緊急事態宣言下の2020年4月、検索キーワードランキングから何が見えてくる?

緊急事態宣言下の2020年4月、検索キーワードランキングから何が見えてくる?

新型コロナウイルス感染予防対応のため、全国に向けての緊急事態宣言が発出されたのは4月7日。以降、本格的な自粛要請が始まり、日常生活が大きく変わった方は多いかと思います。1ヶ月以上が過ぎた今、宣言解除とはなったものの、以前の日常が戻るには、しばらく時間も要する見込みです。そんな2020年4月の検索キーワード動向を、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し調査しました。


4月のキーワードランキング上位20位を調査

まず上位20位を見てみます。

目を引くのは「シャープ マスク」「シャープマスク」
新型コロナ渦影響で、急激な品薄状態となったマスク不足の問題は、誰もが経験されたとことでしょう。そのマスク問題を解決すべく、異業種企業がマスク製造に乗り出したという話題の中、シャープ製のマスク販売のニュースは多くの反響を呼んだようです。
「シャープ」の他にも、15位の「マスク」、20位の「アイリスオーヤマ」と言ったマスク関連のワードが多くランクインしています。

続いて、働き方改革の変革スピードにも一石を投じたかと思われる「テレワーク」。その一端を担ったとも言える、複数人での同時参加が可能な「ビデオ・Web会議アプリケーション」ツールの「Zoom」が3位にランクインビジネス用途だけではなく、「オンライン帰省」「Zoom飲み」といった言葉も聞かれるように、プライベートでの利用も見込まれ、検索ワードとして上位にあがったものと推測されます。

13位には「緊急事態宣言」が。耳慣れない言葉にワード検索された方も少なくないはず。
延長はされたものの、宣言解除も行われ、今後の動向も依然気になるところです。

図:2020年4月検索キーワードランキング

図:2020年4月検索キーワードランキング

期間:2020年4月 (※「比較月1」は前月比。「比較月2」は前半年比。)
デバイス:PC

検索キーワードを前半年比ランキングに並び替えて比較

緊急事態宣言下での2020年4月。どのような特色があったのか、半年前と比較し急上昇したキーワードをランキングしました。上位10位を見てみましょう。

新型コロナウイルス が日本で最初に確認されたのは2020年1月。この半年間のランキングをみると、1月からの急上昇ワードで構成されたのか、ほとんどが「新型コロナウイルス」関連のキーワードとなっています。

例えば、治療薬「アビガン」や、マスク・消毒薬の不足から「マスク」や「アルコール77」、「菊水酒造」と言った治療や予防に関する情報を求めるような検索が目立ちます。
また一方ではコロナ渦による経済への打撃も深刻です。そのためか「雇用調整助成金」といったワードも見受けられます。
日常生活の様々なシーンで、コロナ渦の影響は甚大だったと言えるでしょう。

図:前半年比検索キーワードランキング

図:前半年比検索キーワードランキング

期間:2020年4月
デバイス:PC

4月のランキングを構成した特徴的なキーワードの属性、LPを調査

2020年4月の上位ランキング及び前半年比のランキングにて、ランクインしたいくつかの検索ワードを属性別で比較しました。併せて、LPランキングや実際閲覧されているコンテンツも調査してみました。

「Zoom」は20代男性に多く検索されている傾向

「Zoom」は60.3%が男性による検索、年代は20代が28.3%と多く、次いで40代、30代との結果に。ビジネス利用、プライベート利用共に推測されます。

図:「Zoom」検索性別グラフ

図:「Zoom」検索性別グラフ

図:「Zoom」検索年代別グラフ

図:「Zoom」検索年代別グラフ

「Zoom」のLPランキングは利用法などが多くランクイン。中には、「利用者が爆増「Zoom 」を使うとなぜ危ないのか。」といったニュースも閲覧されています。利用するのに便利な反面、危険はないのかという利用に慎重な一面も垣間見えます。

図:「Zoom」検索LPランキング

図:「Zoom」検索LPランキング

「シャープ マスク」「シャープマスク」は60代以上が注目

男女別としては男性が多く、年代別としては60代以上が最も多い結果に。
「シャープ」という企業認知度及び信頼度の高さが影響しているのでしょうか。

図:「シャープ マスク」検索性別グラフ

図:「シャープ マスク」検索性別グラフ

図:「シャープ マスク」年代別グラフ

図:「シャープ マスク」年代別グラフ

マスク不足によりマスクを求める多くの検索から、LPランキングでは商品検索のページが多くランクイン。また、「シャープ自社製マスクの抽選販売」というニュースも多く閲覧されたようです。

図:「シャープ マスク」検索LPランキング

図:「シャープ マスク」検索LPランキング

「アビガン」検索は79.9%が男性。年代別としては幅広い年代が興味

治療薬として大きな期待が持てるとニュースにもなった「アビガン」は男性が多く検索。年代別に見ると40代の27.6%が一番多いものの、幅広い年代が検索しているのが分かります。
新薬に対する興味、期待、認知度の広さをうかがわせます。

図:「アビガン」検索性別グラフ

図:「アビガン」検索性別グラフ

図:「アビガン」検索年代別グラフ

図:「アビガン」検索年代別グラフ

LPランキングを見てみると、上位には成分的な内容や概要の検索といった、「アビガン」とはどういうものかを体系的に調べている傾向が推測されます。3位には、「アビガン」に関するニュース、富士フイルムの治験の詳細に関するコンテンツなども多く閲覧されました。

図:「アビガン」検索LPランキング

図:「アビガン」検索LPランキング

「アルコール77」検索は40代の28.3%、男性の62.4%が最多

「アルコール77」とは消毒用アルコールと同じ度数のアルコールのこと。マスク同様、消毒用アルコールの不足から多く検索・閲覧されたようです。
その属性は男性が多く、40代の28.3%に続いて50代が22.7%となっています。

図:「アルコール77」検索性別グラフ

図:「アルコール77」検索性別グラフ

図:「アルコール77」検索年代別グラフ

図:「アルコール77」検索年代別グラフ

LPランキングでは「シャープ マスク」同様に商品検索のページが上位にランクイン。
5位には不足している消毒用アルコールの問題を解消すべく、代替品となるアルコールの紹介記事が。
ここにもコロナ渦に不安を抱え、予防対策に奔走する今の世情を反映させるような記事が閲覧されていました。

図:「アルコール77」検索LPランキング

図:「アルコール77」検索LPランキング

まとめ

「国民の命と経済」という言葉を用いたニュースや情報をよく耳にします。まさに今、その両方に甚大な脅威を及ぼしている「新型コロナウイルス 」。
今回のキーワード検索からも、いかに日々の生活に影響を及ぼしているかが現れていたと実感しました。

緊急事態宣言解除も始まり、休業要請も段階的緩和をされつつありますが、以前の生活に戻る道のりはまだ近くイメージできない状況かと思われます。今後の生活ではどのような情報が求められていくのか、引き続き調査していきたいと思います。

本記事ではeMark+を用いて調査を行いましたが、eMark+の機能がパワーアップした新ツール「Dockpit(ドックピット)」が2020年10月にリリースされました。DockpitにはサイトをURLで指定してユーザー数を把握したり、急上昇したサイトを調べるなど一部無料で利用できる機能があります。無料登録して試してみてはいかがでしょうか。

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調査概要

全国のモニター会員(20代以上男女)の協力により、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「eMark+」を使用し、2019年10月~2020年4月におけるインターネット行動ログを分析しました。
※Webサイトユーザー数は、PCからのアクセスを集計しヴァリューズ保有モニターでの出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。

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この記事のライター

マナミナ 編集部 編集兼ライター。
金融・通信・メディア業界を経て現職。
趣味は食と旅行。

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