メーカーとユーザーをダイレクトにつなぐ「D2C」
D2Cとは、店舗を介さずに自社ECサイトでユーザーに直販するビジネスモデル。そのメリットは問屋や小売店による中間マージンを抑えられ、値段に対する価値を最大化できる点にある、というのが一般論です。
しかし、現状では価格面よりも個性やオリジナリティを前面に打ち出していたり、SNSでユーザーを囲い込み、成長している商品・ブランドがD2Cの代名詞として注目されています。
注目のビジネスモデル「D2C」とは?海外・国内の最新事例をご紹介
https://manamina.valuesccg.com/articles/550D2Cとは、メーカーやブランドが店舗を介さず、自社ECサイトを通じて直販するビジネスモデルです。D2Cはアパレルや小売業界を中心に活用され、寝具マットレスの米国企業Casperのように未上場ながら評価額10億ドルを超えるユニコーン企業も現れたことから注目を集めています。D2Cの特徴や日本と海外のD2Cブランド事例をご紹介します。
D2Cが浸透した理由と拡大するカテゴリ
D2C拡大の背景には、スマホ、SNSの普及率の上昇があります。昨今のD2Cは先述のようにSNS(=LINE、Instagram、Twitter、など)で多数のファンを獲得した上で囲い込み、商品やサービスの販売につなげている例が多数あります。
こうした背景から、SNS利用率が高い女性向けの化粧品、コスメといったジャンルがD2Cの中でも勢いを増しています。
そこで今回は、化粧品、コスメのD2C事例を紹介します。
店舗を介さず顧客へ商品を届けるD2Cが注目されていますが、商品が良くても顧客にリーチできなければ販売機会がありません。D2C各社がどのようにネットで存在感を出し、ブランドを育てているか、マーケティング事例から見ていきます。
化粧品・コスメD2C事例「PHOEBE BEAUTY UP(フィービー ビューティー アップ)」
動画メディア「DINETTE」において、アンケートやヒアリングを重ねた結果、「目」のメイクに悩んでいるユーザーの多さが導き出され、まつげ美容液のブランド・PHOEBE BEAUTY UPが立ち上がりました。
「DINETTE」のフォロワー獲得手段は、インフルエンサーに依頼し口コミで広げるという、アメリカで躍進しているコスメブランド「Glossier」の手法を採用しています。
その後もメイクの悩みをヒアリングし、まつげ美容液のほかにフィスマスク、毛穴美容液も展開しています。
PHOEBE BEAUTY UP / フィービー(@phoebe_beautyup) • Instagram写真と動画
https://www.instagram.com/phoebe_beautyup/?hl=jaフォロワー14.4千人、フォロー中6人、投稿94件 ― PHOEBE BEAUTY UP / フィービー(@phoebe_beautyup)のInstagramの写真と動画をチェックしよう
化粧品・コスメD2C事例「mixx(ミクス)」
mixxでは、パーソナライズヘアケア用品(=シャンプー・トリートメント)を提供しています。その内容は、サイト内の質問(髪の太さ、頭皮の状態、香りの好みなど)に答えると、19,530以上の処方からシャンプーをオーダーメイドできるというもの。
2万近い処方からオーダーメイドとなると、質問の回答に時間がかかったりし、面倒なイメージがありますが、5分もかからない手軽さが特徴。
1ヶ月ごとにシャンプー、トリートメントを1本届ける定期便(=サブスクリプション)サービスとなっています。
mixx《オーダーメイドシャンプー》 (@mixx_official_) • Instagram photos and videos
https://www.instagram.com/mixx_official_/6,925 Followers, 110 Following, 82 Posts - See Instagram photos and videos from mixx《オーダーメイドシャンプー》 (@mixx_official_)
化粧品・コスメD2C事例「MEDULLA(メデュラ)」
先ほど紹介したmixxと同様、MEDULLAもオーダーメイドのシャンプーやトリートメント、パーソナライズヘアケア用品を扱うブランドです。
先発であるMEDULLAの処方はおよそ100パターンですが、これは日本人の髪質が大別すると8種類であるため、100通りでパーソナライズできるという考えによるもの。商品の提供はこちらもサブスクリプションのスタイルをとっています。
会員数8万人、月商2億円と、パーソナライズヘアケア用品としてのみならず、D2Cの中でも成功を収めているブランドとして注目されています。
月商は2億円規模、会員数8万人のパーソナライズシャンプー「MEDULLA」が丸井などから6億円調達 | TechCrunch Japan
https://jp.techcrunch.com/2020/01/23/sparty-fundraising/パーソナライズシャンプーのD2Cブランド「MEDULLA」を手がけるSpartyは1月23日、丸井グループ、XTech Ventures、アカツキ、ジンズホールディングスから総額で約6億円を調達したことを明らかにした。
MEDULLA《メデュラ》by Sparty (@medulla_jp) • Instagram photos and videos
https://www.instagram.com/medulla_jp/12.2k Followers, 2 Following, 174 Posts - See Instagram photos and videos from MEDULLA《メデュラ》by Sparty (@medulla_jp)
化粧品・コスメD2C事例「youange(ユアンジュ)」
モテクリエイターゆうこす(菅本裕子・元HKT48)が手がけるスキンケアブランドがyouangeです。「明日のかわいいは夜仕込む」をコンセプトにしたコスメを展開。
彼女がInstagramやTwitterで、寝ている間にスキンケアしてくれる化粧品があればいいのに、と発信すると多くの女性フォロワーが反応。そこからスキンケアブランド立ち上げに至ったという経緯があります。
コスメのラインナップもスキンケア関連はほぼ網羅。単品販売だけではなくサブスクリプションでの販売も行っています。
youange (@youange.tokyo) • Instagram photos and videos
https://www.instagram.com/youange.tokyo/21k Followers, 1 Following, 51 Posts - See Instagram photos and videos from youange (@youange.tokyo)
化粧品・コスメD2C事例「Chérize(シェリーゼ)」
D2Cアパレルブランド「Randeboo(ランデブー)」のコスメ部門がChérizeです。
“大切な人と会う5分前に”をコンセプトに、洋服に合わせやすい=Randebooの洋服とマッチするリップスティックのみを販売しています。もともとRandebooはInstagramで注目されており、Chérizeも相乗効果によって人気を集めています。
オンラインでのD2C販売だけではなく、新宿ルミネ2に実店舗をオープンさせるなど、多角的な展開も同ブランドの特徴に挙げられます。
Chérize (@cherize_cosmetics) • Instagram photos and videos
https://www.instagram.com/cherize_cosmetics/8,633 Followers, 2 Following, 360 Posts - See Instagram photos and videos from Chérize (@cherize_cosmetics)
化粧品・コスメD2C事例「BULK HOMME(バルクオム)」
ここまでは女性用のコスメを紹介してきましたが、コスメ・D2Cという関連においては外せないメンズコスメ「BULK HOMME」を番外編として紹介します。
BULK HOMMEはメンズスキンケア商品という、ニッチなジャンルでのアイテムを提供しています。しかし、同社の洗顔料や化粧水は累計350万本(2019年9月)を突破し、公式オンラインストアの利用者は累計5万人に達するほどの存在感を見せています。
このような、大手メーカーはなかなか手を出せないニッチな分野の商品がSNSや口コミで広がり好評を得るというのは、今回紹介した女性用コスメの事例と類似しているため、あえて紹介させていただきました。
BULK HOMME(@bulkhomme) • Instagram写真と動画
https://www.instagram.com/bulkhomme/?hl=jaフォロワー16.2千人、フォロー中112人、投稿48件 ― BULK HOMME(@bulkhomme)のInstagramの写真と動画をチェックしよう
新興D2Cコスメブランドを支える製薬会社
D2Cのコスメブランドがなぜ続々と立ち上がり、商品を提供できるのか?そのカギのひとつに製薬会社によるOEMが挙げられます。
「MEDULLA」や「youange」は、ヘアケア、スキンケアとジャンルは異なりますが「サティス製薬」という製薬会社が商品開発・製造を担当しています。
商品の販売に専門的な知識や技術が必要な場合、異なるブランドが同一の会社をOEM元とする流れは双方にとってメリットがあるため、今後このような事例が増えていくのではないでしょうか。
ユーザーもモノ作りの当事者に! D2Cによる作り手と使い手の「温かいつながり」|LEXUS ‐ VISIONARY(ビジョナリー)
https://lexus.jp/magazine/20190527/348/exp_lex_d2c.htmlD2C(ディー・トゥ・シー)という言葉を、あなたはご存じだろうか。もともとはマーケティング業界の専門用語だったが、今では若き起業家たちにとって、「新しいモノ作り」を象徴するキーワードとなっている。
まとめ
SNSでのクチコミ、ユーザーにオンリーワンと思わせるといった要素が、ユーザーからの共感を得やすくなります。そして、SNSというダイレクト囲い込みにつながり、D2Cにおけるコスメの勢いが増しています。
今後もこのジャンルにおけるD2Cの流れは止まらないと予想されます。
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店舗を介さず顧客へ商品を届けるD2Cが注目されていますが、商品が良くても顧客にリーチできなければ販売機会がありません。D2C各社がどのようにネットで存在感を出し、ブランドを育てているか、マーケティング事例から見ていきます。
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