GAとeMark+でマナミナの3C分析をします
こんにちは、マナミナ編集部の弥富です。かれこれ4ヶ月ほど前から続くテレワークの日々で、最近は取材もオンラインで実施していますが、そろそろオフィスが恋しくなってきました。
マナミナの場合はヴァリューズ社の市場調査ツール「eMark+(イーマークプラス)」を使ったリサーチ記事がメインコンテンツで、企画ネタにはあまり困っていないのが幸い、という感じです。ただ、取材記事がメインのメディアさんでは、ひょっとしたら制作で苦労されているところもあるのかもしれません。
マナミナはデータ分析によるマーケコンサルサービスを提供するヴァリューズのオウンドメディア。この7月で立ち上げからようやく1年を迎えるのですが、猛者がひしめくマーケ・リサーチ系の検索クエリを攻略し始め、UU・PVもそこそこ増えてきました。
立ち上げの段階ではヴァリューズの得意分野であるデータを使って、読者の方々のニーズや競合メディアなどの分析を行いました。そして当時の考察をもとに立てたコンセプトで1年やってきましたが、やはり実際に毎日記事を上げ続け、ヒット/ややウケ/微妙、といった反応を見つつ試行錯誤するのが重要だと感じています。
※ちなみに立ち上げ期のデータ分析・考察の様子はこちらの記事にまとめています
オウンドメディア戦略はデータで決める。リサーチ会社がメディアを作るときの調査手法とは
https://manamina.valuesccg.com/articles/217マーケティングリサーチとコンサルティングの会社「ヴァリューズ」は、新しいオウンドメディア「マナミナ」を立ち上げました。どのようにメディアを作っていったのか、その過程を今回から全4回でお伝えします。初回はメディアのコンセプト・戦略設計についての話。私たちの得意技であるリサーチを使って、マーケティング戦略を決めていきました。
今回は、立ち上げ時と同じようにデータを使った3C分析を行い、マナミナ内コンテンツの改善策を考えてみます。
データ分析をしてもらったのは、ヴァリューズのデータアナリスト・今井さん。自社データとしてGoogleアナリティクスを、競合や市場のデータとしてはeMark+を使用し、データの見方などのアドバイスをもらいながら進めました。
課題は回遊率アップ…GAから明らかに
さて、今回のテーマはオウンドメディアのコンテンツ改善ですが、コンテンツとざっくり言っても捉えづらいので、ひとつマナミナ内で対象の記事を選びました。『競合調査の代表的フレームワーク3種』というタイトルの記事です。まずはこの記事を対象として3Cのうちの「Company」、すなわち自社サイト分析をしていこうと思います。
競合調査の代表的フレームワーク3種(3C分析・4P分析・SWOT分析)
https://manamina.valuesccg.com/articles/589市場における自社の強み・弱みや他社の戦略を把握するために行う「競合調査」。ビジネスの競合調査でよく使わているフレームワークが3C分析・4P分析・SWOT分析です。各フレームワークの概要と分析方法、使い分けをご紹介します。
実はこの記事、「競合分析 フレームワーク」の検索クエリで1位を取っていてPV数もいいんです。
ちなみに自社サービスのeMark+は競合サイトやアプリを分析できるSaaS型のツールで、「競合分析ってどんな考え方でやればいいんだろう?」と考えているような方に最適のもの。そこで上記の記事はeMark+とも相性が良いはずで、高いリード獲得数を期待していました。
しかし実際は、そううまいこと話は進まず…。PVはあるもののサービスページへさほど送客できていなく、オウンドメディアの主目的であるリード獲得やサービス・企業のファン化にはあまり繋げられていない可能性がありました。
では、サイト内回遊への貢献度ではどうなのでしょうか? もしこの記事を読んでもらって「このメディア役に立つな、ほかの記事も見てみよう」と思ってもらえていたら、マーケティングファネルの上流の記事として機能しているはずです。
この「記事のメディア内回遊への貢献度」を測るため、今井さんにGoogleアナリティクスのデータを見てもらいました。
GAで「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ」とクリックし、集計期間を2020年3月~4月とします。そして、セグメントを「article/589 接触セッション」に絞り込み、当該ページとともに閲覧されているページを見てみました。
マナミナのGoogleアナリティクスで「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ」、セグメントを「article/589 接触セッション」に絞り込んだ画面キャプチャ
すると、最も併用閲覧率の高いページでも3.15%のみの閲覧、また「article/589」の直帰率も90%という結果。つまり、この記事を読んでマナミナから即離脱していることが分かりました…!
現状としては、読んでくれてはいるものの、リード獲得や認知度向上にはあまり貢献してなさそうです。お店に入ってきてくれたのに、何も買わずに出てっちゃった人が多いという感じでしょうか。
ただ、GAのデータを見たことでやるべき改善策が明確になりました。目的はこの記事の直帰率を下げ、マナミナ内の回遊率を上げること。そして施策がうまくいったら、ゆくゆくはほかの高パフォーマンス記事に対しても横展開して、メディア全体の回遊率を上げることに注力すべきです。
そこで、ここからは回遊率を上げるための改善のヒントを求めてユーザーや競合の分析を行っていきます。
eMark+でユーザーの興味や競合コンテンツを調べる
では、記事の直帰率を下げ、メディア内のほかの記事を見てもらうためにはどうすればよいのでしょうか? この観点で、3C分析のうちの「Customer」、すなわちユーザーについて分析してみましょう。
ポイントは、「競合分析 フレームワーク」の検索をするようなユーザーがどのようなニーズを持っているかを理解することです。そして、記事を読んだあとのユーザーのアクションを推測し、それに適したコンテンツを提示できれば、回遊率は上がるはずです。
そこで、今回は当該記事の中でも紹介している「3C分析」について検索する人が読んでいるコンテンツを調べ、インサイトを考察してみます。3C分析をしている中で「3C分析に興味があるユーザー」について調べる、という入れ子構造になっていて分かりづらいかもですが…。頭がこんがらがらないように注意して考えていきますね。
使用するのはeMark+のKeyword Finderという機能。特定ワードの検索数推移だけでなく、ユーザー属性や流入先のLPの把握によるモーメント分析も可能です。
では、eMark+で「3C分析」ワードを検索した人が遷移したコンテンツランキングを見てみましょう。
eMark+で「3C分析」を指定検索キーワードとして流入先の上位コンテンツを見てみた
コンテンツランキングを眺めてみると、流入先の上位にランクインしていたferretさんの「3C分析とは〜マーケティングの基礎を覚えて競合と市場を分析しよう」という記事で直帰率が低いことが分かりました。
3C分析とは〜マーケティングの基礎を覚えて競合と市場を分析しよう
https://ferret-plus.com/curriculums/66Webマーケティングの基本は、ビジネスの基本でもあります。顧客との良好な関係を築くときに、3C分析という手法をもちいるケースがおおく見られます。3C分析とは、自社、競合、顧客のそれぞれをリサーチし、戦略を考えるフレームワーク(手法)です。
この記事の直帰率は70%台後半。マナミナの記事が90%超えだったのと比較すると、同テーマにも関わらずパフォーマンスに大きな差があります。
では、この理由はなんでしょうか? 3Cの「Competitor」分析のフェーズとして、ferretさんとマナミナの記事を比較し、考えられる仮説を挙げてみます。
1.記事の流れが明快
ferretさんの記事はどれも分かりやすいですが、そのポイントは話の流れが明確なことではないかと思います。例えば、
「3C分析について明確に答えられますか?」
「そもそもなぜ3C分析が使われているのでしょうか?」
「では実際に3C分析を使ってみましょう」
といった文で話題の移り変わりを明示し、話の流れを明快にしています。読んでもらうためにはどう伝えるかという読者目線で記事が構成されているため読みやすく、メディア内回遊に進みやすいのかもしれません。
2.誘導先の紹介がスムーズ
1.の内容ともリンクしていますが、読者に語りかけるような口調で話題を進めていくため、誘導先ページへの導入もスムーズになっているように感じます。
その上で、ferretさんの3C分析記事はまとめコンテンツ的な構成になっており、SWOT分析などのより詳細な手法や、テンプレート・事例の紹介記事などへの導線を作っているかたち。
メディア内回遊をしてもらうためには、まとめ記事にリンクを貼るだけではなく、遷移させたい記事内容の訴求を含めた丁寧な誘導が必要なのかもしれません。
3C分析で発見した2つの仮説
ということで、ここまでGAによる自社サイト=マナミナの分析と、eMark+による競合サイト+顧客ニーズの分析を合わせた3C分析を行なってきました。
その結果、考えられる改善策としては
・話の流れを明快にするつなぎの文を挿入
・誘導先リンクへの丁寧な紹介文を挿入
の2つが出てきました。
たしかに、今回分析対象にした「競合調査のフレームワーク3種」記事は制作段階でもけっこう淡々と事実を伝えることを意識していたので、いま振り返ると記事の流れについてはノーマークだったかなと思います。
このあとのステップとしては、まず実際に記事本文を修正してみようと思います。そして大体1ヶ月ほど数字を追い、効果を検証する。さて、改善は見られるでしょうか…!期待はありますが、もし結果がそうでもなければまたデータ分析に戻って、次の仮説を考えてみることにします。データ→仮説→検証→データ…という改善の基本パターンに忠実にいきましょう。
よい結果が出たなど新しい発見があれば、またマナミナ上でお伝えできればと思います。
ちなみにヴァリューズではeMark+の無料提供(一部機能のみ)だけでなく、今回のような形のGAとeMark+による3C分析のレポートサービス「eMark+ Prep(イーマークプラス プレップ)」も提供しています。
データを使ったサイト・メディア改善をしたいけど、手間もかかるしリソースもないしでなかなか取り組めていない…などの課題感をお持ちであれば、ぜひお気軽にお声がけください。
では、ここまでお読みいただきありがとうございました。引き続きデータ分析による改善をテーマにした記事を公開していくので、楽しみにしていただければ嬉しいかぎりです。
Google Analytics分析をしてスピーディーにサイト改善を進めたい。ビジネスマッチングの「リカイゼン」が取った手段とは
https://manamina.valuesccg.com/articles/788外注先のパートナー企業を探せるビジネスマッチングサービス「リカイゼン」。かねてからGA(Google Analytics)を分析してサイト集客の改善を行っていましたが、GAには項目がたくさんありすぎて、効率的に分析するにはどうすべきか悩んでいたと言います。そんなリカイゼンが打った手とは何だったのでしょうか。
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マナミナ編集部でデスクを担当しています。新卒でメディア系企業に入社後、フリーランスの編集者・ライターとして独立。マナミナでは主にデータを活用した取り組み事例の取材記事を執筆しています。