1位という形で反映されたと考えられます。

一方の10位にランクインしたゲームアプリ「LINE:ドラえもんパーク」はLINEスタンプ配信施策を行っていました。LINEスタンプ配信がアプリ利用者数の増加に貢献した言えるのではないでしょうか。

また、3月は新型コロナウイルス感染拡大により外出自粛する人や在宅勤務する人が増加しました。こうした社会背景が、巣篭もり需要やリモートワークサービスの需要を高め、「Paravi」や「Nintendo Switch Online」や「ZOOM Cloud Meetings」が上位にランクインに繋がったと考えられます。新型コロナウイルス感染拡大は人々が利用するアプリにも影響を及ぼしたと言えるでしょう。

特に「Paravi」は、外出自粛により暇を持て余す学生のニーズに合わせた無料キャンペーンをいち早く行ったことで、アプリのインストール・アクティブユーザー数の獲得に成功したのではないでしょうか。アフターコロナ・ウィズコロナ時代のコミュニケーションの取り方の参考にしていただければと思います。

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この記事のライター

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