4年でトップブランドに成長!中国の人気飲料「元気森林」-その成功の秘密とは?|中国トレンド調査

4年でトップブランドに成長!中国の人気飲料「元気森林」-その成功の秘密とは?|中国トレンド調査

中国では、立ち上げからわずか4年しか経っていない新興の無糖飲料ブランド「元気森林」が現在大人気です。今回は、国民の健康意識の向上をはじめとした、その成功の秘密を分析しました。


中国では、立ち上げからわずか4年しか経っていない無糖飲料ブランド「元気森林」が人気を集めています。昨年の「独身の日セール」では、元気森林はたったの1日で226万本の飲料を販売し、2019年の総売上高は7億元(約100億円)を超えました。では、なぜ元気森林はこれほどの成功を収めることができたのでしょうか。

健康と美味しさを兼ね備える商品

ニールセン社の調査によれば、中国の消費者の多くは健康な食生活を重要視しており、消費者全体の80%は食品や飲料の成分、特に商品の糖質量に注目しています。

また、中国国家衛生健康委員会も消費者にショ糖の摂取を控え、食品生産者にはショ糖の代わりに天然甘味料や人工甘味料などを使用するように呼びかけています。さらに、ダイエットと美容に関心を持つ人が増えたことも、無糖飲料の需要の増加に繋がったといえるでしょう。

コカ・コーラゼロをはじめとした従来の無糖飲料と違い、「元気森林」は人工甘味料ではなく、エリトリトールを使用しています。エリトリトールにはカロリーがほとんど存在せず、歯垢を分解しやすくする作用があり、とても健康的な甘味料です。さらに、その甘味度は砂糖と近いため、味も保証されています。

このようにして、健康と美味しさを兼ね備えた「元気森林」の無糖飲料は、中国消費者の心を鷲掴みにしました。

コンビニの出店増加への便乗

「元気森林」の売り上げの7割近くはオフラインマーケティングによるものであり、特にコンビニでの売れ行きが良いと言われています。

『2020年中国コンビニエンスストア開発報告』では、「2019年のコンビニ業は依然として高成長を維持しており、…成長率は13%に達し、店舗数は13万2000店にまで増加した」と記述されています。

また、『Z世代調査報告』によると、中国のファミリーマートの客の年齢層は20代と30代に集中しており、さらに女性客が全体の6割を占めています。つまり、コンビニの来訪客は比較的新しいものに興味があり、価格にやや鈍感で、綺麗な包装に関心の高い若年層が多いことが特徴として考えられます。

 一方、「元気森林」の無糖飲料はやや高めの値段設定と競合他社の顧客層より、「元気森林」のターゲット層は20代の女性および中間・高所得層であることが推測できます。このように、「元気森林」のターゲット層は上記のコンビニ来訪客層とほぼ一致していることがわかります。

和風パッケージデザインによる存在感

P&G社が提唱したFMOT(エフモット)の概念では、「消費者は店頭で目的の商品が並んだ陳列棚を見て、最初の3秒から7秒でどの商品を買うかを決めていることが多い」とされています。

つまり、商品のパッケージデザインは新規顧客の獲得にとって重要な要因の一つとなるのです。

「元気森林」のパッケージは白と黒の配色を使っており、パッケージに書かれている「燃」と「気」の文字が十分に目立つデザインとなっているため、他の商品とともに店頭に陳列されていても、圧倒的な存在感を放っています。

また、「元気森林」の責任者によると「元気森林」のパッケージデザインは、Z世代の若者はシンプルで爽やかなイラストの飲料品のパッケージデザインを好むという、マーケティングリサーチの結果に基づいて設計されているそうです。

「元気森林」のパッケージデザイン

 しかし、パッケージデザインは日本ブランドを模倣している疑惑も上がっています。例えば、当該商品は中国語の「气」ではなく、あえて日本語の「気」を使用しています。日本語の分からない中国人消費者は、「元気森林」が日本の飲料品ブランドだと勘違いして購入することもよくあるようです。

緻密なプロモーションがブームを呼ぶ

前述したとおり、「元気森林」の推定ターゲット層は若者です。中国の若年層は新しいものを好み、継続的に購買を繰り返すことが少ないと言われています。また、若年層はSNS利用率が高く、何かをシェアする時はもちろん、情報収集もSNSで行う傾向があります。これらの特徴を考慮すると、元気森林に最も適したプロモーション手法はSNSや口コミであることが明らかでしょう。

中国の若年層女性に圧倒的に支持されているECアプリ小紅書(RED)では、「元気森林」に関するコンテンツが3万以上あります。Tik Tokでも、「元気森林」に関する動画やVlogが数多くあります。また、中国ではライブ配信による消費販売が流行しています。中国で今注目の人気ライバー李佳琦は、今年の国際女性デーのために用意された15万本の「元気森林」の商品をライブ配信で売り切りました。

口コミ・SNSによるプロモーションは、直接購買に繋がる他、商品の認知度向上、ブランディング、顧客ロイヤリティーの向上にも効果があります。このような緻密なプロモーションが、「元気森林」がブームを呼んだことに繋がりました。

「元気森林」に関するSNSの投稿

食品安全の重視

「元気森林」は設立当初、生産力不足をカバーし、さらにブランドの知名度を向上させるために、OEM業者と契約していました。しかし、OEM生産の場合、食品衛生上の管理が行き届かないことが多いため、顧客との長期にわたっての信頼関係は築きにくいと一般的に言われています。

「元気森林」は食品衛生管理および生産ラインの改良のため、自社の工場を建てました。中国・安徽省における「元気森林」の第一生産拠点の用地面積は100エーカー(約40万平米)に及び、高速生産ラインを3つ有します。生産ラインの全ては業界をリードする最先端技術を採用しており、その年間生産量は4億5000本を超えています。また、該工場は生産、技術、安全性、品質管理の全ての面において国際基準に達しています。

現在、「元気森林」は米国、カナダ、英国を含む世界30カ国以上に輸出されています。また、シンガポールでは、「元気森林」はシンガポール健康増進局(HPB)に正式に認定され、シンガポールの「より健康的な選択シンボル(HCS)」を取得しました。この認定を授与された出来事は、中国の飲料品が海外進出において新たな進展を遂げたことを意味すると言われています。

また、「中国の飲料ブランドは、世界的有名なブランドになりえます。そして、いかに顧客のために健康的で美味しい商品を提供し続けることこそ、我々が最優先に考慮すべき事項です」と「元気森林」の責任者は語っています。

<参考文献>
「年轻人青睐代糖产品 健康与美味的需求真能兼得吗?」
https://m.chinanews.com/wap/detail/chs/zw/9279140.shtml
「追求健康时尚个性化 元气森林抢跑“Z世代”消费市场」
https://m.chinanews.com/wap/detail/chs/zw/9290486.shtml
「双11销量超可口可乐,估值一年暴增100亿,元气森林凭什么崛起?」
https://xw.qq.com/cmsid/20200719A0ERYK00?f=newdc
「无糖饮料千千万,元气森林凭什么火?」
https://baijiahao.baidu.com/s?id=1646971604242848532&wfr=spider&for=pc&isFailFlag=1
「元气森林涉嫌“伪日系”宣传引争议 喝不胖的苏打气泡水不如白开水?」
http://m.jxyuging.com/fzdt/keji/2020/0811/74001.html
「听起来太完美了吗?了解一下甜味剂替代品的优缺点」
https://askthescientists.com/zh-hans/alternative-sweeteners/
「砂糖以外の甘味料について」
https://sugar.alic.go.jp/japan/fromalic/fa_0707c.htm

​​

メールマガジン登録

最新調査やマーケティングに役立つ
トレンド情報をお届けします

この記事のライター

中国出身の留学生。立教大学大学院に在学中。

関連する投稿


中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

中国「ダイエット・エコノミー2.0」 〜「体重管理年」を経て爆発する最新トレンドと消費の行方

2026年の中国では、ダイエット・エコノミーが劇的な二次進化を遂げています。2024年に始動した政府主導の「体重管理年」プロジェクトを経て、国民の意識はダイエットから全天候型のライフスタイルへと進化しています。本記事では、春節後の爆発的な需要を背景に、タイパを重視した「機能性食品のスナック化」や、小紅書(RED)等のコンテンツECが牽引する最新の消費トレンドを詳説。変容する中国若年層の心理を読み解き、日本企業が中国の巨大な健康市場を攻略するためのヒントを提示します。


中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国で大ブームのアイロンビーズ。大人もハマる、その魅力は?

中国でアイロンビーズのブームが巻き起こっています。一見すると子供向けの遊びに思えますが、今や若者や大人が楽しむ趣味になっており、2025年の “不思議な趣味”ランキングのTop10に入るほどです。この記事では、アイロンビーズにはどのような魅力があり、人々にどのように楽しまれているのかを紹介します。


中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

中国の若者が「自愛」に目覚める、そのトレンドは?

2025年11月、SNS上で発信された投稿に載せられた「愛你老己 (アイ・ニー・ラオ・ジー)」というフレーズが中国の若者たちの間に広がり始めました。自分自身へ大切にしているよと呼びかける、短いながらも現代の若者の価値観を反映したこの言葉は、彼らの生活や消費行動にどのような影響を与えているのでしょうか。この記事では 、「愛你老己」という言葉が生まれた背景やそれに伴い生まれた消費トレンドを紹介します。


中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

中国で注目される新しい消費行動「理感共生」を読み解く

昼食代には迷う一方で、推し活には即決します。中国の若者に広がる「理感共生」は、節約と熱狂が同時に成立する新しい消費合理性です。本稿はこの概念を手がかりに、なぜ日常支出には極端に慎重でありながら、体験や感情価値には大胆に投資するのかを分析。将来不安や長期志向、補償的コントロールといった社会や心理的背景を整理し、この行動が中国の消費市場とマーケティング競争の軸をいかに変えつつあるのかを探ります。


【無料レポート】2026年 訪日インバウンド観光客調査〜中国・台湾・タイ・韓国|ダウンロードページ

【無料レポート】2026年 訪日インバウンド観光客調査〜中国・台湾・タイ・韓国|ダウンロードページ

2025年の訪日外国人客数(インバウンド)は、前年比15.8%増の約4,268万人となり、過去最高を記録した2024年を大幅に上回って過去最多を更新しました。背景には、大阪・関西万博の開催や円安による消費拡大も理由として考えられます。そんなインバウンド観光客の中でも、本レポートでは中国・台湾・タイ・韓国の観光客にフォーカスし、彼らの観光実態をアンケート調査しました。※本レポートは記事内のフォームから無料でダウンロードいただけます。


最新の投稿


約半数が同一企業のメルマガとSNSを同時にチェックした経験あり!20代で割合が最大に【ユミルリンク調査】

約半数が同一企業のメルマガとSNSを同時にチェックした経験あり!20代で割合が最大に【ユミルリンク調査】

ユミルリンク株式会社は、企業と顧客のコミュニケーション手段に関する実態を明らかにする調査レポート「メルマガ登録・SNSフォローや購買のきっかけにおける実態調査 ~2026年版~」を公開しました。


【調査リリース】2026年「GW&SWのダブル5連休」を控えた旅行予約実態  ~ 東北は「地元志向」、四国は「都市圏志向」などエリア別ニーズが浮き彫りに

【調査リリース】2026年「GW&SWのダブル5連休」を控えた旅行予約実態 ~ 東北は「地元志向」、四国は「都市圏志向」などエリア別ニーズが浮き彫りに

WEB上で宿泊を伴う旅行予約を実施した人に対して、旅行先や予約と旅行出発日の日数差の分析を行いました。2026年は春(ゴールデンウイーク)・秋(シルバーウィーク)ともに5連休となる日並びのよさを背景に、数日間の滞在を伴う中期的な旅行ニーズが高くなると考えられます。旅行先のトレンドや旅行予約の実態を2025年の旅行予約データから明らかにします。※資料は記事内の入力フォームより、ダウンロードいただけます。


未来と日本 ~ 進化するハイテクのゆくえ

未来と日本 ~ 進化するハイテクのゆくえ

人は未来への不安を抱えつつ、時に占いやSFといったものに希望を見出して生きることもしばしばあります。その延長にあるとも言えるのか、近年のAIは飛躍的な進化を遂げ、社会に大きな影響を与え始めています。利便性向上という恩恵の一方、軍事利用や制御不能への懸念も広がっているAI。それでもその進化を止めるわけにはいかないのが現実。今、未来を描くときに不可欠なものは何か、広告・マーケティング業界に40年近く従事し、現在は株式会社創造開発研究所所長、一般社団法人マーケティング共創協会理事・研究フェローを務めている渡部数俊氏が解説します。


AIの進化でSaaSの見直しの必要性を実感する企業が8割超!一方で6割以上が"ガバナンス系SaaSはAIでは代替できない"と認識【エイトレッド調査】

AIの進化でSaaSの見直しの必要性を実感する企業が8割超!一方で6割以上が"ガバナンス系SaaSはAIでは代替できない"と認識【エイトレッド調査】

株式会社エイトレッドは、従業員100名以上の企業に勤務し、業務でAIを活用している情報システム・DX推進・経営企画部門の担当者を対象に、AI時代に生き残るSaaSの条件に関する実態調査を実施し、結果を公開しました。


コミューン、購買・来店・SNS発信など顧客のあらゆる貢献行動を集約・可視化する「Commune Engage」本格提供開始

コミューン、購買・来店・SNS発信など顧客のあらゆる貢献行動を集約・可視化する「Commune Engage」本格提供開始

コミューン株式会社は、あらゆる顧客貢献を集約・可視化するエンゲージメントプログラムSaaS「Commune Engage(コミューン エンゲージ)」を本格提供開始したことを発表しました。


競合も、業界も、トレンドもわかる、マーケターのためのリサーチエンジン Dockpit 無料登録はこちら

ページトップへ